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飛び込み仕事を制する者が仕事を制す【書評】藤井 美保代(著)『「ミスゼロ仕事」の段取り術』 日本能率協会マネジメントセンター

おはようございます、一龍(@ichiryuu)です。

さて今日は、当ブログでもおなじみ、藤井美保代さんの「ミスゼロ」シリーズ最新刊をご紹介。

誰でも取り入れやすいちょっとした工夫で「ミスゼロ」が実現できる藤井先生のメソッドは、ワタクシも本当にお世話になっております。

で、今回のテーマは”段取り術”。
思うように進まない仕事をいったいどんな方法でコントロールするのか?

まずは御覧あれ!

【目次】
はじめに
第1章 ミスの原因は段取りにあった
第2章 ミスが多い人の段取り8大悩み
第3章 ミスを防ぎ効率をアップさせる!段取り35の小ワザ
巻末付録「ミスゼロ仕事」の段取ツール ーダウンロードサービス付きー

【ポイント&レバレッジメモ】

★予定を立てる→記録→検証→一日の予定をPDCA管理

まず、仕事が始まる前に、どの仕事をどの順番でどれくらいの時間をかけて行うのかを決め、予定記録表に記します。そして一日の仕事が終わったあとに、実際に進めた順番やかかった時間を記録します。予定と結果を比較することで、見込みの甘さはなかったか、予定を実行に移すうえでどんな問題があったのかをふり返り、翌日からの改善につなげていくのです。

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★「これだけ主義」の「重点志向」 やりっぱなしを抱えない

普段は机の一段目の引き出しは、何も入れずに空けておき、やりかけの仕事をいったん置くスペースとして使うのです。緊急の用事で仕事を中断するときだけではなく、ミーティングやランチのために離席するときにも、未完成の仕事をしまっておくことができます。
このように、余計なものを机の上に置かないことを徹底し、目の前の仕事に集中できる環境をつくり出しているのです。<中略>
目に映るものには気を取られるし次力ら次へと頭を切り替えることも苦手こ人間とはこのように不器用な生き物であることを自覚し、目の前の「これだけ」に集中できるよう、机まわりや段取りを工夫するのが得策です。

★断ること、交渉することを怖がらない

 それでは、際限なく仕事を頼んでくる相手には、どのように対処すればよいのでしょうか。
大切なことは自分の状況を相手にきちんと伝えたうえで、実現可能な着地点を見つけられるよう話し合うことです。
ミスなく納期までに仕事を完了させるというゴールのために、お互いにベストな方法を探るという発想です。<中略>
また、交渉する際に、自分の状況が一目で分かるツールがあれば、なお便利です。ここでは、実際に営業事務の女性が活用しているシールを紹介しましょう。
営業事務のAさんは、7人の営業をサポートしています。頼まれ仕事を調整するために活用しているのが、抱えている仕事量を「見える化」した一覧表です。縦軸には
7人の営業担当者の名前、横軸には午前と午後の時間軸を記したシンプルな表です。
そこに、頼まれた仕事一つにつき一つの付せんに書き、貼り出していきます。どの時間帯に、誰からの仕事をやる予定なのかが、瞬時に把握できるようになっています。

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★電話も割り込みもNGの「集中タイム」をつくる

 誰にも邪魔されない時間をつくるには、「集中タイム」をつくるのも一つの方法です。「この時間だけは集中して取り組みたい!」という割り込み禁止の時間です。<中略>
一日のうち1時間だけでも集中タイムをつくり、「この時間は集中したいので、割り込み禁止の時間とさせていただけませんか」と周りに協力を求めると、仕事はグッとはかどるでしょう。
中には、チームメンバーが持ち回りで集中タイムを設けている会社もあます。
「集中タイム」と書かれた札をデスクの上に立てたり、ほかのメンバーと共有しているスケジュール表に書いておくなど、周りの人に「割り込み禁止」を知らせます。集中タイムの人にはできるだけ話しかけないようにしたり、電話がかかってきても緊急時以外は「折り返しの連絡」を案内してもらうなどして、耽場全体で協力している
そうです。

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★「50分→10分」のリズムで集中力を高める

 なぜそれほどの事務量を、ミスせずやり続けることができたのか。その一つの工夫が、「50分業務を続けたら、10分目先のちがう仕事をする」という仕事のサイクルです。このチームでは、メンバー全員が「50分→10分」のサイクルで仕事に取り組んでいたのです。
これによって、仕事にメリハリが生まれ、集中力も増したといいます。これがミスの根絶に大きな効果をもたらしたのでしょう。
では、「10分間」という時間はどのように使っているのでしょうか。ポイントは、とにかく気持ちをリフレッシュさせ、次の50分の作業に必要なエネルギーをチャージすることです。体を動かして血のめぐりをよくしたり、チーム内でプチミーティングを開いて大切な情報を共有したり、別の部署へ届けものをしたり、平準化(仕事のムラ、仕事量のバラつきを解消すること)のための分担を検討したりすることで、目先が変わって、気分転換になるようです。

★「待ち時間」と「探す時間」を徹底的に排除する

 仕事中に待ち時間が生じるということは、仕事がどこかで滞っているということです。一緒に仕事をしている人たちとの連携がうまくいっていないために、「待つ」というムダが生じているのです。<中略>
ムダな待ち時間をなくし、仕事を滞りなく進めていくには、一緒に仕事をする人の締切を管理したり、仕事の意義・目的を的確に伝えるなど、仕事に関わる人・ものすべてのマネジメントが欠かせないのです。

仕事のムダ、滞りを生むもう一つの原因が、「探す」時間です。
人は一日に、10分以上も、ものを探すことに時間をかけているといいます。一年では15時間近くです。こうした探す時間も、できるだけなくしていくべきでしょう。
仕事でものを探すときは、デスクまわりでは6秒以内、共有サーバー上のデータや共有の書類なら30秒以内が目安です。

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★ナレッジワークは8割完成を目指す

 提案書・企画書の作成、新商品のアイデア出しなど、新たな価値を生み出すような仕事、いわゆるナレッジワークは、かけた時間と仕事の質は比例しないものです。<中略>
限られた時間の中で質とのバランスを考えるなら、「8割くらいの完成度でOK」とする潔さも必要です。
そうでなければ、いつまで経っても仕事は終わりません「質」と「時間」の妥協点をどこに見出すか、「これでOK」とする自分なりの基準をもっておくことが大切です。

一つの考え方として、その仕事にかけられる時間を見積もり、その時間内に到達できるレベルを妥協点とすることができます。ビジネスでは、限られた時間内により高い成果を出すことが求められます。「○日中で」「○時間以内に」といった時間という制約条件を設けて、その中でできる限りのことをしていくのです。

そしてもう一つ、仕事を提出する相手の満足度を第一に考える方法です。
相手の期待がどこにあるのかを探り、そのポイントを押さえることに集中します。反対に、相手の”NGポイント″に触れることは徹底的に避けるようにします。
つまり、「この仕事の肝は何か」を理解し、その実現にエネルギーを傾け、そのほかのことは切り捨てる。そうすることで8割の完成度を目指します。

★「仕事を通じて提供する価値は?」と定期的にふり返る

 パレートの法則に従えば、2割の「押さえておくべきツボ」がわかれば、8割の満足につながる仕事ができるということです。

仕事のツボを見つけるには、仕事を通じて自分が提供する価値は何かを考えてみるとよいでしょう。つまり、「自分の仕事をひと言で表現すると何か」という問いに真正面から向き合ってみるということです。<中略>

「私の仕事にはどんな価値があるのだろう?」
「誰のために、なんのために、この仕事をしているのだろう?」<中略>

忙しいとつい忘れてしまいがちですか、こういった仕事の本来の目的を押さえているかどうかは、仕事の質を決める重要なポイントといえます。仕事の目的を理解し、ツボをつかむことができれば、そこを重点的に磨きます。それによって精度の高い仕事ができるようになるはずです。

★「ミス発表会」で職場全体でミスを減らす

 私か研修でうかがったある会社でも.半期に一度、社員約80人か集まり・ミスに対する改善の取り組みを課単位で披露しています。
特筆すべきは、ほかの課も参考にできる汎用性の高いミスや、多くの学びと改善の芽を含んだ貢献度の高いミスに対しては、「よくぞこの失敗を、この段階でしてくれた!これを放っておいたら、もっと大変なことになっていたかもしれない」という意味を込めて社長賞を与えていることです。社長のポケットマネーから表彰されたチームメンバー5〜6人が飲みに行けるくらいの賞金も出てしるようです。
こうした表彰制度があることで、社員はミスに対しての捉え方が変わり、「なぜミスが起こったのか」「どうすれば防ぐことができるのか」を日頃から考えるようになります。

【感想など】
◆段取り次第で「ミスゼロ」になる

本書は藤井美保代さんの「ミスゼロ」シリーズ最新作です。

著者の作品は

などなど、これまで当ブログでも紹介してきました。
そして何を隠そう、一番恩恵を受けているのがワタクシ自身。

著者のメソッドで、本当に書類を無くすことがなくなりました。
本当に感謝しております。

そんな即効性の高い仕事術を教えてもらえる「ミスゼロ」シリーズ、今回のテーマはミスをゼロにするための”段取り術”です。

あなたは立てた予定どおりに仕事が進んでいますが?
予定通りにいく方が珍しいなんて思っていませんか?

著者が考える段取りとは

私が考える段取りとは「仕事を効率的にマネジメントすること」です。「マネジメント」という言葉を使っていることからもわかるように、「自分の意思をもって仕事を進めていくこと」が、段取りの肝だと考えています。

そう、段取りはマネジメント。
そしてその結果、ミスが減っていくのだということなのです。

◆割り込み仕事もコントロールする

あなたの段取りを狂わせる一番の原因は何ですか?
職場の事情によって違いはあると思いますが、ワタクシの場合、一番予定が狂うのは”割り込み仕事”です。

今回、本書を読んでいて、段取り術の神髄の一つは”仕事のコントロール率を上げること”だと感じました。

マーフィーの法則にもあるのかもしれませんが、忙しい時に限って割り込み仕事が入ってきたり、突発的にアクシデントが発生するものですよね。

それで、どんどん予定が狂っていく。
この状況を普通はどうしようもないと諦めてしまっています。

ですが、取り組み次第で飛び込み仕事の飛び込んでくるのをコントロールすることができるとは目からウロコ。

段取りを組むということは、周りからの割り込み仕事に対しても、自分の意思を働かせてコントロールしていくことを意味します。

割り込み仕事を減らし、ゼロにしていく工夫や割り込みに邪魔されずに目の前の仕事に集中できる環境をつくることも段取りの一つなのです。

ということで、【ポイント&レバレッジメモ】でもピックアップしましたが、自分の抱えている仕事の状況を見える化し、「集中タイム」を設けるなどして周りの協力も得つつ、チームにとって最善のゴールを目指す。

できないこと、無理なことは断る。

いや、これは恐れ入りました。

仕事はできる人のところに集まるから、特定の人だけ際限なく仕事が集中しますよね。
でもそれで仕事が遅れたり質が落ちるようでは元も子もない。

いい仕事をするために、仕事セーブ&コントロールする。
まずはこの意識改革からですね。

◆仕事に対する意識変革

意識改革といえば、また一つひとつの仕事に対して「なんとなく」「指示されたから」ではなく、自分の意思を働かせて取り組むことも段取りの一つです。

と著者が述べるように、段取りを考えミスをなくすことに取り組みだすと、仕事に対する意識改革にもつながるようです。

それはそうですよね、「言われたからやっている」といった「バイト根性」的な意識で働いていたらミスはなくならないだろうし、いい仕事はできません。

最近、お店の冷蔵庫に入って写真を撮り、ネット上にアップするのが流行っていますが、それこそ「自分の仕事がどんな価値があるのか」「どうすればチームやお客様に貢献できるのか」という問いかけをしていたら、とてもあんなバカな真似はできないはずです。

また、自分の仕事の価値を問い直す過程で、自分の担当する仕事の全体像を理解することができます。

そうするとさらに自分の仕事の重要性も理解することになります。
よくネガティブな意味で使われる「会社の歯車」という言葉、でも一つの歯車でもなくなると会社全体が止まってしまう。

それに気づけると、仕事に取り組む姿勢も変わるだろうし、姿勢が変われば仕事の質も変わるはずです。

◆割り込み仕事には美味しいものもある

さて最後に、本書の内容と矛盾してしまいそうですが、ちょっとだけワタクシ自身の仕事観を。

本書の主張通り、割り込み仕事を上手くコントロールできると、段取りのコントロール率も上がりますが、ワタクシは今までの仕事の経験上、「割り込み仕事は積極的に取りに行け!」と若い人にアドバイスしてしまいます。

矛盾してるでしょ。
でも、割り込み仕事って2度、3度美味しいのですよ。

それを引き受けると、頼んだ人に貸しができます。
その貸しはいずれあなたに返ってきます。

通常の仕事とは違う経験ができることもあります。
すると、仕事の幅が広がり、チャンスが増えます。

さらには評価が高まります。

だから割り込み仕事は積極的に取りに行けと。

で、そのための大前提は、「通常業務を圧倒的な早さで仕上げる」ことです。
常に時間に余裕を持っていれば、割り込み仕事を取りに行けます。

そのためには、スポーツで言えば基礎トレーニングの部分、まずは通常業務を早く仕上げる努力を!
ということなのです。

そしてそのためには・・・やっぱり段取り術なんですよねぇ(笑)。

本書は日本能率協会マネジメントセンター編集者の柏原様より献本していただきました。
ありがとうございました。

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