待ちに待った上村敏彦氏の新作!
チームリーダーとなったけど、どうもうまくいってないなぁ・・・というあなた。
きっと本書を読めばガツンとやられますよ、ワタクシみたいに。
【目次】
プロローグ 優秀なプレイヤーだったあなたへ
Chapter-01 成功体験がアダとなる!? この「リセット」で新生活スタート
Chapter-02 「強み」に着目するのが出発点 「メンバーの見方」をリセット
Chapter-03 指示待ちメンバーがゾロゾロ出たら? 「判断しすぎ」をリセット
Chapter-04 仕事を渡せない、だからメンバーが動けない 「任せられない」をリセット
Chapter-05 フタをあけてビックリをなくす 「トラブルに対するスタンス」をリセット
Chapter-06 仲間が増えると、仕事はもっと面白くなる 会社の「タテヨコ人脈考」
Chapter-07 リーダー生活が、より充実する! 勉強法&読書術
「人」について学べる9冊
「ビジネス」を学べる5冊
「表現」を学べる5冊
あとがき
【ポイント&レバレッジメモ】
★「デキる人は、デキる人を育てられない」は定説か?
プレイヤーとして優秀だった人ほど、やり方、進め方にこだわりがあります。そのため、メンバーにも同じやり方を押しつけてしまいがちです。
しかし、誰もが同じやり方でできるわけではありませんし、それぞれ強みや得意分野も異なります。たとえ自分が実績を出せたとしても、必ずしも同じやり方でうまくいくわけではないのです。
⇒ 本来は、それぞれにあったやり方で、力を引き出しながら成果を最大化するのがリーダーの仕事
★リーダーになったら〝即刻リセットしたいこと〟
①「自分の役割」をリセット
②「メンバーの見方」をリセット
③「判断しすぎ」をリセット
④「任せられない」をリセット
⑤「トラブルに対するスタンス」をリセット
★「自分の役割」をリセット
◇リーダーの大切な3つの仕事
「チームで成果を出すこと」「トラブルに対応すること」「次のリーダーを育てること」
◇リーダーとしての仕事を全うすることで、メンバーが成長していく──。リーダーは2倍以上の喜びを得ることができるのです
★「メンバーの見方」をリセット
◇「人はその長所のみ取らば可なり、短所を知るを要せず」荻生徂徠
弱みばかりを指摘すると、本人もそればかりが気になって、本来持っている力を発揮できずに、叱られないことに力を注ぎはじめます。
◇「マネジメントとは、人にかかわるものである。その機能は、人が共同して成果を上げることを可能とし、強みを発揮させ、弱みを無意味なものにすることである」ドラッカー
◇リーダーはメンバーの強みに着目すること。これが前提です。
その上で、「あなたの強みをもっと発揮するには、今の弱みを補っていく必要があるよ」と伝えると、弱みに対する取り組み方も変わります。
◇「強み」×「役割」=「個人の生産性」
「個人の生産性」×「人数」=「チームの生産性」
⇒ チームの生産性とは、個人個人の成果の総和です。さらに一人ひとりが強みを発揮すると、それが掛け算になって、相乗効果を生み出すのです。
★「判断しすぎ」をリセット
◇「やってみせる」から「させてみる」へ
メンバーの経験が浅く、チームが成熟していないときは、「やってみせる」割合が多いのは当然です。でも、その後は少しずつ「させてみる」フェーズに移ります。
このフェーズで、いつまでも手を出してはいけないのです。
◇伝えるのは目的と目標のみ
目的と締切日を伝えて、「あとのプロセスは自分で考えなさい」と言うと、どんどん自分で調べて考えはじめます。人間、自分で考えると楽しいのですね。
仕事を渡すときのポイントは、「目的と目標は伝えるが、手段は規定しないこと」
です。
★「任せられない」をリセット
◇「挑戦→ 失敗→ 学ぶ」というサイクル
自分でやってみて失敗する。このプロセスを経ないと人は学べません。
今思えば、失敗する機会をくれたかつての上司は、腹をくくって見守っていてくれたんだなと思います。
自分で考えるからこそ仕事が面白くなり、自発的に工夫するようにもなります。
挑戦し、失敗し、学ぶ。このサイクルを回していくことで、メンバーが育っていけば渡せる仕事も増えますし、リーダー自身の負担もどんどん減っていきます。
◇自分が60%ぐらいの稼働率で、メンバーが100%稼働してくれるのが理想です。
★「トラブルに対するスタンス」をリセット
◇トラブルの予兆を予測する
どんなトラブルにも「予兆」があります。リーダー経験を積んでいけば、予兆をキャッチした段階で、トラブルと結びつけて考えられるようになります。
◇過去のメールはデータベース
メールは、過去のプロジェクトが「どのように進んだのか」「どんなトラブルが起こったのか」「どのように対処したか」のデータベースのようなものです。メールを読み返してみると、トラブルや失敗にはパターンがあることがわかります。だいたい似たような所で失敗しているのです。
◇「仕事に対するスタンス」を見る
普段から、メンバーが仕事でミスや失敗をしたとき、「その要因が何なのか」を考えるようにします。もしも、仕事に対するスタンスが生み出した失敗であれば、そのスタンスはすべてにおいて適用されていくはずです。
★デキる人たちの共通点
①人情の機微に通じている
リーダーになるとは、言いかえれば「人を使う」ということです。
「人を使う」という表現に抵抗がある方もいると思います。しかし、いくら表現を変えても、人を使うという事実に変わりはありません。その事実から逃げないために、「自分は人を使っているんだ」という自覚をもったほうがよいと思います。
人を使うには、感情の動き、人情の機微を知らなければなりません。人に理屈を説いたところで納得はしないからです。まずは、感情の動きを知ることで、メンバーをより深く理解することができます。それが、絆を深める出発点になります。
②シンプルで本質を突く表現力がある
表現力は文章であれ、話し方であれ、人を動かす力に直結します。
デキる人は例外なく、文章と話が上手い。かといって名文を書いたり、感動的な話をするわけではなく、ひと言でいえば「シンプルで、機能する」表現に長けているのです。
③ビジネスに通じている
「ビジネス」を学ぶにはまず、「商売の原理原則」を知り、それを運用する具体的な方法を学びます。ちなみに、プロジェクトマネジメントもその中に含まれます。
★3つの学ぶ方法
①経験から学ぶ
・毎日の感想を記録する
・日々の判断を記録して追いかける
・過去のメールを読み返す
②人から学ぶ
(自分に向かって発せられた)印象的な語録を保存する
③本から学ぶ
本を読むということは、「時間を買う」ということでもあります。
実際に本を書いてみてわかることは、「本にはその人のすべてが詰まっている」ということです。そうでなければ本は書けません。とても労力のいる仕事です。
つまり、本を読むことで、その道のスペシャリストが長い時間をかけて得た知識や経験を手に入れることができるのです。
人間理解のためにお薦め本
著者が衝撃を受けたお薦めドラッカー本
【感想など】
本書は、昨年処女作である
で、非常に実践的な仕事術を披露してくれた上村敏彦氏の新刊。
ワタクシも楽しみに待っておりました。
しかもテーマが“リーダー論“。
当ブログでも何度か書きましたが、今年度ワタクシ自身もチームリーダー的な立場に立たされておりまして、悩みに悩みぬいているところ。
“リーダー論”とか“チームマネージメント”が目下ワタクシの最大の課題の一つなんですよ。
で、最近少しずつマネジメント本を読んでいるのですが、そんな中での上村氏の本書の出版。
前作では“本当に使える仕事術”を披露してくれただけにかなり期待しておりましたが、今回もやってくれました。
というか、頭をガツンとやられた感じです。
「俺、思い切りダメリーダーやん!」と・・・。
本書で上村氏が推奨する、「リーダーになったら即刻リセットしたい5つのこと」を、5つとも思いっきり引きずってやってました。
ワタクシはプレイングマネージャー的な立場ですので「自分の役割」については、プレーヤーの域を出ていません。
そうすると自分の仕事が忙しく、余裕がないために「メンバーの見方」などは「なんで俺ができることができへんねん」と厳しいものになります。
すると、その厳しい評価から、結局チームの誰にも「任せられない」となってしまい最終的にはなんでも「判断しすぎ」という状態になってしまい、しかも大量の仕事をしょい込む結果となってしまっています。
しかも、そういう時に限って「トラブル」が発生してあたふたする。
なんか、負のスパイラルに巻き込まれて落ち込んでいくような感じですね。
本書の内容から言えば、ワタクシなんて全くダメダメなんですが、
でもこれって、そんなに特殊な例ではなく、おそらく同じようなことはリーダーとなったら誰でも経験あるんじゃないでしょうか。
では、そんなダメリーダーが、名リーダーになるためには何をすればいいのか。
まずするべきことが5つのことをリセットすることなのです。
上村氏のリーダー原体験はファーストフードのアルバイト時代
「白服としてはまったく何の実績もない。だから、メンバーに認められてはじめてリーダーや」
という先輩からの一言がはじまり。
この言葉、社会人であるワタクシが今聞いてもかなりこたえる真実が含まれています。
「リーダーとしての実績ゼロ」
ならば、
「実績ゼロからスタートだ」と考えると、プレイヤー時代の発想から抜け出した物の見方、考え方が瞬時にできるようになります。
つまり“リセット”することこそリーダーとしてのスタートだと喝破されています。
ステージが変わった、つまりプレイヤーとリーダーは全く違うのだということを本当の意味で理解する。
これが出来なければいつまでたってもダメリーダーですよと。
プレイヤーの延長線上にリーダーがあるわけではない。
リーダーになった時点で路線は乗り換えるのだ。
というぐらいの心構えでワタクシも明日からきっちりリセットしようかと反省しきりでございます。
さて、今回はネタばれ自重のため【ポイント&レバレッジメモ】では、本書の主張の基本的な部分だけをピックアップさせていただきました。
が、実際に本書をお読みいただければ、具体的なリーダーとしての方法論やマネジメント術が満載されています。
一つだけ例を紹介させていただくと、例えば、
タイプ別仕事の任せ方&アドバイス方法 はなかなか面白い。
①任せてバリバリタイプ
②寡黙なきっちりタイプ
③やりたがり暴走タイプ
④一人で抱え込みタイプ
⑤何でも相談、不安タイプ
⑥どこか抜けてるベテランタイプ
⑦まだまだヨチヨチ、ひよこタイプ
以上の7つのタイプに分類されていて、それぞれのタイプ別対応法が紹介されています。
ちなみに何が面白いかというと、ワタクシのチームにいるんですよね、“やりたがり暴走タイプ”と“何でも相談、不安タイプ”と“まだまだヨチヨチ、ひよこタイプ”が(笑)。
それをワタクシの様なダメリーダーが、相手がどんなタイプかもお構いなしにオラオラ言ってるわけですからそりゃダメやわなぁ・・・、とここでも反省。
最後にもうひとつ。
前作でも紹介されていますが、上村氏の本はスケジュール管理術が秀逸なんです。
プロジェクトマネジメントに長けている方ですので、スケジュールの立て方、管理の方法などなど目からウロコのオンパレード。
この分野が苦手な方にも本書はオススメ。
「モニタリング&コントロール」の考え方もぜひ一度本書でお読みください。
本書は著者、上村敏彦様から献本していただきました。
ありがとうございました。
【関連書籍】
本書巻末には
「人」について学べる9冊、「ビジネス」を学べる5冊、「表現」を学べる5冊
が掲載されています。
その選書のセンスがまたいい!
今回はその中からいくつか紹介します。
「人」について学べる9冊から
「ビジネス」を学べる5冊から
「表現」を学べる5冊から