おはようございます、外人さんの前では目を伏せて硬直し、話しかけないでオーラを出す一龍(@ichiryuu)です。
さて今日は、北山公一さんの本をご紹介。
著者の北山公一さんは日本・アメリカ・ヨーロッパの企業を渡り歩き、グローバル企業で揉まれた方。
その著者が経験から学んだコミュニケーションのポイントを体系化したのが本書です。
実践的なコミュニケーション術はもちろん、実際のグローバル企業ってどうなのよ?といったところも垣間見られる一冊です。
【目次】
はじめに
第1章 世界標準のコミュニケーション7つの「基本ルール」
第2章 グローバル企業の「組織と人間関係」を知ろう
再3章 世界で勝ち抜くコミュニケーシ三ン「実践テクニック」
第4章 必ず結論を出すグローバル企業の「会議」術
第5章 グローがル企業流「メールと電話」の使い方
特別付録①グローノル企業で好まれるフレーズ
特別付録②グローバル企業のことがよくわかるブックガイド
おわりに
【ポイント&レバレッジメモ】
★世界標準の話し方7つの基本ルール
1. 多様性・・・「お互い違うのが当たり前」を大前提にする
2. リスペクト・・・相手の価値観を尊重することから始める
3. リアクション・・・会話ではできだけ「間」を作らない
4. 理由・・・「なぜ」好きか、「なぜ」嫌いかをはっきりさせる
5. 主張・・・言いたいことは必ずその場で口に出す
6. 二者択一・・・返事には「イエス」か「ノー」しかない
7. 自立・・・自分で自分のスタンスを決める
★グローバル企業は「プロスポーツチーム」
スポーツでたとえると、グローバル企業は「プロスポーツのチーム」に近いのに対し、日本企業は「大学などのサークル」に近いという大きな差があります。どういうことか説明していきましょう。
そもそも、グローバル企業のチームは、成果主義が基本です。
成果主義は業務の成果のみによってチームメンバーを評価し、報酬や人事を決定するや
り方です。成果に至るまでのプロセス(過程)は重視されません。グローバル企業では現場のリーダー(たとえば部長)に、業務の「成果」にもとづき部下を評価し、報酬や人事(解雇を含む)を決定する権限が与えられています。
「成果」とは「売上」や「収益額」のような客観的な数字だけとは限りません。 最終的に「成果」とされるものは、「現場リーダーから見た部門への貢献度」です。
グローバル企業における「成果主義」とは、現場リーダーに権限と責任が集中していることが前提です。
そて、リーダーによる査定結果は絶対です。その代わり、査定に対する不満のために部下のパフォーマンスが低下し、結果として部門の業績が落ちた場合には、リーダーが責任を取ることになります。
★上司に意見するのは当然のこと
仕事に自信のある上司ほど、部下から意見をもらうことが、自分の意見をブラッシュアップするために必要だと思っています。他の部署と意見を戦わせる前に、身内で鍛えたほうがいい仕事ができるからです。 結果的に、そのほうが自分の出世につながります。
そういう意味では、「ごもっともです」とイエスばかり言う人は、上司からは評価されません。 意見がまったくないと、「こいつ、使えないなぁ。意見がないということは、きちんと考えて仕事をしてないんじゃないか」などと、思われてしまいます。
そのため、上司に意見を求められたときに備えて、自分なりの意見をさっと言えるようにしておくことが大事です。
★上司の指示は3つのポイントで吟味する
部下の立場で考えたとき、上司からの指示は、以下の3つのポイントでチェックするといいでしょう。すなわち「整合性」「実行可能性」「トレードオフ」です。
「整合性」とは、上司の指示が他の指示などと矛盾していないかどうかということです。上司が以前出した指示と相容れないことがあり、そのまま実行するとうまくいかない可能性がある場合です。
「実行可能性」とは文字通り実行できるかどうかです。たとえば、他の仕事があって上司の期待に応えることが難しい場合もあるでしょう。
「トレードオフ」は、指示通りに仕事をすると、他の仕事に影響が出る可能性があることです。
これらのポイントを確認して無理力ある場合にこのような懸念材料力ある力それでも指示通りに実行するのか?と具体的な根拠を示して質問をします。
★論理的な会話に欠かせない「NFL」
そこで「数字、ファクト、ロジック」の登場です。この3つが論理的会話には欠かせません。
私は、数字(numbers)、ファクト(facts)、ロジック(logic)の頭文字を取って、勝手に「NFL」とんでいます。<中略>
「数字」とは具体的な数字のことです。過去の売上の数字のような客観的なデータもありますし、売上予測のように主観的な数字もあります。過去のデータでも、加工の仕方によっては主観が入ることがあります。
「ファクト」とは事実認識のことです。「事実」との認識が一般的に共有されていること(例日本は島国である)もありますし、話し手が「事実だと思うこと」(例日本は幸福な国である)も含まれます。
「ロジック」とは、話し手が使う具体的な「論理」のことです。
ごく単純に言うと、論理的な会話の基本形は「私はAたと思います。理由はBです」(I think A because B)です。このBの部分に数字、ファクト、ロジックを入れると、論理展開の説得力が格段に増します。
グローバル企業で活躍している人間は、数字、ファクト、ロジックを存分に駆使して自説を展開します。
★「日本流」で叱るとパワハラ扱いされることも
大前提として各人がプロフェッショナルな行動をすることが求められており、服装から普段の生活態度まで細かく決められています。中でも「力を使ってはいけない」という項目が重要です。ここで言う「力」とは、暴力やそれを想起させる態度や強い言葉などです。
普段の仕事において、上司が部下に注意を与えたりすることはあります。しかし、そのときも、この「力を使ってはいけない」を意識して接する必要があります。<中略>
グローバル企業では.基本的に個人と個人との関係は対等ですこ上司部下の役割の違いはあっても、人としては対等であるため、そのような行為は、上司としての権力(力)を不当に使った行為、つまりパワー・ハラスメント(パワハラ)と見なされる可能性があるのです。
★会議の資料は目的意識をもって読む
上司が言う「読む」とは、「読んで」「理解して」「説明して」「ちゃんと質問に答えられる」ということだと、たしなめられました。会議の資料を「読む」とは「受け身で理解する」という行為ではなく、「細部までしっかり理解して、質問に答えられる」ことができるレベルの深い理解を求められているということです。加えて、書いてあることに対して改善するポイントなど、自分なりの意見を述べられることが大事です。
★メールでは安易に謝らない
本的にメールでは簡単には謝らないのが、グローバルな対応です。
前述したように、メールは通信の手段ですが、後々「証拠」となるケースもありえます。もしもトラブルが裁判に発展した場合、メールの中で自分の非を認めるような表現があれば、それは決定的な証拠となってしまいます。
むしろ、グローバル企業における誠実な振る舞いは、「トラブルが起きた原因を早急に調査し、必要な場合は改善策を考える」ことです。ともすれば謝っただけで満足しがちな日本人と違い、世界では「原因の究明」と「改善策の立案」が誠実な対応なのです。
【感想など】
◆日本人の常識はやっぱり世界の非常識?
著者の北山氏は日・米・欧の企業を渡り歩いて来た方。
グローバル企業で管理職として、個性の強い外国人の上司、同僚、部下に揉まれた経験から書かれた本書は、これからの日本のビジネスパーソンにとって貴重な”現場の声”だと思います。
ワタクシは幸い(?)グローバルとは正反対の思いっきりジャポネスクな職場で働いているので、「暗黙の了解」「阿吽の呼吸」「空気を読む」といった前提のもとコミュニケーションをとっています。
ただ、同じ日本人でも伝わらないことが多くなっていると感じる昨今、文化も言語も育った国や環境もまったく違う、異なったバックボーンを持った人の集団の中で意思疎通することの困難さは想像以上でしょう。
「相 手 に 伝 わ る よ う に 工 夫 し て 話 す こ と で 初 め て 伝 わ る 」 と しいう の が 常 識 で す。
と著者はおっしゃっていますが、それは全面的に納得。
ただ、現実にはどういう点に気をつければいいのかがわからない。
そこに本書の価値があるわけで、実際読んでみて「えっ、そうなの?」と驚くことが目白押しでした。
◆グローバル企業のコミュニケーションはかなりタフ
特に驚いたのは「会議」に関すること。
これは多くの日本人が共通の驚きを持つのではないでしょうか。
よく日本では、会議の場以外で意見を具申したり、会議前の根回しをしたりという、”場外乱闘”が存在しますよね。
グローバル企業の会議では、その場で出なかった意見、質問はなかったものとされます。
つまり、戦うのはリングの上のみ。
「あとで・・・」というのは無いのです。
また、「会議は結論を出す場というのが大前提」というのも驚き。
「連絡事項・決定事項を伝えるだけ」とか、「時間ばかりかかって結論のでない会議」とか。
「会議をしましたよ。みんなで話し合いましたよ。」という事実づくりに重点が置かれているような会議が多いワタクシには、「こういう前提の会議ばかりだとプレッシャーだろうな」と思う反面、結構羨ましくも思ったりします。
だって、そういう会議に出席させられると
「このような理由で時間をムダにしました。会社にとっても損失なので次からは呼ばないでください」
というクレームが出たりするというじゃありませんか。
いやぁ、日本では絶対言えないですよね。
グローバル企業って、そういう意味では管理職も大変ですね。
◆現場の貴重な情報
さて、ワタクシも海外のドラマや映画、著作から、なんとなく「グローバル企業ってこんなんだろうな」というイメージをもっています。
先ほどの会議の例もそうですが、自分の意見をバンバン出す!というイメージもありました。
しかし実際には、私たちの思い込みで、間違ったイメージもたくさんあるようです。
例えば、上司にも自分の意見をハッキリ伝えるのがグローバル企業だというイメージも、実際には
私自身経験があるのですが、1つの指示に対して意見や提案をした場合、1回目は「何だね?」という感じで聞いてくれますが、2回目、別の角度から意見をすると「ちょっと面倒だなぁ」という顔になり、3回目で明らかに機嫌が悪くなりイライラされたことがありました。経験則ですが、同じ案件についての意見は、2回で留めるべきでしょう。
ということらしい。
何でも何度でも主張すればいいわけではないようです。
また、サクセスストーリーでよく聞く逸話に「エレベーターピッチ」がありますが、
この話は絵に描いたようなサクセスストーリーですが、私が実際のエレベーターでそんな光景を見たことがあるかと言うと、じつはまったくありません。
理由の1つは、私の会社ではエレベーターの中で仕事の話をしてはいけないと規則で決まっていることです。
というのが実情のよう。
ただ、約30秒ほど、文字数にして日本語で200字〜250字程度で、自分のアイデアや意見を説明できる技術は役に立つので練習しておいて損は無いと思います。
シンプルな報告というのはどこの企業でも喜ばれますからね。
本書にはエレベーターピッチのスクリプト例も掲載されているので参考に。
◆巻末の特別付録も参考に!
本書巻末には
特別付録1 グローバル起業で好まれるフレーズ
特別付録2 グローバル起業のことがよくわかるブックガイド(下記関連書籍で紹介)
のふたつの特別付録があります。
特別付録1は、「グローバル企業らしいなぁ」と感じさせてくれるフレーズばかり。
例えば、 Challenging というフレーズ。
「非常に厳しい」という意味ですが、
(difficultと比べて)challenging は challenge という言葉が入っているように、いかなる難局を前にしても、挑戦し望ましい結果を出すんだという意気込みを感じさせます。
語感の問題と言ってしまえばそれまでですが、グローバル企業では、このように語感がいい言葉を好んで使う傾向にあるのです。
ああ、なんか海外のビジネスドラマのシーンが思い浮かびますよね。
日本だったらトラブった時にスタッフ全員深刻な顔をするようなシチュエーションでも、海外ドラマなら果敢にチャレンジしていく感じ。
日本人だって問題解決に挑むのは一緒なのですが、なにか問題に対するアプローチの姿勢が違うというか・・・。
これが文化なんでしょうね。
というわけで、これからグローバル企業に務めようとする人、グローバル企業と取引しているビジネスパーソンはもちろん、ずっぽり日本文化にに浸かりきっている企業にお勤めの方々も、将来のために知っておいて損は無い内容。
いざという時にあわてないためにも、本書を読んでグローバル企業との付き合い方を学んでおくのはいかがでしょう。
本書は日本実業出版社、滝様より献本していただきました。
ありがとうございました。
【関連書籍】
★本書内で引用・紹介されている本
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★本書巻末、特別付録2 グローバル起業のことがよくわかるブックガイド
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