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「時間」価値の劇的変化がもたらすものと未来【書評】松岡真宏(著)『時間資本主義の到来』草思社

2014-12-16-12-22-55

おはようございます、一龍です。

今日ご紹介するのは「時間」という観点からテクノロジーの変化にともない近未来の産業、サービス、そして我々の暮らしがどのように変わっていくのかを解説した本。
 
とにかく「なるほど!」と我が意を得たりのオンパレード。
これは必読です。

 

はじめに

本書の著者、松岡真宏さんは経営コンサルタントをされている方。
証券アナリスト、企業再生などの経験豊富な見地から「時間」という資本から見た今後の産業やサービスの変化を説かれています。

ですが、私が本書で特に注目し、惹きつけられ、「なるほど!」と我が意を得たりの心境なったのは、個人の生き方に関わる部分でした。

そのあたりを中心にまずはポイントをピックアップしましたのでご覧ください。

「時間資本主義時代」の生き方のポイント

 

★時間資本主義の経済学

 

 今後は、以下の2つの時間価値が商品選択に関わってくると考えられる。
① その物やサービスを使うことによって時間が短縮でき、有意義な時間が生み出される=「節約(saving)時間価値」
② その物やサービスを利用することによって、有意義な時間が生み出される=「創造(creative)時間価値」

★「すきま時間」×「スマホ」=「時空ビジネス」

 

 しかし、スマホと各種ソーシャルメディアの東城によって、「すきま時間」が生産的になり、価値のある時間へと突如転換した。スマホは携帯が前提であるため、各人がどのように移動しようとも、その際に発生するほぼすべての「すきま時間」の有効活用を可能とする。しかも、ソーシャルメディアの発達によって、各人が自らに生じた「すきま時間」を自らで消費・利用するだけでなく、他者と共有・交換することでさらに価値を高める世界が生まれ始めているためである。
 これは流行りの金融用語で言えば、「すきま時間」のレバレッジであり、「すきま時間」のマネタイズである。身も蓋もない言葉で表現すれば、「すきま時間」が「金」になるということである。

★時間がないからこそ、人に会わなければいけない

 

 付加価値型サービス業で成果を出すために、簡単な方法がある。人に会うことだ。むしろ、人に会わない限り、ユニークな価値は生まれない。それは、情報というものの相対的価値が下がっているからである。インターネットに交換されている、だれでもが手に入れられる情報ではダメなのだ。ニュースで知った記者クラブの取材情報ではなく、直接その人から聞いた話にこそ価値がある。<中略>
 さまざまな情報が手に入るようになった時代、最終的に残るのは、1対1で話をすることの価値だけなのだ。特別な人と、特別な関係でつながりたいという欲求は根源的なもので、なくならない。

★時間資本主義時代は「職住近接」が進む

 

 クリエイティビティの高い人は、本能的に「群れている」ことの優位性を感じているという話を先にした。だからこそ、時間資本主義時代の住居は都市部に集まることになる。家ごと群れているような状況が生まれてくるのだ。<中略>
 スマホなど携帯できる情報通信端末を駆使して生活する時間資本主義の時代は、情報の発信者と受信者が自由に動き回る世界である。しかも、この枠組に包摂される私たち現代人は、受発信両方の役割を常に負っており、情報交換の結果として移動しながら他の人と空間を共有する。この意味で、各人の居住空間とは、空間移動のための準備行為の空間であり、都市部に近接して住むことのバリューがますます大きくなると考えられる。

★「いつでも、どこでも」より「いま、ここ」

 

 人と人とのコミュニケーションによって成り立つ、知的生産の仕事が中心になると、ますます人々は近くに住む必要が出てくる。
 時間資本主義の時代には、自分か住みたいところではなく、コミュニケーションを取りたい人がいるところに住むべきなのだ。のんびりした風景が好きだからと、田舎に住んでも生産性は上がらない。<中略>
 ITによって空間の制約から解き放たれたようにみえる私たちは、結局「どこにいるか」ということに規定されている。いつでもどこでも連絡が取れるようになったからこそ、物理的に近いほうが有利になるという現象が起こっている。
 「いつでも、どこでも」ではなく、「いま、ここ」という同時性の価値が高まっているのだ。

★思い出の総量の多い社会で何がウケるのか

 

 上場企業2318社の平均年齢は2010年には39.3歳となっている。年齢別分布を見ると、40歳以上45歳未満の企業が全体の半数近くを占めている。こういった人口構成は、マーケティングの方向性に大きく関わってくる。もし、日本の平均年齢が20代であったなら、国民全体の持つ思い出の総量はまだ少なく、これからの明るい未来を想像できるような製品、コンテンツ、コマーシャルがウケルだろう。
 しかし、40歳や50歳の人が多い社会だと、その人たちが見てきたもの、体験してきたことの総和が未来よりも大きく、過去を使ってマーケティングするほうがより効果的になる。

★時間資本主義時代のマインドセット

 

 時間資本主義になればなるほど、「時間の効率化」的な話やサービスが中心になるかもしれない。だが、「時間の効率化」だけを進めて、効率化によって生まれる「かたまり」や「すきま」の時間を快適化して、時間に彩りを与えない限り、私たちの人生は豊かなものにはなりえない。「時間の効率化」だけの積み重ねは、無色透明の空虚な時空を作り出すだけの徒労である。
 時間資本主義の時代とは、時間が大切になるから、いろいろな負の時間を少なくしようという単純な時代ではない。負の時間を少なくするすべがどんどん提供されればされるほど、それによって生み出される無色透明な時空を、どのように実りある時間に変えるかということが従来以上に問われる時代なのである。こうしたマインドセットの転換こそが、時間資本主義というパラダイム転換において最も求められる覚悟なのである。

★自分の時間で、印象派の絵を描いていく

 

 近くで見ると、さまざまな色が混ざって何かわからないが、俯瞰する一つの美しい絵になっている。これが、まさにワークライフブレンドを体現した人生なんだと思う。クリエイティブな時間、事務作業の時間、消費の時間、趣味の時間、食事の時間、睡眠時間・・・・さまざまな色の時間が、少しずつ塗られていく。そうして、1時間、1日、1ヶ月、1年、一生と、少しずつ大きな絵を描いていけばいい。
 外部的な要因で受動的に塗られてしまった部分は、きれいな絵にはならない。
 負の時間が多くては、きれいな色が出ない。
 自由意志で、こういう人生をいきたいという欲求から、自分の時間を作っていくことで、その人にしか描けない絵ができあがるのだ。

感想

 

◆テクノロジーの進歩が「時間資本」の価値を変える

昔から「時は金なり」と言うことわざもあるぐらいで、今も昔も「時間」ほど貴重な資本はありません。

ただ、その本質的な価値は変わらないものの、テクノロジーの変化にともなって「時間」の資本価値は大きく変化しています。

とくにスマホの登場は劇的な変化をもたらしました。
というのも、「すきま時間」や「こま切れ時間」といったこれまで「何もできなくても仕方ない」と思われてきた資本価値の低い時間も、スマホの登場によりいつでもどこでもデスク上と同じ仕事ができるようになりました。

これは寝ている時間以外はすべて職場のデスクにいるのと同じ状態であることを意味します。
目が開いている時間はすべて勤務時間にできるということです。

たとえ、お風呂に入っている時でも、ジップロックにスマホを入れて仕事をしようと思えば出来るのです。
(なんか恐ろしい時代だ)

そしてこれは、裏を返してお客様の立場にたてば、スマホの普及によりウケるサービスも劇的に変化していることを意味します。

本書前半では、時間資本の観点から、今ウケているサービスの理由や、いろいろな産業やサービスにおいて、今後どのような商品開発やサービスを提供すればよいかを具体例を挙げつつ解説してくれています。

個人的にはう「なぜディズニーランドに行くのか?」というのがすごく納得できたりしましたが、これら具体的なポイントについては本書で直接お読みいただきたいと思います。

どの職種においてもきっと参考になるはずです。

◆「いま、ここ」がますます重要になる

さて、今回本書を読んで「我が意を得たり」と納得できたのが、

ITによって空間の制約から解き放たれたようにみえる私たちは、結局「どこにいるか」ということに規定されている。いつでもどこでも連絡が取れるようになったからこそ、物理的に近いほうが有利になるという現象が起こっている。

という部分。

本書ではクリエイティブな人々が軽井沢に集まって住む現象もとりあげられていますが、このリアルに人と会えることの重要性が増すというのはすごく共感してしまいました。

SNSが発達して人と人とのつながりが簡単にできるようになればなるほど、結局最終的には物理的な”近さ”、そして”会う頻度”が重要になってくるのです。

昔、ツイッターが流行りだした頃のこと。

ブログで書評を書くと著者さんがコメントをくれるのきっかけに、ツイッターで親しくコミュニケーションをとれるようになりました。

それでその頃は、田舎にいてもSNSを使えば物理的な距離を越えられる、SNSは田舎者こそ恩恵を受ける魔法のツールだと感じていました。

しかし、今はかえって「東京に住みたい」という思いがどんどん増しています。

というのも、つながることが簡単にできるようになったため、逆に今までなかったお誘いが頻繁に来るようになったからです。

特にFacebookはイベントの案内を簡単に送信できるため、ある池袋の書店さんからしょっちゅう魅力的なイベントの案内をいただき、そのたびに「東京に住みたーーい!!」となってしまうのです。

と同時に遠距離にいるがための機会損失に再三気付かされるようにもなりました。
やっぱり最後は物理的な距離に行き着くのです。

ということで、私の場合は東京と香川のデュアルライフを目指しいるのですが、私のようなただの無名ブロガーがそう思うくらいですから、今後、ますますクリエイティブな人たちが集まって住むという現象は加速すことでしょう。

かつて古代ギリシアでは集住という過程を経てポリスが形成されていきましたが、これから人類史上第2の「集住」時代がやってくると私は思っています。

それにしても、スマートホンやSNSの進化でつながることが簡単になればなるほど、田舎に引っ込んでいる事自体が大きな損失を生むという事になろうとは・・・。

本書の示唆するところを読んでちょっと複雑な心境になってしまいました。

◆印象派の絵画のように、ワークライフブレンドという生き方

さて、本書でもう一つ共感した部分があります。

それは「ワークライフブレンド」と言う生き方です。

スマホの登場は、これまであまり価値がないとされたこま切れのすきま時間を、価値ある時間、クリエイティブな時間に変える可能性をもたらしました。

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この写真は本書に掲載されている図ですが、グレーに塗られている部分。
電車での通勤時間とか移動時間とか、あるいは本業でもクリエイティブとは程遠い不得意だったりあまり意味のない作業だったりといった時間です。

これらをできるだけうまくまとめて「かたまり時間」を作って時間価値を高めるようにいったのはドラッカーですが、ほんの数分でも非常に価値の高い仕事が出切る可能性をスマホはもたらしました。

今後はこのグレー時間をいかに価値ある時間に転換していくかというところが人生の勝負どころとなるでしょう。

ほんの数年前までは「ワークライフバランス」という言葉が流行っていましたが、もうこれからはワークとライフの境目はなく、著者が印象派の絵に例えたとおり、モザイク状に混ざり合った時間のピースが人生を彩っていくこととなると私も思います。

まさに「ワークライフブレンド」。

このブレンドの上手さがあたらしい価値を生み出すのが時間資本主義時代なのです。

いち早く時間資本主義の到来を示唆した本書。
かなり骨太の内容で、理解力の低い私は久々に2回精読してしまいましたが、絶対に知る価値のある内容であり、いち早く気づいた者が得をする内容となっている本です。

今年一発目の激オススメ!。

本書は草思社編集者の三田様より献本していただきました。
ありがとうございました。

目次

いま、なぜ「時間資本主義」なのか?
第1部 時間資本主義の到来
第2部 時間にまつわるビジネスの諸相
第3部 あなたの時間価値は、どのように決まるのか
第4部 時間価値を高めるために  場所・時間・未来
結局のところ、時間資本主義とはいかなる時代なのか
あとがき

関連書籍

デュアルライフといえばこの方。

本田直之さんのこの本を思い出してしまいました。
東京都ハワイのデュアルライフかぁ。
あこがれるなぁ。

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