自分勝手な伝え方になっている方に【書評】栗田 正行(著)『わかる「板書」 伝わる「話し方」』 東洋館出版社

おはようございます、授業中はよく”内職”していた一龍(@ichiryuu)です。

さて今日は、ワタクシのブロガー仲間であり、高校の現役教師でもある栗田正行先生の新刊をご紹介。

テーマは本書のタイトル通り!わかる板書、伝わる話し方、そう、栗田先生が本業で培った授業のノウハウを紹介してくれた一冊。

これがビジネスパーソンにも応用できる伝える技術が満載なのです。

 

 

 

 

栗田 正行(著)『わかる「板書」 伝わる「話し方」』:読書メモ

 

 

 

◇フレームワークを見せる

 その授業で教えたし・学習してほしい内容をあなた自身の手で子ども力理解しやすい形にまとめていくのです。これはある意味、「子どものノートの見本を考えていく」とも言えるかもしれません。<中略>
「このように書くと考えやすい、学習しやすい」というお手本を子どもに提示することが板書の一つの目的となります。

 

◇明瞭の効果

 授業では板書するのが当たり前と思っているかもしれませんが、授業参加者の認識を揃えることが板書の目的の一つです。そしてこれが明瞭の効果です。
 言い換えれば、ただ書いているだけでは意味がなく、誰が見ても明らかにわかるようにする必要があるということです。多くの言葉を使わずとも、わかりやすく書くことが求められるのです。

 

◇保留の効果の応用

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 ここでもう一つ、保留の効果を活用した裏技を紹介しましょう。それは板書を消すことなく、子どもの目の前から一瞬で消してしまう方法です。どうやるのかというと、説明や解法などを書き終わった後に、合図とともに大きな模造紙で黒板を隠してしまうのです。そして、子どもたちに同じやり方や考え方を自分のノートに復元してもらいます。
 これは問題を解く復習の方法として非常に有効です。なぜなら、子どもたちが考え終わった後、模造紙をとれば答え合わせがすぐにできるからです。特に、算数や数学、理科などの問題を解くときに抜群の効果を発揮します。

 

◇「消し消し復習問題」

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 授業後半になると、板書した情報量も多くなってくるうえに、子どもたちの集中力も途切れがちになってきます。
 そこでおすすめするのが「消し消し復習問題」です。その名の通り、板書した内容を授業で説明した流れに沿って少しずつ消し、子どもたちと一緒に重要な項目やキーワードなどを確認していくのです。授業で特に大切な部分や理解が足りない部分では、子どもたちに発問やヒントを出したり、うまくコミュニケーションをとったりしながら消していくのがポイントです。

★板書の基本スキル「CHALK」の法則より抜粋

 

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 私なりに考えた板書の五つの法則を、黒板を書くときに使うチョークになぞらえて「CHALK」の法則」という形でまとめてみました。
1.Color(色)
2.Headline(見出し)
3.Account(説明する)
4.Look back(振り返って見る)
5.Kindness(親切心・優しさ)

 

◇Headline(見出し) 子どもの心に「見出し」という名のフックをかける!

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 誰がいつ、どこから見ても、「今、授業ではこの内容について学習している」ということを明確にするには、教科書やテキストのページや単元などのタイトル、つまり見出しを書くことが重要だということです。<中略>私力考える「見出し」としては、次の三種類があります。
1.ヘッダー・・・学習内容・学習している箇所を提示する役割をもつもの
2.チェックポイント・・・学習内容の重要度を表すもの
3.プラスポイント・・・学習内容の理解を補填するもの

 

◇Account(説明する) 授業での「説明」には、授業内容以外にもう一つある!

 ここで話題にするのは、板書そのものについての「説明」です。これは学校の種類や学年に関係なく、効果的で即実践できる内容です。ここで根本となる考え方は、授業を受ける側の子どもに対する気づかいです。
具体的には、次の三つが主なものです。
1.チョークやホワイトボードマーカーの色使い
 「チョークの黄色が一番目立つ色だから、一番重要な部分で使うよ」
2.板書におけるスペースの取り方(空白)
 「後で書き加えることがあるから、ここを二行ほど空けておいて!」
3.ノートへの写し方
「後からいろいろと書き込むので、図は大きめに描こう」
「ここはノートを二分割して、左に計算過程、右にポイントを書きます」
「あとでプリント貼るページを一べージ空けておこう」

■話し方スキル編

 

★話す前におさえておくべき2つのこと

1自分の表情を意識する
 ・人の印象は最初の五秒で決まる
 ・大切なのは使い分け
 ・ES(Everytime Smile)で相手と自分に魔法をかける

2こどもを理解して信頼関係を深める
 ・子どもの一顔と名前」を覚える
 ・すべては「理解する」ことから始める
 ・「信頼関係」を深めるKSF(Key Success Factor)がある

 

★話し方の極意(抜粋)

 

◇声の高低を使い分ける

・高し声→声の通りがよく、相手に高揚感をもたらす
・低い声→重厚さが増し、説得力が増す

 

◇話しの途中に「間」をあける

「子どもたちに考えさせたい」「ここをしっかり記憶に残したい」という、ここぞという場面では、流暢に話すよりもあえて「間」をあけることは非常に有効な手法なのです。その理由は、次の二つです。
・「間」をあけることで、「次に何を話すのか」を聞き手に考えさせる時間をつくる
・次の発言に対する期待感をもたせる

◇「話さないこと」を決める
 この話す内容の取捨選択は、結果的に話す内容を濃くします。そして子どもたちの心に強い印象を残す話し方ができるようになるのです。無駄なことをそぎ落とし、内容を精選するわけですから当然ですね。

 

◇聞き手全員には「伝わらない」

よくあるパターンとして、自分の話をしっかり聞いてくれない(もちろん、聞いてくれるよう努める必要はあるのですが)子どもたちを見て、自信をなくしてしまうのです。
 このような場合、話し手がとる方法は一つです。それは、聞き手全員には伝わらないこともあると覚悟を決め、うなずいたり、目を輝かせて話を聞いてくれたりする、二割の熱心な子どもたちに話すつもりで話すのです。ここでのポイントは、その子たちだけに向けて話すのではなく、あくまで子どもたち全員が熱心に話を聞いてくれていると思って話すということです。そのほうが自分も話しやすいですし、何より自分自身が余裕をもって話せるようになります。

 

栗田 正行(著)『わかる「板書」 伝わる「話し方」』:感想

 

★これは「伝える」本

以前、当ブログで紹介した

の著者、栗田正行さんは現役の高校の数学の先生。

前著はイクメン本でしたが、ワタクシとはまったく違って、細やかな心遣いができる人だなというのが印象でした。

その著者が、今度は本業の教師としての授業スキルを、板書と話し方にテーマを絞り込んで公開してくれたのが本書です。

当ブログではビジネス書の紹介がメインで、本書はちょっと系統が違うのですが、「伝える」ことのノウハウがメインテーマとして書かれていますので、コミュニケーション本、プレゼン本としても有用かと思い、紹介することにしました。

◆若い先生方へ

とはいえ、まず本書を読んでほしいのは、何と言っても若い先生方。

予備校や塾に通ったことがある人は、予備校や塾の先生の授業の上手さに気がついた経験があると思います。

授業以外の雑務や土日も部活漬けの学校の先生と、塾や予備校の授業だけをしている先生たちを単純に比較するのは申し訳ないのですが、授業力にははっきりと差があると思います。

ワタクシも特に高校と大学では何人もの授業の下手な先生に悩まされました。

説明が何を言っているのかわからない、板書の字が汚くて読めない、しかも板書の前に立って話すので見えない。

そういう先生のおかげで、自ら調べ考える学習習慣が身につきました(笑)。

その一方、大手予備校の冬期講習に行った時は本当に感動したのを覚えています。

先生の授業のすすめ方、説明の仕方、授業内容の精選とテキストの完成度の高さ。

「都会の奴らはこんな質の高い授業を受けることができるのか」と不公平感すら持ってしまいました(今ならサテライト授業がありますが)。

なぜ、予備校や塾の先生の授業は質が高いのか。

 少しだけ私自身の話をしますと.私は一時期、学習塾の社員として勤めていた時期があります。当時の私の職場では、毎週それぞれの地域の社員が一同に集まり、社員の前で授業のロールプレイを行うという研修会が行われていました。授業後には、社員同士でお互いに評価し合うのです。塾では授業力=商品力になるわけですから、商品である授業の質を向上させることは当然のことです。

という著者の一文にその理由が現れています。
常に研鑽しているのですよ。

で、一方学校の先生は?
研究授業とかあるでしょうが、毎週などという頻度では自分の授業の振り返りなんてしていないでしょう。

特に若い先生は、部活や授業以外の生徒の指導に時間を取られて研鑽どころではなく、目の前の授業をこなすので精一杯ではないでしょうか。

だからこそ本書のすぐに役立つノウハウを活用してほしい。

例えば具体的な板書構成案など

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非常に役立つのではないでしょうか?

ぜひ、自己研鑽のテキストとして読んでいただきたいです。

◆ビジネスパーソンにも!

さて、ビジネスパーソンにも本書はおすすめです。

ビジネスパーソンの頭を悩ませる課題の一つがプレゼンテーションではないでしょうか。

考えても見てください、学校の先生って毎時間生徒にプレゼンしてるんですよ。
先述したようにダメ授業の先生もいましたが、めちゃくちゃ授業の上手い先生もいませんでしたか?

ワタクシにとっては、高校生の時に政経の授業をしていただいた某先生の授業は本当にすごかった。

1時間、腹筋がつるほど笑わせてくれる楽しい授業でしたが、板書を2回通りびっしり書くほどの濃い内容の授業でした。

生徒にとっては、大爆笑しつつ、ノートも必死でとらないと付いていけないハードなものでしたが、本当に楽しくて毎回1時間があっという間に終わってしまうのです。

で、本書を読みながらその先生のことを思い出していたのですが、この一文

「きれいな板書は.それたけで子どもに緊張感を与える」

と出会った瞬間、「そういえばあの先生の板書って綺麗だったなぁ」と思い出しました。

プレゼンにおいてはパワポなどのプレゼンテーションツールを使用する方がほとんどだと思いますが、そのスライドの見せ方は本書の「板書」についての記述が役に立つでしょう。

さらに説明に関しても、本書は示唆に富みます。

「CHALKの法則」に、Kindness の項目があります。
ヘッダー、チェックポイント、プラスポイントは効果的に使われていますか?

または、プレゼンを聞く側に対する親切心・優しさはプレゼン中にしっかり意識されているでしょうか?

分かりにくいスライド内容で、聞く側の理解度を考えず、自分勝手に進めていませんか?

もし心当たりがあるのでしたら、本書はよくあるプレゼン本とは少し違った角度からアドバイスをもらえる本だと思います。

ビジネスパーソンのあなたもぜひプレゼンのプロフェッショナルである”先生”から学んでみてください。

本書は著者の栗田先生から手渡し献本していただきました。
ありがとうございました。

 

【目次】
はじめに
第1章[板書のスキル]編 わかる「板書」は、CHALKの法則がカギ!
第2章[話し方のスキル」編 伝わる「話し方」は、子ども向けお話会・大人向けセミナー講師に学ぼう!
おわりに

 

 

 

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