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ほんとに“明るいニーチェ”だ!【書評】フリードリッヒ・ニーチェ(著)、白取春彦編訳『超訳 ニーチェの言葉』(ディスカヴァー)

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僕の問題は誰かが解決している の スマイルシグナルさん

「ニーチェが明るい!」と激賞してたのでワタクシも読んでみたら、
「ほ、ほんとだ。二―チェが明るい。すごくポジティブだ。」と驚天動地(←かなりオーバー)

しかもこの本、ずば抜けてレベルの高い「自己啓発書」でもあるのです。

 

 

超訳 ニーチェの言葉

超訳 ニーチェの言葉

 

 

 

 

【ポイント&レバレッジメモ】
今回は各項目からワタクシが気に入ったニーチェの言葉をピックアップしました。

★己について
◇初めの一歩は自分への尊敬から

自分は大したことがない人間だなんて思ってはならない。それは、自分の行動や考え方をがんじがらめに縛ってしまうようなことだからだ。
そうではなく、最初に自分を尊敬することから始めよう。まだ何もしていない自分を、まだ実績のない自分を人間として尊敬するんだ。
『力への意志』

★喜について
◇喜び方がまだ足りない

もっと喜ぼう。ちょっといいことがあっただけでも、うんと喜ぼう。喜ぶことは気持ちいいし、体の免疫力だってあがる。
恥ずかしがらず、我慢せず、遠慮せず、喜ぼう。笑おう。にこにこしよう。素直な気持ちになって、子供のように喜ぼう。
喜べば、くだらないことを忘れることができる。他人への嫌悪や憎しみも薄くなっていく、周囲の人々も嬉しくなるほどに喜ぼう。
喜ぼう。この人生、もっと喜ぼう。喜び、嬉しがって生きよう。
『ツァラトゥストラはかく語りき』

★生について
◇いつかは死ぬのだから

死ぬのは決まっているのだから、ほがらかにやっていこう。
いつかは終わるのだから、全力で向かっていこう。
時間は限られているのだから、チャンスはいつも今だ。
嘆きわめくことなんか、オペラの役者にまかせておけ。
『力への意志』

★心について
◇勝利に偶然はない

勝利したものはもれなく、偶然というものを信じていない。
たとえ彼が、謙遜の気持ちから偶然性を口にするにしてもだ。
『悦ばしき知恵』

◇活発だからこそ退屈を感じる
 

なまけものはさほど退屈を感じることがない。なぜならば、感性が高く活発な活動を求める精神を持っているからこそ、ふとした時間に退屈を感じるものだからだ。
『漂泊者とその影』

★友について
◇四つの徳を持て

自分自身と友人に対しては、いつも誠実であれ。
敵に対しては勇気を持て。
敗者に対しては、寛容さを持て。
その他あらゆる場合においては、常に礼儀を保て。
『曙光』

★世について
◇ニセ教師の教えること
 

この世には、いかにもまともそうに見えるニセ教師がたくさんいる。
 彼らが教えることは、世渡りに役立ちそうなことばかりだ。これこれをすると得になる。こういう判断をすると損をしない。<中略>
 よく考えてみよう。ニセ教師の教えることは、すべて価値判断だ。
『力への意志』

★人について
◇勝つなら圧倒的に勝て
 

競争においては、かろうじて相手に勝つというのはあまりよろしくない。勝つのならば、僅差ではなく、圧倒的な差をつけて勝つのがよい。
 そうすれば、相手は「もう少しだったのに」という悔しい思いも自責の念も持つこともない。それどころか、かえって清々しい気持ちで素直に相手の勝利をたたえることができる。
 相手をはずかしめるようなきわどい勝利や、微妙な勝ち方、遺恨を生むような勝ち方は良くない。それが勝利者のマナーというものだ。
『人間的な、あまりに人間的な』

◇夢に責任を取る勇気を
 

過失には責任を取ろうとするのに、どうして夢に責任を取ろうとはしないのか。
 それは自分の夢なのではないか。自分の夢はこれだと高く掲げたものではないのか。それほど弱いのか、勇気がないのか。
 それは自分だけの夢ではないのか。最初から自分の夢に責任を取るつもりがないのなら、いつまでも夢がかなえられないではないか。
『曙光』

◇女の大胆さ
 

一般的には、女よりも男の方が何事にも大胆で野蛮だと思われている。しかしそれは、体格と行動から印象づけられた思い込みに過ぎない。
 報復と恋愛については、女の方がより一層大胆で野蛮なものだ。
『善悪の彼岸』

★愛について
◇愛の病には
 

愛をめぐるさまざまな問題で悩んでいるのなら、たった一つの確実な治療法がある。
 それは、自分からもっと多く、もっと広く、もっと温かく、そしていっそう強く愛してあげることだ。
 愛には愛が最もよく効くのだから。
『曙光』

◇愛の眼と求め
 

愛は、人の中にあたうるかぎりの美しいものを見つけ、その美しさを見続けていこうとする眼を持っている。愛は人をできるかぎり高めようとする欲望を持っているのだ。
『曙光』

◇愛は赦す

愛は赦す。
愛は、欲情することも赦す。
『悦ばしき知識』

★知について
◇人間的な善と悪
 

悪とは何か。人をはずかしめることだ。
 最も人間的なこととは何か。どんな人にも恥ずかしい思いをさせないことだ。
 そして、人が得る自由とは何か。どんな行為をしても、自分に恥じない状態になることだ。
『悦ばしき知識』

★美について
◇理想や夢を捨てない
 

理想を捨てるな。自分の魂の中にいる英雄を捨てるな。
 誰でも高みを目指している。理想や夢を持っている。それが過去のことだったと、青春の頃だったと、なつかしむようになってはいけない。今でも自分を高くすることをあきらめてはならない。
 いつのまにか理想や夢を捨ててしまったりすると、理想や夢を口にする他人や若者を嘲笑する心根を持つようになってしまう。心がそねみや嫉妬だけに染まり、濁ってしまう。向上する力や克己心もまた、一緒に捨て去られてしまう。
 よく生きられるために、自分を侮辱しないためにも、理想や夢を決して捨ててはならない。
『ツァラトゥストラはかく語りき』

【感想など】
皆さんは上記の【ポイント&レバレッジメモ】からニーチェにどんな印象を持ちましたか?

本書の表紙をめくると次の言葉があります。

世に知られることのなかった“明るいニーチェ”が、ここにある。

そうなんです。とっても明るく、とってもポジティブなニーチェの言葉で全編が綴られているのです。

これにはワタクシかなり驚きでした。
これまで私が持っていたニーチェに対するイメージと全然違う。

といってもワタクシ、ニーチェのまとまった著作はこれまで1冊も読んだことがございません。

じゃ、ワタクシの中のニーチェイメージの源泉は何かというと大学受験のとき使った、山川出版社の世界史用語集。
そこにはニーチェについて次のように書かれています。

ニーチェ Nietzsche (1844~1900)
ドイツの哲学者。ヨーロッパ文化の退廃はキリスト教支配によるとし、新しい価値の樹立を主張。“神は死んだ”と叫び、力への意志、永劫回帰、超人などの思想を説いた。狂死した。

間違ってはいないとはいえ、なんという大雑把な説明。しかも“狂死した”で終わってますからね。

ちなみにその下の欄には超人の説明がありまして、

“超人”
ニーチェの理想的人間像。苦痛の生を超越して肯定する者。力の賛美である。

なんか感じ悪いですよね。

まぁ、こんな解説を読んでいたし、特に哲学に興味があるわけでもない。

それに、実際のニーチェの生涯について、手っ取り早くWikipediaを読んでいただいてもわかるとおり、事実彼の生涯は決して幸せなものではなかったようです。

そういうこともあって、今までスルーしてきたのですが、しかし考えてみればこの方は実在主義の方。

古代ギリシアの“万物の根源とは?”とか“イデアとは?”なんてどうでもいいことを議論しているようなものではなく、哲学の中でもより実際の生活に密着した、「生の哲学」、つまり「人間としてどう生きるべきか」「より良く生きるにはどうすべきか」を説いた人。

しかも、神童と呼ばれた方ですので、その言葉を集めれば、実社会で使える「自己啓発書」になるのは当たり前。

どのページを読んでも「うんうんそうだよな」と納得し、「これいただき!」とつぶやいてしまい、最後には「この本一冊丸ごと成功本やん!」と楽しく読ませていただきました。

ほんと即戦力な本なんです。
特に、についての部分なんかそのままモテ本として通用しそう。

ただ、ニーチェ自身はそちらの方面も全然幸せを掴めなかったようですが…。
(なかなか知行合一というのは難しいものです。と言っては身も蓋もないか。)

そんな中、彼が行動も伴って優れていたいた部分が読書。
なんせ古典文献研究家でもありましたからね

ワタクシもニーチェとは比較にはなりませんが読書好きなので、読書に関する部分はかなり参考になりました。
例えば、こういう読み方はいけませんよという例として、

本を読んだとしても、最悪の読者にだけはならないように。最悪の読者とは、略奪を繰り返す兵士のような連中だ。
 つまり彼らは、何かめぼしいものはないかと探す泥棒の目で本のあちらこちらを適当に読み散らし、やがて本の中から自分に都合のいいもの、今の自分に使えるようなもの、役に立つ道具になりそうなものだけを取り出して盗むのだ。

と、書かれていますが、ビジネス書好きにはかなり耳が痛い言葉ではないでしょうか。
いわゆるハウツー本を読んで、“技のコレクション”をするような読み方。

実際そういう読み方をワタクシもやっているような気がしますねぇ。
反省です。

それから読むべき本に関しては

読む前と読んだ後では世界が全く違って見えるような本。
わたしたちをこの世の彼方へと連れ去ってくれる本。
読んだことで私たちの心が洗われたことに気づかせるような本。
新しい知恵と勇気を与えてくれる本。
愛や美について新しい認識、新しい眼を与えてくれる本

とあります。

“眼からウロコ”とか“我が意を得たり”とか“感動”といったものを与えてくれる本ですね。

では具体的に何を読めと言うのか。
たぶんニーチェは「古典」と答えるのではないかと思うのです。

で、特に古典を読む利益について述べた部分を引用すると

 

おおむね読書はたくさんの益をもたらしてくれる。古典は特に滋養に富んでいる。
 古い本を読むことで、私たちは今の時代から大きく遠ざかる。全く見知らぬ外国の世界に行くことができる。
 そうして現実に戻ったとき、何が起こるか。現代の全体の姿が今までよりも鮮明に見えてくるのだ。こうしてわたしたちは、新しい視点を持ち、新しい仕方で現代にアプローチできるようになる。行き詰ったときの古典は、知性の特効薬だ。

温故知新ということでしょうか。

ビジネス書の新刊ばかり追いまわしてないで、時間という洗礼を受けてきた古典や名作と呼ばれるものを読むこと。
魂の滋養となるものをもっと読めとニーチェに教えられました。

彼の主張と人生の不一致はともかく(いったんそれは忘れてください)、本書にまとめられたニーチェの言葉は珠玉の自己啓発書として読むことができる仕上がり。

しかも白取さんの超訳がすばらしく、ニーチェが現代の言葉でストレートに語りかけてくるような錯覚に陥ります。

ワタクシにとって今年最初の殿堂入り決定本。劇オススメ!

 

 

 

超訳 ニーチェの言葉

超訳 ニーチェの言葉

 

 【目次】

Ⅰ 己について
Ⅱ 喜について
Ⅲ 生について
Ⅳ 心について
Ⅴ 友について
Ⅵ 世について
Ⅶ 人について
Ⅷ 愛について
Ⅸ 知について
Ⅹ 美について

 

【関連書籍】

 

 

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2 COMMENTS

干場弓子

そうなんです! なので、最初『明るいニーチェ」というタイトルをつけたくらい! ご丁寧なご紹介、ありがとうございます!

返信する
一龍

干場弓子 様
コメントありがとうございます。
『明るいニーチェ』というタイトルもよかったんじゃないでしょうか。
こちらの方がインパクトあったかもしれませんよ。
本当にニーチェのイメージが変わり、しかも良質の自己啓発書でもある本を読めてこちらがお礼を言いたいくらいです。
これからもよい本を期待しています。

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