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【読書カード】塩野七生(著)『絵で見る十字軍物語』(新潮社)

 

絵で見る十字軍物語

絵で見る十字軍物語

  • 作者:塩野 七生
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/07/01
  • メディア: 単行本
 

 

〇「神がそれを望んでおられる」(Deus lo vult)
この一句の威力はスゴかった。中世ヨーロッパのキリスト教徒は信心深く、日々のつまらない罪がつみ重なって死後は地獄行きかと、怖れおののく毎日を送っていたのである。

〇ニケーアの市内に投げ込まれた、その数一千といわれるイスラム兵たちの首
 堅固な城壁で囲まれたニケーアをめぐるキリスト・イスラム両軍の攻防は熾烈をきわめた。激闘はつづけばつづくほど、攻める側も守る側も平常心を失っていく。十字軍側は、倒した敵の首を切り離し、その半数は市内に投げ込み、残りの半数は袋に詰めてビザンチンの皇帝に送りつけたのだった。

〇陥落後の殺戮
 十字軍の兵士たちは、いや兵士たちの後に従っていた巡礼者さえもが、アンティオキアの市内にいた住民たちを殺しまくったのだ。イスラム教徒を殺しその手から聖地を奪還するのが神の望まれること、と言って送りだしたのはローマの法王である。十字軍兵士も巡礼者も、“安心して”殺しまくったのにちがいない。

〇生き残った騎士の命を助ける、アレッポの太守
 イスラム教徒と見れば見境なしに殺した十字軍に比べれば、ある時期までという条件付きにしろ、イスラム教徒の方がより人間的にふるまったと言うしかない。
 ただし、これはイスラムの習慣だが、命を助けて自由にしてやるといっても、身代金を払ったうえでの話なのである。ゆえに哀れなのは、身代金は取れないと見はなされた一兵卒や庶民出の巡礼者が囚われた場合である。この場合はひと言のいいわけもなく、そのまま奴隷に売られたのである。

〇重傷を負い、死を待つばかりの戦士たち
 十字軍の後ろ盾であったローマ法王も、失敗の責任を取るなど思いもしないことでは同じだった。法王は言ったという。
 「勝利は、神が良しとされた者たちが闘ったとき。敗北は、神が良しとされない者たちが闘ったとき」

〇キリスト教側の騎士とイスラム側の騎士との間で行われた、馬上槍試合の様子
 十字軍の歴史のすべてが、戦闘一色に塗りつぶされていたわけではない。多くの面で、キリスト教徒とイスラム教徒の交流はあった。
 そのうちのひとつが、十字軍側の申し出で行われた馬上槍試合である。もちろん初めは、馬上槍試合の発祥地のヨーロッパから来た十字軍側が、イスラムの騎士たちに指導する。そして、行われた試合で汗を流した後は、ともに食事をし、談笑し、イスラム教徒には禁じられているはずの酒まで酌み交わしたという。イスラム側の記録ではこのヨーロッパ男たちを、おかしな奴らだ、とは記しているが嫌いではなかったらしい。

〇先頭に立って、獅子奮迅の働きをするリチャード
 「獅子心王」という綽名は、一説ではキリスト教徒がつけたのではなく、敵側のイスラムの兵士がつけたといわれている。来をんを尊ぶ機運は、中世ではオリエントの方に強かったというのだ。
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■左右2ページで成る見開きページの左側の全面を使って、ドレの絵を紹介。右ページは上段に地図、下段にごく簡単な解説を記している。
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■十字軍シリーズの序幕的な本

 

十字軍物語 第一巻: 神がそれを望んでおられる (新潮文庫)

十字軍物語 第一巻: 神がそれを望んでおられる (新潮文庫)

  • 作者:塩野 七生
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/12/22
  • メディア: 文庫
 

 

 

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