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栗田正行(著)『「時間」を生み出す教師の習慣』東洋館出版社【本の紹介】世界一長時間労働の日本の先生方に、夏休みの課題図書にしてほしい一冊

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おはようございます、一龍です。

今日ご紹介するのは、私のブロガー仲間で現役の高校教師栗田正行先生が学校の先生向けに書いた時間術本です。

世界一長時間労働の日本の先生方に、夏休み中にぜひ読んでほしい一冊です。 
もちろん、本書に書かれている時間術は一般のビジネスパーソンも参考にも学ぶところ大ですよ!

効率が10倍アップする! 「時間」を生み出す教師の習慣

はじめに

「日本の教師は多忙」というイメージがありますが、本書の著者である栗田先生は、時間術を身につけることである程度改善することができると言います。

はたして栗田先生の時間術とはいかなるものか。

まずはその一端をご紹介します。

ポイント

★時間管理の基本ルール「TIME」の法則

1.Think(考える・予想する)
 行動する前に考える・予想する、物事の段取りを立てることにじっくり時間をかける

2.Improve(改善する)
 うまくいっている人の真似をする

3.Manage(管理する)
 年間、月刊、一日の見通しを立てる ⇒ 自分がなにをしていたか、時間簿をつける

4.Employ(活用する)
 ツールの活用 「A7メモ」「Googleカレンダー「フラッシュタイマー」「お気に入り文具」「本」

★午前と午後では仕事を変える

 脳の状態が比較的スッキリしている午前中は思考を伴う仕事もじっくりと検討が必要な仕事に向いています。具体的に言えば、授業準備や通知表所見、中学校以上であれば定期試験問題の作成などに適しているのです。
 午後になると、脳も疲労してきます。ですから、あまり思考を必要としない作業系の仕事が午後には向いていると言えるでしょう。具体的にはプリントを印刷したり、成績などを機械的に入力たり、事務処理をすることなどがあげられます。

★1日のToDoリストは前日の夜に書く 

 仕事の段取りをつけるために、1日のToDoリストを書くことがあります。このリストはいつ書くのがよいかというと、じつはその日の朝や午前中よりも前日の夜がベストです。理由は3つあります。
1つ目は、前日やり残したToDoを見直すことができること。2つ目は、前日と翌日のToDoリストを可視化することにより、見えない不安がなくなりスッキリ眠れること。3つ目は、眠っている間に翌日すべきことが脳に染み渡ることです。仕事内容を「寝る」⇒「練る」というイメージを持ってもらっても結構です。

★忙しい時期をつくらない

 正直なところ、先生方の仕事には忙しい時期とそうでない時期があります。これは、学校や校種、学年によって時期が違います。ここで一つ大事なポイントは、忙しい時期をつくらないということです。
 具体的には、比較的忙しくない時期に前倒しで仕事をしておくということです。誤解を恐れずに言えば、他の先生方が暇そうにしているときにコツコツと仕事を仕込み、他の先生方が夜遅くまで仕事をしているときに普段どおり退勤するというイメージでしょうか。要は、仕事を平均化できるよう、仕事をならすことが肝心なのです。

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★スケジュールは短期・中期・長期の3つに分けて管理

1.短期的なスケジュール ⇒ A7メモ
 A7目もにはその日1日のToDoリストを書いておき、時間があるときに見直すようにしています。また突発的に入った仕事も一旦メモをしておき、Googleカレンダーや授業スケジュール帳に転記するようにしています。
2.中期的なスケジュール ⇒ 授業スケジュール帳
 授業の予定・内容だけでなく、課題や連絡事項及び、会議や面談などの予定も記入し、1週間の流れが一目瞭然で分かるようにしています。
3.長期的なスケジュール ⇒ Googleカレンダー
 学校の年間計画が発表された時点で、Googleカレンダーにすべて入力します。私の場合は、年間スケジュールを見ながら、どの時期にテストを作成するか、所見を書くのか、そして校務分掌上の仕事量を見積もって前倒しで仕事ができるようにしています。

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★【基本】仕事はビュッフェ形式にしない

 仕事をあれもこれもと食べ放題のビュッフェのように行うのではなく、一つのことに集中できる時間・環境を自分で作ることが大切です。
 ことえば、職員室に限らず、開いている会議室や一人で集中できるスペースがあれば、仕事をしたいときには移動することも考えられるでしょう。どうしても職員室でしか仕事ができない場合は、このような札を立てておくのも一つの手です。
 現在、集中して仕事中です。できる限り、今の時間のお声掛けはご遠慮ください。
また、どうしても集中できないときには、
1.集中できる時間帯を考える。
2.一度作業を勝ちきり、あとで取り組む。
3.やりたい作業に差し替える。
ということも試してみてください。

★【応用】やる気がでない時はビュッフェ形式にする

 1つのことに集中できないこともあるでしょう。そういうときには、色々な仕事をちょっとずつ進めるのがおすすめです。ちょうど、ビュッフェでいろいろなものを味見するのと同じような感覚です。<中略>
 そんなときには、

・量をこなせば仕上がるような仕事
・大雑把に仕上げても問題ない仕事
・やり方を覚えていて、時間がかからず簡単に仕上がる仕事

に手をつけるのがおすすめです。

★仕事を「速く」するための7つの考え方

1.「カンペキ」(100%)を目指さない
 完成度8割で提出

2.着手しづらい仕事は「4分」しかやらない
 「4分だけやってみよう」と考え、夢中にならなければ今はやらないというくらいの気持ちでいい

3.「集中タスク」「分散タスク」を考える
 集中しなければできないものと、細切れの時間ごとに処理できるものがあります。私はこれを「集中タスク」「分散タスク」と名付け、意識的に仕事の選り分けを行っています。

4.仕事に時間と意識の「軽重」をつける
 それぞれの仕事に「軽重」のタグ(自分なりの優先順位づけ)をつける

5.仕事も退勤も「デッドライン」を決める
 締め切りがない仕事であれば自分で設ける。締め切りがある仕事であれば、自分だけの締め切りを前倒しでつくる。

6.「一括管理」がすべての基本
 スケジュールは1冊で一括管理する。

7.四つの「お」に気をつける
 「おしゃべり」「お菓子」「お茶」「お酒」

効率が10倍アップする! 「時間」を生み出す教師の習慣

感想

◆日本の先生は世界一忙しい?

以前から、その多忙ぶりがいわれてきた学校の先生という職業。

先頃、経済協力開発機構(OECD)が2013年に実施した国際教員指導環境調査(TALIS)(主に中学校が対象)の結果が公表され、調査対象34カ国中、日本の教員の勤務時間が約54時間と世界で一番長いという結果が出ました。
(参加国平均 38.3)

これに関しては新聞やニュースでも取り上げられたのでご存知の方も多いでしょう。

日本の教員が長時間労働なのには、教職調整額という”残業代”が一律給与の4%支給されているため、どんなに残業しても労基関連の法に触れないという、法律上の不備が一つの要因としてあります。
(ちなみに4%というのは、昭和41年の調査で出た教員の残業時間、約8時間を基準にしていて、それ以後見直されていない)

変な言い方ですが、法律上、日本の教員はサービス残業し放題なのです。

また、仕事の性質上、自分の授業中と部活動中は事務仕事をすることができません。
それらをこなした残り時間で事務仕事に取りかかるわけですから、慢性的に時間外勤務が必須という職種独特の構造上の問題もあります。

つまり教員という職業は、いくら残業しても法に触れる心配がなく、管理者としてはとっても安心で業務改善の必要がなく、最初から長時間労働でないと成り立たないことが前提の職種ということなのです。

◆先生が忙しい本当の理由

こうした、ややもすると長時間労働になってしまう要因を内包している教員ですが、本書著者の栗田先生は「先生が忙しい本当の理由」は違うところにもあるのではないかと考えています。

それは

効率的・効果的に働くためのスキルをみにつけることなく先生になる方が圧倒的に多い

ということ。

教員は「授業や子供たちへの対応に関わるスキル」は研修を受ける機会があるそうですが、「書類作成や事務処理などのルーティンワークにおけるスキル」に関しては学ぶ機会がないのだそうです。

そこで本書の登場です。

タイムマネジメントを学び、仕事術を学んで、効率よくルーティンワークをこなせるようになれば、時間を生み出すことができるはず。

先生方からは「そんなこと勉強している暇はない」と言われそうですが、そこはほら、切れ味の悪い斧を使っている樵が、「忙しくて斧を研いでいる暇がない」というビジネス書によく登場するあの逸話と同じですよ。

厳しい言い方ですが、先生方も”改善”という点を怠っていないか自問自答してほしいです。
気がついていないだけで、時間を生み出すちょっとした改善は身の回りにたくさんあるものですよ。

◆先生方こそビジネス書を読んでほしい

そういう点から、私は先生方こそビジネス書を読んでほしいと思います。

先生の仕事は多岐にわたります。
これほどオールラウンドプレーヤーぶりが要求される職業もないでしょう。

だからこそ、営業本、マネジメント本、コーチング本、・・・果てはノート術に至るまで、およそビジネス書と言われるものなら何を読んでも参考になるのではないでしょうか。

まずは夏休み中に本書を読んで2学期のタイムマネジメントから始めてみることをお勧めします。

それでできた時間の一部をさらにビジネス書を読む時間に投資してください。

そのサイクルが1年回ると、来年の今ごろは職場がかなり違った景色に見えるはずですよ。

効率が10倍アップする! 「時間」を生み出す教師の習慣

本書は著者の栗田先生から献本していただきました。
ありがとうございました。

目次

はじめに
第1章 時間管理の基本ルール「TIME」の法則  仕事を効率的・効果的に行うための考え方
第2章 「時間」を生み出す仕事術  自分の「仕事の時間割」を考える
第3章 子供や保護者との時間術  人との関わりには時間をかける
第4章 自分と環境の時間の習慣  仕事がしやすい環境をつくる
おわりに

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