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結局自分次第?【書評】齊藤 正明(著)『「自己啓発」は私を啓発しない』 マイナビ

おはようございます、自己啓発書が大好物の一龍(@ichiryuu)です。

さて今日は、マグロ船評論家(?)として大活躍されている齊藤 正明さんの最新刊をご紹介。

齊藤さんご自身が自己啓発系セミナーの講師をされているのにこのタイトル。
しかも帯には「自己啓発セミナー・教材に600万円以上をつぎ込んだ!」という衝撃のカミングアウト。

さて、その真意やいかに。

 

【目次】
はじめに
第1章 人間関係に悩み、自己啓発にハマる
第2章 次々と自己啓発をくりかえす日々
第3章 自主開催セミナー・異業種交流会・ネットワークビジネス
第4章 会社を辞めて起業することに
第5章 講師として起業し、成功をつかむことに
第6章 自己啓発から教わることはない
おわりに

【ポイント&レバレッジメモ】

★セミナーも会社もカルト宗教と同じ?

カルト宗教によるマインドコントロールの3つの手順
1隔離する
 連れてきた人を、外界から遮断したところに置き、不安にさせ、気持ちが揺れ動きやすい環境をつくる。カルト宗教の場合は、教団の講堂に来させる。セミナーの場合は、窓のないセミナールームに来させる。

2これまでの生き方を全否定する
 カルト宗教の場合、「お前のこれまでのような生き方が環境を破壊し、神を怒らせ、近い将来、世界が崩壊する!」と、これまでの生き方を批判する。セミナーの場合、「あなたのその行動が、周りの人に迷惑をかけている!」と、これまでの生き方を批判する。

3救いを授ける
 カルト宗教の場合、「教祖様に従えば、私たちは救われる」と、唯一の正解を出し、多くの信者が教祖の前にひれ伏す姿を見せる。セミナーの場合、講師が「こういうふうに行動すれば、道は開ける!」と、唯一の正解を出し、その通りに動けばワークショップがクリアできるようになっている。

★社会人にとっての「教師」

 私は、周囲を困らせる人を無理に変えようとか、何とか仲良くしようとするのではなく、いっそ最低限の付き合いにとどめるべきだと思います。その分、浮いた時間で、自分を理解してくれる人や大事な人にもっと時間を使うほうが良いように感じるのです。<中略>
 「教師」という言葉を聞くと、勉強を教えてくれる人というイメージがありますが、それは学校だけで通用する言葉だと思います。社会に出た後の「教師」とは、残念ながら自分にたいして困ったことをしてくる人のことで、イメージにある教師と呼ばれる人と真逆の人のことを言うのではないでしょうか。

★自主開催セミナーから学んだこと

 それまでの私は、「学ぶ」という言葉を聞くと、「お金を払って有名な先生から習うこと」というイメージが強くありました。しかし、この経験(自主開催セミナー)以降、一番学べて人の心を理解できる人になるには、逆に「お金をいただくこと」がもっとも効果的だと思うようになりました。
 お金をいただくには、当然、お客様に納得をしてもらわないといけません。いくら友人が優しくても、義理だけでは何度もお金を払ってくれません。
 「どうしたら、お金を払ってでも来たいと思ってもらえるか?」
 それを考えることで人の心が理解できる感性を育て、おもてなしの心なども、身についていくと思うのです。

★人脈はつくるものではなく、できてくるもの

 異業種交流会で何度か痛い目にあった私が行き着いた結論としては、「人脈をつくるためには、自分からつくろうとしても無駄だ」ということです。考えるべきことは、人が寄ってきたくなる自分をつくることだと思うのです。<中略>
 人間関係も旅行先を決めるのと同じで、「この人にあいたい!」と思わせる価値や魅力がないと、人は寄ってきません。つまり、「私を有利にしてほしい」とか「私の売上げを上げたい」という企みをすべて捨て、正反対の「私と関わると得をします」とう雰囲気が伝わる必要があるのです。

★セミナーは趣味のサークル程度に付き合う

 私は、金銭的なトラブルや詐欺的な目に遭わない限り、セミナーに参加すること自体は何の問題もないと思います。あるいは、体調をくずしたり心を病んだりするとんでもないセミナーでさえなければ。
 しかし一つ大きな問題として、セミナーにハマった人は、間違えたエリート意識をもってしまい、そこから抜け出せなくなり、結果的に家族や会社の人に迷惑をかけてしまうことがあります。<中略>
 人間、居場所は過程や職場以外にもあったほうが精神の安定状いいと思いますし、趣味のサークルと同程度に付き合えるのであれば、セミナーに通い続けることに問題はないように感じています。

★”自己啓発”しても他人はコントロールできない

 自分がより高い人格を目指し努力をします。それに伴い、周りに自分を支持してくれる人が少しずつ増えてきます。だからといって、どこまで努力しても全員があなたの言うことを聞いてくれる神のような存在に慣れるはずがありません。
 「人を変えられる!」という広告の幻想にとらわれず、このような人間の限界を知った上で努力を続けることが、仕事で成果を出すためには大事だと思うのです。

★自己啓発から”教わる”ことはない

 私は、自己啓発にしてもビジネススキルアップの講座にしても、教えていること自体が悪いこととは思っていません(過激過ぎたり、教え方に問題があったり、金銭トラブルになったり、法律に触れるものは、当然いけないと思います)。
 ただ、気をつけてなければならないのは、「教えていることはすべて、その講師の勝ちパターンにすぎない」ということで、あなたに合うやり方かどうかはまったく別の問題だということです。<中略>
 つまりセミナーで教えている内容は、「正しいか?間違っているか?」ではなく、「自分に合っているか?合っていないか?」という視点で聞かないといけないのです。

【感想など】
ワタクシが齊藤さんとお会いしたのは2010年の8月。
美崎栄一郎さんが主催する築地朝食会ででした。

参考記事:「会いたい人に会い、行きたいところに行き、見たいものを見る」【旅】東京に1週間ステイしてきました。

その後、著書を送ってくださるようになり、マグロ船に乗ることになったいきさつや、マグロ船での体験なども何度も読ませていただいておりました。

が、本書はこれまであまり書かれていなかった、齊藤さん自身のセミナー体験を赤裸々に綴った、ある意味初めての自叙伝的作品であり、いまの齊藤さんの主張のベースとなった部分でもあります。

そして、とにかく面白い。

著者には失礼ですが、いくら高圧的な上司に悩まされていたとはいえ、こんなにセミナーにハマるのか?と。
「なんでそんなセミナーに参加するの?」「他にも方法はあったでしょう」と全編にわたってツッコミたくなるすごいセミナー経験の数々。

実はワタクシは自己啓発系のセミナーに出たことがありません。

当ブログでは自己啓発書や成功本をたくさん紹介していますが、たくさん読みあさったことで「どれも基本は同じだな」とある意味悟ってしまいました。

それに、田舎なのでそういうセミナー開催自体が少ないこともあって、未経験。

著者さんの出版セミナーで仕事術系のセミナーに何度か参加したぐらいです。

ですから、本書を読んで余計に「大丈夫ですか?齊藤さーん」と感じてしまったのです。

でも、そういったものにハマってしまうのは理解できたりもします。
というのも、ワタクシが学生時代に同じ寮に住んでいた同級生が、カルト宗教に入信してしまうということがありました。

あるとき、最初にその宗教団体の事務所に連れて行かれた時のことを聞かせてもらったのですが、【ポイント&レバレッジメモ】にピックアップした、「カルト宗教によるマインドコントロールの3つの手順」のまさにそのものなのです。

一畳ほどの個室に閉じ込められ、人類が歴史上行ってきた悪行の数々をビデオで延々見せられ、精神的にまいったところで神の愛にすがって生きる方法を教える。

この手口を聞いていたので、まず本書を読んで思ったのは高額な商品を買わせたり、詐欺まがいの悪質なセミナーと、カルト宗教の勧誘がそっくりだということでした。

この部分は身を守るためにも要チェックです。

「俺はそんなのに引っかからないよ」と思っているあなた、人間は意外にもろいものですよ。

それともう一つ。
自己啓発セミナーには参加したことがないものの、自己啓発書は多数読みました。
その経験からいうと、自己啓発書を読むと一種の陶酔感があります。

「他人が遊んでいるときに、自分はこんな本を読んでいる」「自分は努力している」といった優越感とか、本のないように感化されて「俺には何でもできる」といった高揚感。

こういったものの快感が麻薬のようにクセになり、自己啓発書を読みあさってしまうのです。

おそらく自己啓発セミナーにも同じような中毒性があるのではないでしょうか?
齊藤さんがおっしゃるように、セミナーの会場というのは現実とは著と違った別世界です。

一種の閉鎖空間で、そこへ集まっている人はある種似た者同士です。

「これは非現実、非日常なんだ」と自覚して現実の生活とのバランスのとり方をうまくしないと、気がつくとセミナー難民になってしまうかもしれません。

ここは注意したいところです。

さて最後に、「自己啓発」セミナーは本当に無駄か?というお題。
んーこれは難しいですね。

セミナー内容にもよりますし、それを受講する人にもよります。

実際、出版セミナーを受講して出版にこぎ着けた著者さんもたくさん知っていますし、すべてのセミナーが無駄だとは思えません。

先述のカルト教団に入信した同級生でさえ、ちゃらんぽらんな生活から抜け出し、真面目に大学に通って卒業したとう事実を見れば入信してよかった点もあります。

よほど悪質なものでない限り、要は、その人にとってそれが人生を変えるきっかけとなるのであればいいんじゃないかと。

ただ、それをきっかけとできるかどうかは本人次第。
結局は受講する人にかかっているんじゃないでしょうか。

齊藤さんは「600万円つぎ込んだ!」わけですが、その経験も含めていまの職業で成功されているわけですし、またこれをネタに本にしているのですから、当時は必死だったにしても、今となっては飯のタネですよね。

答えとしてはその人次第ということで・・・(笑)

本書は著者である齊藤 正明様より献本していただきました。
ありがとうございました。

【関連書籍】
本書にも出版のいきさつが登場する齊藤さんのデビュー作がこちら

齊藤さんがマグロ船に乗ったいきさつを知りたい方はぜひ。

1 COMMENT

マグロ船 齊藤 正明

今回も、取り上げてくださり、
誠にありがとうございました。
本当にささやかながら、ランキングボタン、押させていただいております。
タイトル的には、全否定 な感じですが、おっしゃるとおり、すごく、結果的には糧になっております m(__)m
ご友人のかたも、よかったですねー
(;_;)
我ながら、過去の自分はマヌケだと思います。
でも、おそらく、今の自分も、まだまだ、相当マヌケなのかもしれません。
少しずつ、マトモになることを目指してます (^-^)

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