おはようございます、うどんを食べる専門家の一龍(@ichiryuu)です。
さて今日は、超久々に勝間和代さんの新刊をご紹介。
専門家なる人々をバッサリ切って丸裸にする、勝間節炸裂です!
【目次】
はじめに
第1章 専門家の正体
第2章 専門家が陥る罠
第3章 頼り過ぎてはいけない
第4章 医療・健康分野を批判的に考える
第5章 経済・金融を批判的に考える
第6章 教育・コーチング分野を批判的に考える
第7章 優れた専門家とは
第8章 なぜ「マッキンゼーの素人」は専門家と渡り合えるのか
第9章 世の中は分からないことだらけ
おわりに
【ポイント&レバレッジメモ】
★博士号の有無
つまり、リフレ政策ひとつとっても、その専門家の意見は大きく分かれるし、かつ、専門家の中には、
博士号の有無
をもって、自分の「専門家のプライド」と見なしている人が少なくないということです。<中略>「博士号」を持っていることと、経済の諸問題の問題解決ができることとは、関係があるのでしょうか?
残念ながら、ありません。なぜなら、博士号を取るために必要なことは、
特定の、ものすごく細かい分野について、博士論文を1本から数本書き上げること
であって、それが世の中の問題解決と結びついているかどうかは、なーーーーーーんにも関係ないからです。
★専門家の発言は「玉石混淆」
すなわち、専門家の言うことは、その構造として
「玉石混淆になる」という脆弱性をはらんでいる
のです。すでに書きましたが、方デミックな専門家は視野狭窄になるし、実務家は抽象度が低くなりすぎるためです。専門家というのは専門分野に特化しているから専門家なのですが、その専門分野は、実はみなさんが思っているよりも、かなり狭いのです。
もちろん、ピタッとはまった専門家の言うことはすばらしいのですが、だからこそ、専門家の意見は、メディアの発言も、著書も、何もかも含めて、「玉石混淆」になってしまうのです。
★専門家が「トンデモ」を広げてしまう3つの罠
罠その1 専門家が名を上げるための、「過度のオリジナリティ」の追求
罠その2 専門家自身が持っている専門性は、どんどん、古びていくこと
罠その3 専門家が持っているパラダイムと異なる、新しいパラダイムに対する無意識の迫害
(解説は本書で)
★脳の分業
私たちはなぜ「専門家」が大好きなのでしょう。
答えはとても簡単で、
専門家が私たちに様々なメリットをもたらしてくれるから
です。具体的には
「苦労せずに、困っていることの答えがしたーーーい」ですね。<中略>
私たちが試行錯誤をほんとうに繰り返すのは自分の専門分野だけでよいのであって、それを売り物にし、そこから得た利益で、人の専門分野を買えばいいわけです。いわば、
「脳の分業」です。
★「教えて君」は危険
私はよく、「教えて君」という表現を使いますが、
最後の思考法だけを知りたがる思考法は危険
だと思っています。「教えて君」は自分が必要とする答えの最終的な結論だけで満足してしまって、そのプロセスを気にしないのです。
「○○のためには××がいい」という情報がもっとも大事で、それ以外の留保要件や、あるいは、それがどのくらいの信頼性があるかどうかなど、どうも興味がないようです。
★「プライベートレッスン」の錯覚
やっかいなのは、プライベートレッスンを受け、手取り足取り専門家から教えてもらうことで、私たちも、専門的なことがわかったような気分になる、
できるようになるはず、という「錯覚」を生じてしまう
ことです。グループレッスンよりフライベートレッスンのほうが効果が高いように感じてしまうのです。
しかし、ほんとうに役立つ専門性を持っている人が、たとえば、1時間数千円から1万円くらいで、レッスンをして割に合うでしょうか?あるいは、ほんとうに役立つ専門性なら、ポイントを教えてもらったあとは、私たちが自習をすべきなのではないでしょうか?
つまり、指導してくれる専門家というのは、私たちに考え方ややり方の道筋のポイントを教えてくれる人であって、それが
できるようになる、自分のやり方に合わせていくのは自分の責任
なのです。
★専門家への頼り方
私たちはさまざまな場面で専門家に頼ること力必要です力その頼り方に注意をしなければなりません。大事なことは
・自分が主役
・専門家はあくまでもアドバイザー
というスタンスを保ち続けることです。そのためには、重要な意思決定に専門家のアドバイスが必要な時には、常に複数の見積もりや体験をして、相手の専門性を吟味しなければならないでしょう。少ない知り合いからだけではなく、インターネットなどを使って、広範に情報を集める必要があります。
★「信頼性の高い専門家を見抜くための9か条」(抜粋)
第3条 専門家のアドバイスの裏をとる癖をつけること
築6条 PDCAサイクルをしっかり回している相手であり、過度に「根性論」「鍛錬論」に終始しないか、気をつけること
第7条 相手の専門性に「市場性」があるかどうかを確かめること
第9条 誰を信じるかは.最後は自己責任。それが失敗しても、学びとすること
【感想など】
◆久々の勝間本
当ブログで最後に勝間本を紹介したのはいつだったんだろう。
もう全然思い出せないくらい久しぶりの勝間本の紹介です。
(たぶん「断る力」あたりが最後だったかな)
で、本書のテーマは”専門家”。
表現は悪いですが、専門家をいかに騙されずに使うか、です。
これがなかなか手厳しい専門家批判で、2008年頃の切れ味抜群な勝間節を思い出してしまいました。
さてそれはともかく、内容として我々の生活に非常に重要なテーマでもあるので、じっくり読んでほしい本です。
◆自分の頭で考える
ポイントは「クリティカルシンキング」。
クリティカルシンキングとは
直訳すると「批判的な考え方」となります。
日本では「批判的」というと、まるで悪いことのようですが、そうではなく、相手の言うことを鵜春みにせずに、
自分の頭でもいろいろな視点から考える
ということ。
我々は知らず知らずのうちに、専門家のいうことを鵜呑みにします。
その道の権威と呼ばれる人に弱いですよね。
そしてその傾向は、専門家だけを対象としたものではありません。
例えば、新聞、テレビなどのマスコミ。
また、活字になった出版物自体にも弱い。
(活字で印刷されただけで、文章が立派に見えてしまう)
専門家、新聞、テレビなどなど、絶対に嘘をつかないと信じるのはやめて、ちょっと「それ本当かな?」という疑問を持って、批判的に見る姿勢を持ちましょう。
ただし、本書で勝間さんもおっしゃってますが、「批判」とは
相手を「非難」して傷つけるのではなく、互いに根拠を示しながら、より高い視点を持ち合うことが「批判」だと思います。
ようするにクリエイティブな意見のぶつけ合いを言います。
これも十分注意しないといけないことですが、非難や攻撃は自分を酔わせます。
相手をやり込めると気分がいいのです。
でもそこには何も生み出さないし、恨みだけが残ります。
常に一つ上を目指す、より良い結論を見出すという意識をもちたいですね。
◆真の専門家がどうかを見抜くには
さて、我々が知りたいのは「本物の専門家を見抜く方法」です。
一つヒントになるのが、本書に登場するこの一節。
単に、相手の学位や経験だけで、発言の中身も見ずに、あるいは、具体的な指摘もなしに「素人が余計なことを」と言う専門家は、ある意味、
狭量な専門家
としてのシグナルを発しているといえます。ほんとうにその分野に糖通した専門家は、他の分野の専門家の意見も「理ある」と績極的に取り入れる可能性が高いものです。
この姿勢って、何かの専門家だけでなく、どの分野でも大成している人に共通している姿勢です。
ど素人の意見でも、「その考え面白いねぇ」と言える人は、かなり信頼度が高い。
なぜなら
イノベーションは専門知識の分野にも、常に訪れ続けます。イノベーションに逆らうよりは、専門家としては
いかに顧客とともに、一緒にイノベートしていけるか
、ということが、常に最前線にいられる本物の専門家であるのか、古いパラダイムの「専門家だった人」なのかの違いだと思います。
というふうに、本物の専門家は変化を恐れず新しいものを受け入れる姿勢を持っているからです。
だからすごい人ほど常に、「面白いねぇ」と言ったり、ど素人に対しても「教えてくださいよ」と臆面もなく言えるのです。
あなたが意見を求める専門家に、突拍子もないようなアイデアをぶつけてみて反応を伺うのも一興かもしれません。
◆後半は医療、経済、教育などなど
本書後半では、医療、経済、教育などの分野での専門家の問題を挙げて解説されています。
中でも読んでおいて損はないのが医療に関する部分。
ドクターが書いた健康本でも、真反対の意見があるものって多いですよね。
水を大量に飲む健康法ですら、意見の対立があることをご存知ですか?
水を大量に飲むかどうかぐらいならかわいいものですが、最近はガン治療に関しても抗がん剤治療等でドクターの意見が対立しています。
要するに、医療の特定分野では答えが出ていないものがあるのです。
まぁ、そこはもう「自分の頭で考える」というより、「人生の選択」というレベルの話しですが・・・。
ということで、専門家との付き合い方、自分の頭で考えるということに関して、改めて考えなすきっかけとなる本です。
【関連書籍】
本書中で引用・紹介されている本
歴史、哲学、心理学、経済学、数学の世界を自由自在に駆けめぐり、人間の頭脳と思考の限界と、その根本的な欠陥を解き明かす超話題作。
あえて断言しよう。あらゆる学問のなかで統計学が最強の学問であると。どんな権威やロジックも吹き飛ばして正解を導き出す統計学の影響は、現代社会で強まる一方である。「ビッグデータ」などの言葉が流行ることもそうした状況の現れだが、はたしてどれだけの人が、その本当の魅力とパワフルさを知っているだろうか。本書では、最新の事例と研究結果をもとに、今までにない切り口から統計学の世界を案内する。