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社員こそ宝【書評】坂本 光司(著)『日本でいちばん大切にしたい会社3』( あさ出版)

もはやおなじみのシリーズ。
昨今の長引く不況の影響で、どこも世知辛い話ばっかりですが、真の会社経営、真の資本主義とはなにかという答えをくれる一冊。

ハンカチの用意をしてからお読みください。

 

【目次】
はじめに
プロローグ 心を打たれた三通のメール
大切にしたい会社1 高齢者の方々の無数の「ありがとう」をいただく奇跡の靴メーカー 徳武産業株式会社(香川県さぬき市)
大切にしたい会社2 理想を求めて「幸せを乗せる」タクシー会社をつくりあげる 中央タクシー株式会社(長野県長野市)
大切にしたい会社3 MEBOで親会社から完全独立。会社の理念は「すべては社員のために」 株式会社日本レーザー(東京都新宿区)
大切にしたい会社4 精神障害者の方々と働く場との「つながり」をつくる 株式会社ラグーナ出版(鹿児島県鹿児島市)
大切にしたい会社5 障害者の雇用に力を注ぐ、日本で一番大きなはんこ屋さん 株式会社大谷(新潟県新潟市)
大切にしたい会社6 社員、地域、お客さまに優しい会社は不況下でも高成長 島根電工株式会社(島根県松江市)
大切にしたい会社7 東日本大震災――ご遺体の仮埋葬・掘り起こしで人間の尊厳を守り抜いた葬儀社 株式会社清月記(宮城県仙台市)

【ポイント&レバレッジメモ】

★徳武産業株式会社(香川県さぬき市)十河社長

 私はよく、相談に来た下請け企業の社長さんに「『徳』のない会社とはつきあわないほうがいい。いつの日か捨ててしまいなさい」とアドバイスします。下請け企業の経営者や社員、さらにはその家族の幸福を念じない企業とつきあっても、得ることなどひとつもないからです。
 私は下請け経営というのは永遠の企業形態ではなく、自立型経営、独自企業になるまでの我慢の期間、勉強の期間だと思っています。

 私はよく、「経営者の使命のひとつである『決断』をする場合、そのことが正しいか正しくないか、自然か不自然かを軸にしなさい」と言っています。
 それは”偽りの経営”はやがてつじつまが合わなくなり、必ず滅びますが、”正しい経営”は決して滅びないからです。

★中央タクシー株式会社(長野県長野市)宇都宮社長

 「私は社員に、『タクシーの仕事というのは、お客さまの人生に触れる仕事だ』と言っています。『たかがタクシー、なんて考え方のヤツは出て行け』と言うわけです。
 障害のあるお客さまが、ときに障害があるがゆえに、生きる力がなえるときもあると思います。そのときに中央タクシーに乗って、運転手の働いている姿や接遇、人柄に触れたときに、生きていくための力を得ることができるとおっしゃってくれている・・・。
 このお客さまに、生きるための力を私たちは与えている、つまり、この障害のあるお客さまの人生に触れているんだと。私たちは、このおばあちゃんのしあわせをつくっているのです。こんな素晴らしい仕事はないでしょう」

★株式会社日本レーザー(東京都新宿区)近藤社長

 「子会社でやっている限り、私の目指す理念も、組織作りも残念ながらできません。世のため人のために貢献しようとしても、親会社の利益が最優先になるからです。私は会社をつくる最大の目的、唯一の目的は、親会社の利益ではなく、『雇用すること』につきると考えているのです」

「会社は誰のものか?―――(日本レーザー)では、その答えは明白です。それは社員のものであり、お客様のものでもあります。
 私は社長として、まず社員が満足できる企業を目指して経営しています。それが結果的に、お客様のご満足につなげると信じているからです。どうか当社の社員の成長に繋がるような厳しいご注文やご意見をお願い致します。
 社員の成長が企業の成長であると確信しているからです。」 (HP「夢と志の経営」)

★株式会社大谷(新潟県新潟市)大谷社長

 「私は生かされた命だと思っています。生かされたのなら、生かされたように私のやるべき役割があるのではないか?障害者の雇用はもとより、生活支援のための施設をつくりたいと言うことはずっと昔から考えていましたが、それはもう、夢を叶えるというよりも、私の使命だと思っています」

 大谷さんの経営哲学は、「経営者の最大の仕事は”お客さまと社員の不満を満足に変える”ことと、人間として豊かに成長できる教育を行うこと」です。

★島根電工株式会社(島根県松江市)陶山会長、荒木社長

 「リストラはどんなことがあってもやりません。子どもを殺して親がラクする家がどこにあるんだ、ということで、前の経営者にも『リストラしろ』と言われましたが、われわれ二人で『しません』と。
 『あんたが今言われてることは、家が苦しくなったから子どもを売ったり女房を売ったりして自分だけご飯を食べようと言うことじゃないですか』と。体を張って上司に抵抗しました。まあ、若かったせいもありますが、その考えは今も変わりません」

 陶山さんは、社内で行われる管理者研修で、係長や課長に「一人部下を持ったら一人の人生を扱っていると思え。そんな幸せがあるかい?10人持ったら10人の部下の家族と人生を自分が預かっている。男として、そんな幸せなことはないじゃないか」と話しています。

★株式会社清月記(宮城県仙台市) 菅原社長

 「私どもに『洋服を仕立ててくれ』『車を買いたい』と、無理を言ってくる人は誰もいません。葬儀の仕事ですから。
 だからこそ、『ニューヨークに花を届けてくれますか?』という要望があったら、即座に、『かしこまりました』と言える会社でなければいけないと思うのです。『いやぁ、ニューヨークはちょっとむずかしいですね』と言うのは、この仕事に自分で線引きをし、これ以上の会社はつくらないと意思表示をしたにも等しいことです。
 私どもが絶対に『ノー』と言わないというのは、自分たちが成長するためでもあるのです」

【感想など】
本書は、『日本でいちばん大切にしたい会社』シリーズ最新作です。

このシリーズに関しては、累計55万部を突破した大ベストセラーシリーズなので、今更ワタクシがどうこう解説するまでもないでしょう。

どの会社のストーリーも涙なくては読むことができないほど感動します。
(ワタクシは本書を、あるショッピングモールのファーストフードコーナーで読んでいて、涙が止まらなくなり、急いで撤収という事態になりました・・・)

さて、今回【ポイント&レバレッジメモ】では、本書に登場する社長さんの印象的な言葉を抜き書きさせていただきました。

というのも、あまりにも感動的な”いい話”の連続なので読み手はついついその感動に浸ってしまうのですが、本書の本来の目的はビジネス書として経営者に広く読んでいただき、世の中を真の資本主義に変革させていってもらうことにあると思うからです。

「資本主義の終焉」という言葉は、当ブログで紹介する本にもよく出てきます。
また、ワタクシたちも、これまでの資本主義や経済活動の価値観ががらりと変わっている変革期であることを実感していると思うのです。

しかし、どう変わるべきかという方向性が今ひとつハッキリしない。

それに対する答えが本書には凝縮されていると思うのです。

本書の著者、坂本光司先生は「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞を創設されましたが、その判断基準を

「企業経営とは、業績を高める活動でも、成長発展させるための活動でも、業界一位になるための活動でもない。企業にかかわりのあるすべての人々、とりわけ5人の人々の幸福を実現するための活動である」

とし、その5人の人を

「社員とその家族」「社外社員とその家族」「顧客」「障がい者や高齢者等地域住民」「出資者・支援者」

の順番に大切としました。

そう、まず大切にされるべきは「社員とその家族」、そして「顧客」であり、「出資者・支援者」は一番最後。

この考え方は、これまでの資本主義、特にアメリカ形の価値観から言えば全く逆となります。

よく、昔から議論されるお題に、「会社は誰のものか?」という問いがあります。

株式会社の原理から言えば、「株主のもの」という答えが正解でしょうし、中学校の教科書にもそう書かれています。
なんと高校入試でそう答えないと間違いになるという・・・。

お分かりだと思いますが、この考え方は“お金”を中心に会社というものを考えています。
会社が企業活動をするための資金を誰が出したかという視点です。

この考えでいくと、一番偉いのは株主・投資家となり、経営の目的は株主・投資家の利益を最大にすることとなり、株主・投資家の利益を減らすものはすべてコストとなります。

つまり、世の中で一番素晴らしく経営が優れている会社は株主配当の多い会社であり、そのために徹底したコスト削減を行っている会社ということになります。

そして、最大のコストはと言うと、人件費、お給料なんですよね。

この、「会社は株主のもの」という考えの行き着くところは、結局のところ、そこで働く社員を工作マシーンと同じように考える企業となってしまいます。

だから、できるだけ低賃金で働かせようとするし、ちょっと景気が悪くなるとすぐにリストラする。

さてここで考えてください、あなたはこういう会社で働きたいですか?
あるいは、あなたのお子さんを就職させたいですか?
こういう会社の商品を買いたいですか?
こういう会社が本当にお客さまのことを第一に考えたサービスを提供できると思いますか?

こう考えると、本書シリーズで紹介されている企業の多くが好収益だという理由が見えてくると思います。

今は21世紀型の新しい資本主義へと変換する過渡期であると思いますが、どのような経営に転換していくべきか、答えはこのシリーズにあるんじゃないでしょうか。

「人件費はコストではない。企業経営の目的そのものだ」

社員に高い給料を払ってあげるためにどう経営するか?
何よりもまず社員を守る。

この考えなくして企業は生き延びることはできないでしょうね。
ましてや過労で自殺者が出る会社など・・・

経営者の方に、ぜひ。

本書はあさ出版編集者、吉田様より献本していただきました。
ありがとうございました。

【関連書籍】

【管理人の独り言】
あさ出版様から気になる新刊です。

Amazonより内容紹介引用

フェイスブックブームの日本。「フェイスブックを 使わないと時代に乗り遅れる」「フェイスブックで儲けないと」とわけもわからず、飛び込む人や企業が多い。
同時に、次から次に出 てくるソーシャルメディアへの対応で、「SNS疲れ」という表現も聞かれるようになった。

メリットと同時にデメリットも伴うソーシャルメディア。飛び込む前にそれを理解し、 周到な準備をしておかないと、
「こんなはずじゃなかった」という結果に。

フェイスブックやツイッターだけではないソーシャルメディア。
個人事業主を含むアメリカの中小企業を中心に、20事例を通じ、
どのようなソーシャルメディアがどう組み合わされ、どのように使われているかを紹介。

あさ出版様と言えば、あまりIT分野のイメージがなかったんですが、SNSに関する本が登場します。
これは楽しみだ。

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