職場を見渡してみてください。
「アイツ一緒に入社したのにもうマネジャー?」という人いませんか?
何がどう自分と違うのか。アイツはどうして自分より一歩先に進んでいるのか。
そしてその方法は?
答えはこの本にあります。
【目次】
はじめに 「君という商品」は、売れてますか?
第1章 「君という商品」を、広告テクニックで輝かせよう!
第2章 「君という商品」の広告戦略を、考えよう!
第3章 君の訴求ポイントは、何だ?
第4章 どんな方法で、君を広告しようか?
第5章 「君という商品」のメッセージを載せるメディアは?
第6章 「自分広告」には、クチコミ=評判も欠かせない
第7章 君の「広告戦略企画書」を、書いてみよう!
おわりに 「君という商品」がブランドになるために
【ポイント&レバレッジメモ】
★広告の古典的名理論AIDMA理論
Attention(注意)→Interest(興味)→Desire(欲望)→Memory(記憶)→Action(行動=購買)
◇広告テクニック7 Attention!まずは、注意を惹く
いくら中身がよくても、まずは気づいてもらわなければ、まずはAttentionを得なければ、それは存在しないも同じ
◇広告テクニック8 Interest!興味を持ってもらう
”一瞬の注意”以上に興味を持ってもらうには、他の人と「何か違うこと」が必要だ。まずは「何か違うこと」を自分の特徴として持つことが第一。そしてさらに、君の持つそんな「何か違うこと」に、周りの人は、意外と気づかないということにも気をつけよう。だからこそ、さりげないアピールが必要だ。
◇広告テクニック9 Desire!大きな仕事を頼みたい!
興味を持ってもらった次は、「こいつ、なにか期待できるな、一緒に仕事をしてみたいな」と具体的なDesire(欲望)を持ってもらう必要がある。<中略>
「自分広告」でいえば、実は、いわゆる”人柄”が大事になってくるということだ。
あまり言われないことだが、現実のビジネスの場面では、実は、「なんかイイなこいつ」とか「こいつ、カワイイところがあるな」とかが、強く影響するものなのだ。
◇広告テクニック10 Memory! 記憶のリストの上位に!
周りの人が若手の名前や顔を思い浮かべるとき、頭に浮かんでくる数人に君が入らなければいけない。みんなのMemory(記憶)のリストに載せてもらうのだ。<中略>
では、覚えてもらうには、どうしたらいいだろう?
「あれもこれもそれも、一応はできる」みたいな状態から脱することが、第一だろう。<中略>逆に言えば、「あ、あの能力ならアイツね」「それなら、あの娘に頼もう」と覚えてもらえることをつくることだ。
◇広告テクニック11 Action! 仕事の依頼!高評価へ
「自分広告」におけるActionは、仕事を依頼されるとかいうことになる。
ま、当面の目標はこのActionだったわけだが、しかし、仕事の声がかかるところで終わらず、その次へとつながる評価を得ることが、とても大切になる。<中略>
頼まれたことは、小さなこと、つまらないことでも、全力で取り組もう。それはお試しかもしれないからだ。上司からすると、実際に組んで仕事をしたことのない若者にはじめから大きな仕事を任せるのにはリスクがある。そんな時は、小さなこと、仕事とも言えないようなことを頼んでみて、対応の仕方を観察することも、よくある話だ。
今やる仕事は、すべて次へのステップ。Action!は、次のAttention!の始まりと考え、プロセス全体が次の仕事への「自分広告」となることを意識しよう。
★広告テクニック12 君の”キャラ”設定をしよう
人に関しては、いわゆる”キャラ”と呼ばれるものが、このブランド・パーソナリティに相当する。<中略>君自身のキャラは、どんなタイプだろう?これは、持って生まれた性格や、これまで君が生きてきた環境も大きく影響するので、「さ、こういうタイプになるぞ」と決めたからといって必ずしもなれるものではない。
だが、漫然と暮らしていくよりは、自分の持っている方向性を自分なりに把握し、それを認識し、”キャラ”として意識して設定するくらいの気持ちを持つことは、役に立つと思う。
キャラの設定は、無理のないことが大前提だ。君自身の普段の行動を振り返り分析し、また時には周囲に自分に対して持っているイメージを取材し、その中から、「言葉にすればこんなかな」と思われるキャラを抽出し、設定する。
そして、そのキャラに基づき、そのキャラを前提に行動することで、君のアイデンティティは、ハッキリくっきりしてくる。
★広告テクニック19 朝から晩まで「自分広告」の舞台にする
広告界で言う”ユーザー接点”という考え方は、「自分広告」で言うと、毎日朝から晩までのあらゆる場面を、君と「君という商品ユーザー」との接点だと考える、ということになる。そのあらゆる”ユーザー接点”が「自分広告」の舞台となるという考え方だ。<中略>
毎日のすべての場面は、君の「自分広告」のメディア。アピールの機会だととらえられるわけだ。<中略>
君の毎日を振り返ってみて、オリジナルのメモをつくっておくこともお勧めする。「自分広告」で伝えたいことを伝えられそうな場面には、どんなことが考えられるだろうか。ノートの左ページに場面とその場面の持つ特徴を書き出してみよう。右ページには、その場面でアピールできそうな「自分広告」のWhat to sayを書き連ねる。「こんな場面では、こんな内容を、こんなふうに」というオリジナルのメモをつくってみるのも有効だと思う。
★広告テクニック20 「自分広告」はクチコミがカギ
「自分広告のクチコミ」に関して気をつけるべき3点
1. 「ツッコミどころ満載」という人もいれば、「わざと足りない部分をつくる」という人もいる。クチコミを起こりやすくするには、ちょっと足りないところをつくっておいた方がいい。完璧を目指さず、高飛車にならず、むしろ人間らしさや時に至らなさを、大事にしよう。2. インタラクティブな要素を大事にすること。つまり、相互作用。どんな人と相対するときも、相手の反応をおろそかにしないこと。積極的にコミュニケートすること。”お高い人”は、正のクチコミを得るのは難しい。
3. 影響力の強い”オピニオンリーダー”と呼ばれるような人に、いい印象を持ってもらうことが大事。会社の序列とは関係なく、クチコミ上のパワーが強い人が、どこの会社にも存在するものだ。そんな人は事前に察知して、特に気をつけて対応しよう。
★広告的ニック22 「自分広告」にAISASを適用してみる
AISAS・・・Attention(注意)を惹かれ→Interest(興味)を持ったら→Seach(探索)し→よければAction(購買)し、使った後に今度は感想をShare(共有)する
↓「自分広告」に当てはめるとAttention(お、あんなヤツがいるのか!)→Interest(面白そうなヤツだな、今度一緒に仕事をしてみてもいいな)→Seach(とはいえ初めてだし、何人かにヒアリングしてみよう。評判がよかったら、仕事を頼んでみよう)→Action(よし、今日、彼の上司に依頼しておいた)→Share(彼は本当によくやってくれた。チームのムードメーカーとしても優れていた。これは、他の人にもことあるごとに教えてあげよう。)
【感想など】
前回ご紹介した
では、”いかに商品を知ってもらうか”がテーマでした。
現代は、「いいものを作れば必ず売れる」なんて悠長なことを言っていると、いつまでたっても売れずにやがて埋没していくことになりかねません。
そしてこれは、なにも商品やサービスに限ったことではありません。
ビジネスパーソンだって同じこと。
自分が入社した時のことを思い出してみてください。
新卒で入社の場合、4月によーいドンで一斉に社会人としてのスタートを切ったとき、同期の人たちと自分の能力に大きな差を感じなかったはずです。
それが5年も経つと、「えっ、あいつがマネージャー!?」「なんであいつが係長!?」というシーンに遭遇し、さらに5年も経てば、気がつくと後輩が自分の上司になっていた!なんてことも多々あること。
「君という商品」は他の商品と比べて損色なかったはずなのに、なぜ差がついたのか。
疑問に思ったらよーく彼らを観察してみてください。
おそらく、あなたより先にステップアップしてしまった人たちは、あなたよりも数多くのチャンスを与えられているはずです。
だって、何の実力も実績もない新人の頃って、100%チャンスは上から与えてもらうものですから。
自分の実力でチャンスをつかみ取る新人なんていませんよ。
あなたよりも多くチャンスを与えてもらえたからこそ、あなたよりも経験と実力を蓄積することができて、あなたよりずっと先に行ってしまったんです。
では、どうすればチャンスを与えてもらえるのか。
それが本書の主題です。
本書著者はカンヌ国際広告祭審査員であり、多摩美術大学教授でもある、いわば広告のプロが、広告の戦略をもとに「君という商品」を知ってもらう方法を伝授します。
ご存知の通り広告には、”人に知ってもらう”ための技術とエッセンスが凝縮されています。
ですから、新人が周りの人や上司に、”自分を知ってもらう”方法として、広告から学ぶことは非常に多いと思います。
特に、AIDMA理論やAISAS理論の流れにそって説明されている部分。
これはもう、新人がチャンスをものにする過程そのものであり、社会人生活の正のスパイラルそのものでもあります。
ただ、何でもそうですが、スタートの0を1にするところが非常に難しい。
広告作戦の基本3つのポイントでは
1. 特徴をハッキリさせること
2. その特徴が他の商品にはないものであること
3. 特徴を適切に知ってもらうこと
と、あるように、
そしてまた、戦術の理論でも最初に Attention(注意)→Interest(興味) とあるように、”他の人とは違うよ、私はこんなことができるよ” という部分を持つということが戦略のスタート。
しかしこれがいちばん難しい。
経験を積めば積むほど、「あの人は〇〇のスペシャリスト」というラベルが自然と付いてくるのですが、自分自身の新人の頃を思い出しても、新人に「他人との違いを示せ」といってもこれはかなりの無茶ぶりですよ。
だいたい自分の特徴なんて自分ではよくわからないし。
しかし心配ご無用。
そういう人に注目してほしいのがこの一節
「自分広告」でいえば、実は、いわゆる”人柄”が大事になってくる
これですよ!
まずは「感じのいい子だな」「カワイイヤツだな」「言葉遣いがちゃんとしてるな」というふうに思ってもらい、上司や先輩にかわいがってもらえる新人になること。
そうすると「ちょっと手伝ってくれる?」という声が必ずかかります。
これ、チャンスの始まり。
ここで、「はい喜んで」(←本当に言ってみてください、それも居酒屋のアルバイト以上の脊髄反射で。魔法の言葉です)と言って、嬉しそうに軽やかに動くこと。
たとえ、資料のホッチキス留めとかDMの封筒入れといったつまらない雑用でもです。
これを繰り返して、「アイツはどんな仕事も楽しそうに、一生懸命やってくれる」という印象づけができてしまえば、「今度こういうプロジェクトがあるんだけど、チームに参加してくれないか?」なんていうお誘いがくるのも時間の問題。
そして、この経験が、「こういう案件はアイツだな」というラベルとなり、新たな仕事へとつながる”仕事の報酬は仕事”という正のスパイラルの上昇気流に乗ることになります。
蛇足ながら大切なことなので、ワタクシの経験からもうちょっとだけ書いておきます。
先輩や上司が、どの新人に仕事を任せるかを決める要素の1位は出身校の偏差値の高さではありません。
20代の頃って、自分には全然実績がないにも関わらず、上司がすごく馬鹿に見える時期があります。
そして、それが態度にわかりやすく出ている人は、かなり偏差値の高い名門大学を出ている人に多いような気がします。
「なんで俺がこんな仕事せなあかんねん」というのが態度に表れている、というか口に出していうヤツもいる。
そういう若者には、どれほど優秀であってもチャンスは回ってきません。
考えてみてください。
チームを結成する場合優先されるのは、”一緒に仕事をして楽しいか、チームがまとまるか”ですよ。
意見があるなら実績を残せ!
実績を残したいなら選り好みせずに仕事しろ!
以上老婆心ながら、才能ある若者が埋もれないために付け加えておきます。
まず最初のチャンスをつかむためにも、正のスパイラルに乗るためにも、特に新人さん必読の本です。
本書はアップルシード・エージェンシー、宮原様より献本していただきました。
ありがとうございました。
【関連書籍】
同著者の本
本書中で引用・紹介されている本
【管理人の独り言】
このエントリー書きながら、「自分もずいぶん生意気な新人だったよなぁ」と懐かしく思い出していました。
今日のエントリーでは随分上から目線で書いていますが、年を取らないと見えないものってあるものです。
「自分には武器がない」と思っている人も多いでしょう。
そんな人にはこの言葉を贈ります。
「礼儀正しさは最大の武器」
くれぐれもチャンスは人が運んできてくれるもの、そしてどんな人に運んできてくれるかということを忘れずに。