つい先日、ビジネス書界の超問題作、『ビジネス本作家の値打ち』を発表し、斬って斬って斬りまくって書評侍ぶりを発揮したばかりの水野俊哉氏が、早くも新作を発表!
しかも今回は、水野氏初、ガチのビジネス書でございます。
【目次】
プロローグ 情報を行動に変えるマトリックス
第1章 成功を加速する「マトリックス図解思考」
第2章 成果を2倍に伸ばすマトリックスの作り方
第3章 実践!マトリックス活用例
第4章 人生を劇的に変える!マトリックス応用術
巻末付録 水野俊哉のなるほどマトリックス
【ポイント&レバレッジメモ】
★なぜK氏やH氏の本を読んでも「効率が10倍」になったり、「レバレッジをかけることができないのか?」
1つは、能力や経験記憶のアップの仕方が「べき乗法則」に則っているから。
もう1つは、何をどう努力するべきかが、整理されていないからである。
現在、2とか4のレベルの普通の人がいきなり100万倍の成果を出している人のやり方を真似しようと思っても、遠すぎてなかなか難しい
人間、1つのジャンルで突出するのはなかなか難しい。だが、やるべきことを要素分解して、それぞれの要素を少しずつアップしていく、とするとどうだろう。
たとえば4つに要素分解するとすれば、それぞれ18%ずつアップするだけで相乗効果が生まれ、成果は2倍になるのだ。
★マトリックスの特徴
マトリックスというフレームワークで複雑な事象でも目で見て理解できるレベルにまで単純化してしまうことで、次に何をするべきかがわかる
★シナジーマトリックス
・強制的に4項目に絞ってしまうわけだから、あれこれ迷う必要がない。
・「やることを絞れる」「記録に残しておける」利点がある
★マッピングマトリックス
・その業界なり、ジャンルなり、組織なりの全体像を明らかにする情報整理の側面
・情報整理により自分の進むべき道が見つかるという側面
★フラクタルマトリックス
4分割のマトリックスをさらに4分割して16分割にする。
4つの分類の中の4つの要素をそれぞれ20%ずつアップすると、それぞれ2倍になる。つまり2倍×2倍×2倍×2倍は、2の4乗=16となり、当初の16倍の成果が出せる。
【感想など】
本書は水野俊哉氏初の本格的ビジネス書。
これまでの著作でビジネス書をバッサバッサ斬ってきた水野氏がはたしてどんなビジネス書を出すのかと楽しみにしていましたが、なるほどこういうテイストになりましたか。
実用性・再現性が極めて高く、シンプルな主張が分かりやすいうえに、読者を楽しませるエンターテイメント性をも兼ね備えています。
勘所の良さはさすが、ビジネス書、成功本に造詣が深い著者だけのことはあります。
で、まずはシナジーマトリックスについて。
水野俊哉さんといえば、数千冊のビジネス書や成功本を読み解き、原理原則を明らかにしてきた方。
そしてデビュー作の
成功本50冊「勝ち抜け」案内 How to Improve Your Reading Skills for Success in Life (光文社ペーパーバックスBusiness)
- 作者:水野 俊哉
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2008/01/24
- メディア: ペーパーバック
以来、マトリックスによるマッピングは水野作品には欠かせない存在となっています。
そんな水野氏が
成功本の大海を、目指すべきゴールを求めて漂う「ビジネス書ボートピープル」や「セミナー難民」を救済
しようと沈思黙考し続けた結果、
今年1月の大阪ミドウスジ大学主催セミナーへ向かう新幹線の車中で、突然脳内で科学反応が起こり、その結果すべての点と点がシナプス結合のごとく結びつき全体像が閃いた
そうで、その内容が本書で推奨するマトリックス図解思考なのです。
当ブログを読んでくださっている方はご存じのとおり、その大阪ミドウスジ大学のセミナーに、ワタクシ参加していました。
まさしくその時話された内容が本書の内容なのでした。
で、今年早々に本書内容のマトリックス図解思考を聴いていたワタクシにどんな変化があったかというと・・・
劇的に成功したとかそんなことではなくて・・・
マインドマップを描かなくなりました(笑)
正確に言うと使い分けするようになりました。
図解して考える時、今まで何でもかんでもマインドマップ(もどき)を描いて考えていました。
中央から放射状に思考が広がるマインドマップは、“アイデア出し”などには確かに力を発揮します。
しかし、“問題解決”などでは枝が増えるとかえって問題点を絞り込めず、結局何をどうしたらいいかぼやけてしまう。
その点、マトリックスは最初の段階で象限を4つに絞っており、それぞれの象限をさらに4分割しても16象限。
これならば、自分がどこに力を入れるべきか、何を変えるべきか非常に分かりやく、フォーカスしやすい。
実際、水野さんは三億円の負債を抱え、取締役を解任されてしまってからのどん底の状態から、次の4つの象限の改善にフォーカスして這い上がってこられたエピソードが書かれています。
その4つの象限とは
水野氏の人生を充実させるための大事な要素
1時間、2お金、3人間関係、4健康
この時、もしマインドマップ式の図を描いていたら、あれもこれもと改善点を上げてしまい、結局何もできなかったんじゃないかなと推測してしまいます。
絞り込むことで物事をシンプルにし、行動に結びつける
皆さんもぜひ、実際に描いて試してください。
これは本当に使えますよ。
さて、マッピングマトリックス。
本来は先述のシナジーマトリックスと一緒に使って相乗効果を発揮するためのものですが、とにかく実例で掲載されているマトリックスが面白い。
これがいわゆるエンターテイメントの部分。
「サッカー日本代表のマッピング・マトリックス」はさっぱりわかりませんが(全く興味がないので、Wカップも一試合も見てません。ゴメンナサイ)、「女性タレントのマッピング・マトリックス」や「芸人のマッピング・マトリックス」はワタクシでもわかって面白いですね。
“別に”ゾーンとか“いっぱいゴメンね”ゾーン。
“変身ゾーン”にいたっては「そうきましたか」って感じで。
それに、“関西ビッグ3”って、西川きよし、桂三枝、オール阪神巨人だと思ってましたが、違ったようです(笑)。
とにかく、各エレメントのタグと、縦軸・横軸の妙味がマッピングのポイント。
自分の興味のある分野で実際に作ってみるといいですね。
ちなみに、ワタクシ個人的に気になるのはやはりブロガーマトリックス。
ビジネス書評ブロガーマトリックス(2008年度版)ではじめて掲載された当ブログのポジションは真ん中右寄りの“次世代青田買いゾーン”の中の“水野オススメゾーン”でした。
そして、ビジネス書評ブロガーマトリックス(2009年度版)では、右下の“関西在住ブロガー”ゾーンへ。
実はこの“関西在住ブロガー”という枠組み、当のブロガーたちははじめ、「他に持って行きようがなかったんじゃない」とか「取り合えずまとめとけ!って感じ?」という反応だったのですが、実は
その一方で、「関西在住ブロガー」という新しいゾーンが形成されている。大阪の人たちが東京に負けじと、読書会や勉強会を開いて、書評ブログを展開してきているのである。「関西在住ブロガー」がジャンルとして成立するのかどうかはわからないが、それを売りにした人が今までいなかったんだから、これも1つのブルーオーシャンだ。
ということだったんですね。
しかし、このゾーンが出来たことで関西在住ブロガーの結束が強くなったわけでして、そういう点であらためて感謝したいと思います。
それと、もうひとつ気になるのが
ちなみに、私がいまブルーオーシャンだと思っているのは、「恋愛ゾーン」。意外と、恋愛関係の書籍を書評する人がいない。
そう、ワタクシも気づいてました。
smoothさんとか大御所もおいでますが、総じて数が少ない。
だからワタクシも“モテ本”の書評をはじめてみたものの・・・、現在止まっております。
理由は感嘆、経済的な問題。
次々と良書が出版されますから、そちらを優先しているとモテ本はつい後回しになるんですよね。
ということで、献本お待ちしておりまーす。
なにはともあれ、この本は実際に読んで自分の手でマトリックスを作ってみないことには話になりません。
言い方を換えると、大量インプットや情報処理能力に頼る人こそ、コモディティ(凡用品)化しやすいのである。
ITツールにすぐ飛びつき、読んだビジネス書を素早く要約し、セミナーの内容をTwitterでつぶやいても情報は貨幣のような価値を生み出さない。
なぜならデジタルツールが便利になればなるほど、それを扱う人はひとりもしくは少数いればいい、という状況を招きやすいのである。
こんな状況に陥らないように、あなたも16分割して高みを目指そう!
本書は著者の水野俊哉氏から献本していただきました。
ありがとうございました。
【関連書籍】
本書中に登場する本で気になったものを