世界の博物館、第34号はアナトリア文明博物館です。
トルコ建国の父、ムスタファ・ケマル・アタテュルク初代トルコ共和国大統領の提言で建設されたこの博物館はヒッタイト帝国の栄光を伝えるコレクションが圧巻です。
【今週の一押し】
アナトリア文明博物館の展示品において主役はやはりヒッタイト・コレクション。
その中でも一際目を引くのがこちら。
「雄牛形リュトン」
高さ約1mもあるこの雄牛の像は、まるで子供が乗って遊ぶ木馬のようにも見えるが、実はリュトンである。
以前にもリュトンの説明をしたことがあるが、要するに酒器。
お酒を注ぐ器である。
この想像図を見てください。
首の後ろから酒を入れ、鼻の穴から注いだと想像されています。
私たちの感覚からすると、なにか変な感じなのですが、ヒッタイトの人々にとって雄牛は力と豊かさを象徴する動物。
重要な祭礼でこのリュトンからお神酒を捧げていたのでしょう。
さて、気になったのでもう一つ。
これなんだかわかりますか?
封筒に入った粘土板文書です。
現代でも手紙は封筒に入れて届けられますが、紙が無く粘土板の時代には、文書を保護するために封筒の役割を持つ粘土で覆い、封筒を割って文書を確認したんだそうです。
ヒッタイトと言えば、鉄器と戦車を使う勇猛な民族のイメージでしたが、雄牛形リュトンといい、封筒入り粘土板といい、かなり文化的な民族だったんですね。
次号はフランス国立自然史博物館です。