世界の博物館、第30号は京都国立博物館です。
1000年もの間、日本の歴史の中心舞台であった京都に位置するこの博物館は、日本の至宝の宝庫でもあります。
【今号の一押し】
日本の歴史には、”天皇がいるところが都”という暗黙の了解がある。
だから、通常平安時代というと鎌倉幕府の成立とともに終了ということになるのだが、これはあくまで時代区分であって、江戸時代が終わるまで都は京都。
つまり平安時代は1000年以上続くのです。
そんな京都にある博物館ですから平安時代以後のほぼ全ての時代を網羅する展示品があるのですが、ワタクシが強く引かれるのはこちらの逸品
この鎧は室町時代のもの。
下野国(現在の栃木県)那須を本拠地とした那須家伝来の甲冑です。
そして那須家と言えば、源平合戦の屋島の戦いで、平氏方の戦場の扇を射抜いたことで有名な那須与一が2代目当主を務めた名家。
那須家の家紋である「一に菊花」の紋が前立て部分に見えます。
戦国時代を経た甲冑は機能的に洗練され、シンプルでありながら装飾も大胆になっていきます。
しかし、鎌倉室町時代の甲冑は、悪く言うと大柄で武骨。
洗練されてはいませんが、威厳と風格があります。
いちおう名前の由来を抜粋しておきます。
胴丸とは、平安時代後期に登場した鎧の形式。文字通り人間のどう部分を丸く包み込む鎧で、右脇で引き合わせるようになっているのが特徴だ。鎧は一般に、札(さね)と呼ばれる板状の部品を、糸や革でつくられた威毛(おどしげ)で結び合わせるが、本作では薄い藍色の縹色(はなだいろ)の糸を使用しているため「縹糸威」の名がつく。
京都は幕末維新の舞台でもあります。
勤王の志士達の遺品も収蔵されています。
ワタクシが敬愛する坂本龍馬の手紙も収蔵品の一つです。
京都に行かれたらぜひ。
次号はプノンペン国立博物館です。