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相手に振り回される会話をしていませんか?【書評】西多 昌規(著)『疲れる相手の話をきちんと聞く49のコツ』 実務教育出版

おはようございます、もしかしたら私自身が「疲れる相手」かもしれない一龍(@ichiryuu)です。

さて今日は、当ブログでもおなじみの精神科医、西多昌規先生の新刊をご紹介。
まわりに「疲れる相手」がいる方はどう話せばいいか、そのコツがつかめますよ!

 

【目次】
まえがき
第1章 「聞き始め」から「聞き終わり」までの基本
第2章 相手に気持ちよく話してもらうための心構え
第3章 面倒な状況を打破する「聞き方」のコツ
第4章 疲れる相手の話しに消耗しない「聞き方」
第5章 取っつきにくくて、相手にしづらい人の話しの「聞き方」
第6章 ややこしい場面での賢い話の「聞き方」

【ポイント&レバレッジメモ】

★「表情」「姿勢」「声量」で共感を示す

 話を聞く時に正しい定番の「表情」というものはありません。
 相手が楽しい話をしていれば自分も楽しい顔をする。深刻な話をしている時には深刻な顔をする。このように、基本的には鏡のように振る舞っていれば問題はありません。<中略>
問題は相手が怒りながら話をしている時です。この時ばかりは鏡になってはいけません。理想は怒りを受け止め動揺を見せずにどっしりとした表情や口調でいることですが、簡単ではありません。現実的には、怒りに共感しながらも困惑した表情で乗り切りましょう。「あなたのお怒りはごもつともですけど、それを露わにされると困
ってしまいます」という気持ちで相手の言い分を聞くのが無難です。

★話しを早く切り上げない

 もし、自分の中の「早く話を切り上げたい」という気持ちに気づいたら、逆に「じっくり時間をかけよう」と仕切り直しましょう。結果的に、その方が相手に充足感を与えることにつながります。早く話を切り上げたいという焦りを消すことが、「話をちゃんと聞いている」というメッセージを伝えることになるのです。<中略>
 聞き手の都合のいいタイミングで会話を終わらせるテクニックはありません。<中略>
「話を切り上げる」というのは聞き手にとっては自由を得ることですが、相手にとっては「拒絶」「否認」に他なりません。このことを常に念頭に置いておきましょう。

★話し残しがないか確認する

 話を聞き終わった後に、念押しで「他に話していないことはありませんか?」と確認することは重要なポイントです。このフレーズによって、相手に「ちゃんと聞いてくれた」という後味の良さを与えることができます。

★「沈黙」との適切な向き合い方

 相手の話をじっくり聞くためには、沈黙と向き合う大切さも知っておいた方がいいでしょう。言い換えれば、沈黙に対して不安を感じる自分との戦いです。沈黙恐怖症の人は、相手がまさに喋ろうとしている話の腰を折っている可能性があります。もう少し沈黙に耐えていれば、相手が重要なことを話した可能性があるのです。相手に沈黙を破らせれれば、聞き役として上達した証拠です。<中略>
 沈黙の間はゆったりと構えましょう。<中略>
相手がどうしても言葉を発さない場合は、やむを得ず聞き手がアクションをとる必要があります。
「随分静かな時間が流れましたが、言いたいことが喉まで出かかっていたのでしょうか」
「あなたが話し出すのをじっくり待っていました。もう少し待ちましょうか」
このように沈黙を話題として取り上げることも1つの手です。

★自己卑下が著しいネガティブな相手

 ネガティブな話は、基本的には「受容的に聞く」ことです。具体的には、まずは相手の発言内容をそのままオウム返しすることです。例えば「仕事でミスしてしまって…」には、「ミスしてしまったんだね」と共感を示します。
 ただ、ネガティブ発言にオウム返しを繰り返していると、そのつもりはなくても相手を貶めている感じになります。「オレって何やってもダメなんだ」というグチに、「何をやってもダメなんだね」などと返答していては悪口と変わりません。
 そこで、ネガティブな言葉をマイルドな表現に言い換えて繰り返すことが、ネガティブキャラヘの対応法です。例えば「オレって何やってもダメなんだ」に対しては、「難しいことが続いたのでダメだったんじゃないかな?」と返します。<中略>
 「やればできるんだよ」「お前だったら大丈夫」など、過度に励ますことは「とりあえず励ましとけばいい」という無責任な印象を与えかねません。それよりも時折マイルドな解釈を言ってあげる方が、相手にとっては自信回復につながるでしょう。

★ストレートに正論を言ってくる相手

 正論を強く主張して譲らない人の話は、どのように聞けばいいのでしょうか。まず正義感に酔っている人を矯正するのは、不可能に近い作業と考えましょう。訂正不能なまでに頑なに信じ込んでいる場合が多く、説明や説得で折れることはまずありません。むしろそういった他者からの干渉は、その人の意見をますます頑固にさせてしまいます。<中略>
 繰り返しますが、社会の固定観念や個人の正義感を説得して修正することはほとんど不可能です。忍耐は要りますが、腹が立っても自分が折れて相手の正論に従うのがもっとも賢い対応です。

★デリカシーのない質問をしてくる相手

 前提として、相手にデリカシーを急ごしらえで身につけてもらうのは諦めましょう。自分の非にはなかなか気がつきにくいものとはいえ、それを気づかせるために彼らの話に気長に付き合うのはしんどい作業です。<中略>
 まずは数回「そうですね」「はい」など、気のない相づちを打ってその場をしのぎます。そして「所用がありまして」「また後ほど」などとうまく言って離脱し、物理的な距離を取ります。その際、相手を否定しないことが重要です。デリカシーのなさには自己中心性が潜んでいます。無用に相手を否定して刺激してしまうと、怒りや反
発など思わぬリアクションが飛び出しかねません。

★クレーム好きの「好訴的」な相手

 クレーム対応の基本は、「相手の話をしっかり傾聴する」→「相手のフレーズをオウム返しして、怒りと敵意に満ちたクレーマーから共感を獲得していく」というプロセスです。<中略>
 共通しているのは、「本来はこうあるべきではなかった」という失われた自分の権利や機会を取り戻そうと躍起になっている点です。したがって、相手の喪失感を補う対応が求められます。
「申し訳ございません」は丁寧な言い回しですが、相手に与えるニュアンスは企業が不祥事の時に発言する「遺憾に思います」と大同小異です。相手のためではなく、「自分の立場を守るために、とりあえず謝っておく」という話法と変わりません。繰り返しますが、クレーム対応の基本は「オウム返し」と「共感」です。これが、相手の喪失感を癒す最低限の方法です。

★まわりくどくて何が言いたいかわからない相手

 まわりくどい人の話は、ある程度聞いてから徐々に会話の主導権を握り、「確認させていただきたいことが」などの言葉を挟んで結論に持っていきます。相手が年上や目上の場合には、敬意を払って丁寧な言葉で会話の主導権をつかみましょう。

★説教くさい話を聞かなければならない時

 上司や先輩、両親など自分より人生経験が長い人からの説教くさい話に対しては、無難にやり過ごすことが適切な対応です。基本は「その通りです」→「すみませんでした」→「次から気をつけます」という3ステップの対応になります。
 そもそも、説教とは一方的な価値観を説いて教えるニュアンスが強いもの。要は、偉そうにしていても中身がないことも多いということです。そういう説教に対しては、内容を深く考え込まずに基本の3段ステップで軽くいなすようにしましょう。

【感想など】
◆精神科医は「疲れる相手」の話を聞くプロフェッショナル
当ブログではたびたび紹介している精神科医、西田先生の新刊です。

テーマは「話を聞く技術」なのですが、特に「疲れる相手」の話の聞き方、テクニックに絞られています。

この「疲れる相手」というのは、本当に厄介ですよね。
職場のストレスの大きな割合を占める原因が人間関係だと思うのですが、確実にそれは話していると「疲れる相手」とほぼ一致しますよね。

ワタクシの場合はまわりくどい人がすごく苦手で、「結論から言えよ」とイライラしてしまいます。

こういった人たちとどう付き合っていけばいいのか、この本は非常に参考になります。

なぜなら、精神科医は「疲れる相手」の話を聞くプロフェッショナルだから。

受診する方は全員何らかの悩みや不安を抱えている方ばかり。
毎日毎日、ずっとそういう方々の話を聞き続ける仕事って、ワタクシなどは想像しただけで怖い。

病気になりそうです。

でも、ワタクシの知り合いの精神科医の方たちはみんな明るい方ばかりで、いたって元気。
心を病んだ患者さんとずっと関わっていても自分は元気でいられる精神科医の先生たちには、「疲れる相手」の話を聞くコツがあるのだろうなと思っていましたが、そのテクニックを本書で学ぶことができました。

◆悩みは100%共有できない
こういう一節が登場します。

すべての人がカウンセラーを目指す必要はありません。少しだけ上手に他人の話を聞けるだけで十分なのです。「他人の悩みばかり聞いて、大変じゃないですか?」と聞かれると、私はいつも「その通りです」と答えていますが、相手から100%聞き出そうと考えたことはありません。まして悩みを100%共有するのは不可能です。
「親身になって聞いてもらえた」と相手に思わせることができれば、それが1つのゴールです。カウンセラーでなくても、このゴールを決めることは可能なのです。

まず、プロでも100%話を聞きだし、共有することは不可能だと割り切っているということ。

この考えが、精神科医の皆さんが患者さんに影響されず心の健康を保っている根本なのでしょう。

そうとは知らない素人の我々は、どんな人でも共感して悩みを共有して真剣に聞いてあげないといけないと思って聞くからすごくしんどい。

なかには、ミイラ取りがミイラになるパターンもありますよね(うちの職場でもありました)。

ポイントは相手が「親身になって聞いてもらえた」と感じるかどうかなのです。

それさえできていればいいのです。

その人が抱える悩みや問題は、ほとんどの場合その人にしか解決できません。
冷たいようですがそれが事実でしょう。

私たちにできるのは、「聞いてくれた」という感情を持たせて、その人と「一人じゃないよ、つながっているよ」という安心感を与えてあげること。

それができれば十分なのではいでしょうか。

◆自分のポジションをくずさない
本書には色々なタイプの「疲れる相手」が登場します。

あなたの周りの疲れるタイプの対処法を読んでもらいたいですが、通読して感じたのは、自分のポジションをくずさないことの重要性でした。

攻撃的なクレーマーだったり、なかなか本心を言えない人だったり、エネルギーのベクトルは人それぞれですが、大事なのはどんな相手でも相手のペースに巻き込まれないこと。

相手のベクトルに合わせつつ、でも相手と間合いを取って、立ち位置を変えない。

これをついつい相手のエネルギーに乗っかって、ぶつかったり違う方向に引きずられたりするから私たちは疲れるんですよね。

無理に相手とシンクロする必要はないのです。
ゴールはあくまで相手が「聞いてくれた」という満足感を持つかどうか。

そこに注目していなせるものはいなす、受け止められるものは受け止める。
そういう対処法を本書でぜひ知っていただければと思います。

それが自分自身のメンタルヘルスにもつながりますしね。

話を聞くのが疲れるなぁと思う相手がいる方はぜひお読みください。

本書は著者の西多先生より献本していただきました。
ありがとうございました。

【関連書籍】

同著者の既刊本を紹介。

 

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