コミュニケーションの道具として、思いを乗せて伝える大切な“声”なのに、ほとんどの人が無頓着。
本書を読んでエクササイズに取り組めば、さらにあなたの魅力は増しますよ。
ということで、今回は声を鍛えるお話です。
【目次】
はじめに 声ですべてが決まる
第1章 眠っている声ヂカラを目覚めさせよう
第2章 声とともに自分を解放してリラックス
第3章 気持ちが入ったカラフルな声を出そう
第4章 リズム感のある声を手に入れよう
第5章 声ヂカラでその場を制す!
おわりに
【ポイント&レバレッジメモ】
★いい声とは、人をいい気持にさせる声です
やさしい気持ちにさせてくれたり、懐かしい気持ちにさせてくれたり、勇気をくれたり、気分を高揚させてくれたり、静かな気持ちにさせてくれたり・・・。
そんな声を、人は「いい声だなぁ」と感じます。
そして、リラックスしたやさしい気持ちでいるからやさしい声が、カラダの底から力がわきあがっているから力強い声が出るのです。人に勇気や感動を伝えたいと思えば、人の心に届く声が出ますし、厳しく自分を律していれば、凛とした声が出る・・・。
つまり、私たちの心の状態が、そのまま声として現れるのです。
★気持の入ったカラフルな声を出そう
◇自分の声に思いを込める
声はとても正直です。
意志を持って出さなければ、それはうつろに響くただの音でしかありません。
自分自身のために、そして、思いを届ける相手のために、声をただの音にはしないようにしましょう。
◇時と場合によっては感情的になる
「声に感情が乗りにくい」タイプの人は、話すときに、習慣的に次のようなことを心がけているのではないでしょうか?
・言おうと思うことは全部頭のなかで文章にまとめてから声に出す
・タイミングよりも言うべきことの完成度を大事にする
・相手の話を一度飲みこんで、咀嚼してから話し出す
・感情や情熱、勢いで話さず、表現や声はコントロールする
<中略> 理性的に話すことが声の表現に制限を与えてしまうことも事実です。
◇感動のスイッチを入れる
大切なのは、自分が何を伝えたいのかを意識することです。
そして、人の心を動かすパフォーマンスや話し方ができる人は、話すときにまず、自分自身の心がリアルに動いているということを、忘れてはいけません。
◇「何のために、誰のために」を意識して声を出す
人は誰しも、この「声の制服」を知らず知らずのうちに身につけています。
職業や役割、コミュニティそのものを、声で表現しているのです。<中略>同じ職業や環境にある人たちは、音程感や音色、音量が、意識するしないにかかわらず、似通っていきます。
それは、その場所やコミュニティに同化するために本能的に身に付けたスキルなのかもしれません。<中略>
でも、ここであえて、その無意識に自分の体にしみ込んだ声と、もう一度向かい合ってみてください。<中略>
単なる習慣やクセから声を出すのではなく、今、自分は、誰のために、何のために声を出しているかを、意識しましょう。
◇笑顔で声の高感度をアップさせる
実は、笑顔は声自体にも大いに影響を与えます。
人は微笑んで発せられた声を心地よく感じますし、前歯が見える状態で発生される声は、音抜けのよい、明るい響きを持ちます。
★スピーチする時は沈黙に負けず「間」を取る
人前に立ち、テンションが上がっている時は、自分の心臓の速さとともに話すテンポも速くなっていきます。これが、予定分数よりもうんと早くスピーチが終わってしまう理由のひとつです。
さらに、ひとりで話している時は相手の相づちを待つ必要がありませんから、言いたいことをしゃべり倒すだけでいいので、「間」がなくなりがちです。つまりスピーチにおいては、その場にふさわしいリズムやテンポを、私たちが指揮者のように操る必要があるのです。
スピーチする時も、通常の会話で相づちが差し挟まれるであろう箇所に、「間」を取ることを心がけましょう。
★英語の歌をマネをしてリズムをカラダに入れる
中学に入る少し前から、洋楽に夢中になった私は、毎日何時間も英語の曲を聞いていました。当時の私には英語は宇宙後のようなもの。チンプンカンプン以下でした。
それでも、どうしても好きなアーティストと一緒に歌いたい。だから、歌詞カードをみながら、聞こえるままに「なんちゃって英語」で歌ってました。<中略>
後に、語学上達の秘訣などと言われる本をたくさん読んで、実はこの「なんちゃって英語トレーニング」が、かなり効果的なスーパートレーニングだったことを知りました。秘密は次の4つです。1.聞こえてくる音をマネることで、耳や発生期間などの神経系が鍛えられる
2.トライ&エラーを繰り返すことで、記憶が定着する
3.リズムに乗ってカラダを動かすことで、英語のリズム感を養える
4.大好きな歌を歌うので、楽しいから何度でも繰り返し練習できる
★マイクを自分の武器にする
マイクは声の音量をあげるだけでなく、声の質を決め、表現力を左右します。<中略>
どんなマイクにも適性距離があります。
マイクが口から遠過ぎても、近過ぎても、いい声には聞こえません。
また、最適な角度もマイクの種類によって様々です。<中略>
もっとも大切なことは、効果的なマイクと口の距離、角度を保ち続けることです。
【感想など】
声ってすごく大事。
プレゼンやセミナーなどで、「内容はすごくいいのに、声が残念だ」っていう人、いますよね。
もちろんそれには、話すスピードや間の取り方といった、声ではなく“話し方”の要素も大きいのですが、声の高い低いとか声の太い細いといった“声質”の部分も大きな要素を占めています。
その場に適した、目的に応じた声というものは確かにあると思うのです。
例えば、
飛行機に乗ると機長のアナウンスって必ずありますよね。
あのアナウンスが妙に高い、落ち着きのない早口で放送されたら不安ですよね。
昔ワタクシが乗った国際線で、小声でボソボソと早口でしゃべる機長アナウンスがありました。
「・・・到着予定時刻は・・・天候は・・・気流の関係で・・・」
肝心なところが聞きとれないうえに、何だか不安になってくる。
やはりこういう時は、やや低音の落ち着いた太い声でゆっくりしゃべって安心感を与えてほしい。
でも、声質に関しては、「持って生まれたものなんだから仕方ないじゃないか」と思われる方もおいでるでしょう。
そんな方には本書をぜひお読みいただきたい。
伝えるための「声ヂカラ」というのは、単に声質だけで決まるものではなく、総合力で決まるものだということがお分かりいただけると思います。
先に「“話し方”の要素も大きい」と書いたように、
「声ヂカラ」=声質+話し方+メンタル状態+人間力 (もしかしたら足し算じゃなく掛け算かも)
で決まるんじゃないかと思うのです。
ガヤガヤうるさい居酒屋で酔っ払いのおっちゃんのだみ声がよく通るように、某出版社女性社長のようにハスキー系ボイスでべらんめえ調でも品格があって心地よく聞こえる声があるように。
ですから、持って生まれた声質で判断せず、練習によっていくらでも「声ヂカラ」は向上するんだと考えてください。
そのためのエクササイズが本書では多数紹介されています。
これは試してみる価値あり。
プレゼンの内容には自信があるけど今一つ反応がよくない、合コンやパーティーで人を惹きつけたい。
もうワンランク上の魅力を獲得したいあなたへ。
なお、「自分」が伝わる声ヂカラ 公式サイト でも、声ヂカラ☆エクササイズ が紹介されているのでこちらも参考にしてください。
ちなみにワタクシお気に入りのエクササイズは、声ヂカラエクササイズ25、すっぽんぽんイメトレです!
本書はディスカヴァー21、編集者の大山様より献本していただきました。
ありがとうございました。
【おまけ】
声はフィジカル面にも影響する重要なファクターであることはスポーツ界では常識。
例えばベンチプレス中、シャフトを持ちあげられず、「もうあかん、限界や」という時に、「ウオーッ」と声を出すと筋力も絞り出されます。
声って肉体にも作用するんですよ。