おはようございます、ブログを書くこと=転職(天職)活動の一龍(@ichiryuu)です。
さて今日は、諸富祥彦先生のワタナベ薫さんのコミュニケーション本をご紹介。
”働き方本”が巷にあふれる昨今ですが、カウンセラーの立場から書かれた本書は、今の仕事に本当に苦しんでいる方に読んでいただきたい1冊です。
【目次】
はじめに
第1章 「働くのがしんどい」のは、あなたのせいじゃない
第2章 働くことについての「謝った常識」を捨てる
第3章 「働く意味」を問い直す
第4章 自分らしく働くために必要なこと 「天職」と出会うヒント
おわりに
【ポイント&レバレッジメモ】
★「何かおかしい」と思ったら、逃げよ!
「何かがおかしいのでは」と思うことがあったら、「今、私はマインドコントロールにかかっているのではないか」と自分を疑ってみてください。そして、「これはやはりおかしい」とその疑念が確信に変わってきたら、逃げる。
おかしいのは自分ではなくて、「みんな」や「世の中」の方ではないかと疑う目をもって欲しい。そうしないと、今のクレイジーな世の中で、自分で自分を守ることはできません。
自分自身を守るためには「これは疑わしい」と思うことがあったら、とにかくまずは「逃げる」こと。「耐える力」より「逃げる力」が必要な時もあるのです。
★何度でも「やり直し」がきく社会で、私たちも変わっていく
何度でも「やり直し」がきく社会・・・これこそ私たちか今後目指していくべきものではないでしょうか。そして、「やり直しのきく社会」にしていくためには、新卒一括採用、年功序列、終身雇用、正規/非正規雇用の差別、こういった枠を一回全部取り払うしかない、と私も思います。
「やり直しがきく社会」であれば、たとえば、「海外で力をつけた後に日本の第一線で活躍する」とか、「出産で離職した女性が、自分の武器を活かしていつでも復帰できる」・・・こういったことがごく当たり前に行われるようになるでしょうし、こうしたことが当たり前に行われる社会にしないといけないのだ、と私は思います。
また、何度でも「やり直し」がきく、さまざまなルートが開かれた社会になっていくのであれば、「本当に自分が何をしたいのか」という問いを生涯にわたって問い求め続けることが可能になり、人生において「働くことの意味」そのものが変化していくのではないでしょうか。
■働くことについての「謝った常識」を捨てる(抜粋)
★「石の上にも3年」はもうやめる
「石の上にも3年」という気持ちで下手に我慢しすぎると、完全に自信を失い、取り返しのつかないほどのダメージを心に負ってしまうことになります。
だから、本当につらくてしんどい思いを続けて自分がボロボロになってしまうくらいだったら、「そうなる前に、早く辞めてしまったほうがいい」私はそう断言します。
★「がんばる」「諦めない」はもうやめる
”諦める”というのは、元々、仏教用語です。
「明らかに見る」
「物事をつぶさに見る」
「物事の状態が明らかになっていくようていねいに見ていく」
これが”諦める”の本来の意味です。”諦める”というのは、決して否定的、な意味をもった言葉ではなかったのです。物事を明らかに見ることができる。事実は事実として、そのままに見ることができるということです。
これはセルフオブザーブ(自己観察)にもつながります。自分の状態を、つねにあるがままに見て取ることができる。そういう力をもっていることが大切です。
「もうこの仕事を続けるのは無理だ。これ以上続けると自分にダメージが残ってしまう」と自分の状態を「明らかに見て」判断できる力を身につけておくべきです。
★「自分に向いている仕事」を探しすぎない
「自分の適性を明確にしよう」などとは思わないほうかいいでしょう。
そもそも、残念ながら「分析すべき中身」が今のあなたにはないかもしれません。「中身のない自分」をいくら分析しても答えが出てくるはずがありません。
アメリカで行われた調査によると、成功したビジネスバーソンのうち18歳の時点でその仕事に就きたいと思っていた人は、わずか約2%だったそうです。
「偶然出会ったこと一生懸命をやっているうちに、後から振り返ればなぜか成功できた」というのが、多くの成功者の実感なのではないでしょうか。最初は「自分には合わない」と思っていた仕事も、後から振り返れば、実はそれが「自分の天職だった」と気づく人も結描います。
★多くのスキルより”グランドスキル”
一方、最も獲得するのが難しいスキルは、”グランドスキル”ともいうべきスキルの背景にあるスキルです。
たとえば、「仕事で想定外のことがあった時に、どう平常心を取り戻すか」「批判を受けた時に、どうやってできることをしていくか」といったスキル以前のスキル、スキルの基盤になっているスキル・・・この”グランドスキル”こそ、仕事ができる人間になるうえで必要なものなのです。
■「働く意味」を問い直す
★一番、取り返しのつかないものは「時間」である
「人生で最も取り返しのつかないもの」・・・それは”時間”だ、と私は思います。
人間の時間は、産まれた直後から間断なく失われ続けます。失われた時間は二度と戻ってくることがありません。そして、残った時間がゼロになった時、「死」が訪れます。
「死がすべての人に平等に訪れる」としうのは、言い換えると「すべての人の時間は間断なく失われ続けている」ということです。
「失われた時間」だけはどんなに努力しても、全財産を積み上げても、泣して懇願しても、絶対に取り戻すことができません。
この世界で「最も取り返しのつかないもの」・・・それは「時間」なのです。
■「魂のミッション」の見つけ方(抜粋)
★あなたが「どうしても譲れないもの」
チャンスを失ってでも、場合によっては仕事を失うリスクを冒してでも「守ろうとした何か」「これだけはどうしても譲れない何か」には、実はその人の魂の本質が映し出されているのです。<中略>
「どうしても譲れないことを譲らない」というこの姿勢が、自分の「天職」に出会い、自分の人生に与えられた使命(魂のミッション)を見出していくうえで、とても大きな意味をもってくるのです。
★「妙に気になるもの」の誘いに従っていく
毎日の生活の中で「妙にチラチラと気になるもの」(フラートするもの)をピックアップして、その誘いと導きに従っていくこと。
それはしばしば、自分の魂に与えられたミッションを、あるいはあなたの人生の「運命の道」を見つけていくための一つの大きな手がかりになります。
★世界のために「自分のできること」をやってみる
「この仕事を通して自分は何を得ることができるのか」と考えるのではなくて、「この仕事を通して、自分はこの世界に対して何を与えることができるのか」と考えるのです。それが人生を意味あるものにする最も確かな方法です。
【感想など】
◆「魂のミッション」を見つける旅
著者の諸富さんは明治大学の先生で、心理カウンセラーでもあります。
本書の著者紹介欄には
「どんなときも、人生には、意味がある。一人ひとりの人間のたましいには、見えないミッション(使命)が刻印されている。人生は、いわば、薄暗い森の中を、仲間と共にさまよい歩きながら、みずからの人生に与えられた使命を発見していく旅」・・・多くの人がこの人生の真実に目覚め「たましいの自己実現」、俗世間的な幸福ではなく「たましいの次元において真に満たされた幸福」を求めていく旅の「同行者」となることをライラワークとする。
とあります。
本書はテーマは、昨今流行の「働き方本」の範疇に入りますが、仕事の中でも特に「天職」を「魂のミッション」と定義して、それに向かっていきましょうというのが特徴かと。
仕事が単なるお金を稼ぐ手段ではなく、人生の多くの時間を費やすものだけにその人の「魂のミッション」に即したものであってほしい。
そして、自己実現の手段となってほしい。
そういった思いがひしひしと伝わってくる内容です。
◆逃げたっていい
ワタクシは当ブログでも語ってきたように、どちらかというと「石の上にも3年」「頼まれた仕事にNOと言うな」といった労働観を持っています(そう言いながら今はプロブロガー目指していますが、それは置いておいて)。
これはいわば世代の価値観。
若い世代を見ていると正直言って「物足りなさ」を感じるし、「我慢が足りん「根性がない」」というふうに感じてします。
ですが、これはもう古いのでしょう。
世代が変われば価値観も変わる。
それに実際のところ”正社員”という人参をぶら下げて、とんでもない労働環境、いわゆるブラック企業で働かされている若者が存在します。
どれほど過酷な労働環境であっても、それが自己実現につながるのなら納得もできるでしょうし、やりがいもあるでしょう。
しかしどう考えても使い捨ての労働力としか見ていない会社の場合、労働の先にあるのは心と体の崩壊だけです。
カウンセラーである著者は実際にそういった若者に接し、身も心もボロボロになってしまった若者を沢山見てきたのでしょう。
「何かおかしい」と思ったら、逃げよ!
ワタクシもこれに同意します。
本当に辛いだけの仕事だったら、辞めたっていいのです。
生き方なんていくらでもあります。
◆「やり直し」がきく社会
「逃げたっていい」、でも現実は逃げられない。
それは日本は労働市場の流動性が非常に低いからです。
年齢も性別も関係なく、辞めてもすぐに次の仕事が見つかる。
そういう世の中になれば、労働環境もかなり改善されるのかもしれません。
そうしなければ、雇用者をつなぎ止めてはおけませんから。
ただ、そのためには
新卒一括採用、年功序列、終身雇用、正規/非正規雇用の差別
といった、現在の労働環境を、すべて撤廃することが条件になってきます。
これにはワタクシは条件付き反対です。
これはこれで非常に厳しい実力主義の社会となるからです。
高いスキルや実力を持った人はさらに好条件の企業に移っていく選択肢があると同時に、そうでない人は年功序列・終身雇用の形態を選ぶことができる。
そんな働き方の選択肢が幅広く用意されている社会を望みます。
新卒一括採用だって、これを撤廃しなければロスジェネ世代はいつまでたってもロスしたまま、でも完全撤廃してしまうと学生の就職率が落ちるだろうし、学生のうちから学業そっちのけでインターンシップをやらないといけなくなるかもしれません。
この判断は難しいところですね。
ただ、どんなシステムの世の中になろうと、必要とされる人は必要とされます。
スキルを習得する、実績を積む。
それだけは心しておかなければいけませんね。
◆「天職」は見つけるものなのか?
ところで、「天職」というものは見つけるものでしょうか?
本書では「魂のミッション」の見つけ方 として、「天職」を見つける方法をいくつか紹介されています。
それらの方法を見ていると、ワタクシが思っていることと同じではないかと感じました。
「天職を探す」と同じような意味で「自分さがし」という言葉が使われますが、ワタクシは「どこに探しにいっても答えは見つからないよ」と思っています。
なぜなら、答えは自分の中にすでにあるからです。
著者も
「たましいに見えないミッションが刻まれている」
と表現されています。
たぶん、自分が気がつかないだけで、天職とか適性というのは自分の中にすでに答えがあるんじゃないかと。
生まれてくるとき、人生のミッションを決めてこの世に生まれてくるのかどうかは、ワタクシにはわかりませんが、生活の中でなにか大きな意志というか人生の目的というものを感じることはあります。
「ああ俺はこのために生まれてきたんだなぁ」という瞬間。
あるいはそれをやっていると時が経つのも忘れるという仕事。
そしてそれを一生懸命やっていると、人生が好転しているのを感じる。
それはたぶん「天職」なのでしょう(ワタクシにはブロガーとしての活動がそうでした)。
で、「天職」を見つけるには。
それはアクティブに動くのが一番です。
会社内外問わず、活動範囲を広げること。
すると、思わぬところで点が線に結ばれていきます。
今の仕事がどうしてもいやなら、もっとアクティブに活動範囲を広げてみましょう。
「答えは自分の中にある」、そう信じて動き続ける中できっとあなたの「天職」に出会えると思いますよ。
本書は日本能率協会マネジメントセンター、柏原様より献本していただきました。
ありがとうございました。
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