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「聞く達人」に学ぶ「聞く技術」10のポイント【書評】大塚寿(著)『1万人の体験から学んだ「聞く技術」』 PHP研究所

おはようございます、トイレに入っている時に限ってセールスが来るという一龍(@ichiryuu)です。

さて今日は、大塚寿さんの新刊をご紹介。

「後悔しない〜」シリーズの著者が書いた営業マンのためのコミュニケーション本。
再現性の高い実践的なメソッド集となっています。

 

【目次】
まえがき
第1章 なぜ聞く力が重要なのか
第2章 誰でもできる聞く力、パワーアップ作戦1 〜最初の一言セオリー
第3章 誰でもできる聞く力、パワーアップ作戦2 〜会話のセオリー
第4章 テーマ別コミュニケーション力、パワーアップ作戦

【ポイント&レバレッジメモ】

★「聞く力8割、話す力2割」

 結局のところ、どんな仕事でも高い業績を出す人は「聞く力八割、話す力二割」の人に違いありません。
 しかし多くのビジネスパーソンの頭の中のシェアは、逆に「聞く力二割、話す力八割」くらいのはずです。中には「話す力10割」で、聞くことの重要性に気づいていない人も散見されるくらいです。
 これは仕事の成果が見えやすい営業の世界では、かなり顕著になります。どんな業界の営業でも売れる営業パーソンと売れない営業パーソンに二分されてしまうものですが、両者の営業場面にはちょっとした違いがあります。
 双方の営業シーンを観察してみると、売れる営業はお客様のほうが話している時間が長いのに対し、業績の芳しくない売れない営業パーソンは自身が話している時間のほうが確実に長いのです。

★タフネゴシエイターは「GIVE&TAKE」を重視する

 さらにその交渉で重要になるのは、話術よりもそれまでの「貸し借り」がものをいうことを忘れてはなりません。交渉は「GIVE&TAKE」が大原則となりますので、「貸し」のある場合は優位に交渉が運ぶはずですし、逆に「借り」が多いと双方が思っている場面では、どうしてもそれがハンディとなって強気には出られなくなってしまいます。
 ですから、交渉力のある人というのは、単に話術が優れているのではなく、日常的に貸しをつくっている人でもあるので、やり取りされる言葉もさることながら、そのあたりのことまで踏み込んだ、スキルアップをして欲しいと思います。

★「最初の一言のセオリー」を知っておけば、雑談なんて一簡単だ

 そこで、まずは雑談の三つのセオリーを紹介しておきたいと思います。
それは、基本的に相手が喜ぶ話題を振る、素朴な疑問を投げかける、共通の話題を振るという三つの視点で考えて、最初に自分の頭に浮かんだ話題を振ればいいのです。
このことを実行するだけで、どんなに雑談に苦手意識を持っている人でも、「なんだ、こんなに簡単なことだったのか」と驚くに違いありません。

★雑談ネタは「使い回し」でいい

 雑談といっても、自分は「話を振って」聞いている時間のほうがよっぽど長いのですから、面白かった話やためになった話というのは、イヤでも記憶に残ります。
 ですから、聞いてきた雑談ネタや「へえ~」と関心した話を、別のところで話すという、聞いた話を使い回すだけで雑談は成立してしまうものなのです。

★人と会う前に「関心のスイッチ」をカチッと入れよう

 それは自分の中で「関心のスイッチを入れる」という感覚を持つだけのことです。
 強く意識して欲しいのは、例えば服装でいえば休日は普段着を着て、仕事の時は仕事着を着るように、普段の自分と「仕事の自分」を分けて、「仕事の自分」でビジネスコミュニケーションに臨むことです。
 そうしてONになったら完全にビジネスモードになって、目の前の相手にはまるで条件反射するように「関心のスイッチ」を入れて、感情移入してしまいましょう。
 その際のコツとしては、性善説の限りで自分の脳内を満たして、とにかく一点集中して相手のいいところ、共感できるところ、好感の持てるところをできるだけ多く探し続けるのです。

★「相手に届く声」で突破力アップ

 逆に大多数が意識していない分、職種を問わず、「相手に届く声」というのは武器になります。自身のコミュニケーションにおいて「相手に届く声」というのはいったいどういうものなのかを考えてみることが、バージョンアップの最初の一歩になります。
 もし、それが思いつかなかったら、気道を確保するように喉を大きく開いて、「声を前に出す」ようにしてみてください。そして、お腹から声を出すようにすると通る声、つまり相手に届く声になりやすいのです。この基本動作がダフな交渉で武器として使える声をつくり出すのです。

★「空気マネジメント」ができれば、会話は「ゾーン」に入る

 利害も立場も異なる相手と、いかにシンクロして、意気投合状態が築けるか。ポイントは相手との間にある空気をマネジメントすることに尽きます。
 目に見えない空気をいかに感じるかは、その温度の変化を感じることです。相手は関心を示すだけで熱気を帯びますから、室温は上がります。その温度をさらに上げて、案件化や承諾の許可を得る沸点までにするには、何が必要かを考えて、着火した火をさらに大きくするために油を注ぎ、マキをくべ続けるのです。
 その炎がマックスの状態が、営業のゾーンなのだと私は解釈しています。

★相槌は「1.25倍の法則」

 まずは、「1.25倍の法則」を頭に入れて頂きたいのですが、相手を肯定したり、関心を示す際の相槌はややオーバー目にするのが鉄則です。相手にわかるように「自分はその話に食いついている」ということを態度で示すのです。コミュニケーションでは言葉よりトーン、トーンより態度が重要です。それがまさに行動で示されるところなのです。
 ややオーバー目という表現では、料理の「目分量」や「適当に」と同様に、どのくらいのレベルなのか暖味かもしれません。そこでみなさんには普通の「1.25倍」つまり普通より25%盛った感じで相槌をして頂くようお薦めします。
 逆に相手にとってマイナスの話題になっている時の相槌は普通の「0.75倍」で、やや受け流すニュアンスの相槌にしたいものです。

★たとえ競合が一社でも一日本でトップシエア」だ 

「ウソ」にならない範囲で着火させて、相手が身を乗り出してくるような会話にするためには、何をどうすればいいか考え尽くしているかどうかが大事なのです。
 大切なのは、会話を盛り上げられる特技を持っているということではなく、盛り上げる術を知っているということです。
 会話を盛り上げるための誇張は演出ですから、自分が「したい」か「したくない」かよりも先に、その方法をいくつ知っているかがポイントになるのです。
 どんなに小さな市場でも、競合が一社しかなくても「日本でトップシェアの商品」と表現すべきですし、「○○の分野で日本一」こと表現するために「○○の分野」のほうを細かく分解していくべきです。

★「言葉のない対話」が最高だ

 私はまさにお互いの間にある「空気を察する」という意味で、こうした言葉のない対話がコミュニケーションのいわば最高位にあると思っています。
 私はコミュニケーションで一番大切な要素は相手に共感すること、感情移入することだと考えています。
 しかも、そこに言葉がなければ、想像を働かせて相手のことを慮るしかありません。その想像力こそが「KY」のKの正体に違いありません。

【感想など】

◆売れる営業マンの秘密は「聞く力」

以前、当ブログで紹介した大塚寿さんの新刊です。

数えきれないほどの面接をしてきた著者の経験から書かれた

は、ワタクシも大いに共感し、我が家の書棚の”殿堂入り”コーナーに置いて、何度も読み返しております。

 

www.s-ichiryuu.com

www.s-ichiryuu.com

www.s-ichiryuu.com

 
さて、そんな著者の今回の新刊のテーマは営業マンのための「聞く技術」。

「営業マンは話す技術でしょ!」と思われるかもしれませんが(ワタクシもそう思ってました)、実は逆なのだそうです。

「話し上手に売れる営業なし」といわれるゆえんは、営業は聞くことのほうが重要だからです。

とおっしゃるように、売れている営業マンはみんな「聞き上手」なのだとか。

そういわれてみれば思い当たる節があります。

我が家にこれまでに来たセールスさんたち、皆さん一生懸命自社製品のいいところを説明して、賢明に売り込んでいましたが、ワタクシは別に今すぐ欲しい商品でもないものの説明に付き合わされて、「早く帰ってくれないかなぁ」と辟易しただけでした。

そんな中、家のリフォーム・修繕の会社の営業さんは上手かった。

外壁の塗装という、結構高額の内容でしたから契約には躊躇する商品だったのですが、この方のトークは売り込むというより相談を受けるという形。

現在住んでいる家の不都合な点、いたんでいる箇所のメンテナンス方法、庭木選びや手入れなどなど、外壁塗装以外の部分で家に関していろいろと相談に乗ってくれて、アドバイスをしてくれたのです。

しかも、「安く請け負ってくれる会社知ってますから」と、庭や電気関係などの自分の業務とは違う分野の紹介も。

もちろん、同じ建築関連ですからお互いに知り合いで、お客を融通し合っているのでしょうが、最終的には「そこまでしてくれるなら」となってしまいました(もちろん商品もよかったのですが)。

こちらが困っている点を引き出して、それに素早く対応するのが本当に見事でした。

◆「仕事の自分」でビジネスコミュニケーションに臨む

 本書はハウツー本ですので、誰でも再現できる実用度の高いメソッドが中心となっていますが、そんな中で

「仕事の自分」でビジネスコミュニケーションに臨む

という言葉が、ワタクシの中でパシッと引っかかりました。

「仕事の自分」にスイッチを切り替えて、お客様に臨むというのは、当たり前のようで実際にはできていないセールスさんが多いような気がします。

たとえば以前、ソーラーパネルのセールスさんがやって来たのですが、真夏にジャケットをしっかり着ておられました。

それは会社の方針かもしれないし、ビジネス上のエチケットなのかもしれません。

でも、非常に暑い日で、その方はもう何件も回られて来たのでしょう、顔は玉のような汗、ジャケットの背中までぐっしょり汗で変色しています。

大変失礼ですが、見るだけで暑苦しいのに、その方のそばで話しをしたいと思うでしょうか。

「仕事の自分」にスイッチを切り替えて、プロフェッショナルとしてお客様に対するのなら、身だしなみといった言語以外のコミュニケーションにも心配りができるようになりたいですね。

心底プロフェッショナルとしてお客様と対峙するなら、会社の規則とかビジネス上のエチケットよりお客様が不快に思わない心遣いが優先されるはず。

それが本当のプロフェッショナルだと思います。

ちなみに前述のリフォーム会社の方は作業着でした。

◆コラムが秀逸!
 
 さて、本書の主題は「聞く力」ですが、章末ごとに 誰にでもできる話す力、パワーアップ作戦 と題したコラムが用意されていて、「話す力」のための実践的なハウツーが多数紹介されています。

 これが非常に秀逸で、このコラムだけで別に一冊出版できるほどの内容。

例えば、 二つではなく「三つ」提示せよ! というメソッドがあります。
これ自体は”マジックナンバー3”などと言われて、プレゼンや企画提案などでは基本中の基本のメソッドです。

しかし本書のコラムではもう一歩踏み込んで、

最後に、伝え方でこの「三つあります」作戦を実行に移す際、必ず守らなければならないのは、「三つ」の中で一番相手にとってインパクトがあるであろう事柄を最初に話すことです。たとえ販促ツールの順番でなくても。これはセオリーです。

といった運用上の”コツ”も紹介。

まさに一冊で二度美味しい。

◆普段のコミュニケーション術としても使えます!

本書の主なターゲットは営業マン。

そのため、内容的にはセールストークのハウツーがメインなのですが、基本的には人と人とのコミュニケーション術であることにかわりありません。

ですから、本書に書かれているハウツーは、対お客様だけでなく普段の職場でのコミュニケーション術としても使えます。

たとえば、あなたは職場に苦手な人、先輩、上司はいませんか?

本書には苦手な人への対処法として、こんな方法が紹介されています。

 まずはイマジネーショントレーニングに近いのですが、この状況を克服するのに最も有効とされ、、代々引き継がれている方法は、とにかくその苦手な人が娘をかわいがっているシーンや犬と戯れているといった憎めないシーンをリアルにイメージすることです。
 私がいつもやっていたのは、その人が食事をしているシーンをイメージすることでした。それというのも食事をしている時、人は必ず無警戒になり素の表情が出やすいのです。

普段、めっちゃ強面で取っつきにくい人が、家に帰ると「〇〇ちゃん、いい子にしてまちたか〜」と言って娘や犬をかわいがっていると想像したら、それだけで可笑しくなってきますよね。

イメージトレーニングは特に道具も練習もいりませんので、今日職場に行く前にちょっと試してみてください。

不思議と苦手意識が軽くなっているものです。

といった感じで、1冊で2度3度美味しい本書。

「聞く力」「話す力」をアップして、自らをバージョンアップしたい方、ぜひ!

本書は著者の大塚寿様より献本していただきました。
ありがとうございました。

【関連書籍】

同著者の既刊本

 

www.s-ichiryuu.com

 

 

www.s-ichiryuu.com

 

【管理人の独り言】

今日ご紹介した本と同時期にこちらの本も発売されました。

1万人の企業経営者、管理職が大切にする「仕事の成功法則」とは?
当たり前のことを、「当たり前のようにやる」――。この何の変哲もない1行に集約できます。しかし、実際にできている人は、わずか1割にすぎないのが現実。そこで本書では、新人はもちろん、中堅、ベテラン社員も大切にしたい仕事のコツを紹介。
・できる人ほど「約束時間」は厳守する
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