まいぷら

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外食維新、「イートグッド」の概念が社会を変えていく!




おはようございます、一龍(@ichiryuu)です。

今日ご紹介するのは外食産業や飲食業のトレンドアナリストである佐藤こうぞうさんの著書、『イートグッド 価値を売って儲けなさい』 です。

本書にはこれまでの飲食業界のトレンドの流れと、今後の流れ、つまり業界の過去と未来が書かれているのですが、その中でも特に「これから来る!」と著者が一押ししている「イートグッド」というトレンドに僕もすごく共感しました。

ということで今回は本書のタイトルともなっている「イートグッド」についてご紹介します。



 

これからのトレンド、「イートグッド」のポイント


★「イートグッド」とは何か?


「イートグッド」とは
 これは読んで字の通り、"良い"を"食べよう"、そしてただ食べるだけじゃなく、食を通じて良いことを実践しようという非常にシンプルな考え方です。その背景としては、昨今のオーガニックブームというものがあり、これは日本だけではなくむしろ世界的な潮流で、とくに北米において盛り上がっています。
しかし、最近のオーガニックブームは、「マクロビ」や「ロハス」といった一部高所得者層による限定的な支持ではなく、一般的なごく普通の生活者が良いものに価値を求めるいうトレンドなのが特徴。

キーワードは「Farm to Table (農場から食卓へ)」で、生産者から直接届けられる安全で安心な食材をお客様に提供することがコンセプトとなっています。

 誰がどんな理念でどのような農法で育てた野菜なのか、その生産者の想いやストーリーを伝えることを大切にします。それは健康に配慮するだけでなく、生産者とともに農業の将来や地球環境を含めた持続可能な社会を作っていくというミッションを共有するということでもあります。そうした背景から、イートグッドという土壌が広がってきていると言えます。ビジネスだけでなく、人々の生き方そのものに基づいた考え方ということです。


★「イートグッド」の生みの親、株式会社エピエリの理念


「イートグッド」という言葉の生みの親は株式会社エピエリという飲食企業の松浦清一郎さんと亜季布陣のお二人だそうです。

2003年に「麹町カフェ」というサンドイッチとコーヒーのお店からスタートした会社で、無農薬・無化学肥料の野菜を使ったサンドイッチが評判となり、その後、ベーカリーカフェ「ファクトリー」、チリビーンズと豆料理専門店の「チリパーラー9」などを展開しています。

著者は2015年の初頭に同社のホームページで次の文章と出会って全身に電流が走ったといいます。

「エピエリは今、EAT GOOD(良いを食べる)を考えはじめました。EAT GOODの「良い」とは、有機野菜だとか無添加だとか、そういったことではありません。畑からパントリーへ、パントリーからテーブルへ、テーブルからお客さんの口へ、そのつながりの中にある、お互いへの愛情、思いやり、リスペクト、そしてありがとうの気持ちを大切につくられたもの。それを考え、あつかい、調理し、食べてもらう。いただく。それがエピエリの考えるEAT GOOD(良いを食べる)です」

また、同社のホームページに公開されている「イートグッド」の信条をいくつかあげると


・丹精込めて作られた生産者の方、そして物事の背景を想像する。
・おいしい一皿への出発地点となる食材に対して感謝の心を持つ。
・素材を大切に扱い、素材そのものが活かされる調理方法、プレゼンテーションを持って料理を提供する。
・料理を最も美味しく食べていただけるよう、フレッシュなうちに、熱いうちに、冷たいうちに提供する。
・家族や友人、大切な人に食べてほしいと思える料理を提供する。

といったことが書かれています。

よく読めば当たり前の内容といえますが、お客様に対する思いが伝わってきます。
そして「イートグッド」の真髄は次の一文で理解できると思います。

生産者、食材、お客様、コミュニティー、そしてピエリのスタッフ。テーブルを囲む全ての人と物が、幸せであること。それがエピエリの考える最高のテーブルです



★飲食店の価値を上げる理念


さてここで、誤解してほしくないのは「イートグッド」とは業態ではないということです。
 
「イートグッド」とは、業態ではありません。「食」に対する考え方です。理念であり、行動です。ビジネスモデルの軸であり、根幹となりうる価値観であるということです。

お金儲けで飲食店をやっても長続きしません。
なぜならお客様に尊敬されないからです。 

 これからは、ミッションとかモラル、オーナーのあり方などが問われる時代に入っていきます。この「イートグッド」という考え方が広がり、実践するお店が増えてくれば、飲食業界全体の価値と地位が向上してくると思います。

今、飲食店はどこも人手不足で、ブラックアルバイトという言葉もよく聞きます。
社会的地位や働く環境としてはあまり良くないイメージが付きまといます。
しかし、「イートグッド」のような考えが広まれば、共鳴した若い人が集まってくるのではないかと著者は考えています。


 いま「イートグッド」時代を迎え、お客さんの意識は、価格や皿の上の美味しさから、食材の背景と向かい出しています。生産者と食材の大事さを共有し、それを飲食店を通じてお客様に真面目に美味しく、楽しく提供しようというコンセプトの店がじわじわと増えつつあります。そんな店が点から線へ、面へと広がり、外食のあり方を変え、時代を動かす日が来るに違いありません。




★価格やお皿の上の美味しさから、食材の背景へ


お客様の意識は、価格や皿の上の美味しさから、食材の背景へと向かいだしています。

 できるだけオーガニックなものを提供する、化学調味料や添加物にまみれた食材や調味料を使わないこと、あるいは「ファーム トゥ テーブル」や「イートローカル(地産地消、地産都消)」は当然のこと。あえてそれを前面に打ち出さなくても、お客さんに伝わるようなスタンスの店が支持されています。かつてオーガニックやマクロビが流行った”健康ブーム”とは違います。当時は「ヘルシー=美味しくない」というイメージが定着し、ブームで終わってしまいました。しかし、今は生産者の努力と技術の進歩と飲食店のミッション、クオリティの力によって、格段と食材と料理のレベルが上がり、「ヘルシー=おいしい」に変わってきたのです。



★「ハンドクラフト」と「無化学調味料


2015年12月にオープンした「ナンバーフォー(No.4)」を経営するのは、「ティー・ワイ・ハーバー(T.Y.HARBOR)」「シカダ(CICADA)」などを展開するタイソンズアンドカンパニーの寺田心平社長。

「ナンバーフォー」はカフェでもベーカリーでもレストランでもない、7つの「ハンドクラフト」を1つにした空間コンセプトでそうです。

この7つの「ハンドクラフト」について、寺田社長はFacebookにこう書いています。 

「すべて粉から手で作るパン・『コーヒーフラワー(コーヒーの果実からできた粉)』の入ったピザ・店主が頑張って作った新商品の『クロッフィン』・ビーガン系も充実した料理・T.Y.Harbor のクラフトビール自然派ワイン・原宿 The Roasetery のサードウェーブコーヒー。色々ありすぎて何屋と聞かれても一言では言えないけれど、でもそれぞれの物が『クラフト』をテーマに手作りで高品質なものが集まっていて、朝8時から夜10時まで色々なシーンに普段着感覚で使える、そんな Neighborhood Place(近所の人たちが集うお店)を目指しました」     

つまり、キーワードの「ハンドクラフト」を軸に、既存店が持つ商品や提供法を集大成したイートグッドライフスタイル提案型の飲食施設です。

「ハンドクラフト」に加えてさらに最近増えてきているのが「無化調・無添加」を掲げるお店です。

イタリアンイノベーションクッチーナの四家公明社長はFacebookでこう発言しています。

「調理理念 お客様と末永くお付き合いするために健康的な食材にこだわります!当店は調理に化学調味料化学調味料が含まれる調味料を一切使用しておりません!体がよろこぶ料理をご安心してお召し上がりください」


こうしたチェーン店が増えることによって、イートグッドの波は外食業界を構造的に変えていく原動力となるに違いありません。




感想など


いかがだったでしょうか。

著者の佐藤こうぞうさん

「2016年はイートグッド元年!」

とおっしゃっています。
「元年」といえるほど爆発的に急増しているかどうかはわかりませんが、

地産地消」「Farm to Table」を当たり前に日常のライフスタイルに取り込んでいく「イートグッド」=”良いを食べる”のムーブメントは、今後外食、飲食マーケットも店作り、メニュー作りに取り入れていくことになると思います。

この考えには大いに賛成だし、香川県のような田舎でも実際感じるものがあります。

僕は外食といっても普段はほとんどうどん屋しか行きませんが、そのうどん屋さんにも変化が起こっています。

地粉(香川県で取れた小麦粉)や天然だしを使用し、化学調味料や添加物を使わないというこだわりを持つうどん店の、特に若い大将のいるお店で増えてきています。
また、ある大将は自分のお店で使う醤油を特注していたりします。

べつにそういったこだわりを宣伝してはいないのですが、こういう動きにすごく敏感なのが小さなお子さんを持つお母さんたちなのですよ。

香川県の場合はうどんが美味しくてとても安いという特殊な事情もありますが、以前、食の安全イメージが失墜した某大手ハンバーガーチェーン店よりも、安くて美味しくて安全なうどん店に客が回帰している感じがします。

で、実は味音痴な僕も、こういった無添加・無化調のうどん店にいくようになって、舌が鍛えられたのか、逆に化学調味料を使っているお店がわかるようになってきました。

なんというか、舌に独特の後味が残るのがわかるようになって、そうするとこれまで足繁く通っていた某有名店には行かなくなってしまいました。

こういった僕自身の変化からも、安くて量があればいいという若い人は別として、小さなお子さんを育てているお母さんがたや、ほんとうに体によく美味しいものを食べたいというある一定以上の年齢の方たちには、今後「イートグッド」という概念は浸透していくと思います。

それも自然な流れで。

また、「イートグッド」には農業生産者の側からも期待したいですね。

もと農家の小せがれとしての意見ですが、生産者も料理人と同じで「美味しい!」といって食べてくれる人の顔が見れるのが一番幸せなのです。

某団体に出荷して終わりでは重労働のわりには全然楽しくない。
もちろんいいものを作るということが大前提ですが。

日本の農業を取り巻く環境は高齢化が進んでいることや、外国さんの安い作物との競争など大きな課題を背負っています。

しかし、もしかしたら「イートグッド」が、農業に従事する若者の増加や作物のブランド化、ひいては農家の収入アップにつながるのではないかと思うのです。

「イートグッド」の概念が広がり、生産者、飲食店、お客様の間でいい循環ができることを切に期待しています。


最後に本書巻末付録には「最新飲食店情報イエローページ」が掲載されています。

実際に「イートグッド」を体験したい方はぜひここに載っているお店にいかれてみることをオススメします。

僕も上京したら行ってみよう、クラフトビール飲みたい!







本書はトランスフィールドジャパン様より献本していただきました。
ありがとうございました。


目次


まえがき
第1章 「繁盛店」のつくり手たちに学べ 〜大きな波を起こすのは、いつもちいさな「個店」である〜
第2章 外食マーケット「大転換期」がやってきた! 〜歴史はいつも原点回帰しながら、前に進むものだ〜
第3章 飲食トレンドの変遷とマーケット構造の変化 〜「食」のあるべき姿と価値を求めてマーケットは進化する〜
第4章 「業態トレンド」の読み方と最新予測 〜未来は常につくられてきた。その「鍵」はいまにある〜
第5章 「ネオ酒場」が街を変える 〜人と人との距離を縮めてくれるのは、いつも酒である〜
第6章 「イートグッド」の時代が来た! 〜あなたの身体はあなたが食べるものでできている〜
第7章 これからの飲食店、生き残りの条件 〜強い者が残るのではない。変化に対応し進化したものが生き残るのだ〜
第8章 佐藤こうぞうの飲・食・人・語 〜現代のビジネスマンが知っておくべき二、三の事柄〜
あとがきにかえて 〜「外食の未来」について
付録 最新飲食店情報イエローページ






関連書籍


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