<楽天ブックスはこちら> 『佐藤さんはなぜいっぱいいるのか?』
いやー面白い。
佐藤さんから始まって、あんな話、こんな話、次から次へと具体例てんこ盛りで飽きさせずに楽しませるこの本。
実は、「商標」の本なんですよ(笑)。
【目次】
はじめに
第1章 佐藤さんはなぜいっぱいいるのか?
第2章 ラーメン戦争 ~その商標は誰のもの~
第3章 あなたの「目印」似てますよ!
第4章 スターバックスとエクセルシオール、コーヒー勝負
第5章 獣対決とライオン対決
第6章 有名になるための死闘
第7章 商標・目印の応用編
おわりに
【ポイント&レバレッジメモ】
★目印を使う上でのポイント5つ+2
1 目印は、同じ目印を使う人が複数いると、見つけてもらいにくくなる。
2 目印を使って見つけてもらえるか否かは、相手次第。
3 自分で作った目印であっても、周りの環境次第では目印として機能しなくなる。
4 機能しづらい目印であったとしても、使用するエリアによっては目印として機能する。
5 機能しづらい目印であったとしても、何かを付ければキチンと目印として機能する。
6 機能しづらい目印であっても、付ける対象を変えれば目印として機能する。
7 機能しづらい目印であっても、有名になれば目印として機能する。
★目印は見つけてもらうためのしるし
目印とは、見つけてもらうためのしるしです。
見つけてもらうために目印を使用するわけですから、目印を使用する際には、誰かしら相手がいます。
したがって、目印は相手が分かるように付けることが大事です。このことは、「相手さえ分かってくれれば、目印はなんでもいい」ということにもなります。すなわち、目に見えるものに限定されず、耳で聞こえるものや、匂いで分かるものであってもいいのです。
★商標類似の客観的な3つの物差し
「外観」とは、見た目。「呼称」とは、読み方や聞こえ方。「観念」とは、イメージ。
これら3つの物差しを使って、商標が類似しているか否かを判断します。
★商標の世界では、原則的にはマネを禁止していない
商標法の世界では、商標どうしを対比した場合に、「同一あるいは類似の関係にあるか否か」で違法性を判断します。したがって、仮にマネをせず、まったくのオリジナルだとしても、他人の商標と同一あるいは類似の関係にある場合には、違法となる場合があります。
★目印を自分自身に付ける
しかし、ビジネス以外の自分自身に付ける「目印」であれば、ある意味なんでもありです。文字、図形など商標の対象である「目印」であってもいいし、それ以外の「音」や「匂い」など、目に見えないものであってもOKです。
◇自分自身に付ける「目印」使用のルール
まずは、「目印」を付ける場合には、「継続して」「共通性を持って」使用することです。
広く人々に印象づけたいのであれば、「目印」は継続して使用する必要があります。継続して使用することにより、人に覚えられるのです。
また、継続して使用する「目印」は、いつでも同じであることが基本です。
毎回違う目印を使用したのでは、そもそも何があなたの目印なのか分からなくなりますし、人に印象付けられないからです。
ただし、「目印」を変えて使用したとしても、すべてに共通性があればOKですし、場合によっては上位の概念でくくってもかまいません。
◇「差別化」は目的ではなく手段
もうひとつ注意があります。
それは、「目印」を使用して最終的に得るものは「信用」であるということです。<中略>
自分自身の「目印」であれば、自分がどのような人物かということも考えて「目印」を選ぶ必要があるわけです。すなわち、その「目印」を自分自身に付けた場合に、相手からどのように認識されるかを考えて「目印」を選ぶ必要があるわけです。
◇分野を決めて勝負する
そして、商標の世界でも区分があるように、その「目印」をどの分野で使用するかも、考える必要があります。ただし、自分自身に付ける「目印」について言えば、この「分野」とはだいたい「誰に対して」、つまり「相手」となります。
【感想など】
タイトルから、「いったい何の本だろう?」と思ってしまう方もおいでると思いますが(ワタクシもそうでした)、けっして名字の本ではありません。
著者の茅原さんは弁理士さんで、本書は「商標」について、わかりやすく解説してくれている本です。
商標とか特許とかいった分野は、ワタクシにとって全くの知識のない分野でしたが、次から次へと出てくるトリビア的な具体例が非常に面白く、楽しんで一気に読むことができました。
巻頭の“佐藤さん”の話もそうですし、プーマとアディダスの創始者は兄弟だったとか、ワタクシも大好きなAppleのリンゴはなぜ一口かじられているのか、などなど雑学王として知っておくとちょっと自慢できるものばかり。
「よくこれだけ調べられたな」と感心しましたよ。
ついでながら、読んでいて思い出しましたが、ワタクシが子供の頃、PUMAのウィンドブレイカ―を着ていたのですが、これをピューマと読んでいた人がいたなぁと。
まぁ昔のことですが・・・。
さて、本書は会社で商標や特許などを専門に扱う部署に就いている方が読まれるのが一番だと思いますが、ワタクシのような門外漢が読んでも得るものがあります。
そこが本書の“ただの商標の解説書ではないところ”で、その点をワタクシは強くプッシュしたい。
それは“セルフブランディング”という視点で読むというところ。
【ポイント&レバレッジメモ】でも後半部分に少々抜き出させていただきましたが、“自分に目印を付ける”というのはまさしくセルフブランディング。
そして、その考え方や使い方は、“商標”のそれと同じなんです。
分野を決めて勝負すること。
つまり、誰にたいして目印を使うか。 とか
目印は継続して共通性を持って使う。 とか
そして、極めつけは、 目印の目的は差別化ではなく信用を得ること、という考え方。
これは書評ブロガーとしてのワタクシも考えなければならないところ。
しかし、小難しいことではなく、自分の好きなものを一貫性を持ってプッシュしていけばいい。
例えば著者は「お酒好き」と「着物」が目印だったそうですが、要するに「私はこれこれこういう人間ですよ」と説明できるタグを知らしめて行けばいいんですね。
そうして構築された自分のイメージが自分自身の“商標”となる、それがセルフブランディングということですね。
納得。
なお、著者が商標の考え方を利用して結婚できた方法を終章で紹介しております。婚活男子も必読!
本書は水野俊哉様より献本していただきました。
ありがとうございました。
【おまけ】
本書に“年明けうどん”についての記述がありましたので、うどん王国の住人として一言。
確かに今年の正月はどこのうどん屋も“年明けうどん”ののぼりやポスターで盛り上げてました。
けど、地元民の反応はイマイチでした。
というのも、もともとうどん王国では大晦日に“年越しうどん”を食べますし、西の方では大晦日に風呂につかってうどんを食べる風習もあるぐらい。
それに、正月だろうがお盆だろうが、それこそクリスマスでもバレンタインでも子供の日でも敬老の日でも年がら年中うどんを食べているわれわれうどん人にとって、正月だから特別にうどんをと言われなくても、元旦から15日までに1回から15回はうどんを食べるわけです。
今更なに?って感じですよ。
もっと言えば、正月ぐらい違うものを食わせろよ!といったところでしょうか(笑)
【関連書籍】