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何気にスゴ本!【書評】佐々木 直彦(著)『考えるノート』 日本能率協会マネジメントセンター

おはようございます、最近ノート売り場でノートのバリエイションの増え方に驚いてしまった一龍(@ichiryuu)です。

さて今日は、久々にノート術の本をご紹介。

装丁がすごくシンプル(というか地味)だったし、今まで散々ノート本も読んできたのであまり期待せずに読みはじめたのですが・・・

まいりました、これ何気に、スゴ本です!

【目次】

プロローグ
第1章 まず、頭に浮かんでくる言葉を書き取る<STEP1>
第2章 絵を描いて考える<STEP2>
第3章 真ん中に「問い」を書く<STEP3>
第4章 伝わるようにノートの見開きに整理する<STEP4>
エピローグ

【ポイント&レバレッジメモ】

★良い思考の条件

 良い思考の条件は、たった2つです。
1. ロジカル(理論的)である
2. 魅力的でワクワクしている

★困ったら、まず「問い」を書いてみる

 解決の第1歩は、まずノートを開いて、「いったいなぜ、こうなってしまったのだろう?」と問いかけの言葉を書くこと。
「いったい私は何をすればいいのだろう?」
「どうすれば、課長を説得できるのだろうか?」
単純に、こういう言葉をそのまま書くだけでかまいません。
そして、その問いの答を、思いつくままに全部書きだしてみてください。自分と向き合いながら、自分のペースで。<中略>
この作業をすると、書き出した言葉を自分の目で読むことになります。そこに大きな意味があります。実は書き出した言葉こそ、自分の思考そのものです。それを読むとき、人は第三者の目を持てます。

★左ページと右ページの使い方

 私は、ノートを使う時は、ノートを開いた2ページ見開きが基本と考えています。
この見開きを、

左ページ・・・情報を記録するエリア
右ページ・・・記録をもとに思考するエリア

左ページに、情報をメモしましょう。人の意見を書いていったり、本や雑誌で気になったフレーズを書き込んだり、直面している問題に関係する事実などを書いていきます。これが思考の「材料」となります。
右ページは、左ページのメモをベースに思考を巡らせるために使います。「問い」を書いたり、思い浮かんだ言葉を書いたり、整理のための図やイメージした絵やイラストを描いていきます。
右ページは、左ページの材料をもとに思考を展開させていくスペースとして使うのです。

★2つの◯で整理する
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 言葉を円でかこったり、矢印でつなぐだけで、それぞれの関係や意味がクリアになり、思考は整理されます。文字で箇条書きしたものはすべて並列に見えますが、絵にしようとすると、箇条書きした要素の相互関係が豊かに見えてきます。はるかにイメージが広がり、ユニークなコンセプトが見えてきたり、進むべき方向が明確になったりします。<中略>
2つの円を描くことによって、1つだけしか見えていなかった世界が広がり、もう1つ別の大事なものがあると気づくことができるのです。

★5段階思考サイクル整理法
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ノートを開いた見開きに、「問い」を書いて丸く囲います。これが問いの答探しの第1段階です。
真ん中に問いを書いたら、ノートの右上から図の2(第2段階)、3(第3段階)、4(第4段階)と、真ん中の◯の周りを回るようにして、考えを段階的に発展させます。
そして、左上の図の5(第5段階)で、答えとなる仮説が書けるように進めていきます。5段階の内容は次のようなものになります。
第1段階・・・「問い」
第2段階・・・「仮の答え」+「その答えを出した理由」
第3段階・・・「仮の答えへの反論・疑問点」
第4段階・・・「反論への反論」、「最終的な答えを出す鍵となる重要な視点」
第5段階・・・「答え(いま時点の結論)」

★ノートのいろいろな場所に意味と役割がある
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 ノートの紙面と上下左右、中央、右上、右下、左上、左下、にはそれぞれ、意味と役割があります。とくに、中央、右上と左下のスペースに、人は心理的に非常に強い意味を感じやすいことがわかっています
ノートの見開き2ページをひとつの紙面と考えても、片側1ページをひとつの紙面と考えても、それぞれの場所の意味は変わりません。
ノートの右上・・・未来。こうありたい姿や目指すビジョンなどが向いている
ノートの左下・・・過去。テーマや課題の原因・背景となるものが向いている
ノートの真ん中・・・現在。テーマや課題、戦略の柱となるものを置くのが向いている
ノートの左上と右下・・・未来へと向かう推進力となる要素や、真ん中に書いたテーマに関連する説明や問題を解決に導くキーワードなどが向いている

【感想など】
久々に「これは使える!」と直感したノート本でした。

内容的にはノート本と言うよりは、ノートを使った問題解決発見方法と言ったほうがいいのかもしれません。
はっきり言ってしまえば、このメソッドはノートに書かなくてもいいのです。

画用紙でもスケッチブックでもホワイトボードでもかまわない。
書く物を選びません。

そういう意味ではノート術とは違うのかもしれません。
が、現実問題として私たちが一番身近で手軽な書く対象として、一人で思考を深めるツールとして、やはり”ノート”が最適なのでしょう。

さて、本書のメソッド。
4つのステップに分けて説明されています。

ステップ1・・・まず、頭に浮かんでくる言葉を書き取る
→自分と向き合って、自分の頭をすっきりさせる整理

ステップ2・・・絵を描いて考える
→問題を空間の中で視覚的にとらえ、自分の見えなかったものを発見したり、気がつかなかった他人の存在に気づくための整理

ステップ3・・・真ん中に「問い」を書く
→未来を目指して、これからやるべきことを明確にする整理

ステップ4・・・伝わるようにノートの見開きに整理する
→自分の思いや、仮説を自分以外の多くの人に伝えて、巻き込んでいくための整理

本書の秀逸な点は、ノートの限られたスペースの中で、空間的な広がりと、位置取りをうまく使っている点だと思います。

例えば2つの◯で整理する方法では、2つの◯が、自分と上司でもいいし、過去の自分と未来の自分でもいい。
その関係性を◯の位置取りで表現し、しかも第3者の目で客観的に見ることができるというメリットがあります。

◯を2つ書く、それだけですよ。
あとは2つの◯に関係する要素を書き加えていくだけ。

こんな単純な方法で、頭の中で考えていただけでは気がつかなかったことが見えてきたりするわけです。

また、5段階思考サイクル法では、中心に書かれた「問い」にたいして、その周りを仮説と反論が繰り返されながらグルグル回って答えを導きだします。

まるで、メイク&トライを繰り返すよう。

ここでひとつ気がつくのはマインドマップとの相似部分。
マインドマップも中心にテーマを描きますが、マインドマップの場合はそこからブランチが八方にに拡散していきます。
中心からは慣れれば離れるほど、テーマの深い部分に深化していったり、あるいはテーマを細分化していきます。

しかし、このメソッドは繰り返し繰り返し、まるで螺旋階段を上っていくような思考をたどります。

さらにワタクシが、これは的を得ていると思ったのが、ノートの紙面の位置とその場所の意味を見事に喝破している点。

右利きと左利きとで違うのかもしれませんが、私たちは基本的に”右肩上がり”のラインが心地よく、右下がりのラインは気持ち悪く感じるようにできているそうです。

本書ではその紙面上の位置の意味をうまく使い、左下が過去、中央が現在、右上が未来という右肩上がりのラインを中心にその周辺にキーワードを配置するメソッドを紹介しています。

ワタクシはマインドマップを正式に習ったことはないのですが、フォトリーディングの講習の時に少しだけマインドマップのコツを教わりました。

その時に講師の先生がおっしゃったのが、「右上と左下が重要なブランチになるように描くといいですよ」という言葉でした。

このラインに過去→現在→未来の時間の流れを重ねて視覚化し、問題解決の答えを導こうとする著者のメソッドは、右肩上がりを心地よく感じ、成長するイメージと重ねあわせることが容易である点が、これまで私が読んだノート術本の中でも群を抜いて秀逸なメソッドだと思います。

なお、今回の記事で紹介したのは、このメソッドの基本的な部分だけです。
詳しくは是非本書でお確かめください。

巻頭にある言葉、

「筋の通ったロジック」と「未来が拓けるイメージ」
この2つがあると、人は前にすすめます。

まさに前に進むためのノート術。
このメソッドなら自分の中にある答えを引き出せると思いますよ。

何気にスゴ本です!

本書は日本能率協会マネジメントセンターの木村様より献本していただきました。
ありがとうございました。

【関連書籍】
本書中に登場する本。

参考記事

www.s-ichiryuu.com

著者、佐々木直彦さんの既刊書

本書は一流コンサルタントが、豊富な現場経験を元に編み出した実践的な情報整理術を説くもの。いかにして「ホンモノの情報」を生み出すかという概論から、「情報を2冊のノートに」「語尾をメモしろ」「パステル系に転ばせる」など具体的手法も満載。プロの情報収集、思考、伝達術を余すところなく伝える。

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