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これからの常識、これからの働き方【書評】山元賢治(著)『「これからの世界」で働く君たちへ』 ダイヤモンド社

おはようございます、アップル信者の一龍(@ichiryuu)です。(といいつつKindleに浮気してますが)

さて今日は、元アップル・ジャパンの山本賢治氏の新刊をご紹介。

さすがに数々の外資系を渡り歩き、ジョブズ、クック、ラリー・エリソンといった現代ビジネス界の巨人と渡り合ってきた方。

その視点は日本人の常識に強烈なパンチをお見舞いしてくれます。

 

【目次】
はじめに 世界標準の武器を教えよう
Part1 世界を変える「チェンジメーカー」になれ!
Part2 これからの世界を生き抜く「世界標準の武器」
Part3 どこでも一生役立つ「サバイバル・スキル」
Part4 「自分の価値観」に素直に世界を生き抜く
Part5 これからのビジネスで何より大切なこと
Part6 世界で戦う前に知っておきたいこと
おわりに 平成の坂本龍馬になれ!

【ポイント&レバレッジメモ】

★文系・理系の言い訳は一切通用しなくなる

これからの時代は、ソフトウェアの簡単なコードを自分でかけるのは当たり前になるはずです。シリコンバレーなどでは、子供の頃からそうした教育もされているようですが、日本でもITを教えられる人材こそ教職につく必要があるのです。
余談ですが、教育者にはビジネス経験のある人がつくというのも重要だと思います。勉強のための勉強ではなく、今学んでいることが実際のビジネスの現場でどう生きるかを教えられるかどうかは、今後の教育で極めて重要になるでしょう。
理系の人も、コミュニケーションが苦手などとは言ってはいられません。
今後は、今までのように部署を切り分けたセクショナリズムはどんどんなくなり、トータルなイノベーションの発想が誰にも求められる時代です。

★「動的に」優先順位を見直す

優先順位をつける上で難しいのが、物事は予定通りにはいかないということです。
ビジネスの状況は常に変化しているので、毎日、毎時、毎分、「動的に」優先順位を見直していく必要があります。ちょっとした何気ない立ち話や噂話で優先順位が入れ替わることもあるかもしれません。
やるべきことを書き出して上から順にやるような方法は「静的な」優先順位です。多くの人は、この静的な優先順位のつけ方にしかこだわっていませんが、仕事の送料が処理できるキャパシティを超えてしまえば、どれだけやり方を工夫しても対処できません。

★全能型メンターではなく、「インデックス型メンター」を持て

しかし、私には特定のメンターはいません。スティーブやラリーに対しての憧れの気持ちは持っていましたが、彼らは自分の理想像でもメンターでもありません。
そんな私が実践していたのは、特定のメンターを持つのではなく、Aさんのここ、Bさんのここと、自分が憧れる部分だけを引っ張り出し、複数のメンターを抱えることです。
社内でもクライアント先でも、上司、部下、男性、女性も関係なく、全方位型に自分の憧れる力を持った人を勝手にメンターにして、そこに「文章の先生」とか「話し方の先生」のようにインデックスを貼っていくのです。
悩んだときは各先生に尋ねますが、一人の全能型メンターでは答えられないことでも、複数の「インデックス型メンター」であれば、インデックスの数だけ対応できることになるのです。

★「自分の中の達成感」を常に確かめる

スティーブ・ジョブズは、いつもこう言っていました。
「You should all know already」(みんな知っている)
実は誰もが、やりたいことや、やるべきことをすでに知っていると言うのです。
誰もが社長になる必要はありませんし、誰もが一番になれるわけではありません。けれど、誰もが何をしたいかは、本当はわかっていて、できない言い訳をいつも用意しているだけなのです。
できるかできないかより、自分がもっとワクワクすることに情熱を注ぎ、自分が目指す方向性に近づける努力をすること。最大のポイントは「止まらない」ということです。<中略>
この世でもっとも強力な武器は「パッション」(情熱)です。<中略>
ただ、情熱というのは形がないものなので、常に確認しなければいけません。自分に向き合い、自分がワクワクしているか、つまりワクワクすることに情熱を注げ、目指すべき方向に近づこうとしているのか、という「達成感」を確認するのです。

★成長を邪魔するのは成功。明日のために「昨日の成功」を捨てる

ビジネスにおけるただ一つの真実は、「変化し続けること」です。<中略>
企業だけでなく個人においても、成功は時に成長の邪魔をすることがあります。
時代が変化している限り、成功も変化するのです。そこにしがみついている限り、未来の成功は決して生まれません。<中略>現状がベストと思わないこと。満足しなければ、数えきれないほど自分でできる「明日への変化」を発見できるはずです。
明日のためにこそ、昨日の成功にしがみつかないようにしてください。

★違いを認め「フェアトリート」すること

これからの世界では、フェアであることが非常に重要になります。
グローバル社会では、もともと人種や性別による「違い」があるので、違いを認めた上で公平なルールに基づいた取り決めが必要になってくるのです。
そうなると、「違い」はますます武器になります。これまでの基準では劣っていると考えられていた才能が、実は別の世界では高く評価される可能性もあります。
また、グローバルスタンダードで物事を判断する時代になったとき、日本独特の価値観だったり、空気を読んだり、不思議な暗黙の了解のようなローカルスタンダードはフェアではなくなってくるのです。
フェアネスは、仕事の進め方からマネジメント、評価まであらゆる場面で関わってきます。ビジネスに裏ワザはなく王道こそが近道のように、これからの世界では、ますます正しいことを愚直に行う時代になるのです。

【感想など】

ワタクシ、アップルファンを自称しておきながら、本書著者の山本さんも、以前紹介した前刀さんも知らなかったという・・・まったくモグリですね。

まぁそれは勘弁していただいて、山本さんの経歴がまずすごい。
日本IBM、日本オラクルなどを渡り歩き、2004年にアップル・ジャパンの社長に就任。

ジョブズやクック、ラリー・エリソンといった巨人達とビジネスをしてきた、まさに”外資を知り尽くした男”なのです。

そんなグローバル起業で働き、学んできた著者が見た「日本のビジネス界のここが変だよ」、「これは世界では通用しないよ」といった指摘が本書の前半部分。

これはね、結構な衝撃ですよ。
日本人の当たり前が、おかしい、通用しない、反則といわれるわけですから。

ワタクシも読んでいて、「えっ、だめなの?」というものがたくさんありました。

例えば日本ではよく
「この件に関しては一端社に持ち帰り検討させていただきます」
というのありますよね。

これはダメ!
特に肩書きに”マネージャー”とあるのにその場で決められないとはどういうことか?あなたには権限がないのか?となるそうです。

また、メールの文章の長さも。
日本では「お世話になっています」とか挨拶から入って、日頃の感謝の気持ちやら、ミスの謝罪やら、我々にとっては”丁寧”と感じるものも、グローバルスタンダードでは、不必要な飾りのようです。

ジョブズやクックからのメールのエピソードが書かれていますが、基本的にメールは用件を伝えるもので文章はできるだけシンプルに、というのが普通だそう。

ただいくらシンプルなほうがいいといっても、「?」だけのメールがジョブズやクックから送られてきたらビビりますよね(笑)。

こういった、「日本の常識、世界の非常識」について、教えていただけるだけでも本書を読む価値があるのですが、後半では「じゃあこれからどうしていくべきか?」が語られていて、ここが本書のキモとなります。

【ポイント&レバレッジメモ】でも後半をメインにピックアップさせていただきました。

アベノミクスでほんの少し「動き出した」観があるものの、日本の中身は何も変わっていません。
政府も今後ますますグローバル化するであろう未来に向けて、ではどんな人材が必要なのか、そのためにはどんな教育がされるべきなのかという”ビジョン”を指し示してはいません。

また、ビジネスパーソンにとっても、今が「変化の時代」「時代の転換点」であることは感じつつも、ではどう変わればいいのかという点はよくわかっていなのが現状でしょう。

特に日本の中だけで仕事が完結する業種に身を置いていると、ある意味「茹で蛙」になりかねません。

本書では40もの”講義”というかたちでグローバル化の時代にどうあるべきかを説かれています。
一つ一つの詳細については、ぜひ本書に直接当たっていただきたいのですが、全体を通して感じたのは

個を持つこと

己を持つとか、軸を持つといってもいいかな。
そしてそれでいて、変化しつづける。

精神的な”しなやかさ”を身にまとう必要がある、ということでした。

なにかダーウィンの言葉を思い出しますね。

『最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である』

変化の時代、井の中から外海に出ようとする時代。
その準備として本書は教科書となってくれそうです。

本書はダイヤモンド社編集者の市川様より献本していただきました。
ありがとうございました。

【関連書籍】
同著者の既刊本

 

アップル、オラクル、IBM、EMC…etc.超有名創業者たちと非ネイティブにして外資トップにのぼりつめた著者とのタフな会話とは?これからのビジネスパーソンが世界で生きのこるためのビジネス英語とあの天才、カリスマ、偉人たちとの知られざるエピソードを初公開。

 

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【管理人の独り言】

気になる新刊

 

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一筆書きのように描いた評伝。

かなり骨太の本ですが、この内容紹介を読んだだけですごく惹かれます。

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