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「エベレスト3D」【映画レビュー】エベレスト大遭難を3Dを駆使して神々しく冷徹な美しさとともに描いた素晴らしい作品

「エベレスト3D」【映画レビュー】エベレスト大遭難を3Dを駆使して神々しく冷徹な美しさとともに描いた素晴らしい作品

今年劇場で観る映画10本目、「エベレスト3D」に行ってきました。

「エベレスト3D」の公式サイトはこちら

山々の神々しい美しさと3Dならではの高度感、そして自然の脅威を見事に映像化した登山映画の最高峰でした。

でもなにかモヤモヤしたものが残る映画でもありました。

 

 

 

エベレスト (字幕版)

エベレスト (字幕版)

 

 

 

 

 

「エベレスト3D」、大量遭難という史実から人は何を学ぶのか

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この映画は史実にもとづいています。
その史実とは1996年5月に起きた、エベレスト登山史上最悪の遭難事故です。
(この事故についてはwikipediaの「エベレスト大量遭難」を参照)

したがって、その結末も知っているわけで、2時間の上映時間中、刻一刻と”そのとき”に向かって進んでいきます。

で、実際この映画を見終わった後の僕の心は非常に複雑なものでした。
悲しく、やるせなく、そして何かモヤモヤした感じ。

後述しますが、この作品は映画としての完成度が抜群に高い、圧倒的映像美とスケールで本当に素晴らしい映画でした。
実際結末がわかっていながら、2時間ずっと作品中に引きこまれていました。
登山に全く興味のない人にも、強くオススメしたい映画です。

でも、見終わった後、どうしてもモヤモヤしてしまうのです。
このモヤモヤ感はどこから来るのか。
その原因をひとことで言うとこの物語には”救い”がないのです。

まず大前提として、ここに登場する人たちはエベレストという危険な舞台に自ら望んで上がっていること。
これが津波のような天災や戦争やテロといった本人の意思に反して災難にあったというのであれば、完全なる悲劇となります。

しかしこの遭難はガイドとシェルパのサポートによるアマチュア登山家のエベレスト登頂、つまり商業登山隊によるものだったため、厳しい見方ですがすべて”自己責任”という前提があるのです。

エベレスト登頂を商品とするツアー会社と、明らかに力量不足な者も含むツアー参加者たち。
彼らは自ら望んでエベレストに行っているわけで、遭難して「家族に会いたい」というセリフにも、「じゃあ行かなきゃよかったやん」と冷たいツッコミを入れてしまう自分がいるわけです。

特に、明らかにエベレスト登頂に力量不足なツアー客には、「あなたは参加するべきじゃないだろう」という思いがつきまといます。
ましてやそういったツアー客の力量不足が大遭難の原因の一つとなるわけで・・・。

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もうひとつ、鑑賞中にずっと頭に浮かんでいたのが「ハインリッヒの法則」でした。

「ハインリッヒの法則」というのはビジネス書ではおなじみですが

労働災害における1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在する

というもの。

物語の途中でラストの大遭難へつながる数々のちょっとした齟齬が布石として積み上げられていきます。
登山ルートの渋滞であったり、あるはずの固定ザイルが無かったり、デポしておいた酸素ボンベが空だったり。

結末を知っているだけに、布石となるシーンが有るたびに、「ああこれも遭難につながる原因の一つか」と思ってしまうわけです。

そして決定的なミスは、隊長であり筆頭ガイドであるロブの決断ミス。
自ら登頂のリミットを14時とし、14時になったら頂上が見えていても引き返すと決めておきながら、最初に登頂を果たしたのは15時でした。

そして一番遅れた参加者が最後に登頂したのは16時30分。

ロブは7大陸最高峰登頂の最年少記録(当時)を樹立した名クライマー。
実績も経験も十分です。

そんな彼が常識的に考えて、どんなに参加者が登頂に執着しても、引き返させるべきところをどうして登頂を続けてしまったのか。

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ここが本作品の大きな見どころであり、製作者たちが伝えたい大きなトピックスだと思います。
そしてビジネスパーソンが本作品を見る場合に、学ぶべきところとなるでしょう。

ただ、この映画が素晴らしかったのは、誰も責めない。
そして誰も英雄視しない。

あくまで公平に冷静に描いている点です。
その意味では結論を観客に”任せた”映画でもあるといえます。

エベレスト街道のワクワク感

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さて、物語全体は大遭難のお話なので悲しい物語であるのは仕方ないのですが、見どころのたくさんある映画でもあります。

特に登山好き、アウトドア好きな方にとってはもうたまらないシーン満載。

なかでも、カトマンズに到着してからベースキャンプまでのキャラバンは、登山隊のワクワク感とともにエベレスト街道トレッキングを疑似体験できます。

実際には何日もかけて、高度順化をしながら歩を進めていくのですが、そこは映画ですからぐんぐん進んでいきます。

映像からも徐々に高度が上がっている感じが伝わってきますし、エベレストが最初にその勇姿を見せるシーンは感動的です。

僕はエベレスト登頂はとても無理だけど、いつかエベレスト街道トレッキングは行ってみたいと思っています。
でもエベレストのベースキャンプって標高5364mあって、もうすでに富士山より高いんですよね。
このことからもエベレストが桁違いの存在であることがわかります。

神々しい山々の荘厳で冷徹な映像美、そして3Dならではの高度感

そしてこの映画のもう一つの見どころ。

それは3D特有の表現力を効果的に使っていること。

以前「メイズ・ランナー2 砂漠の迷宮」の3D版を見たときに「3Dは高度感を出すのにすごく効果的」だと気づきました。

その点を本映画は十二分に使って表現しています。
特に底が見えないクレバスや、エベレストの切り立った稜線、さらには頂上場面から徐々にカメラが引いていき周囲の山々のピークが見えるシーン。

これらのシーンは他の映画にはない迫力で、やっと3Dを本格的に使った映画が登場したなと思わせてくれます。

エベレストとネパールの山々の神々しく冷徹な美しさと、3Dによる高度感が相乗効果を発揮して、今まで経験したことのない臨場感を生み出しています。

少し大げさかもしれませんが、ひょっとするとこの映画は映像表現の転換点となるようなエポックメイキング的な作品となるかもしれません。

悲しい物語ではありますが、ぜひ、エベレストの高度感を楽しんでください。

 

エベレスト (字幕版)

エベレスト (字幕版)

 

 

 

 

 

以下にこの映画に登場する人たちが遭難について書いた本を紹介しておきます。

 

 

 

 

 

 

www.s-ichiryuu.com

 

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