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『ニュースの”なぜ?”は世界史に学べ』から、ISの”なぜ”について理解するためのポイント

おはようございます、一龍です。

ニュースを見ていると、その背景を知らないためによく理解できないことってたくさんありますよね。
特に国際情勢に関連したニュースのなかでも、ISやイスラム教に関連したニュースはついては苦手な人が多いと思います。

今日は、歴史から国際情勢の疑問にアプローチした『ニュースの”なぜ?”は世界史に学べ 日本人が知らない100の疑問』 から、ISに関連した部分をピックアップしてみました。

 

ISの”なぜ”を理解するポイント

 

★IS(イスラム国)は何と戦っているのか?

 

 今回のISをめぐる戦いは、イスラム過激派VS欧米諸国(おもにアメリカ)という構図なのでしょうか。
 ISは、たしかに欧米諸国の国民を敵と見なして、攻撃対象としています。
 しかし、単純に「イスラム過激派VS欧米諸国の戦い」とくくれるほど、問題は単純ではありません。
 ISはイラクやシリアの街も制圧し、同じイスラム教徒に対しても残虐行為を働いています。ISにとっては、イスラム教徒も敵の一部なのです。
 また、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、ヨルダン、バーレーン、カタールといったイスラム教の国々が、有志連合の一員としてISに対する空爆に参加しているという事実もあります。

★ISは、なぜシーア派を攻撃するのか?

 

 ISは、スンナ派の過激派武装組織です。
 だから、最初に敵と考えるのが、シーア派。ISにとって、シーア派はイスラム教を捻じ曲げている「異端」ですから、「あいつらは許しがたい」という発想になるのです。

 

 ISが同じイスラム教徒を攻撃している第一の理由は、スンナ派VSシーア派という、イスラム世界で長く続いてきた宗派間の対立なのです。
 ISも、ホメイニのイラン革命政権も、同じ「イスラム過激派」として一緒くたにされがちですが、両者は宿敵同士なのです。対IS戦の最前線で戦っているのは、イラン革命防衛隊です。
 イラン革命以来、イラン革命政権を敵視し、その核武装を阻止しようとしてきたのがアメリカです。そのアメリカのオバマ政権が、イランに対する経済制裁の解除に動いたのは、対IS戦でイランの力が必要になったからです。

★アルカイダやISが近年、台頭してきたのはなぜか?

 

 ひとつは、イスラムの近代化。
 ヨーロッパの国々の植民地になったイスラム世界には、ヨーロッパの資本主義や産業が流入してきて、必然的に近代化されていきます。近代化は、すなわち西洋化を意味しますから、大きな顔をする異教徒の西洋人に対して、イスラム教徒が反発して『コーラン』に戻ろうとするのは当然です。

 

 もうひとつの理由は、富の不均衡です。

 

 本来、イスラムの教えでは、アッラーの前での平等が第一で格差は否定しています。

 

 だから、アラブの王たちが富を独占して人民に分配しないのは「イスラム法に反する行為」ととらえ、「政権打倒の革命を起こしてもよい」という理屈になるのです。
 イスラム教には、「平等」「分配」という考え方が徹底しているので富の不均衡に対する反発が、イスラム原理主義の台頭する素地となっているのです。

★ISの戦闘員はどこから集まってくるのか?

 

 (イラク戦争後)多数派として政権を握る事になったシーア派は、これまでフセイン政権(スンナ派)下で肩身の狭い思いをしてきた恨みがある。だから、仕返しとばかりに、それまでフセイン政権で恩恵を受けてきた人々を政権から排除し、その結果、西部に多いスンナ派の住民の不満が高まります。
 こうした状況を背景に、旧フセイン政権の多くの軍人たちがシーア派政権に対する抵抗運動を始めるために、武器を持ったままISと合流していったのです。

 

 一方、ISの中核メンバーは、歌劇なイスラム原理主義者たちです。彼らが、アルカイダの影響を受けているのは間違いありません。
 アルカイダの本拠地はアフガニスタンですが、「イラクのアルカイダ」という支部組織みたいなものがイラク戦争後に生まれました。

 

 この「イラクのアルカイダ」が、のちに名前を変えて、ISとなったのです。
 つまり、ISはイスラム原理主義のアルカイダ系過激派組織と旧フセイン政権の軍人がくっついて、急速に勢力を拡大していった組織といえます。

★ISがシリアに拡大したのはなぜか?

 

 第一次世界大戦後にフランスがシリアを勢力圏にしたとき、アラウィ派の人はわりと協力的だったので、彼らを優遇しました。そして、スンナ派を抑え込むために、アラウィ派の人たちに軍事訓練を施したのです。
 その後、フランスから独立してからも、少数派の彼らは負けてしまいます。だから、ずっと独裁と軍事力で国を治めてきたのです。こうして生まれたのが、アサド家による軍事独裁政権。少数派が多数派を抑え込む形になったのです。

 

 シリアの民主化運動は2011年以降活発になり、シリアは騒乱状態に陥りました。
 これで勢いづいたのは、これまでアラウィ派によって抑圧されてきたスンナ派です。反政府勢力として、アサド政権を攻撃します。
 シリアのスンナ派とイラクのスンナ派は、もともと宗教も民族も同じです。

 

 だから、イラク戦争後にシーア派政権によって抑圧されてきたイラクのスンナ派の武装勢力が、シリアの混乱に乗じて国境を越え、反アサド運動に次々と加わっていったのです。

感想

いかがだったでしょうか。

本書は世界史とからめて解説するアプローチを取っているため、ISの問題についても「そういうことだったのか」と納得できると思います。

本書冒頭で

 ニュース番組や新聞をなんとなく見ているだけでは、ニュースの「本質」をつかむことはできません。時間や紙面の制約という問題だけてなく、学校教育では国際情勢を理解するための「世界の常識」をきちんと教えないからです。

とあるのですが、国際情勢を理解するための「世界の常識」とは、取りも直さず「歴史」のこと。

日本人にとって欧米の歴史はわりと馴染みがありますが、中東の歴史というとあまり詳しくありません。

サイクス・ピコ協定についても、イスラム教のスンナ派とシーア派の問題も知っている人は少ないでしょう。

でも実は高校の世界史の教科書にはちゃんと載っているのですよね。
学校が教えていないというよりは、私たちが勉強していないだけ。

学校の歴史の授業というのはとても退屈で眠いですよね。
でも大人になってからは何故か歴史を知るのは楽しいもの。

こちらの本などは「歴史」を学び直すためにまさにうってつけではないかと思います。

もういちど読む 山川世界史
「世界の歴史」編集委員会
山川出版社
2013-04-26



ニュースを見ているときに”なぜ?”と思ったら、読み返してみる。
そういう習慣を身につけると大人としての教養も増えるかもしれません。

ただ、教科書というのは最新の世界情勢の背景は教えてくれますが、解説はしてくれないもの。

物事の背景は理解できても、現在起きていることに対処できるわけではありません。

歴史や文化などから総合的にアプローチしてくれる、今日ご紹介したような解説書を意識して定期的に読んでいきたいものです。
そういう習慣をビジネスパーソンとして身につけたいですね。

本書はSBクリエイティブ社様から献本していただきました。
ありがとうございました。

目次

はじめに
第1章 ヨーロッパの憂鬱 ウクライナ問題と難民問題
第2章 台頭するイスラム過激派と宗教戦争
第3章 アメリカのグローバリズムと中国の野望
おわりに

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