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普通でも大丈夫!【書評】村木 厚子(著)『あきらめない  働くあなたに贈る真実のメッセージ』( 日経BP社)

新年1冊目の紹介はこの本から。
就活生は冬休み中に、社会人は仕事始めまでに読んでもらいたい1冊です!

 

【目次】

はじめに
私の履歴書
第1章 「あきらめない」の原点
第2章 仕事の軸が見えてきた
第3章 逮捕、拘留を支えたものは
第4章 釈放・復職、そして今後のこと
おわりに
[巻末資料]勾留生活164日間を支えた149冊 全リスト

【ポイント&レバレッジメモ】
★どんな仕事も面白い

 どんな仕事でも、やればある程度は上達するし、面白い。「面白い仕事」があるというより、何をやってもけっこう面白いことを経験的に知っていたので、就職の時も仕事の内容をあまり深く考えなかったのかもしれません。
 結局、仕事に対するイメージはイメージでしかなく、外から見ても実際はよくわからない。「やってみないと分からない」というのが本当のところだという気がします。

★自分さがしは「分からないの2乗」

 「自分にあった仕事」を探すことはもちろん大切ですが、結局仕事なんてやってみないと分かりません。自分のこともまだよく分からないときに、分からない仕事のことを考えても、「分からないの2乗」になって答えはより遠くなるし、そこで「どうしよう」とうろうろしても仕方がないと思うんです。<中略>
 どんな仕事が向いているか、この仕事でうまくやって行けるかどうかというのは、就職するときに決まるのではなく、それから先、自分がどう動くか、誰と出会うかという中で決まってくるように思います。<中略>
 自分さがしもいいけれど、頭の中で悶々と考えているだけでは答えにはたどり着けません。最後はやってみるしかないのです。しかも、本気でやってみる。それが、自分を発見する切り口になると思います。

★仕事の最終形を見る

 仕事は、製品=最終形がどういうものでどう使われているのかを見ると、理解が深まります。今、自分が携わっている仕事の「現場」を見せてもらったおかげで、日々やっている業務に対しての理解が急激に楽になったのだと思います。若いうちはパーツしか見られない仕事が多いのですが、そこばかりを一生懸命見ても理解は深まらない。作ったものがどう使われているかを知ること、つまり現場を知ることは、仕事を知ること。

★個人の仕事の射程距離

 教授は、「個人の仕事の射程距離」を説明するために、黒板に、横軸にジャンルが違うAからEまでの仕事、縦軸にその仕事に携わった年数を入れた図を書きました。そして、「一人に人間が、Aに1年、Bに1年、Cに1年、Dに2年、Eに5年携わったとき、その人の仕事の射程圏内は、AからEの仕事を5年携わったのと同じだけの大きさがある」というのです。つまり、どれか一つだけでも深く携われるものがあれば、その人の仕事のキャパシティーはぐんと増す、仕事は広く浅くでよいのだ、と。<中略>
 一つの仕事を極めることも大事ですが、それと同じくらい、違う経験をすることも大事なのだと思います。毛嫌いせずに与えられた仕事に一つ一つ取り組んで行くことで、仕事の射程圏内はどんどん広がる。だから、「異動」を命じられたら受けた方がいいと私は思います。仕事が変わることは怖いことではありません。それはむしろ、自分の財産になるのです。

★やりがいのある仕事の方が長続きする

 使途ごとと過程のバランスをとりたいから楽な仕事を選ぶという考えに、諸手を挙げては賛成できません。特に、「将来結婚や出産もあるから厳しい仕事は避けておこう」という”先回り”は、とりわけおすすめできません。なぜなら、厳しくても自分がやりたいと思える仕事、頑張りたいと思える仕事の方が結局長続きするからです。そしてそれは、自分にも企業にもいい効果をもたらしてくれるように思います。<中略>

 やりたい仕事、やりがいがある仕事だからこそ、工夫もするし、頑張れる。頑張れるから、実績も残せる。そんな役に立つ人材は会社も手放したくないから、待遇を考えてくれる。自分の能力や頑張りを発揮できる形を作っておいた方が、労働条件を交渉するときにもお得だと思います。逆に、楽な仕事、誰でも取り替えが聞く仕事を選んでしまうと、よけいに自分の足場を弱くする気がします。

★階段を1段上がれば見える景色は変わる

 地震がない、できないと思っても、やってみたからこそ「今なら立派な係長になれる」と思える私になれた。力不足だなと思っても、少し背伸びをした難しい仕事をやってみると、その前の仕事を楽にできる自分に必ずなっているのだと思います。だから、迷ったときは、「やってみる」ほうを選ぶ。そうすると、少なくとも前の仕事であっぷあっぷしていた自分よりは必ず成長しているのですよね。
 だからこそ、「昇進は尻込みしないでほしい」ということを、働く女性に強く伝えたいのです。
 「階段を1段上がると、見える景色が変わる」
 一つずつ役職が上がって行く中で気づいたことです。

★情報を上げてもらえる上司になる

 よく「俺は聞いてないぞ」という上司がいます。私も時々思わず、そう言いたくなるときがあります。でも言いません。それはとてもみっともないことだと思っているからです。「聞かされないくらいの信頼しか得ていないのね」ということですから。「俺は聞いていない」ではなく、上司にとって重要なのは、「いかに部下に情報を上げてもらえる人間になるか」だと思います。

★人生は何があっても面白い

 ビックリするようなことに遭遇しましたが、仕事をする、家庭を持つことも含めて、何があっても人生は面白いと私は思っています。今回の事件も、今となっては面白い体験をしたのだなと思います。そして、うれしいこともつらいことも、起こることはすべて無駄ではない。今回の事件を私が乗り越えられたのは、仕事で苦労したこと、失敗したことが全部生きたから。大変なめに遭えば遭うほど、その苦労や失敗は必ず後から役に立つ。「若いときの苦労は買ってでもしろ」というのは、本当にそうだなと思います。

【感想など】
村木厚子さんと言われて、「えっ、誰?」と思った方も、帯の写真を見たら「あぁ、あの人!」と分かると思います。

まだ記憶に新しい2009年の「郵便不正事件」で、偽の証明書を発行した疑いで逮捕されたものの、後に検察のストリーにあわせて大阪地検特捜部の検事が証拠となるフロッピーディスクのデータを改ざんしていたことが判明。

民主主義、法治主義の根底を揺るがす前代未聞の事件に発展したこの事件は、かなり衝撃的でした。

そのでっち上げられた無実の罪で逮捕・勾留された著者の本で、しかもタイトルが『あきらめない』とあったため、最初はてっきり拘留中の手記かと思ったのですが、いい意味で期待を裏切られる本の内容。

本書では後半が逮捕・勾留から職場復帰までのストーリーにあてられており、もちろんここも読み応えがあります。

拘置場での生活は我々が普段知ることのできないものですし(基本的に経験したくない)、検察の取り調べと調書作成のくだりは、大変な思いをされた著者には失礼だが文句なしに面白い。

著者の心の葛藤、家族や仲間の支え、検察との戦い・・・、ついついドラマを見るような感じで感情移入し、ワタクシも読みながら検察の取り調べには怒りにふるえ、二人の娘さんが時間差で泣くシーンにはウルウルしてしまいながら読ませていただきました。

が、本書はその非日常のシーンも著者しか経験していないものとして大切なのですが、ワタクシとしては前半の働く女性の日常の姿をぜひ読んでいただきたい。

むしろ前半の方が、つまり著者の仕事で得た経験や仕事観の方が本書の存在価値があるとさえ思うのです。

まず知ってほしいのは著者の仕事観。

つい先月就活解禁となりましたので、今回の【ポイント&レバレッジメモ】では、男女を問わずこれから厳しい就活戦線に繰り出す人たちに読んでほしいところを抜き出してみました。

これが珠玉。

就活学生さんは、”自分のやりたいことを職業にしたい”という思いをお持ちでしょう。

しかし現実は、長く続く不景気で職種を選んでいては就職できないという自分ではどうしようもない現状があり、そしてさらに、本当に自分がしたいこと、向いていることが分からないという就活生も多いのではないでしょうか。

そういう皆さんに著者からのメッセージは「とにかくやってみること」、それも「一生懸命に」

これにはワタクシも大賛成です。

適性というのは、仕事の中でお題を与えられて、磨かれ、そして発見されるものだと思います。
ある程度、周りに流されることで、周りの人に発見されるものなのです。

バックパッカーとなって世界中を”自分探し”をするために旅して回るより、意に添わない就職でもとりあえず1年仕事をしてみることの方が得るものは大きいと思いますよ。

とにかくチャレンジ!

そしてこれはぜひ本書で読んでもらいたく、抜き書きしなかったのですyが、それは著者の女性労働者としての姿。

著者は厚生労働省のキャリア官僚です。
ワタクシは官庁という職場がどんなものなのか直接は知りませんが、とんでもないハードワークであることはよく聞きます。

まずこのハードワークぶりには驚愕です。
なんと残業200時間。

いくら土曜日も勤務していた時代とはいえ、これはもう過労死寸前の領域。

そんな労働環境の中、夫や保育ママさんの援助うけながらの子育てについての記述は凄まじい。
特に島根への”子供連れ赴任”の章は、帯の柔和なお顔からは想像もつかない「一生働く」という強い信念が感じられ圧倒されました。

ついでながら、これほどの猛烈な働き方をされてきた著者が担当していたのが労働時間短縮とか週休2日制実現だったのですから、その恩恵にあずかっている私たちは大感謝ですね。

なにかというと自分たちの無能さを棚に上げ、批判をかわすために、政治家によって諸悪の根源みたいな扱いをされている中央官僚ですが、この人たちの地道な活動によって日本は良くなっている部分も沢山あるんだと認めてあげるべきだと思います。

そのいい例が、著者が初めて登庁した日に上司に言われた
「大変申し訳ないのですが、あなたにお茶汲みをしてもらうことになりました」
の言葉。

当時(今もそうかもしれませんが)の官庁は基本的に男性の職場。
民間企業だってそうでした。

それが今や職場の若い娘に「お茶入れて」なんて言ったら大問題ですから(ワタクシはお茶汲みしたことはあってもされたことはない)、隔世の感があります。

その背景には著者自らおっしゃっていた
「普通の女性のロールモデルになろう」
という気概で働く多くの女性の努力の継続があったんです。

あきらめないこと、継続すること、とりあえずやってみること。
就活生も、職場に悩みを抱える社会人にも示唆に富む著者のメッセージをぜひ読んでいただきたい。

仕事への思いを新たにし、1年のスタートを切りましょう!

本書は日経BP社の東城様より献本していただきました。
ありがとうございました。

【関連書籍】
本書巻末に 勾留生活164日間を支えた149冊 全リスト が掲載されています。
そのなかから何冊かご紹介。

まずは本文中でも紹介されている2冊。

 

山菜をとりにいって、山ンばに出会ったあや。やさしいことをすると美しい花がひとつ咲くという花さき山の感動のものがたり。

 

「一日を一生のように生きよ、明日はまた新しい人生」。現代の生き仏と称される酒井雄哉・大阿闍梨の慈雨の言葉集。生々流転を経て、比叡山・千日回峰行を二度満行、いまだ歩き続ける。なぜ生きるのか。いかに生くべきか。人生に迷うすべての人に。

そしてこの2冊は拘留中に読みたくなるでしょうね。

 

ライブドアの代表取締役CEO就任後、株式上場、ニッポン放送株買収、衆議院選出馬。突然の東京地検による家宅捜索と強制捜査、証券取引法違反容疑での逮捕・勾留・取調べ、独房の日々…。保釈、徹底抗戦への決意、上告へ。これら一連の“ホリエモン旋風”と“ライブドア”事件とは、なんだったのか。生意気、拝金主義者とレッテルをはられた青年が、真っ直ぐに語るすべての真相。和解後を緊急加筆。

個人的には拘留中にこの本が読めるというのは意外でした。わりと制限ないんですね。

 

心理学者、強制収容所を体験する―飾りのないこの原題から、永遠のロングセラーは生まれた。“人間とは何か”を描いた静かな書を、新訳・新編集でおくる。

言わずとしれた名作ですが、独房で読むこの本はかなり心に迫るものと思われます。

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