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ピケティ理論からみたアベノミクス、最終目標は”再分配”の実現!




おはようございます、一龍です。

以前、ピケティ理論の結論についてはこちらの記事でまとめましたが、


では日本経済は、特にアベノミクスはピケティ理論から言うとどうなのかを知りたいところです。

今回は『図解 ピケティの「21世紀の資本」』 の最終章

第9章 日本の「格差」を解消する処方箋  ピケティ理論で読み解くアベノミクス

から、まとめてみたいと思います。



 

ピケティ理論で読み解くアベノミクスのポイント


★「アベノミクスで格差が広がる」のウソ


ピケティ理論は様々なデータを元に格差の広がりに警鐘を鳴らすものでした。

その点を踏まえたうえで、多くの日本人が関心があるのはアベノミクスははたしてどうなんだというところでしょう。

アベノミクスで格差が広がるという経済学者もいますが、


 アベノミクスが始まって、円安、株高、公共事業を強化したことで雇用者数が100万人以上増えています。非正規雇用が大部分を占めるという指摘もありますが、実際には失業者100万人が働けるようになったということです。失業者の100万人と非正規雇用の100万人のどちらがいいでしょうか。収入を得られる人が100万人増えたわけですから、底辺の押上につながっているわけです。

つまり、

アベノミクスは確実に低所得者層の収入をアップさせている

わけですから格差の広がりを抑えているといえます。

また、雇用が増えている中で、倒産件数が減る一方、廃業が増えています。
これは産業構造の転換が進んでいることを意味します。

格差が完全にない社会はありません。
社会主義でもその実現は不可能でした。

ピケティが重視するのは"再分配"による格差是正です。
実は

成長は再分配の必要条件なのです。パイが縮小すると最終的には財政破綻になってしまいます。それを考えるとアベノミクスのまずパイを拡大させるという政策は間違っていません。

今後、相続税や納税者番号制度など、お金が"再分配"する制度を強化していく政策も併用していくことで、経済成長しつつ格差是正も同時に実現することは可能だと思います。

アベノミクスによって格差が拡大するというのは杞憂です。



アベノミクスにひそむ問題点


しかし、アベノミクスで全てが良くなっている、欠点がない、ということではありません。

例えば、アベノミクスがはじまってリフレ政策ですから当然ながら急激に円安が進行しました。

この円安対策が不十分なのです。 
円安にはメリットもデメリットもあります。

 そもそも円安が悪いわけではありません。円安になればなるほど企業成績はよくなって、国の税収も増えます。日本の経済問題の最終目標は国の財政の維持可能性を担保することですから、税収が増えることは悪いことではないのです。財務省の試算によると、1円の円安で法人税収入は900億円増えるそうです。

しかし、業績が悪くなる企業もあります。
輸入を業者や、原材料の多くを外国からの輸入に頼っている企業などです。
特にこの影響を受けているのが中小企業です。

また、都市部に比べて地方のほうが円安の負担を受けやすいという問題もあります。

適正な為替レートで安定させる円安対策をしていかなければならいのは明らかですが、根本的な解決は為替レートの変動に影響を受けないような産業への業態転換しかないと思います。



アベノミクス「第3の矢」への期待


アベノミクスは第3の矢といわれる成長戦略で踏み込み不足のところがあります。
成長戦略は大きく4つの項目に分かれています。

稼ぐ力を取り戻すこと、担い手を増やすこと、岩盤規制の撤廃、その他のエネルギーや観光など

です。

それぞれ見ていくと


1 稼ぐ力を取り戻すこと

法人税引き下げか決まり、コーポレート・ガバナンスも進んでいる。
政府の賃上げ要請もある程度効果が出ている。

ということで、これに関しては進んでいます。



2 次の担い手を増やす

安倍政権になってから日本が初めて50年後に1億人を維持するという人口の目標を掲げました。

合計特殊出生率を1.43から1.8まで早期に上げる
その後、2.07までもっていく

というものです。
フランスでも出生率は上がりましたし、本気で取り組めば実現できると思います。

ただし、出生率を挙げても効果が出るまでには時間がかかります。
その間のつなぐ労働力として、女性と高齢者に焦点があたっているのです。

「女性が輝く云々」といった事を言っていますが、そもそもそんなことを言わなくても女性が安心して働ける社会を創造してこなかったのがおかしいわけです。

まぁ、遅いとはいえようやく取り組み始めたことに関しては評価しましょう。

 


3 岩盤規制の撤廃

岩盤規制の撤廃で成長しようというのは農業や医療関連分野もありますが、我々一般的な労働者にとって注目なのはホワイトカラー・エグゼクティブ(残業代カット)でしょう。

この法案は「過労死法案」などと揶揄されていますが、

本丸は正社員の解雇ルールの明確化。 

です。


いままで日本の企業は正社員の解雇ルールが明確化されていないために採用を絞ってきた面があります。そのしわ寄せが若年労働者に行き、子どもを産み育てる世代の雇用所得環境が悪化して出生率の低下につながっていますので、そこを変えなければいけません。

実は労働資源の流動性を高め、なおかつ出生率アップの秘策となる可能性を秘めています。

やりようによっては、日本社会を一気に活気づける法案となるかもしれません。





★「デフレ脱却で経済成長」は本当か


最後に「デフレ脱却で経済成長」は本当にできるのかという点です。
この論点に関してはいまだにリフレ反対派が必死で反対しています。

ピケティ理論の r > g をもとに考えると

一般的なマクロ経済でいう r は長期金利の利回りです。デフレの時の日本経済はどうなっていたかというと、経済成長はマイナスですから、実質金利が高くなっていました。そうなると r > g はより広がりやすくなります。
ピケティはデフレを想定していませんが、デフレからインフレに持って行くことは格差の是正につながります。

ここから考えると

r > g がより増幅されることによって格差が広がります。アベノミクスは名目の金利を下げて成長率をあげようとしているわけですから、r > g を縮小しようとしていることになります。そういう意味では、アベノミクスは r > g の差を縮小しようとしている政策という見方もできます。

デフレから脱却することは基本的にピケティ理論とも合致します。

ただ、デフレから脱却することで全てが解決するのではありません。

アベノミクスで日本経済の構造を変え、財政健全化を実現した後に控えているのが社会保障制度の効率化です。

世代間の格差、世代内の格差の壁を打破して

人生で成功した人に応分の負担をしてもらうことが、これからのアベノミクスの重要な作業になります。

この点がまさにピケティ理論の真骨頂。
"再配分"をいかに実現するかです。

ここまで到達すればアベノミクスは成功だったといえるのではないでしょか。






本書はイースト・プレス社様から献本していただきました。
ありがとうございました。


目次


はじめに 原著を忠実に読み解けば、日本経済の未来も見えてくる
序章 日本人はピケティから何を学ぶべきか
第1章 ピケティが考える「資本主義」のカラク
第2章 ピケティが考える「資本」のカラク
第3章 なぜ「資本」の格差は生まれるのか
第4章 なぜ「所得」の格差は生まれるのか
第5章 なぜ「持てる者」と「持たざる者」の格差は生まれるのか
第6章 なぜ「持てる者」がさらに儲かる社会になるのか
第7章 「格差社会」に特効薬はあるのか
第8章 日本経済の「格差」のカラク
第9章 日本の「格差社会」を解消する処方箋



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