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ミッションはあなたの依て立つところ【書評】岩田 松雄(著)『ミッション』 アスコム

おはようございます、急に寒くなってちょっと喉が痛い一龍(@ichiryuu)です。

さて今日は、もとスターバックスコーヒージャパンCEOの岩田松雄さんの本をご紹介。

昨今の「働き方本」ブームの中、僕たちは何のために働くのかをど真ん中ストレートで語ってくれます。
しかも、これでもか!、っていうぐらい中身の濃い本でございます。

 

【目次】
序章
第1章 どうすれば人を魅了できるのか
第2章 ザ・ボディショップとアニータ・ロディック
第3章 スターバックスはコーヒーを売っているのではない
第4章 僕たちは何のために働くのか
第5章 自分のミッションを作る7つのヒント
第6章 火花散らすリーダーの8つの習慣
第7章 ミッションを育てる時間術、勉強法、読書術
終章

【ポイント&レバレッジメモ】

★ミッションさえあれば、ビジョンもパッションも自然とわき上がる

私も、アメリカのビジネススクールで「株主価値最大化の経営」を学んできた人間です。しかし、どうしても当時から、違和感を持たずにはいられませんでした。
このもやもやした思いがはっきりと晴れたのは、ザ・ボディショップの経営に没頭していた、ある日のことでした。

企業は、世の中をよくするためにある。

こうして文字にしてみると、とてもシンプルで、何ということもないように思えるかもしれません。
しかしこの考えは、ある日突然、それこそ空から降ってくるように、大げさに言えば「天の啓示」のように、自分のところに舞い降りてきたのです。<中略>
経営者にとって大切なことは、ミッション、ビジョン、そしてパッションだとよく言われます。私は、この中でもミッションが重要だと考えています。ミッションさえしっかりしていれば、よいビジョンが描け強いパッションは自然とわき上がってくるはずです。

★社員を大切にしない企業は、ミッションを実現できない

まず、ここで1点だけ明確にしておきたいことがあります。それは、社員を大切にしない企業は、けっしてブランドにはなり得ないし、ミッションの実現はできない、ということです。

★社員の自発性を引き出すためにリーダーがやるべきこと

本当に大切なのは、「なぜそうするのか?」を、しっかり理解してもらうこと。あるいは、常に自問自答することです。
人材教育の場において、私はその点を徹底するようお願いしました。
おいしいコーヒーを淹れることも、接客の仕方を学ぶことも大切だ。でももっと大切なのは、なぜそうするのかだ。なぜ「こんにちは」なのか?なぜスターバックスはサードプレイスであろうとするのか?なぜスターバックスはおいしいコーヒーを提供しているのか?なぜ?なぜ?・・・。
こうした思考を繰り返せば繰り返すほど、パートナーたちはどんどん応用が利くようになっていきます。<中略>
与えられたミッションは、自分の中で議論し、咀嚼して、初めて自分のものになります。本社や本部、リーダーは、考えるスタッフを育て、彼らが現場で判断したことを全力でサポートしなければならないのです。

★自分自身のミッションを持つ

 自分を会社にたとえたら、どんなミッションで自分を運営していくのかを、まず考えてほしいのです。すると、何をするのか、どんな会社で働くのか、どういう形で働くのかについても、答えが見えてくるはずです。
 安定しているから正社員になりたくない。クビにならないから公務員になりたい。こういった発想が残念なのは、ミッションがないことです。
 会社員であるか、フリーランスであるか、企業家であるかは、問題ではありません。大切なことは、ミッションを持ち、社会を良くする一翼を担うこと。そうしてがんばっている人を、人々はきっと支持するはずです。

★ミッションを作る7つのヒント(抜粋)

ヒント3 「私」を無くす
 自分の気持ちが、「世の中をよくするためだ」と信じられるかどうか。

ヒント4 3つの輪は何か考える
 「好きなこと」「得意なこと」「何か人のためになること」。この3つが重なる部分であれば、経済的な原動力となり、その対価として報酬をいただくことができるわけです。

ヒント5 ミッション探し、自分探しの旅はずっと続く
 ミッションは、一度構築したら終わりではない。働き続ける限り、いや行きている限り、ずっと考え続けるものであり、また考え続けることが大切なのです。

ヒント7 「自分はまだまだ」の気持ちが成長を加速する
謙虚さこそが、勉強し続け自分を磨いていくために必要な栄養素だからです。

【感想など】
まず読んでみての率直な感想は、「とんでもなく詰め込んだな」というもの。

読みどころ満載すぎて、読み進めれば進めるほど、あれもこれもと【ポイント&レバレッジメモ】にピックアップしたくなるので、今回は”ミッション”に関するところをピックアップするにとどめました。

いやぁ、先日紹介した『僕たちはアイデアひとつで未来を変えていく。』に続いて、アスコムさんの本は内容濃すぎます(笑)。

さて、本書の著者は元スターバックスジャパンのCEO、岩田松雄氏。

非常に異色の経歴の持ち主で、自動車会社から始まって、UCLAのビジネススクールを経営を学んだ後、外資系コンサルティング会社、日本コカ・コーラ、ビバレッジサービス、アトラスを経て、THE BODY SHOP Japan、そしてスターバックスコーヒージャパンを経営。

確固たる実績を築いてきた”専門経営者”なのです。

先にお断りしておきますが、本書では、THE BODY SHOPとスターバックスでの経験を中心に、”ミッション”について語られています。

しかしワタクシは田舎者ゆえスターバックスには数えるほどしか行ったことがありませんし、THE BODY SHOPにいたってはその存在すら知りませんでした。
(最も近いスタバは車で1時間、生活圏にないので普段は全く行きません)

まぁスタバに関しては、ビジネス書の題材にもよくなってますから、シュルツ氏の起業物語やスタバのミッションについても読んだことはあります。

ですが、正直言ってFacebookなどで東京の知り合いが毎日のようにスタバに通っているのが不思議で仕方ありませんでした。

本書に書かれているような感動体験をしたことがないですから、ピンと来なかったのです。

けれど、今回本書を読んで、どうして毎日のようにスタバに通うのか、少し納得できました。
(もし生活圏にスタバがあったらワタクシも通ってしまうな)

本書を読み始めると
ハワード・ビーハー氏の

「私たちは人々のお腹を満たしているのではない。心を満たしているのだ」

とか、

アニータ・ロディック女史の

「ザ・ボディショップは単に利益を上げる起業ではなく、社会貢献をして、世の中を変えていく」

といった”ミッション”にまず出会います。

企業にとっての”ミッション”の大切さと、その実現について岩田さんはご自分の経験から本書前半で語られています。
この部分、非常に面白くて経営者の方にとっては読んですごく参考になると思うのです。

が、ワタクシはこれはあくまで導入に過ぎないと感じました。
いわゆる”まえふり”。

もちろん会社の”ミッション”って大切ですよ。
みんなで同じ”ミッション”を掲げ、その実現に向かって邁進し、目標を達成していくことは、素晴らしい体験となるでしょう。

でも、著者が本当に訴えたかったのは会社の”ミッション”実現ではなく、個人が働く中で”ミッション”を見い出し、掲げ、実現し、そしてまたさらなるミッションを掲げて自己成長していく。

つまり、働くことの本質とか、人生の価値とは何かといった深遠な部分に目を向けましょうよ、ということなのだと思いました。

重視すべきは「働くスタイル」ではなく、「いかに人々を喜ばせるか」だと信じます。
社会を変える一翼を担うことだと信じています。

ワタクシも若いころは全くこんなこと考えていませんでした。
どうしても、自分の好きな仕事がしたいとか、もっと給料が欲しいとか、目の前のことしか見えてなくて、自分のことしか考えられないものでした。

「世のため人のためなんて偽善だ!」と思うのが普通ですよ。

でも、歳を取って、経験を積んで、さらには自分に子どもが出来たりすると、「残りの人生で何が残せるか?」って真剣に考えるようになります。

そのとき必要となってくるのが個人の”ミッション”ではないでしょうか。

”ミッション”は人の依て立つところ。

信念であり、自分自身への作戦命令であり、あなたが掲げる海賊旗です。

働き方に悩んで自分探しの旅に出かけるぐらいなら、会社のミッションに邁進する中で自分のミッションを探してみてはいかがでしょう。

あなたのミッションは、意外に近くにあるものです。

蛇足ながら本書後半はリーダー論。
そして岩田さんの時間術、勉強法、読書術と続きます。

本当にコンテンツ盛りだくさんすぎてお腹いっぱいになる1冊ですが、300ページ近くのボリュームとこの内容で1400円!

コストパフォーマンスむちゃくちゃ高いですよ。
特に若者にオススメしたい本です!

本書はアスコム編集者の黒川様より献本していただきました。
ありがとうございました。

【関連書籍】
著者オススメの書籍

1、2巻を推薦していますが、ちょうど先日4巻も登場したので、セットで読まれてはいかがでしょう。

 

学ぶことは『坂の上の雲』のほうが多いけれど、読んで文句なしに元気になれるのは『竜馬ががゆく』

『竜馬がゆく』はワタクシにとってもバイブルです。

【管理人の独り言】
今日ご紹介した本の後半に、岩田さんの読書術が10項目紹介されています。
その中に、「残念な書店、気迫のこもった書店」という項目があります。

 最近は一見大きな、商品が充実しているかのように見える書店でも、棚に並んでいる本を見ると、ビジネスを全くわかってない人が本を並べているなと思うことがあります。置いておくべき本がなかったり、内容が全く関連ない本同士を同じコーナーに並べていたり・・・。とても残念です。

ほんと、残念です。
先日も近所のM書店さんで発見しましたよ。
年末なので手帳コーナーが展開しているわけですが、そこに手帳とならんで手帳本も展示しているのです。

が、よく見るとそのなかにこの本が・・・

ちょっと中を確かめれば、この本が手帳本ではないことがわかるのに・・・

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