今回は財務会計が得意な人は素通りしてください。「何をいまさら・・・」って思うだけですから。
ワタクシのように財務会計がよくわからない。
というよりむしろ「ど素人です!」と清々しく開き直る方のためにご紹介。
【目次】
第1章 「売上、売上」って言うな 会計のありがちな間違い
企業はなんのためにある?
売上目標達成したのに、怒られた! 他第2章 事業も従業員も、正しく評価しよう まず知っておくべき管理会計
管理会計の基本、月次決算と部門別損益迅速に経営判断を行うための「月次決算」
的確に問題を発見するための「部門別損益計算」 他第3章 決算書はここだけ見る! 財務会計と税務会計
原因と結果の法則。1万円の相手は? 仕訳と決算書
ここが、決算書を見るポイントだ! 他第4章 利益が出ていても、お金がなければダメ? キャッシュフローの深い話
キャッシュフロー計算書はなぜ必要?
黒字倒産はこうして起こる 他第5章 会計が必要なほんとうの理由 PDCAサイクルで目標達成
ビジネスに評論家はいらない
目標達成の鉄則は? 他
【ポイント&レバレッジメモ】
★会計の正しい流れ
「管理会計」→「財務会計」→「税務会計」
◇管理会計は、経営を管理するための会計。社内の人のための会計。
管理会計は実は、正しく従業員を評価するのにも使える
◇財務会計で重要な考え方は、「発生主義」です。取引が発生したとき、記録をするということです。
◇財務会計で言う「利益」と、税務会計の課税所得は通常一致しない。
ほとんどの場合、利益よりも課税所得のほうが大きくなります。
★売上より粗利が重要
会社は利益を最大化する使命がありますから、本来考えるべきは売上高よりも粗利です。
「粗利」=「売上高」-「売上原価」
★時間を金利換算する
金利は、どのくらいの期間そのお金が使えないのかという、「時間」の値段でもあります。
★営業利益感覚・・・「最低いくらの粗利を稼がなければいけないか?」
会社全体の「販売費および一般管理費」を営業職(売上予算を持っている職種)の人数で割ってひとりあたりの費用を出す。
★仕訳
複式簿記は、すべての取引を2つの側面からとらえて、「資産」「負債」「純資産(資本)」「費用」「収益」の5つに分類します。「仕訳」とは、これら5つのうち2つを組み合わせて取引を記録することです。
★決算書を見るポイント
◇P/L
P/Lには「売上総利益(粗利)」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」の5つの利益が出てきますが、注目すべきは「営業利益」です。
営業利益とは、粗利から販売費および一般管理費を引いたもの。つまり、その会社がやっている本業の利益です。売上高に対する営業利益の比率(売上高営業利益率)を見れば、本業の効率性がわかります。
◇B/S
B/Sは、「この会社はちゃんとお金を払ってくれるか?」を見るのに役立ちます。
流動資産より流動負債の方が大きかったら危険!
★利益を最大化するためには、リスクを最小化することが必要
会計の視点で『リスクを最小化する』と言ったときは、キャッシュフローしかない。
★キャッシュフロー経営
近年言われている「キャッシュフロー経営」とは、キャッシュが不足するリスクを最小化することを主眼にしているというより、もっと積極的に「キャッシュを最大化」しようとするものです。キャッシュが増えれば、それをさらに投資することができます。キャッシュは利益を生み出す源泉なのです。
★キャッシュフロー3種類
①営業活動によるキャッシュフロ
②投資活動によるキャッシュフロー
③財務活動によるキャッシュフロー
3つともプラスと言うことは、まずありません。
重要なのは、営業活動によるキャッシュフローがプラスになっていることです。
①+、②-、③-の組み合わせは一般的に言って「安定企業」
営業活動によるキャッシュフローのプラスと、投資活動によるキャッシュフローのマイナスを合計してプラスになっていれば理想的
【感想など】
ビジネスパーソンが身につけるべき知識をピックアップした場合、必ず取り上げられるのが会計知識。
最近では山田真哉さんの活躍等もあって、“やさしい会計本”というジャンルが確立されてきて、分かりやすい会計本が巷にあふれるようになりました。
そのおかげでワタクシの様な会計音痴にもかなり取っ付きやすくはなったものの、やはり難しい・・・。
だって財務会計を中心としたこの手の本は読んでいると、「経理でも経営者でもないのに、そもそもここまで細かい知識が必要なのか?」と疑問を持ってしまうのですよ。
その点本書は、「待ってました!」という内容。
「デキるビジネスマンを目指している一般の若手社員向け」(特に営業さん)にとって不必要なものを一切こそぎ落として、本当に必要な、本書で言う「会計感覚」に的を絞った内容になっています。
しかもストーリー仕立てでわかりやすく、そのうえ文章がうまい!
で、「この著者何者?」と思ったら経歴がまた異色。
著者の久保憂希也氏は元国税調査官の経営コンサルタント
「ん~なるほど、それで査察のシーンは妙にリアリティがあったのか・・・」などと妙に感心してしまいました。
さて、本書でぜひ読み込んでいただきたいのが「会計の正しい流れ」
「管理会計」→「財務会計」→「税務会計」の順で会社内でのお金の処理がどのように流れていくかが説明されています。
これが“骨格”で、経理以外のビジネスパーソンにとって必要なのは、この全体を俯瞰する感覚かと思います。
もちろん各段階で学ばなければならないことはたくさんあるのですが、細かいことより「商品が売れた」ところから、その収益が巡り巡ってどこでどのようにゴールを迎えるのかということを学べるのが本書のキモの一つ。
そして、もう一つ読みこんでいただきたいのが、「どうすれば会社の利益を最大にすることができるのかについての正しい知識」。
この知識は、営業利益感覚(最低いくらの粗利を稼がなければいけないか?)と言われ、営業職に特に求められる感覚だと思います。
そしてちょっとズレますが、営業に携わらないビジネスパーソンも自分にかかるコスト(給料や保険料など)と自分が会社に提供している労働量や質の関係性をつねに意識することは重要なことではないかと思います。
若手ほどよく、「こんなに働いてるのに給料少ない・・・」と愚痴りますが、労働価値>給料の状態が当たり前なんでっせ!
労働価値<給料だったらあなたクビですよ(笑)。
会計と言うと身構えてしまうあなた。
経理ではないけど会計知識をかじってみようかなと思っているあなた。
本書から始めてみてはいかがでしょう。
本書はディスカヴァー21社様から献本していただきました。
ありがとうございました。
【関連書籍】
本文中で紹介されている本
こちらもわかりやすい本
本書とセットで読むとより理解できると思います。
【参考記事】
ディスカヴァー21社長室blog:「妖怪いそがし」に取り憑かれながらも、本邦初、最強最楽の会計リテラシー入門書のことをお話ししよう! ●干場