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【世界の博物館】九州国立博物館

世界の博物館、第47号は九州国立博物館です。
「日本文化の形成をアジア史的観点からとらえる」という基本理念のもと、2005年に太宰府市に誕生したこの博物館には、長く日本の玄関の役割を果たしてきた九州ならではの展示品があります。

 

【今号の一押し】
日本の玄関であった九州には、古い時代には大陸からの、戦国以後はヨーロッパからも人やものが入ってきます。
その影響を受けて日本文化が形成されていることをこの展示品は端的に表していると思います。

「花鳥蒔絵螺鈿聖龕」(かちょうまきえらでんせいがん)
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これは何か?
一見すると豪華に螺鈿が施された漆器であること以外は、特に何の変哲もない日本の工芸品に見えます。

しかしこの扉を開くと・・・

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聖家族と聖ヨハネの油彩画が現れではないですか。

16世紀半ばから17世紀前期にかけて、日本に盛んにやってきたポルトガル人とスペイン人は、日本の漆器に魅せられ、宣教師たちはミサで使う聖龕や書見台などの祭具を漆器でつくらせたそうです。

ただし、日本の伝統様式に乗っ取って制作したわけではなかったようです。

この聖龕の扉のデザイン。
モチーフこそ日本古来の動植物ですが、ぎっしりと隙間のない模様構成は日本の美意識とはかなり違う。
それに、幾何学模様の縁取り。

これはイスラムのアラベスクですよ。

つまりこの聖龕は、日本の漆器の技法に、イスラムなどの表現様式を取り込んだ、キリスト教の祭具なのです。

いったいなぜ、このような祭具がつくられたのか?
そrへあ当時の九州の雰囲気を知ることで理解できるのではと思います。

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この「唐船・南蛮船図屏風」から当時の九州の、特に長崎のにぎわいが窺い知ることができますが、当時の九州はまさに人種のるつぼ。

今では考えられない、インターナショナルな雰囲気だったのでしょう。

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そして、日本の漆器をヨーロッパで一躍有名にした立役者の一人がルイス・フロイス。
戦国時代の信長関連のドラマに必ず出てくるあの人ですよ。

人の交流は、単に宗教布教や経済活動だけでなく、文化の融合をもたらすのだと理解することができる逸品です。

次号は世界の民族博物館です。

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