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英語より、まずはビジネス用語だ!【書評】水野俊哉(著)『ビジネス用語の常識・非常識』(双葉社)

 

ビジネス用語の常識・非常識 (双葉新書)

ビジネス用語の常識・非常識 (双葉新書)

  • 作者:水野 俊哉
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2010/11/17
  • メディア: 新書
 

 

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ビジネス書4000冊分のエッセンスがこの新書に!
用語解説だけでなく、オススメ本、そして水野節もたのしめる、かなりお得な一冊の登場!

 

【目次】
はじめに
掲載用語索引
第1章 行動経済学の「常識・非常識」
第2章 自己啓発・成功哲学の「常識・非常識」
第3章 ビジネス実務用語の「常識・非常識」
第4章 脳科学・勉強法の「常識・非常識」
第5章 起業・投資の「常識・非常識」
第6章 ベストセラービジネス書用語の「常識・非常識」
あとがき

【本の概要】
本書は年間1000冊以上のビジネス関連書を読む著者によるビジネス用語の解説集です。
“はじめに”から本書の特徴を引用すると

ここ数年でベストセラーになったビジネス書に頻出する用語をジャンル別に網羅

 登場する用語は『行動経済学の用語』『自己啓発や成功哲学の用語』『フレームワークやビジネス実務用語』『脳科学や勉強法に関する用語』『起業や投資の用語』『最近人気のベストセラービジネス書著者の本に登場する用語』の6ジャンルで、掲載用語は約400にも及ぶ。
 本書に登場する用語の9割以上を知っていれば管理職レベル。6、7割が必須レベル。5割以下であれば、ビジネス用語の知識が足りないと言わざるを得ないレベルである。

「もしも世の中にビジネス用語検定があったとしたら必須のワードはこのあたりだろう」という線を狙っている。

また、

勉強意欲が強いビジネスパーソンのみなさんには、簡単にウェブ検索の結果で結論を出さずに面倒でも書籍などと見比べて、自分の頭で物事を考えるようにしてほしいと思っている。

ということで、とにかくどの分野もオススメ本が多数紹介されている。

【感想など】
一言で感想を言うと“一冊で何度も美味しい本”ということになるのかな。
お得感バッチリです。

上記【本の概要】でお分かりいただけると思いますが、本書はそれぞれのジャンルについて、著者の解説があり、そのジャンルを勉強する際のオススメ本が紹介され、最後に用語解説が記されるという基本スタイルで構成されている。

“何度も美味しい”の意味の一つ目は、6ジャンルにわたって言及されている点。
この6ジャンルでビジネスシーンやしごとの関係での酒の席の会話はほぼ網羅している。
いやそれどころか、若いビジネスパーソンが本書を読みこんでいれば、上司の前で先輩たちを出しぬいた会話ができること請け合い。

特に行動経済学の分野は新しいだけに、知っていれば「おっ、お前勉強してるな」となる確率高し!

“何度も美味しい”二つ目は、1冊の本で違う水野節が味わえること。

著者自身は口調の違いを意識していないのかもしれませんが、「行動経済学」「ビジネス実務用語」や「起業・投資」のジャンルの水野節はかなり鋭いアナリスト調
かつて起業家でもあった水野氏のビジネスマンとしての雰囲気が文体にも表れています。

一方、「自己啓発・成功本」や「ベストセラービジネス書用語」のジャンルでは切れ味抜群の書評侍ぶりを発揮。
またまた、「こんなこと言って大丈夫なの?」とファンを心配させるような表現もあるのですが、やはりこれがないと水野本ではない。

例えば、ベストセラービジネス書用語解説から抜粋すると

オーディオブック

・・・しかし都内を自転車で移動している最中もオーディオブックでお勉強しなくてはいけないような忙しい人って、ホントにいたんだろうか。

DMWL

 Do More With Lessの頭文字。つまり、「少ない労力と時間で大きな成果を獲得する」ということ。<中略>日本語で噛み砕くと、「楽して短期で成果を得たい」だが、「ディーエムダブリューエル」と英語で言いかえるだけで何か頭がよい風に聞こえるのは不思議である。

KSF

 Key Success Factorの頭文字。つまり翻訳すると「成功するために本質的に大事な要素」というような意味になる。<中略>使用例は、「KSFにレバレッジをかけてDMWLせよ!」など。ちょっと意味は伝わりづらいが、なんだか凄そうに聞こえてしまうのもレバレッジ調の魔力と言えよう。

まぁどなたの本から登場した用語かは怖いので伏せておきますが(バレバレやろ)、言われてみれば確かに・・・。

そして“何度も美味しい”三つ目ですが、ここは真面目な話。
紹介されている本、そして作家さんが素晴らしい!

水野さんのこれまでの書評本を読んでいただけるとわかるのですが、本や著者を面白おかしくバッサリ斬るのも特色ではあるのですが、その一方でよい本や著者をしっかり評価しているのです。

例えば、今回ワタクシが嬉しかったのは
水野俊哉がすすめる「自己啓発・成功哲学用語」 でサミュエル・スマイルズやデール・カーネギーといった、この分野の定番作家さんたちとならんで、スウェーデンボルグや中村天風氏が紹介されていたこと。

スウェーデンボルグはかなり宗教色、スピリチュアル色が強い方ですが、自己啓発・成功本作家として取り上げた水野氏の慧眼に感服。

また中村天風氏に関しては日本の自己啓発の元祖のような方ですが、残念ながら若い人たちにはあまり知られていません。 

時の流れの中に埋もれさせるには、あまりにもったいない著作や教えを、掘り返して伝えてくれるのも本書の大きな魅力だと思います。

中村天風オススメ本

 

運命を拓く (講談社文庫)

運命を拓く (講談社文庫)

  • 作者:中村 天風
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1998/06/12
  • メディア: 文庫
 

 

 

君に成功を贈る

君に成功を贈る

  • 作者:中村 天風
  • 出版社/メーカー: 日本経営合理化協会出版局
  • 発売日: 2001/12/01
  • メディア: 単行本
 

 

最後に“何度も美味しい”四つ目ですが、本書には読書術本として参考になる記述がちりばめられています。
これからビジネス書を読んで勉強しようという人は、本の読み方に関する記述も注意して読むといいでしょう。

ただ、ワタクシには耳が痛い記述も

 また、脳の機能についていえば、左脳的な機能だけではなく、右脳的なクリエイティビティを発揮するよう普段から意識すべきだろう。つまり、本を速読して、たくさんの情報を詰め込んで、それをブログでアップして、ツイッターで感想をつぶやくより、収集した情報から新しいクリエイティブを生み出す作業を重視したほうがいい。

ん~、クリエイティブかぁ。
その前に速読でインプット、記事をブログにアップ、アップしたことをツイッターでつぶやこう・・・(←本から学ばない人の典型)

そうそう、もちろんレファ本としても使えるように掲載用語索引が巻頭に記載されている点も嬉しい心遣い。
この内容でこの値段はありえない。
費用対効果抜群のお得スゴ本です!

 

ビジネス用語の常識・非常識 (双葉新書)

ビジネス用語の常識・非常識 (双葉新書)

  • 作者:水野 俊哉
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2010/11/17
  • メディア: 新書
 

 

本書は著者、水野俊哉様から献本していただきました。
ありがとうございました。

【気になったフレーズ】
用語解説本ですので抜き書きはやめようと思ったのですが、メモ代わりに気になったフレーズを抜粋。
あくまで個人的なメモです。ハイ。

ビジネス書系セミナーの盛り上がりは現地の書評ブロガーの人数に比例している気がする。

書評ブロガーの勢力分布図を「ブロガーマトリックス」として発表しているのだが、東京と大阪在住のブロガーが9割を占めている。もっといえば大阪の書評ブロガーの人数が飛躍的に増えたのもここ2年くらいのことであり、最近は名古屋でブロガーの人数が増えてきている。

 真の自己啓発とは、自分で自分を高めて、より良く生きる努力をしましょう、ということである。自己啓発の名著には、明るく積極的な心を持ち、勤勉に働いてお金を稼ぎ、幸せに暮らすためのメッセージが込められている。
 ただし、「幸せとは何なのか?」の答えは自分で見つけるものである。それを追求するために自己啓発セミナーや新興宗教に走ってしまうと、財産すら剥奪されかねないので注意が必要だ。

自己啓発セミナーにハマってしまうのは、どこかに楽をしようという心があるのではないかとも思う。他人になんとかしてもらおうとするから、騙されるのである。

 確かにコンサルタントやコンサルティング会社に分析を頼むと、難解なフレームワークを駆使して立派な資料を作ってくる。
 しかし、往々にしてコンサルタントに大金を払って依頼して完成した分析資料の結論は、社内の人はみな知っているようなケースであることも多い。

 しかし大事なことは、フレームワークを理解して使えるようになったからといって、売り上げがみるみる上がったり、新しい事業が急成長するわけでもないということだ。同様に最近流行の速読術やノート術を学べば仕事ができるようになるわけでもない。

 ブログを書くために読みたくもない本を速読してみたり、読書会を開催すること自体が目的化してしまう人もいるようだが、何事も手段と目的が逆になるとよくないという典型である。

 本を読む際には、全部記憶しようと意識するよりも、大事なことは後で思いだせることだと信じてインストールするように読みこむことが重要になる。その際に、大事だと思われる部分は繰り返し詠み込んだり、線を引く、付箋を貼る、ノートやパソコンに抜粋するなど後で思い出しやすいような工夫も必要だろう。

 人間の脳の機能は忘れることによって、忘れていない部分が大事だとわかるようにデザインされているのである。

 マネーについて学ぶべきことは、マネー経済について、投資などの金融の知識、そしてマネーリテラシーである。
 これらを学ぶ理由は、お金持ちになるためというよりは、騙されて今よりも貧乏にならないためだと言った方がよい。

 お金に関しては、自分で知識を身につけて考えるしかない世の中なのだ。少々乱暴な言い方になってしまうが、会社や国も、もはや頼りにならないし、金融機関や自称マネーの専門家という人たちも、知識のない人たちから金を巻き上げようとしている金の亡者だと疑ってかかるくらいでちょうどいい。

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