前回、キングスレイ・ウォード(著)『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』(新潮文庫)について書きましたが、まだ書き足らなかったことなどを追記したいと思います。
この本を読んで、私も息子を持つ父親として、こんな父親になりたいと思いました。
しかし、私は経営者ではありませんし、継がせるものもない。
第一、息子がこれから先の人生で何に興味を持ち、どのような道に進むのかまだ見当も付かない。
でも何か今の時点で、著者と同じように息子に伝えられるものがあるとしたら
第19通 読書の価値 かなと思います。
まず、私は著者の読書観に強く共感したのです。
少し長いですが引用します。
私は人生のこの段階で、ただ読書のおかげで、一生を十回も経験したような気がする。それで優越感を感じるというのではない。そういうことではなく、地上で与えられた時間を有効に使っているという気がするのである。そしてあらゆる意味で、小さな閉鎖的な社会に生まれて、自ら望んだにせよ、望まないにせよ、その外の世界を実際に、あるいは書物を通じて知的に、見る機会のない人たちを気の毒に思う。人生についてどれだけ知ることができるだろう。知らずに終わることがどれほど多いだろう!
読書量は多くても、ほとんど小説しか読まない人もいる。彼らはそれでくつろげる、と言う。ノンフィクションを読むのは仕事だと感じる人が多い。奇妙なことに、私はノンフィクションを読みながら、くつろぎ以外のものを感じることはない。しかも、この世界には学ぶべき事が実に多くあり、小説よりもはるかに興味をそそられる事実が無数にあることを思うと、誰かの白昼夢を読むのは時間の浪費にさえ感じられる。
さらに、
歴史は私にとって最も刺激的で、得るところが多く、また楽しめる一連の物語である。
この本を読むと著者がかなりの読書家で教養があることが分かります。また、小説を読むことを時間の無駄と言っていますが、質のよい小説を大量に読んでいることも推測できます。
歴史好きなところも共感できます。
この手紙の中で是非真似したいことがあります。
君も覚えているように、君が19歳のとき、私は君の部屋に本棚を作った。そしてそこに、君が実業界に入ったときに、また個人生活で、非常に役に立つと思われる本を並べた。次の十冊である。
1バートレットの常用引用句集 (ジョン・バートレット)
2広告業界に生きる (クロード・ホプキンズ)
3家族経営会社の性格 (レオン・ダンゴ)
4医師と心 (ヴィクター・E・フランクル医学博士)5東洋の遺産 (ウィル・デュラント)
6巨富を築く13の条件
巨富を築く13の条件
(2001/03/27)
ナポレオン ヒルNapoleon Hill(ナポレオン・ヒル)
7ライジング・サン (ジョン・トラント)
8ブリタニカ百科事典1巻(どれでもいい)9ローマ帝国衰亡史 (エドワード・ギボン)
ローマ帝国衰亡史〈1〉五賢帝時代とローマ帝国衰亡の兆し (ちくま学芸文庫)
(1995/12)
エドワード ギボン10ラルフ・ウォルド・エマーソン (フレデリック・I・カーペンター)
精神について (エマソン名著選)
(1997/01)
ラルフ・ウォルドー エマソン
よく、「読書は著者との会話」と言いますが、この本は「私だったらどう言うかな、どうするかな」と考えながら読める本です。
上記の部分を読んだとき、「俺も息子が高校生ぐらいになったら、勝手に部屋に本棚を作って父親推薦の本を並べてやろう」と決心しました。
しかしキングスレイ氏のラインアップ。多種多彩ですね。
私ならどんな本を選ぶのか?これ考えると楽しくないですか?
まず、スティーブン・R・コヴィー(著)『7つの習慣 成功には原則があった!』これは当確ですね。
ナポレオン・ヒル(著)『巨富を築く13の条件』これはナポレオン・ヒル(著)『思考は現実化する』の方が好きですね。
エドワード・ギボン(著)『ローマ帝国衰亡史』 は名著中の名著。歴史好きの著者にすれば絶対はずせないところでしょう。
しかしこの本、あまりにもボリュームがあって専門的で格調高い。
同じくボリュームはありますが、私だったら塩野七生(著)『ローマ人の物語』を本棚に置くかな。
これで3冊。あと7冊は迷うところですが、キングスレイ・ウォード(著)『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』(新潮文庫)は今のところ最有力候補の1冊です。
【追記】
『バートレットの常用引用句集』のことをご存じの方いませんか?
『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』の中で様々な引用が登場するのですが、多分『バートレットの常用引用句集』から引用していると思われるのです。
しかし、この本の情報がない。私としてはこの本が気になってしょうがないのですが・・・
誰かご存じの方がいましたら教えてください。
http://www.bartleby.com/100/
John Bartlett(1820-1905) による主に16~18世紀の作家や詩人などの警句やフレーズなどの引用句集。BARTLEBY LIBRARYの中の1ページ。
ただし、英語ですね。訳書は出ていないようです。16~18世紀に限定されているのが惜しいような気もします。他の名言関係の本でいいものを探した方がいいかもしれませんね。
なるほど、わざわざありがとうございます。
やっぱり訳書は出てないのですね。
『ビジネスマンの~』の文中に出てくる引用がかなりいいものばかりなので訳書があるのなら読んでみたかったのですが、残念。