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本当のことを知ろう【書評】安達誠司(著)『円高の正体』( 光文社新書)

いっこうによくならない景気。
「総理大臣なんて誰がなっても一緒や」という声もよく聞きますが、そりゃそうでしょう、財政政策だけでは景気は良くなりません。
もう一つ大切な政策があるのですが・・・。
そろそろ本当のところを知りたいと思いませんか?

【目次】

はじめに
第1章 為替とは何か?
第2章 円高・円安とは何か?
第3章 「良い円高」論のウソ
第4章 為替レートはどのように動くのか?
第5章 為替レートは何が動かすのか?
第6章 円高の正体、そしてデフレの”真の”正体

【ポイント&レバレッジメモ】
★「よい円高・悪い円高」の真実

 ここまでの説明で、円高と円安の影響を考える場合、「個人や家庭の収支全体にとってはどうか」という視点で見なければいけないことは、ご理解いただけたかと思います。
しかし、カンのよい方は、「良い円高・悪い円高というのは、”各家庭にとってどうなのか”ではなく、”日本全体にとってはどうなのか”を考えなくてはいけないのではないか」と思ったことでしょう。
その通りです。先述の
『良い円高 悪い円高』という書籍にしても、新聞やニュースなどで話題に上る「良い円高・悪い円高」の話にしても同じです。そこで対象とされているのは、多くの場合、「個人や家庭にとって善か悪か」ではなく「日本全体にとって善か悪か」という視点に立ったものなのです。

★日本全体にとってはどうか?

 結論から言いましょう。現在の日本にとって、円高は明確に「悪」です。その意味では、「良い円高」も「悪い円高」もありません。<中略>
「日本全体にとって円高は善か悪か」を正確に判断する場合、「円高によって輸出産業の利益がどれだけ減るか?」ということと、「円高によって輸入産業の利益がどれだけ増えるか?」ということを調べ、どちらの影響がより大きいかを比べる必要があるのですが、図表1からも、円高は「産業全体への正の効果よりも、負の効果の方が大きい」ということが読み取れます。つまり日本では、円高が進展すればするほど、産業全体に円高の負の影響が浸透して利益が減少するため、産業全体の利益の合計である名目GDPは減少し、景気が悪化するのです。

円高の正体

★「円安性悪説」を支持する3つの要素

 マスコミや政府、為替の専門家と呼ばれる人々が「円安性悪説」を支持する理由は、大きく分けると、次の3つの系譜に大別することができます。
1. 「強い円」志向説
2. 通過暴落のトラウマ説
3. 「円高不況は乗り越えられる」という精神論

★通過の総量と為替レートの関係

 たとえば、ドル/円レートの話であれば、アメリカ国内に出回っているドルの総量が100ドル、日本国内に出回っている円の総量が1万円だったとしましょう(実際はそんなことはありえないのですが、話をシンプルにするため、あえてそうしましょう)。このとき、ドルと円の2国間の総量の比は、100:1万になるので、ドルと円の交換比率は、100ドル=1万円ということになります。これを1ドル当たりに換算すると、円とドルの交換比率であるドル/円レートは、1ドル=100円になるわけです。これが為替レートの決まり方の基本です。<中略>
このとき、日本の金融政策を司る日本銀行が金融引き締め政策を行い、日本国内の円の総量が8000円まで減ったとしたら、ドルと円の総量の比は、100:8000になってしまいます。これを1ドル当たりに換算すると、ドル/円レートは1ドル=80円となって、20円の円高が起こることになります。

★デフレとは?

 デフレ(デフレーション)とは、物価が下がること、すなわち、国全体のものやサービスの価格が下がるということです。これは、国全体のものやサービスの総量に対して、国全体のお金の総量が少なすぎるために起きます。
日本国内のお金(円)の総量が少なければ、日本国内のものやサービスの総量は、円の総量に対して相対的に多くなります。そのため、ものやサービスの相対的価値は下がり、逆に円の相対的価値は上がるのです。
これは、日本の円の総量がアメリカのドルの総量より少ないことから興る為替レートの変動(=円高/ドル安)の関係に似ています。
そして円高は、日銀が供給する円の総量(=マネタリーベース)が減ることによって生じていることは、これまで確認してきた通りです。

【感想など】
日本銀行さん、もういい加減にしてください!

現在の不景気の原因が円高にあることは、もう多くの方が気づいていらっしゃると思います。

いまだに、円高だとガソリンが安くなるとか、海外のブランドものが安くなるとかいって得する面もあるじゃないかという人がいますが、そういう人はこれ以上円高が進むとどうなるか、少し想像力を発揮して考えてもらいたい。

国内では産業の空洞化が起き、雇用がなくなり、GDPはさらに減り続け、最終的には国防すら維持できなくなってしまう。
つまり、国そのものが維持できなくなりかねない。

そんな非常事態を打破するためには、なにがなんでも円安にするしかないのですが、悪いことに今の日本には様々なポジショントークを繰り返す経済評論家が跋扈しております。

ワタクシは経済は苦手ですし、ド素人です。
だから、これまで当ブログでもワタクシ自身の考えをはっきり示すことができませんでした。

ただ、円高に関してはマネタリーベースを見れば一目瞭然。

円高の正体

ドルの量がぐんぐん増えているのに対し、円は横ばい。
これは対ユーロに関しても同じ。

これを見れば、いくらワタクシがド素人でも円高の理由ぐらいわかりますよ。
至極単純な話で、市場の原理じゃないですか。

「ドルやユーロの信用不安が円高の原因です」とか、「日本経済の潜在的強さが円高にあらわれている」とか色々言う人がいますが、ただ単に需要と供給の関係で、少ないものが価値が上がり、多いものは価値が下がる。

たったそれだけのことです。

もし、「いやそんな単純なことではなく、ほかにも複雑な原因があるんじゃないか?」と思っている人がいたら、ぜひ本書をお読みいただきたい。

ブログでは、2つだけしか掲載しなかったのですが、他にも資料としてグラフが多数掲載されており、見事に主張の根拠を積み重ねてくれています。

さて、本書を一通り読んでしまえば、あなたは必ず一つの結論に到達すると思います。
それは現在の円高の解決方法。

この諸悪の根源である円高の解決策は、首脳会談でも、G8でも、一時的な効果しかない為替介入でもなく、ただ一つだと答えが見えます。

それは

日銀がお札を刷ること。

もうこれ意外にはありません。

それ以外に方法があるのなら、だれか教えていただきたい。
(日本銀行券を停止して、政府発行券を流通させるという方法はありますが、かなり混乱しそう)

そして、

ということは、現在の不況を解決できるのは総理大臣ではなく、日銀総裁だということへも考えがいたると思います。

私たち日本人は、去年の震災で、”世界一我慢強い国民”であることを世界に知らしめたと思います。
自然の驚異に対しては、人間は耐えるしかないでしょう。

しかし、日銀の金融政策のまずさ(何もしてなさ)で現在の不況が続いているのなら、我慢などする必要はありません。
いい加減にしてくれ!と叫ぶべきです。
なぜ、日本だけがデフレなのか?
なぜ、日本だけが経済成長しないのか?

もっともっと声を上げるべきです。

まずは、原因が何なのかを知るためにも本書をお読みください。
座してこの国が衰退するのを、ただ見ているだけというのは絶対に嫌なので、ワタクシは叫び続けたいと思います。

本書はスタジオビビ、乙丸様より献本していただきました。
ありがとうございました。

【関連書籍】

<本書内で紹介・引用されている本>

為替相場は国力を反映する。日本の財政赤字拡大で円は売られる。人口が減る国の通貨を買う理由などない―もっともらしい解説にだまされてはいけない。大震災直後に円高が進んだのはなぜ?大規模介入も効果がなかったのはどうして?第一線の人気アナリストがわかりやすく説く相場変動の本当の理由。

<安達誠司氏の本>

FRB、長期国債の大規模買い切りへ!ついに始まったグローバル量的緩和。日本は乗り遅れてしまうのか。

【管理人の独り言】

日銀総裁の年収って3000万円くらいでしたっけ?
国民の痛みなんてわからんわなぁ。

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