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最先端の原点回帰!?【書評】カーマイン・ガロ(著)『アップル 驚異のエクスペリエンス』 日経BP社

おはようございます、どんなテーマパークよりアップルストアのほうがワクワクする一龍(@ichiryuu)です。

さて今日はカーマイン・ガロ氏の人気シリーズ最新作をご紹介。

「驚異の〜」シリーズ3冊目はアップルの顧客体験についてがテーマ。
快進撃を続けるアップルの強さの秘密は、イノベーティブな製品開発だけではないのです。

 

【目次】
はじめに 暮らしを豊かにする
第1部 社内の顧客を奮い立たせる
第2部 社外の顧客をもてなす
第3部 舞台を整える
まとめ アップルの魂
謝辞
訳者あとがき
解説
参考文献・動画など

【ポイント&レバレッジメモ】

★「暮らしを豊かにする」
 アップルの顧客体験には、おろそかにしていいことなどない。ひとつもないのだ。アップル・エクスペリエンスでは細かなことを大事にするし、アップルは、接客についてあらゆる側面から検討し、学んで磨きをかける。ただし、「紙は細部に宿る」といっても、はるかなる目標なしに革新的な顧客体験が実現することはない。エバンジェリストを惹きつけるビジョン、関係者から創造性を可能性を余すところなく引き出すビジョンがなければダメだ。スティーブ・ジョブズとロン・ジョンソンにはビジョンがあった———「暮らしを豊かにする」というビジョンが。

★頭がいい人より魅力的な人

 企業の採用担当者や人事部は知識を重視することが多い。採用候補者が業界や製品ラインなどについてどれほど詳しく知っているのかを見るわけだ。ところがアップルは、知識が10%、情熱が90%というような人材を平気で採用する。Macを買ったことがなかったのに、アップルの面接に申し込み、社員になった人も少なくない。アップルの場合、知識量よりも、他人の面倒をどこまで見る人物なのかが重視される。技術をどれほど知っていても、情熱がなく、無愛想で、製品のメリットを伝えるコミュニケーション力がない人物に営業を任せれば、顧客を失うことになるとわかっているからだ。
 「いや〜、さっきのはすごかった。早く家に帰って、自分でやりたいなぁ」
 こう思いながら、顧客が店舗を後にしてほしい———アップルはそう考えている。

★修復すべきは顧客とのつながりであってコンピュータではない

 保証は白黒がはっきりするように書かれているが、アップルの従業員にはグレーゾーンの判断をする権限が与えられている。会社にとって正しい判断、顧客との長期的関係にとって正しい判断をするよう、裁量が与えられているのだ。水たまりに落としてしまったiPhoneが持ち込まれたとき、ジーニアスバーの従業員はその顧客の履歴を確認し、交換すればその顧客がまたアップルを信頼してくれると思えば、そうするわけだ。ジーニアスバーの役割は、コンピューターの修復ではない。顧客とのつながりを修復することだ。「ジーニアスバーが修復するのはコンピューターだけではない。アップルと顧客との関係も修復できる」———アップルストアが開業して10年、アップルはそう学んだ。

★アップルが使うサービスの5ステップ

 アップルストアに入ると、すぐに、あたたかく親しげで快活な挨拶を受ける。顧客をあたたかく歓迎すること———ここからはじまる5ステップで、アップルストアの従業員は、忘れられないリッチな体験を顧客に提供する。この5ステップは、頭文字を取ってAPPLEと呼ばれている。
A(Approach) 顧客一人ひとりを、あたたかい挨拶で出迎える
P(Probe) 顧客のニーズを丁寧に聞き出して理解する
P(Present) 顧客に解決策を提示する
L(Listen) 課題や懸念などをしっかりと聞いて解決する
E(End) あたたかい別れの挨拶と次回の来店をうながす言葉で別れる

★ワントゥワンで人間関係をつくる

 ワントゥワンはアップルストアが提供する会員制プログラムで、アップル製品活用の手伝いをするためのものだ。<中略>
 ワントゥワンは、生涯の顧客を獲得するプログラムだ。その前提には、製品に詳しくなればなるほど製品を楽しむようになり、会社と長期的な関係を持つようになるはずという考え方がある。もちろん、製品が好きになるほど、会社との間で得た体験が好きになるほど、製品やサービスを周囲の人に薦めてくれる可能性も高くなる。
 アップルのトレーナーは、導き、教える訓練を受けているだけでなく、自分にあると考えもしなかったほどの創造性が発揮できるツールを顧客に渡し、顧客に力と元気を与える訓練も受けている。

★五感に訴える体験をデザインする

 ロン・ジョンソンとスティーブ・ジョブズは、単なる店舗以上の店舗をつくり、小売り体験一新した。アップルにとって、これは、買う前に製品を使ってみる自由を顧客に与えること、買い物の楽しさを取り戻してもらうことを意味した。「顧客エンゲージメント」を口先だけでなくすことを意味した。売るより、オーナーシップの実感を重視することを意味した。アップルストア10周年を記念してつくられたマーケティング資料には、次のように書かれている。
 「我々がタイソンズコーナーに店舗をオープンした2001年頃、他社は、顧客への語りかけを減らそうとやっきになっていた。だから我々は、逆にもっと語りかけるべきではないかとは考えた。できれば顔を突きあわせて」
 アップルは、店舗を想像力の源泉にできるし、そうすべきだと考えた。その中核となるのが、五感に訴える体験だ。

【感想など】

本書はベストセラーとなったカーマイン・ガロ氏の人気シリーズの最新作。

1冊目はスティーブ・ジョブズのプレゼンを解説した

この本。

2冊目はジョブズの製品開発について秘密を解き明かした

この本。

しかし、この2冊でアップルの魅力、なぜこれほど支持されるのかを伝えきれないのがアップルのすごさだと思います。

シリーズ3冊目は顧客体験がテーマ。

アップルの魅力は製品だけではありません。

アップルはすべての顧客体験をコントロールする、すべての顧客体験に責任を持つということに心血を注ぐ企業ですが、それはなにもMacやiPhoneを使っている時だけのことではないのです。

よくアップルファンは新製品を買うと”開封の儀”なるものを行いますよね。
それは箱を開ける瞬間、製品との出会いも演出しているアップルならではのこと。

これもアップルがコントロールし、責任を持つ顧客体験のひとつです。

が、顧客体験は製品を箱から出すところからではありません。

最初の出会い、最初の顧客体験はアップルストアでの体験なのです。

その魅力を探り、伝えなければアップルのすべてを語ったことにならないと考えた著者により書かれたのが本書ということで、本書ではアップルストアでの顧客体験の事例と、同じように顧客体験を大切にしている会社の事例を豊富に収録。

なるほど、そういう姿勢、そういうビジョンを持ってお客に接しているのかと驚かさる事例が満載です。

なぜ、ノートパソコンは90度に開かれているのか、なぜスタッフは青いユニフォームなのか、などなどアップルファンを自任しておきながら知らなかったです。

そんなアップルストアの顧客を信者に変えてしまう様々な手法を、これでもかと掲載している本書ですが、ワタクシ個人的には水を差すようですが、読みすすめながら「ちょっと褒め過ぎでは?」とも感じておりました。

というのも、アップルストアでは

「来店から10秒以内、10フィート(約3メートル)以内にあいさつをする」

というルールがあります。

ところが、ワタクシ今まで一度も挨拶されたことがない。
東京の銀座店でも大阪の心斎橋店でも、今まで何度も通っているにもかかわらずですよ。

日本のアップルストアは本書に登場するアメリカのアップルストアよりクールなのか?、それとも単にワタクシの来店タイミングが悪かったのか?

その真相はわかりませんが、それでもワタクシにとってアップルストアは夢のような場所だし、ディズニーランドよりもワクワクするところです。

さて、そんなちょっと寂しい体験をしているワタクシですので、アップルストアを賛辞しまくっている本書をできるだけ冷静に、あるいは斜に構えて(?)読ませていただきました。

それで、ワタクシはアップルストアってある店に似ていることに気がつきました。

そのある店というのは、ちょっと都会の人にはわからないかもしれませんが、田舎には昔から食料品から生活雑貨、さらには灯油にいたるまで、何でも売っている個人経営のお店がありますが、まさにそれなのです。

よろず屋と言ったらいいのかな。

スーパーのように安くもなく、品揃えもよくありません。
でも、スーパーにはない魅力がそこにはあります。

それはコミュニケーション。

なぜかワタクシの同級生にはこういう田舎のよろず屋の息子や娘が3人おりまして、遊びにいくといろいろな光景が見れるのです。

近所のおばあちゃんや主婦がちょこっと買い物にきては、店主と色々やりとりをして帰っていきます。
なかにはお茶を飲みにだけくる人もいたりします。

商売気はあまりなく、まさしく

「アップルは財布ではなく心に手を伸ばす」(ロン・ジョンソン)

を実践し、長期的な人間関係を築いて地域になくてはならないお店として繁盛しています。

結局アップルストアの戦略というのは、革新的でも何でもなく、小売業の原点に回帰したということではないかと本書を読みながら思ってしまいました。

アップルのような最先端のテクノロジー企業は、ともすると製品の性能で他社と差別化し、それをウリにして顧客に押し付けてしまいがちですよね。

もちろんアップルにもそういうところはありますし、なくてはならないと思います。

でもアップルのすごいところは、それよりもまず顧客との人間関係を築くことに全力を注ぐところではないでしょうか。

最先端の技術、スタイリッシュな製品を世に送り出す会社が、実は商売の基本、小売業の原点を自分たちの強みを加味してアレンジして実践している。

なにか意外でおもしろい気がしますが、なにがお客様を感動させるのか。
アップルは真摯にその一点を追求しているのですね。

本書からはその事例がたくさん読み取れます。

ものの売れない時代に結果を残すのヒントは、結局商売の原点にある。
それを気づかせてくれる本です。

本書は日経BP社、東城様より献本していただきました。
ありがとうございました。

【関連書籍】

本書内で紹介引用されている本。

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