世界の博物館、第38号は国立科学博物館です。
おなじみの上野にある博物館ですが、実は国立で唯一の総合科学博物館なのです。
そしてその所蔵する資料・展示物は約1万4000点。
そこから発せられるメッセージは「人類と自然の共存をめざして」なのです。
【今号の一押し】
日本人のモノ作りの水準はとんでもなくハイレベルだったことを知ることができるこの逸品。
1851年のまだ江戸時代に日本で作られた和時計の最高傑作です。
制作者は「からくり儀右衛門」こと田中久重。
和時計と洋時計、暦、さらには太陽の軌道や月の満ち欠けまでも全て連動して動きます。
しかも、洋時計の部分以外は全て久重のオリジナルというから”東洋のエジソン”とよばれるのも納得する。
これが上層の天球儀。
日本地図の上を太陽と月が日周運動を行います。
ところで、和時計というのは日本のモノ作りのすごさを端的に表すものだということをご存知でしょうか。
実は西洋時計というのは、夜明けと日暮れの間を6等分して「一時」とする東洋の不定時法にはそのままでは使えませんでした(季節によって「一時」の長さが変わりますからね)。
そのため、中国にもたらされた西洋時計は実用品ではなく装飾品として使われ、改良もされなかったのですが、日本人はこれを改良して不定時法に対応する機械時計を作り上げました。
海外から入ってきた技術を真似するだけでなく、独自の改良を加えてさらに良い製品を作り出す。
これは日本人のDNAに組み込まれたものなのかもしれません。
さて、この博物館は科学技術だけでなく、自然科学の展示でも世界有数のものが多々あります。
そのなかの一つがこちら。
独特のフォルムでティラノサウルスと人気を二分するトリケラトプスですが、有名な割に完全標本は少なく、頭部と胴体、四肢が一緒に見つかった例は世界で2個体しかなく、これはそのうちの1体だそうです。
それにしてもこの3本の角といい、独特の頭部のフリルといい、一体どんな生態だったのか、ジュラシックパークのような技術が実用化されたら、ぜひ見てみたいものです。
【おまけ】
ワタクシがはじめて零戦の実機と対面したのはこの博物館でした。
高校の修学旅行で行ったんですよ。
随分小さくて華奢な戦闘機だなという印象を持ったのを覚えています。
懐かしいなぁ。
次号はバンコク国立博物館です。