<楽天ブックスはコチラ> 『「つらいな」と思ったとき読む本』
語り口優しく、後味さわやかな中谷節。
でも雰囲気に騙されてはいけません。
これはかなり奥の深い自己啓発書でございます。
【目次】
はじめに トラブルやアクシデントが増えるときが、ターニングポイント。
第1章 凹んでも、立ち直れる。
第2章 こう考えれば、立ち直れる。
第3章 それでも、立ち直れる人。
第4章 人に振り回されない。
第5章 運が、味方になってくれる。
第6章 前向きな元気が、わいて来る。
おわりに 努力しないと、厳しくもしてもらえない。
【ポイント&レバレッジメモ】
09 この仕事がどうかより、人生の生き方がどうか。
大切なポイントは、AかBかの職業選択ではありません。
生き方を考え直すことです。
職業を変えるということは、生き方を変えるということです。
⇒仕事を変えるより、生き方を変えよう。
11 「めんどくさい」と感じることは、やめる。
心に少しでも「めんどくさい」と感じることがあったら、それはやめていいのです。めんどくさいと思っていることをガシガシ頑張って努力しても、身につきません。<中略>
「めんどくさい」と思ってやり続けないことです。
頑張っていても、「ふー」とため息をつくようなことは、やらないほうがいいのです。<中略>
仕事・勉強・習いごと・遊びで、一瞬でも「めんどくさい」が頭に浮かんだら、それは即やめていいのです。
これが努力の勧めなのです。
⇒ため息をつきながらすることを、やめよう。
19 比較評価ではなく、絶対評価をする。
人からの評価で考えるならば、常に誰かとの比較が発生します。
立ち直れる人は、絶対評価です。
立ち直れない人は、常に比較評価です。
⇒何かと、比べない。
29 落ち込むのは、成長の前兆。
落ち込むのは、変化した時です。
変化した時に、「今までどおりにやったのに、うまくいかない」ということが「落ち込む」という状態です。
変化を楽しむことが、運を味方につけていくということです。<中略>
変化をいかに楽しむかです。
変化をチャンスに変えて、変化にストレスを感じないことです。
相手が変化することまで、あらかじめ織り込みずみにしておくことが大切なのです。
⇒変化を、楽しむ。
36 話せる中身で、会う人のレベルが決まる。
人にたくさん会えば会うほど、知らず知らずのうちに、会う人のレベルが下がっていきます。
必ずこの現象が起こります。<中略>
それは、自分で勉強していないからです。
会った時に話せる中身で、会う人のレベルが決まります。
話せる中身のない人がレベルの高い人に会っても、同じレベルには上がれません。
レベルの高い人は、次はその人に会ってくれなくなるのです。
レベルの高い人に会うためには、1人になって勉強する時間が必要です。
⇒1人になった時、勉強しよう。
45 運のいい人は、常に相手のためにベストを考えている。
運のいい人は、常に「相手のためにベストなものは何か」と考えています。
だから「ありがたい」という気持ちが先にあるのです。<中略>
感謝していると、「こうしたほうがいいよ」という、神様のアドバイスがちゃんときます。
これが「ありがたい」ということなのです。
⇒「相手の喜ぶこと」を考えよう。
53 自分自身を、バージョンアップしていく仕組みを、つくる。
努力の仕方をバージョンアップしていくことです。
いつまでも同じやり方をしていると、結果は変わりません。
結果は、現実です。
同じことをしていたら、同じ未来が来るだけです。
運命で未来が決まっているわけではないのです。
現実は変えられます。
自分がバージョンアップすれば、新しい現実が目の前にあらわれます。
努力の仕方を変えるだけで、目の前の現実はまったく変わったものになるのです。
⇒自分を、バージョンアップしよう。
おわりに 努力しないと、厳しくもしてもらえない。
努力をして初めて叱ってもらえるのです。<中略>
言われるのは最初の本の短い期間だけです。
努力している人が、一番厳しいことを言ってもらえるのです。
厳しいことを言ってもらうために努力するのです。
これが努力の仕方です。
努力したら叱られなくなるのではありません。
叱られるために頑張るのです。
そうして人間は成長していくのです。
⇒叱ってもらうために、努力しよう。
【感想など】
とにかく多作の作家さんで、一部で「月刊 中谷彰宏」の異名をもつ(?)中谷さん。
ワタクシも大ファン(特にモテ本が…)なのですが、今回のテーマは、冒頭に
この本は、3人のために書きました。
①今日、つらいことがあった人。
②悩んでしまった部下を、励ましたい上司。
③悩んでいる大切な人を、勇気づけたい人。
とあるように、自分や周りの人が落ち込んだとき、凹んだ時にどうするか? であります。
中谷さんの文章は、どの本も平易で優しい。
きっとこんなやさしい言葉で女性を口説くんだろうな、なんていらぬ想像をしてしまうのですが、中谷さんの本の人気はただ単にやさしいだけの文章表現ではないところにあるのではといつも思っています。
よく読むと、そのやさしい文章の中に、ウィットに富んだユーモアや、あるいは猛烈な毒を含んだ皮肉が織り交ぜられています。
そういうところがスパイスとなって、魅力的な文章なんだろうと。
で、今回はというと、一応、お得意の“男前セリフ”ももちろんあります。
自称「尽くすタイプ」の女性がセーターを手編みして重苦しくなるのと同じです。
「私はあなたにこんなに尽くしているのに、あなたはなんで?」というのはめんどくさい女性です。
とか、
ケータイに名前が残っている女性の顔が浮かばないのは、かわいくなかったからです。
「この人はかわいいか、かわいくないか」と迷う必要はありません。
かわいかったら、覚えています。
覚えていない時点で、縁がないのです。
とか、ワタクシが言ったら女性陣に総スカン食らいそうな、でも中谷さんが言ったら「そうですよね」となってしまうセリフもアクセントであるのですが、全体の印象として
全体に優しい!
しかも
後味さわやか!
逆にいうと、ちょっと物足りない。
「あれ?おかしいぞ!中谷さんの本がそんなに毒がないはずはない」と思い、2度3度と読みかえしてるうちにようやく気がつきました。
この本、全体に文体が優しいだけ、もしくはやさしい雰囲気があるだけで、言ってる内容はかなり深く厳しい内容だということに。
何度か読んでいるうちにワタクシの頭に浮かんだ言葉は
「自主独立」「自力本願」「自己確立」
といった、甘えたところのない、自分に厳しいものでした。
要するに、自分に頼れ、そのためには頼れる自分をつくれ! といったところでしょうか。
かなり厳しい。
でも、考えてみれば、凹んだり、迷ったりしたときに、スッと立ち直り、決断を下し、前へ進むのは自分自身の力です。
誰かの言葉や行動を参考にすることはあっても、行動するのは自分自身です。
辛い状況から脱け出す一番速く確実な方法は“自分自身を鍛えること”。
本書の中谷さん流に表現すれば“自分をバージョンアップ”することなんですよね。
そのために、本書では「仕事を徹底的にやろう」とか「一人のときに勉強しよう」とか「偶然に頼るな」といったかなり厳しい提案が、これでもかと続くのですが、ですがですよ・・・
なぜか全然説教臭くなく、むしろ優しさを感じてしまう(けっしてワタクシMではありません)中谷文章の妙味。
本当に凹んでいる人には、ガンガンスパルタで説教されても余計凹むだけですので、そういった方にこそ本書はうってつけ。
中谷さんの優しさに包まれながら、“自分をバージョンアップ”する方法を見つけてください。
本書はあさ出版編集者の吉田様より献本していただきました。
ありがとうございました。