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『アイアンクラッド』【教養的映画鑑賞】史実に基づきヨーロッパ中世の籠城戦をリアルに描いた秀作

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映画から歴史的教養や雑学を学ぶ教養的映画鑑賞、24回目の今日は『アイアンクラッド』です。

あまり有名な作品ではないですが、中世ヨーロッパの籠城戦をリアルに再現した、歴史好きのための本コーナー的にはかなり楽しめる作品です。
 

はじめに:『アイアンクラッド』史実に基づきヨーロッパ中世の籠城戦をリアルに描いた秀作





公式サイトはこちら


ストーリー(Amazonより)

肌で感じる無骨なリアルソード・アクション!1215年、ジョン王は国民に自由を与えること、国王といえども法の下にあることを確認する文書、マグナ・カルタに署名をさせられる。意に反して署名させられたジョン王は怒りに震え、悪人揃いの傭兵団を結成。全権力を奪回すべく国中で暴れ回る。かたや王権を奪回しようとロンドンに迫った王と傭兵団。彼らの勝利の前に立ちはだかるものは、もはやロチェスター城だけだった…。





歴史教養的見どころ


◆史実に基づいた映画


この映画は実際にあった第1次バロン戦争中のロチェスター城の攻防をもとに作られています。

映画では「1000人 vs 20人」となっていますが、実際に籠城していたのは100人以上いたようです。

ただ、その程度の史実との違いはあるものの、この映画は全体的に非常に良く出来た映画です。

まず時代背景がしっかり映画に反映されている。

この映画のストーリーとしては簡単に言うと、数々の失政でマグナ・カルタに無理やり署名させられたジョン王が、それを無効にしようとしたのに対して諸侯たちが造反した戦争という単純なものです。

が、例えば主人公のマーシャルはテンプル騎士団の騎士であり、第3回十字軍に従軍したらしい。
その十字軍を率いたのは英国王のリチャード1世

獅子心王の異名を持つ勇猛な王でしたが、異教徒に対する残忍さでも有名。
捕虜にしたイスラム教徒を大虐殺した王です。

恐らくそのことを言っているのであろうマーシャルのセリフがところどころ見え隠れします。

「誓いを守らなければ、心が壊れてしまう」

と言ったセリフには、十字軍でとんでもない地獄絵図を見てきたんだなというのを想像させます。

こういった歴史背景を想像しつつ観るというのは歴史好きにはたまらない。

ちなみに本作品の悪役であるジョン王はリチャード1世の弟に当たる人です。
好戦的で冷酷な性格は兄弟似ていたのかなと思ってしまいます。

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(右の人)



◆しっかりした衣装、武器などの時代考証


本作品が歴史好きとして非常に好感が持てるのは時代考証がしっかりなされていることです。

例えば、衣装と武器。

主人公のマーシャルが十字軍帰りのテンプル騎士団ということで世界史の資料集で見たことのある宗教騎士団の格好そのものなのがまず嬉しい。

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そして武器が長剣

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ついでながら、対戦しているジョン王軍はデンマークの傭兵が主力で、ちゃんとバイキングの武装をしています。
デンマークとういのはデーン人が侵入して建てた国で、バイキングの一派なのです。そしてこの映画当時のデンマーク人はバイキングとしてヨーロッパ各地に遠征して荒らしていました。もっともイギリスにもデーン人の末裔が沢山住んでいるのですが。)

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丸い盾、角のない兜(実はバイキングの兜には角がない)、そして盾割斧。
「小さなバイキング ビッケ」を思い出しますね。


また、弓の使い手も一人登場しますが、この映画の直前の時代が弓の名手ロビン・フットが活躍する時期であり、この後には100年戦争でのエドワード黒太子の長弓隊が活躍します。


◆リアルな中世ヨーロッパの籠城戦


特筆すべきは舞台であるロチェスター城での籠城戦。
ヨーロッパ中世の城の設備や暮らし、また、そこでの籠城戦がどのようなものであったかがリアルに再現されています。

映画だからといって華美な装飾もなく、また、城事態も小ぶりで、堀もなく、軍事拠点としての城の設備がまだまだ発展途上であるということも感じられます。

水や食料の確保と言った切実な問題。

映画では食料が尽きてからのシーンもあります。
あと、死体の処理のため城の敷地内に埋めているシーンも。

こんな風にして籠城していたんだなと感じられます。

また、攻城戦ですので投石機も登場します。

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この破壊力がいかに当時の籠城する者達にとって驚異だったかもわかります。


◆豚を焼いて塔を破壊


印象的だったのが最後に立てこもった塔を豚を燃やして破壊したこと。

塔は日本の城で言うと天守閣のような役割を果たしていました。
遠くを見渡すための楼閣であり、最後に立てこもる施設でもあります。

そのためかなり頑丈に作られていたようですが、当時のものは石造りではあるものの、木骨だったようです。

なので、炎の熱で木骨を燃やすと塔が崩れる。

その燃料としてジョン王は食用に適さない太った豚を急遽輸送させ塔の地下で燃やさせます。
これは面白い。

日本では豚を燃やして城を破壊したというのは聞いたことがありませんよね(戦国時代に豚を飼育していないし)。

こういった攻城の方法の違いも歴史好きには雑学として楽しめます。

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最後に個人的な感想を


大スペクタルでもなく、奇策を用いたわけでもなく、痛快な作品でもない。

ただただ地味でリアルな戦闘が続く作品です。

しかし、歴史好きには楽しすぎる隠れた名作であり秀作といえます。



基本データ


監督:ジョナサン・イングリッシュ
主演:ジェームズ・ピュアフォイ
公開:2010年
120分
















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