おはようございます、一龍(@ichiryuu)です。

今日ご紹介するのは当ブログではおなじみ、栗田正行先生の新刊、『「発問」する技術』 です。

学校の先生のために書かれた本ですが、ビジネスパーソンの特に管理職、マネジメント業務についている人は参考になりまくると思ったのでご紹介します。


 


「発問」する技術の基本ポイント



★アクティブ・ラーニングに活かせる、発問の「4つの力」


(1)子どもをその気にさせる
(2)子どもを育てる
(3)議論を活性化させる
(4)子供と先生の関係をフラットにする


発問の4つの力(1)「子どもをその気にさせる」


授業のはじめに、チャイムや号令の挨拶に加えて、子どもたちの気持ちを切り替えられる発問があります。それは、

「この授業で学ぶこと、できるようになりたいことは何ですか?」

この発問で意図することは、子どもたち自身にこの授業の意味を理解させる、換言すれば、この授業のゴールや目的を確認させるのです。そうすることで、子どもたちの学びのスイッチが入ります。この発問は、「〜しなさい」「〜しましょう」という指示よりも絶大な威力を発揮します。




発問の4つの力(2)「子どもを育てる」


発問は子どもを育てます。なぜなら、発問した後には必ず考える・発言するという過程を経ることになるからです。
 ではなぜ、考えること・発言することが子どもを育てることになるのでしょう。それは、次のような公式が成り立っているからです。

発問内容を理解すること(インプット)+考えること・発言すること(アウトプット)

これを私はイン&アウトの学びのゴールデンサークルと呼んでいます。このサイクルを自然に生み出すのが発問なのです。




発問の4つの力(3)「議論を活性化させる」


 授業中、一切発問をせず、黒板だけを見て説明し続ける授業をすると、最初、子どもたちは面白がるかもしれませんが、それを1週間、1か月と続ければ、まったく活気のない授業が出来上がります。
 私がここに書くまでもなく、たった1つの発問で授業の雰囲気はガラリと変わります。校内研修で他校にお伺いするときにも、私は努めて先生方に発問するようにしています。そのほうが活発な議論がかわされますし、何より満足度が高いのです。




発問の4つの力(4)「子どもと先生の関係をフラットにする」


「発問する人」と「発言する人」は、共に考えるという意味で対等です。同じ発問について考えるうちに、発問された子どもからの思わぬ発言で立場がスイッチして入れ替わることもあるでしょう。それこそが発問のすごさでもあります。



★発問の基本ルール「ASK」の法則


「『ASK』の法則」
(1)Accept(受け入れる)
(2)Seek(見つけ出す)
(3)Know(知る)



発問の基本ルール(1)Accept(受け入れる)


 まず、発問する際の心がけについて、一番大切なことをお伝えします。それは、誰のどんな答え・意見でも一度は「受け入れる」ということです。

「間違ってもいいんだよ」

このたった一言が言えるかどうかで、子どもたちの学ぶ姿勢が大きく変わります。



発問の基本ルール(2)Seek(見つけ出す)


 発問するときの第二の基本ルール、それは「子どもたちの気づきという名のダイヤモンドの原石を「見つけ出す」ということです。
 先生としてあなたがすべきことは、発問を通して子どもたちが知らないことに気づかせ、共に考えていくことです。



発問の基本ルール(3)Know(知る)


 発問に対する答えには、2つのパターンがあると考えています。それは、正しさを求めるものと納得を求めるものです。この2つがあってはじめて学びが充実していきます。




★授業で使える、5つの発問テクニック


栗田の発問テクニックその1 「未来発問」


その名の通り、未来についての発問をします。具体的には、次のような内容の発問をします。

「この授業ではどんなことを学びたい?」
「この授業が終わったら、どんなことができるようになるといいかな?」
「この勉強をして、あなたはどうなりたいですか?」


つまり、授業のゴールイメージを子ども自身に考えてもらうというわけです。



栗田の発問テクニックその2 「板書発問」


まず一つ目は、番所に書いてあること、あるいは板書がヒントになって答えが導ける内容を発問するということです。ポンポンと答えられるような発問をすることで、授業のリズムをつくっていくのです。

2つ目は、次に板書する内容を聞く発問です。これは、子どもたちに少し考えてもらう必要があります。また、あえてそのようにしています。なぜなら、人は苦労して身につけたものはなかなか忘れないからです。


栗田の発問テクニックその3 「なぜなぜ発問」


ある発問の答えについて、さらに「なぜ、そうなるのか(そう考えるのか)」ということを聞いていく発問スタイルになります。
この発問をする意味は、「なぜ?」を繰り返すことで、深い学び・新たな気づきが得られる点です。


栗田の発問テクニッその4 「逆転発問」


これはついつい正しさを求めてしまう授業において、あえてその逆を示すことで正しさを見つけてもらうという発問になります。 
具体的には
・あえて間違ったことを聞く(どうして間違っているのか)。
・あり得ないことを聞く(どうしてあり得ないのか)。
・子どもに発問してもらう。
・先に問題の答えを示し、「なぜ、こんな問題を考えさせるのか」ということを考えてもらう。


栗田の発問テクニックその5 「達成発問」


その授業で学んだことや身についたことについて発問をします。
なぜ、そんなことを聞くかと言えば
・その授業の理解度を確認する。
・できたことにフォーカスすることで達成感を与える。
・できるようになったことを自分自身でほめる。
というねらいがあります。

授業冒頭で行うであろう「未来」発問とセットにすると、効果は抜群です。




感想


当ブログではおなじみ、昨年夏にはインタビューもさせていただいた現役高校教師、栗田正行先生の最新刊です。

今回のエントリーでは、発問に関する基礎的な部分を中心にピックアップさせていただきました。

どのような印象を受けられたでしょうか?

 

当然ですが、栗田先生の著書は現役教師のために書かれた専門書です。
本職の先生方が大いに参考にしていただきたいと思います。 

が、これまで全ての著作を読ませていただいてきて、今回も本書を読んで意を強くしたのは、「これはビジネス書だ!」ということでした。

このエントリーで紹介した本は、教師が生徒に対して発問する技術を伝えるもの。

みなさん実体験として記憶があると思うのですが、教師の発する言葉には良い方向にも悪い方向にも大きく作用する力がありますよね。

先生の何気ない一言で、やる気が出たり、その逆もあります。 

そんな先生方の生徒への言葉掛けの中で特に、授業中に生徒に向けられた発問は、上手く使えば生徒にやる気を出させ、授業に活気をもたらすものとなります。

本書はそのテクニックや具体的な発問が豊富に紹介されていますが、この発問する教師と発問されて何らかの作用を受ける生徒の関係って、そのままビジネスの現場の上司と部下の関係に置き換えることができると思うのです。


例えば本書では「年度末にしたい発問」というものが紹介されています。


年度末にしたい発問
(1)「1年前に戻れるとしたら、何をしますか?」
(2)「あなたがクラスのみんなのためにできることは何ですか?」
(3)「あなたを元気にしてくれる言葉は何ですか?」
(4)「自分が嫌だと思うキーワードは何ですか?」
(5)「あなたが『やればできるけどやらないだけ』と思っていることは何ですか?」
(6)「あなたが友達に怒りを感じるのは、どんなときてすか?」
(7)「あなたが目標を達成するために、何かを犠牲にしなくてはならないとしたら、それは何ですか?」


この発問って、上司(マネジャー)が部下との面談時にしている質問とかぶりますよね。

年度末や一つの大きな案件が終了した時、

前(企画スタート前) しますか?

といった総括をしていませんか?

あるいは、研修の場では、

なたがチームのみんなのためにできることは何ですか?」

といったテーマで話し合ったりしますよね。
 

部下や社員にやる気を出させる、職場に活気が出る、そんな発問のヒントが本書から得られると思うのです。


先生の一言と同様に、上司の一言もすごく重要です。 

僕が学生の頃、授業中一番嫌だったのは発問されて答えを間違ったり、答えられなかった時に、「そんなことも知らんのか!」といわれることでした。

これ、同じセリフを言ってる管理職の方大勢いるでしょ。

もちろん学生と社会人は違いますが、今は社員のメンタルヘルスケアも重要視される時代、Accept(受け入れる)ができることが、これからの管理職には必須です。

下手に頭ごなしに部下を叱るとすぐに「パワハラ」といわれてしまいますし。

部下を指導する上司、チームをまとめるマネジャーの皆さんに求められる資質はますます多様化していくことはまちがいありません。

ではどうあるべきか?

その答えを最後に紹介しましょう。

これも本書で紹介されていたものですが、教師のあり方を示した「教師は五者であれ」です。

「教師は五者であれ」
・学者:自分の専門分野に通じた「学者」たれ。
・医者:子どもたちの心や身体をケアできる「医者」であれ。
・役者:子どもたちの心を引きつけ、魅力的な授業ができる「役者」であれ。
・易者:子どもたちの個性を掴み、将来の適性を見抜き、進路指導に活かせる「易者」であれ。
・芸者:一芸は百芸に通じるといわれるように、教師自身が一芸に秀でた「芸者」であれ。

「教師」を「上司」に、「子どもたち」を「部下」と置き換えてみてください。

「うん、そのとおりだ!」と思いませんか?



プロの教師の方はもちろん、管理職の方にもぜひ参考にしていただきたい一冊です。




本書は著者の栗田正行先生からご恵贈いただきました。
ありがとうございました。


目次


はじめに
第1章発問の基本ルール「ASK」の法則
第2章発問を「クラス」で活かす
第3章発問を「授業」で活かす
おわりに



関連書籍


栗田正行先生の既刊本と当ブログでの紹介記事
















































編集後記:管理人のひとりごと


栗田先生の著作を読んでいるとすごく思うのは、学校って社会にでるための訓練の場だなということ。

上記したように「教師」と「生徒」を「上司」と「部下」に置き換えて読むと、本当にビジネスシーンにピタッとハマるんですよね。

よく「学校なんて役に立たない」なんていうことを偉そうに言っている人がいますが、学校って社会にでるためのトレーニングの場として優れた施設なんだと本書を読んであらためて思いました。

もっとも、いい先生や友達に恵まれるかどうかという「運」の部分は大きいのですが。






このブログをまた読みたいと思ったら登録を!→ follow us in feedly