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【うどんネタ】さくらももこ(著)『さくらえび』収録「ヒロシの挑戦 しまなみ海道」に讃岐うどん人として物申す!



昨年から「新潮文庫の100冊読破チャレンジ」をしていますが、その一環で先日さくらももこさんのエッセイ集『さくらえび』を読みました。

 
で、この本の中に、「ヒロシの挑戦  しまなみ海道」という紀行文的エッセイがありまして、その前半部分が香川県でうどんを楽しんだ記述なのですが、これがツッコミどころ満載。
 
ゆるーいのがさくらももこさんの”味”であるのはわかっていますが、あまりにゆるすぎるので(というかいい加減過ぎてひどい記述)なので、いぜん村上春樹さんの紀行文にも物申したように

 

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今回も突っ込んでみたいと思います。
ちょうどゴールデンウィーク中でうどん巡礼をしている方も多いですし、この際正しい知識をということで書いておきます。

 
 
 
 

 

さくらももこ『さくらえび』収録「ヒロシの挑戦 しまなみ海道」より前半部分、讃岐うどんの記述に物申す

 

民家うどんではなくて製麺所ね


この紀行文的エッセイはさくらももこさんとお父さんのヒロシさんがしまなみ海道を自転車で走るために四国にやって来るお話。

一行は讃岐うどんをお目当てに高松空港から四国入りします。

まず最初のツッコミどころは、タクシーで運転手さんオススメのうどん店に移動中のこと

 一見普通の民家に見える家の前に、唐突に『うどん』とだけ書かれた看板が立っていたりする。そういう家がけっこうあった。
 運転手さんの話によれば、うどんの麺を作っている家が、ついでにうどん屋もやっていて、近所の人などがちょいと食べに来たりするようなかんじなのだそうだ。

このうどんの麺を作っている家をさくらさんは「民家うどん」と書いていますが、これは製麺所」ですよ。
製麺所だからうどん店のような店構えをしていないだけで民家じゃありません。
いくらなんでも食品ですから民家がうどんつくって商売やってるわけないです。

『しょうゆがけうどん』ではなくて「しょうゆうどん」ね


タクシーの運転手さんのオススメで連れてこられたのが小縣家さん。
ここでの記述ですが

 『しょうゆがけうどん』というのがおすすめらしかったので、それにすることにした。これは冷たいうどんに大根おろしと白ゴマのすったやつとすだち汁とネギとしょうゆをかけて食べるという、私にとっては生まれて初めてのうどんの食べ方である。

「しょうよがけうどん」ではなくて「しょうゆうどん」です。

細かいことに突っ込み入れるなと思われるかもしれませんが、実は「しょうゆうどん」は小縣家さんの登録商標なのです。

なのでこれは商品名を間違っているという、大変失礼な状態。
編集者さん訂正した方がいいですよ。

ちなみに、小縣家さん以外のうどん店で注文する時も「しょうゆうどん」といいますし、他には「生醤油」とか「醤油かけ」と注文することが多いです。
「しょうゆがけうどん」という言い方は少なくとも僕は聞いたことがありません。

もう、突っ込みどころが多すぎて色々直したい


さて、「しょうゆうどん」を食べての感想部分ですが、これがもう突っ込みどころが多すぎて全文なおしたいレベル。

 ちょっと信じられないおいしさだ。四国のうどんはレベルが高いと噂にはよく聞いていたが、これだったのかと痛感しながらむさぼり食った。味付けが、大根おろしとすだちとしょうゆとゴマだけなんて、ツウっぽいにも程がある。うどん自体の実力と自身がなければできない。これが高松ではものすごくポピュラーな食べ方なのだろう。

まず、「四国のうどんはレベルが高い」香川県のうどんはレベルが高い」ですね。
香川県以外の3県のうどんは正直言って讃岐人が満足するレベルではありません。


「味付けが、大根おろしとすだちとしょうゆとゴマだけなんて、ツウっぽいにも程がある」→しょうゆうどんって本来麺としょうゆだけで楽しむもの。
実際僕はお金のない高校生の時に一番安いメニューのしょうゆうどんをよく食べましたが、麺に味の素としょうゆだけをかけて食べてました。
小縣家さんのしょうゆうどんがちょっと特殊で、あんなにでかい大根をおろして入れるしょゆうどんなんて稀ですし、そんなに具材入れたらうどん自体の味がわからなくなってしまいます。


「これが高松ではものすごくポピュラーな食べ方なのだろう」→小縣家さんは高松市ではありません。
広い静岡県で育ったさくらももこさんにとっては日本一狭い香川県はもしかすると全部が高松市という感覚かもしれませんが、そもそも讃岐うどんの中心地は高松ではなく坂出市丸亀市、宇多津町、善通寺市といった香川県でもやや西寄りの地域。
その証拠に名だたる名店の多くが高松以外の地域にあります。


さらにいうと「ポピュラーな食べ方」でもありません。
もちろん「しょうゆうどん」という名前は誰でも知っていますからそういった意味ではポピュラーなメニューの1つといえますが、あくまでうどんの基本はかけうどんです。
「しょうゆうどん」はバリエーションのひとつという立ち位置に過ぎません。
実際、うどん店で他のお客さんを観察してみればわかりますが、しょうゆうどんを食べている人を殆ど見かけません。
あくまで小縣家さんが特殊なのです。


うどんの神登場、さすがいいことを言う


小縣家さんでしょうゆうどんを食べた後、さくらももこさん一行は2軒めの宮武うどん(現在は閉店)に向かいます。

うどん通の方はもうおわかりですね、うどんの神こと宮武の大将登場。

さくらさんはここでもしょうゆうどんを食べたいというのですが、宮武の大将がこう返します。

「アレはね、打ち立てのうどんじゃないとあんまりすすめられないんだ。だから、午前中に来てもらわないとだめなんだよ。ごめんね」

さすがうどんの神!
ちゃんとこういうアドバイスができるのがすごく良心的というか神たる所以ですね。

で、さくらさんはかけうどんを注文するのですが、宮武といえばあのうどんの呼び方が登場します。
「あつあつ」「ひやあつ」といった呼びかた。

 あつあつうどんというのは、熱いうどんに熱い汁がかけてあるうどんの名前だ。他にもひやひやうどん、あつひやうどん等、うどんと汁による温度の高低で表されたうどん名が幾つかメニューにのっていた。


ゴールデンウィークなのでこの呼び方についてあらためて記述しておきたいと思います。

まず、この呼び方は決して讃岐うどん界全体で使われているわけではないということをご承知ください。
宮武うどんとそのお弟子さんたちのお店で主に使われている呼び名です。

そして基本的には 「麺の温度」+「出汁の温度」の順番で「あつあつ」とか「ひやあつ」という言い方をします。

で、宮武系うどん店独特の呼び方ですので、それ以外のお店で普通注文する時は、

「あつあつ」→「かけうどん」でOK
「ひやひや」→「ひやかけ」でOK(ただし、冷やしうどんというと氷水に入った麺とつけ出汁の別のメニューになる)
「ひやあつ」→「かけ、麺そのまま」でOK


これで注文できます。

で、問題は「あつひや」なんです。
「温めた麺に冷たいかけ出汁」ですが、この食べ方はほとんどしません。

「ひやあつ」は、出汁が熱すぎるお店で猫舌の人がよく使う注文方法でちょっとぬるくなるんですよ。
でも「あつひや」は麺がやわい上に出汁がぬるすぎるというものすごく中途半端な状態になります。

なので、ほとんどのうどん店ではオススメしていませんし、メニューにもありません。
そして、出汁を自分で入れるセルフの店でかってに「あつひや」をやろうとすると、大将の機嫌を損ねるお店もありますのでご注意を。

讃岐うどんがどこのお店も安いわけではない


最後に宮武うどんを食べた後の記述。

 これが1杯250円ぐらいなのだから驚きだ。先程の店も多分同じぐらいの金額だったと思う。レベルは高く値段は安く、一見シンプルだけど奥深く美しく、気どらない実力派、これが高松のうどんなのだ。


「先程のお店も多分同じぐらいの金額」→小縣屋さんのしょうゆうどんは小:450円、大:550円と讃岐うどん界ではけっこう高めです。

先述したようにしょうゆうどんは麺と醤油のみで食べる、うどんの中ではいちばんチープなメニュー。
ただそれを、大きな大根を自分ですりおろして食べるという「体験型アミューズメント」にしてしまったビジネスモデルが小縣家さんのウリで、この値段設定でもお客様は満足するのです。

また、讃岐うどんにはおか泉さんのように一杯1000円ぐらいの設定の高級志向のお店もあります。

讃岐うどん界全体が一律に安いわけではありません。



そして最後の最後に

「これが高松のうどんなのだ」→だからあなたが食べた2件とも高松じゃないですって!




 

編集後記 管理人のひとりごと


しょうゆうどんの思い出というと、高校生の時お金がないから我慢して食べていた思い出しかありません。
はっきりいって、そんなに美味いもんじゃない。
だから、僕は今でもしょうゆうどんは嫌いです。

ですが、一度だけしょうゆうどんを美味い!と思った時がありました。

それはおか泉で大将が打ち立ての麺を「うどんの刺し身です」といって試食させてくれたときでした。
刺し身を食べるように、ただ単に麺を醤油につけて食べたのですが、これがもう驚愕するほど美味かった。

この時、「本当にうまい麺ならしょうゆだけで十分なんだ」ということを知りました。
大根おろしもすだちもゴマもいらないんですよ。


ああ、また食べたいなぁ。



それにしても、さくらさんのエッセイ、プロの物書きとしていくらゆるさがウリとはいえ、こんないいかげんな記述はちょっとひどいなぁ。

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