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【本の紹介】山本兼一『夢をまことに』から、ビジネスパーソンも学ぶべき国友一貫斎の考え方を読書メモとしてシェア

おはようございます、一龍です。

時代小説で有名な山本兼一さんの作品は、『利休にたずねよ』 を読んで衝撃を受けて以来ファンとなり、以後『火天の城 』『命もいらず名もいらず』 など夢中になって読んできました。

しかし、2014年2月に亡くなられ、作家としては短い活動期間に幕を下ろされました。

今日ご紹介するのは、単行本としてはおそらく最後の作品となる『夢をまことに』 です。

ふだん文芸作品は扱わないとうブログですが、この本は大感動したので紹介したいと思います。

その感動した点は2つ。

ひとつは本作品の主人公国友一貫斎について僕はまったく知らなかったので、「日本にこんなすごい人がいたのか」という驚きの感動。

そしてもうひとつは道を極める職人の姿勢と考え方、人生観です。

 

国友一貫斎について

まずは本作品の主人公、国友一貫斎について。

僕は不勉強でこの人の存在をまったく知りませんでしたが、「東洋のエジソン」と称される方。

近江国国友村(現在の滋賀県長浜市国友町)の幕府の御用鉄砲鍛冶の家に1778年に生まれ、鉄砲鍛冶としての技術の高さに定評のあった方。

しかし特筆すべきは、オランダから伝わった風砲(エアガン)を改良制作し、後には20連発の「気砲」を制作。

また、グレゴリー式反射望遠鏡を制作して自ら天体観測をしたり、日用品では墨をつけなくても書ける「懐中筆」(現代の毛筆ペンのようなもの)、「無尽燈」(油を自動給油する照明器具)なども発明しました。

国友一貫斎についてのウィキペディアのページはこちら

『夢をまことに』中に登場する国友一貫斎の考え方を読書メモとしてシェア

さて、『夢をまことに』では、一貫斎の職人としての姿勢や考え方、人生観などが随所に登場します。

もちろん、著者山本兼一さんの筆が生み出した”言葉”ではありますが、物作りを成功させるための肝要となる珠玉な言葉たち。

今回は読書メモとしてシェァします。

踏襲されてきた技術を秘伝にしてありがたがるばかりでは進歩がない。

「よいですか。失敗するからこそ、成功できるのです」

「人生は他人と同じ歩幅で歩かなくてよいということです。自分で考え、自分の歩幅で歩かなければ、たくさんのこと仕事はできますまい」

なにごとも、根本から疑ってかかるべし。

負けず嫌いの人柄が、冴えた技を生む。

技術は人柄だ。

「仕事は、生きる楽しみです。そうじゃありませんか」
「仕事をしていれば、自分に磨きがかけられます。できなかったことができるようになれば、職人として一段と高みに立てる。」

究める心だ。
大切なのは、とことん追求する気持ちだと思うようになった。

当たり前のことにひそんでいる不思議を見ぬく心だ。
この世のことには、すべて理がなるのだ、と考えてはいたが、一貫斎は、まだまだ目の前に起こっている不思議を見逃していた。
まずは自分の頭をあらためよう。

「それは物を作る者の志でございます。いまここにあるものより優秀なよい物ができなければ、物を作る甲斐がございませぬ」

「最初は思いつきでよいではありませんか。それを最後まで諦めず、できるまでやるからこそ、新しい物が作れるのですよ。佐吉さんは、なぜ思いつきを否定するのですか」

「そのとおりです。大切なのは失敗を乗り越えて仕事を続けることです。十回失敗したら、気を取り直して十一回目に挑む。百回失敗しても、百一回目を続ける。もちろん、なぜ失敗したのか、まだ試していないことはないか。それを考え、工夫し直してやり続けるのです。そうすれば、いつかは必ず成功します」

「みなさん。なぜ、やってみる前から、できないとか、売れないとか、そんな悪い話ばかりするのですか。やる者は意気込んでいるのです。応援してくれればよいではありませんか」

「いや、まったくそのとおりです。夢をまことにするためには、日々の仕事に地道に精進する以外の道はありません」

夢や願いは、努力すれば神に通じる。神に通じてまことになる。

感想など

まず本作品は文芸書としてはそれほどドラマチックな展開はありません。
国友一貫斎の人生は戦国武将のような華々しいものではありませんので。

しかし山本兼一という作家は、職人や武芸者などその道を一筋に突き詰めようとする求道者を描くことが非常に上手い作家です。

淡々と進んでいくストーリーですが、読ませ続けさせる筆力は見事です。

さて、よくビジネスの世界ではイノベーターという言葉が使われます。
このイノベーターには2種類あって、0から1を生み出す人と1を10にする人です。

そしてどちらがすごいかといえば、0から何かを生み出す人なのですが、本書の主人公国友一貫斎は西洋から入ってきたものをヒントとして真似て、工夫改良を加えてより良い製品を生み出した「1を10にする」人です。

その点で「東洋のエジソン」といえるのかは疑問ですが、江戸時代に、ほとんど情報がない、言葉も通じない異国の製品をヒントに、オリジナルの性能を遥かに凌駕するものを創りだしたその探求力と製作技術は賞賛と驚愕に値します。

その職人魂を感じることができる言葉を今回読書メモとしましたが、いかがでしょうか。

僕はこの物語の中での国友一貫斎の言葉に感じ入るところがたくさんありました。

0を1にできるのは一握りの天才。
しかし1を10にする、10とまでいかなくても、1を2とか3ぐらいになら心の持ち方と行動力で到達できそうではないですか?

「失敗するから成功できる」「10回失敗したら気を取り直して11回目に挑む」、そして夢を現実にするためには「日々の仕事に地道に精進する」。

結局成功哲学はシンプルなんですね。

成功するまでやり続けるということです。
何度失敗しても、ドリームキラーがなんと言おうと、自分の頭で考え、自分の歩幅で歩いて行くのです。

様々な制約のあった江戸時代にあって、一途に探求し続けたイノベーターの姿に、とても勇気づけられる作品。

現代のビジネスパーソンにこそ読んでほしい、山本兼一最後の単行本です。

目次

第1章 出府
第2章 阿蘭陀風砲
第3章 テレスコッフと天狗
第4章 国友村
第5章 海へ空へ
第6章 神通叶う

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