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進み続ける旅人たれ【書評】キム・ナンド(著)『つらいから青春だ』Discover21

おはようございます、学生時代がちょうどバブルで、何も考えずに遊びほうけていた一龍です。

今日は、そんなバブル時代の能天気な学生とは打って変わって、現代の悩める学生諸君に熱いエールを送る本をご紹介。
悩める若者の心を揺さぶる1冊です。

 

【目次】
プロローグ 忘れるな、きみはまぶしいほど美しい
PART1 答えは君の瞳のなかにしかない
PART2 思っているほど底は深くない
PART3 奇跡は少しずつ叶えられるものだ
PART4 「明日」が導くきみの人生
エピローグ 愛する息子よ

【ポイント&レバレッジメモ】

★きみの熱い思いにしたがえ

 熱意の力は大きい。熱意の力があれば、世間の物差しではなく、自分の価値と情熱とやりがいを基準にして生きることができる。そうして狭く険しい道を、「買ってまでして行く」馬鹿みたいな決断を下した人たちが、ある地点になると、だれもあなどれないポストにのぼりつめている。一瞬一瞬、もっとも合理的に、有利に思える意思決定を重ねたからといって、最終的に最も合理的な結果が出るわけではないのだ。そこには、熱意の力がなくてはならない。

★歩みを止めてふりかえる

 目標、方法、実践。
 世間的な意味での成功であれ、自分だけの夢であれ、人生でなにかを叶えるためには、この三つがひとつに合わさらなければならない。目標がなければ意味がなく、方法が正しくなければ非効率で、実践しなければ成しとげることはできない。ひとつでも欠けると、人生は、足が一本短い三脚台のように、力なく倒れる。
 つねにこの三つのバランスをとるためには、たえず自分をふりかえらなければいけない。この三角形の中心点に、自己省察があるのだ。

 ときには歩みを止めてみよう。そして、真剣にふりかえってみるのだ。定期的に自分自身と冷静に対することのない人生なんて、にぶいノコギリの刃のように、どんなにのっぺりとしているだろうか。

★うらやましく思わないなら、それは負けだ

 同じ条件の下ならば、軽い船のほうが速そうだ。ところが不思議なことに船乗りは船底に「荷足」とよぶ一定の重さの荷物をいつも乗せておく。荷足がしっかりした船は波風が激しい時も大きく揺れることなくまえにすすめるからだという。
 だとしたら、わたしたちも、劣等感を人生の荷足にして生きていったらどうだろう?隠したり否定したりせずに、どうどうと自分の成長のエネルギーと認めて生きていってはどうか?そのとき、劣等感は人生の波風から私たちを守ってくれるだろう。

 嫉妬する変わりにうらやましく思え。他人の成功を認めろ。たとえその成功が問題だらけに見えたとしても、逆にきみは尊重できる点を探し出し、そこから学べばいいのだ。

 思いきりうらやましがれ。そうすれば、勝つことができる。
 他の人の成功をみても、うらやましく思わないなら、それはむしろ負けなのだ。

★ひとりで遊ぶな

 きみ、ひとりで遊ぶんじゃない。ひとりでご飯を食べるんじゃない。ひとりでカフェに行くんじゃない。もし、教え子たちに、「卒業証書ではなく大学から持って行くべきたったひとつのアイテムはなにか」と訊かれたら、ぼくはだんぜん「いい人間関係」と答える。なぜ、感情のないかたよったロボットになろうとするのか?パソコンをきって、イヤフォンを外して、体ごと、人々のなかにきみを放りこんでみるのだ。

★隣の知識を幅広くとりこめ

 現代は、往来と融合の時代だ。そのため、多様な知識を吸収し、時代にニーズにあった「自分だけのストーリー」をつくっていことが、学歴やスペックよりも重要になる。学歴コンプレックスを転科で解決しようと、黄金のような時間を無駄にする学生たちをみると残念でならない。それならいっそのこと、目標とする専攻の大学院に進学したらいい。
 自分の専攻の価値をきみはどれだけわかっているだろう?今の専攻と、他のどの専攻をあわせたら最大のシナジーが生まれるか。真剣に考えてみただろうか?
 
 くりかえすが、現代は往来と融合の時代だ。隣の知識を幅広くとりこめ。専攻のランク軟化は直ちに捨ててしまえ。知識にランクはない。時代のニーズがあるだけだ。

★きみがくだした決定で人生をリードしろ
 百歩ゆずって、たとえ親の判断が正しいとしても、きみが親を乗りこえる必要性ははっきりしている。自分の人生の主人公は自分自身だからだ。人生は大小の満足や悲しみが縦糸と横糸になって織られている。これに耐えるのは最終的に全て自分だ。喜怒哀楽で細かく編まれた人生をすすんで受け入れるためには、その人生が「自分が下した決定」によってすすむ人生でなければならないのだ。
 人生の革新は主体性だ。たとえ千鈞の鉄の塊を背負っていたとしても、それが自分の荷物だと受け入れられれば綿のように軽くなる。けれど、人が背負わせたと思う時は、傘の上に降り積もった雪のように不安で重いものだ。

★僕たちにとって大学とはなにか?

 大学は、新入社員候補の養成機関ではない。すぐさま企業で使える実用的な知識を伝授する場所ではなく、そうした知識をうけいれ批判できる、知性と学習能力を磨く場所だ。
 それなのに、企業や社会はもちろん、大学生自身も会社務めに必要なツール的な知識だけが大学で学ぶべき知識の全てだと考えている向きがある。需要の側がこうして変化しているので、供給する側の大学も、やはり大きな知識を与えずに、当面の就職に役立ちそうな「小さな知識」のみに集中している。

 どうか肝に銘じてほしい。大学の本質は、小粒な個人的希望が集まったスペックのコンクール会場や、就職予備校ではない。社会や企業を進むべき方向へと導き、根本的な変化を模索するために必要な、道具的な知識ではない本質的な知恵を磨くところだ。

【感想など】
著者のキム・ナンド先生はソウル大学の教授。
非常に熱心に学生を指導する教授のようで、その”熱”が本書からも伝わってきます。

そう、この本は若者に向けた、とっても熱い応援エールなのです。

現在、日本の大学生を取り巻く状況、特に就職に関しては非常に厳しい氷河期が続いているのはご承知の通り。
韓国の学生も就職難が続いているようですが、実態は日本よりもかなり深刻。

というか、日本の学生さんはまだまだ恵まれています。

就職難と言いつつも、選ばなければ仕事はあります。
大学入試だって、少子化で全入時代。

それに対して韓国の場合、とんでもない受験競争を経て大学に入学しても、卒業後の就職難は日本の比ではない。

また、儒教の影響が非常に濃いため、人生決定に対する親の(特に母親の)影響力が絶大。

しかも職種に対する貴賎感も色濃くあります。
本書では学者(教授)志望の生徒が苦悩する一面が出てきますが、それは”学者”という職業がかなりのステータスだから。

そして、日本の学生と決定的に違うのは、徴兵制が存在すること。

こういうふうに日本と比較してみると、いかに韓国の若者ががんじがらめかということが、おわかりいただけるかと思います。

最初に書いたように、バブル時代の能天気な大学生だったワタクシには、知らずに読めば「何を悩んでんねん!」と一喝してしまうところですが、こういった背景をふまえて本書を読むと、よりいっそうキム先生の若者への熱いエールが、いかに愛情深いものかということに気がつくことでしょう。

さて、日本の大学生諸君へ、人生の先輩としてアドバイス。

まず本書を読んでほしい。
大学というところは、企業で必要なスキルの訓練場所でも、社会人になるための予備校でもありません。

大学で学ぶべきものは、大学でしか学べないものなのです。

それは学問はもちろん、人間関係とか、あるいはキャンパスとはまったく関係ないところでの体験かもしれません。
要するに、それらをひっくるめた、その世代でないとできない”経験”。

それも、”もがき苦しむ経験”こそが、大学で学ぶべきことなんだと、本書を読んで気がつきました。
きっと、”もがき苦しむ経験”ができることも、若さの特権なんだろうなぁ。

本人は必死で、苦しいだけなんだろうけど、今になって思い返せば、全てが自分の血となり肉となっていることに気がつきます。(一応勉強もしてましたからね。書庫に潜って朝から晩まで文献を読みあさってました。)

ジョブズ流に言えば、点がいつかつながると信じて進むしかない。

でも、進み続けるのにちょっと疲れたり、迷いが出たら本書を読み返してみてください。
この本はマラソンの給水所。
魔法のドリンク剤ですよ。

若さという特権を、どうしたらいいかもてあましている貴方へ。

本書はDiscover21社様より献本していただきました。
ありがとうございました。

【関連書籍】
<本書中で紹介・引用されている本>

 

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【管理人の独り言】
今思えば、キャンパスで学んだことより、バイトや旅で学んだことが一生の財産になっているものが多いなぁ。

学生諸君、「書を捨てよ、街に出よ」。
この言葉はある意味真実だと思うよ。

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