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ニュータイプとの付き合い方【書評】濱田秀彦(著)『あなたが部下から求められているシリアスな50のこと』 実務教育出版

おはようございます、一龍(@ichiryuu)です。

さて今日は、以前ご紹介したことがある濱田秀彦さんの新刊をご紹介。

前作は部下が上司に求められることがテーマでしたが、今回は180度ベクトルが違って、部下から上司であるあなたに求められることをまとめた一冊。

なお、表紙デザインの向きは90度しか変わっておりません(笑)。

 

【目次】
はじめに
第1章 人生の先輩として尊敬される「人間力」
第2章 マネージャーとして仕切り、プロとして実行する「仕事力」
第3章 メンバーが働きやすい環境を整える「職場力」
第4章 部下をやる気にさせ、次のステージへといざなう「育成力」
おわりに

【ポイント&レバレッジメモ】

★指示は具体的にしてほしい

部下に指示を出す時の3つのポイント
1つは、「目標を示すこと」です。目標とは、納期と要求品質を指します。「いつまでに、どのレベルのことを」ということです。

2つ目は「やり方を指示すること」です。やり方の指定は、部下の習熟度に応じて幅を決めます。新人には自分の考えでやらせる範囲をやや狭くし、中堅・ベテランには「これだけはこうしてくれ」と制限を少なくして自由度を広げます。

3つ目は「指示は肯定的に行うこと」です。例えば、マニュアル作成について「文字ばかりにならないように」というのは、否定的な指示です。「〜しないように」という否定的な指示は直感的に理解しにくく、行動につながりにくいもの。同じ指示を肯定的にすると、「写真や図解を多く入れてほしい」となり、どうすればよいか明確にできます。
 このように指示を出せば、部下から「もっと具体的に指示してほしい」とは言われなくなります。

⇒ 指示は次の3点を意識する。「目標」(納期と期待品質)と「やり方」(習熟度に応じて)を「肯定的に」表現する。

★もっと席にいてほしい

部下との共有時間の増やし方
 対策は2つです。1つは、部下との接点が少ないことを前提にして、「短い時間で濃密なコミュニケーションを取ること」です。具体的には、部下の話をよく聞くこと。<中略>
 もう1つの手は、「各種の打ち合わせに部下を連れて行くこと」です。<中略>
 打ち合わせを徐々に部下に任せていけば、部下育成と自分の負担軽減が同時に実現します。中期的には仕事を部下におろして少なくとも1日の1/3は席にいる状況をつくりたいものです。

⇒ 部下の話をよく聞く。打ち合わせに同席させるなど共有時間を増やし、徐々に仕事を部下におろす。

★隠し事をしないでほしい

 部下は、上司に「隠し事をしないでほしい」と思うもの。しかし、そうはいっても上司には部下に言えない話しもあります。<中略>
 「隠し事をしないでほしい」という部下の期待に100%は応えられませんが、ゼロ解答というわけにもいきません。<中略>
 例えば、管理職の会議で知ったことについて、「今の話しは部下に伝えてもいいですか?」と発言者に確認し、「かまわない」という言質をとったものは話してよいわけです。<中略>確認と通じて公式にオープンにできることを増やしていけば、部下の願いに少しは応えることができます。

⇒ 上への確認を通じて、オープンにできることを増やす。公開してよいものは素早く部下に知らせる。

★フェイスブックに「友達申請」しないでほしい

 基本的には、プライベートな世界にこちらから首を突っ込むのは避けた方が安全です。部下が振ってきた話しに乗るのはいいとしても、こちらから繰り返しプライベートな話題を振るのはやめておきましょう。
 部下は友達ではありませんし、上司と部下との間にはある程度の緊張感も必要です。友達関係でなくても、仕事上のよいパートナーシップは結べるのですから、ほどほどの距離を保った方がいいのです。

⇒ 部下との関係は、ほどほどの距離を保ち、ある程度の緊張感を持とう。

★ルールを破る者をきちんと注意してほしい

上司として身につけておきたい3段階の叱り方
 叱る時は、3段階で行います。第1段階は、ソフトに叱る。第2段階は、ピシリと叱る。第3段階は、厳しく叱るです。<中略>
 第1段階では、ソフトに叱ります。<中略>理由を聞いて受容し、その上でリクエストを出すということです。この段階の口調は穏やかなものでよいでしょう。
 第2段階は、<中略>指導を強め、ピシリと叱るステップです。この段階になったら、理由を聞く必要はありません。<中略>口調は強めますが、感情的になってはいけません。ピシリということが大切です。
 最終段階は、厳しく叱ります。<中略>もうイエローカード状態ですので、チームメンバーとしてやっていくつもりがあるのか問い正します。「ある」ということならば、「今回が最後。次はない」と言い切ってよいでしょう。

⇒ 職場の秩序を維持するために、3段階で叱る。「ソフトに叱る」→「ピシリと叱る」→「厳しく叱る」

★やる気にさせてほしい

 現代の若者のモチベーションにつながるのは、次の3つの実感です。
 1つ目は、「自分の仕事は価値がある」という実感。この仕事は誰かを幸せにしている、誰かの命を救っていると実感できるとモチベーションは上がります。2つ目は、「職場で自分は価値ある存在だ」という実感。仲間の一人として、職場を自分が支えていると感じればモチベーションが上がります。3つ目は、「自分が成長している」という実感。この3つが揃えば、報酬がそこそこであってもモチベーションは上がります。

⇒ 「自分の仕事は価値がある」「自分は職場で価値がある」「成長している」という3つの実感を部下に与える。

【感想など】

以前当ブログでご紹介した、濱田秀彦さんの本

参考記事

 

www.s-ichiryuu.com

 

本書はその続編にあたります。

最初に書いたように、テーマは前作と180度方向性が変わって、上司のあなたが部下に求められていることがテーマ。

前作は前作で、上司が求めていることを突きつけられて、部下であるワタクシは結構焦ったものですが、今回もかなりグサグサ刺さりました。

というのも、ワタクシは”上司”ではありませんが、チームリーダー的な役職。
かっこ良く言うとプレイングマネージャーにあたるのかな。

立場上、数名のチームメイトを動かしているわけですから上司的な権限もあるわけで、「みんなこんなこと思っているんだろうなぁ」なんて思いながら本書を読ませてもらいました。

それと同時に「俺も上司にこんなふうに思ってたなぁ」と、思い返したりもしていました。

そこで気がついたのです。
「下っ端だったころの上司に対する気持ちを、俺全部忘れてる・・・」

昔は嫌な上司を見ては「俺があの立場になっても絶対あんな人にはならないぞ」とか、お世話になった上司には「ああいう上司になりたいなぁ」なんて思っていたのですよ。

それがいざ自分がそういう立場になると、そんなこと完璧に忘れている。
みなさんそんなことないですか?

目の前の課題をこなすのに精一杯で、かつて思っていた「理想の上司像」に近づこうなんて考える余裕さえ失っていました。

本書を読んで一番に良かったのはその点に気づかせてくれたことでした。

さて、現在部下がいる皆さんにもう一つ質問ですが、部下を見ていて大きなジェネレーションギャップを感じませんか?

ワタクシはバブルルギリギリ世代(?)なのですが、これより前の世代と、いわゆる失われた20年の世代とは仕事に対する考え方とか、臨み方が全く違うように感じてなりません。

本書に登場する「部下が上司に求めること」のなかに、結構な割合で違和感を感じるのです。
「わかりやすく話してほしい」には、「自分で考えて察しろよ!」
「やる気にさせてほしい」には、「モチベーションは自分であげるもんやろ!」
「仕事を教えてほしい」にいたっては、「仕事は盗むもんだ」と教わってきたワタクシなどは、「なに甘えとんや!」と少々腹立たしく感じてしまいます。

けれど、これが現実なのです。
40代半ば以上の方は、特に認識しなければならないのでしょう。

新人から30代半ばまでの部下は全く変わってしまった価値観の日本で育った、自分たちの価値観が通じない世代であることを。

言葉を尽くして、時間を割いて、何度も何度も教えて褒めて、怒鳴るのではなく叱って育てなければならないのだと。

もうスポ根の時代ではないのです。
彼らは「巨人の星」を見て育ったのではないのです。

以前、若手と飲みにいった時、「〇〇さん(私)って、絶対仕事の愚痴を言わないですよね、なんでですか?」と訊かれたことがあります。
彼らには「仕事の愚痴を言うのはカッコ悪いこと」という価値観がなかったようです。

基本的に素直なんでしょうね。
思ったことを何でも言ってしまうし、逆に何でも教えてもらいたい。

ただ、「私は褒められると伸びるタイプですので叱らずに褒めて下さい」と冗談ではなく本気で言う新人には驚きましたが。
(こいつアムロ=レイだと思ってしまいました。「父さんにもぶたれたことがないのに」と言ったアムロですよ)

こういったニュータイプがどうも理解できないな、付き合いづらいなと感じてしまう我らラテン系バブル世代には、この本は新しい時代の上司像を学ぶ教科書と言えるでしょう。

部下との付き合い方がどうもわからないというあなたへ。

本書はアップルシード・エージェンシーの宮原様より献本していただきました。
ありがとうございました。

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