今日ご紹介するのは、齋藤孝先生の新刊。
ワタクシはどうしても”三色ボールペンの先生”というイメージから抜けられないのですが、最近はテレビのコメンテーターとしても活躍されている齋藤先生。
その幅広い知識と教養は周知の事実ですが、はたして齋藤先生が提示する人間関係に”困った時の33のヒント”とは
【目次】
第1章 ビジネスに効く人間関係力
Q1 仕事相手に振り回されてばかりだ 回答者/宮本武蔵
Q2 仕事で悩んでいる部下に何と声をかければいいか 回答者/エジソン
Q3 最近仕事の愚痴が多く、つまらない 回答者/高橋是清 はか
第2章 プライベートを円滑にする人間関係力
Q14 出会いが少なく、仲間もいない 回答者/寺山修司
Q15 なぜあの人は不機嫌なんだろう 回答者/モーツアルト
Q16 「人の話を聞かない」といわれる 回答者/宮本常一 ほか
第3章 他人に頼らない人間関係力
Q24 女性にモテるにはどうしたらいいか 回答者/坂口安吾
Q25 逆境に立ち、途方に暮れている 回答者/孔子
Q26 仕事関係者とプライベートまでつきあいたくない 回答者/渥美清 ほか
【概要】
齋藤孝先生はまえがきで
人間関係という人生の抵抗力を減らすコツを具体的に一つずつ身につけていきたい。仕事の能力をポジティブに上げていく努力ももちろん必要だが、生活の様々な局面において人間関係のストレスを減らしていくことが、信じられないほどの成果を生むと私は思う。
と述べられています。
で、その人間関係のストレスを減らす方法ですが、本書では
私たちが悩みがちな状況を具体的に設定し、その状況に活路を開くヒントを、賢者の言葉を活かしながらQ&Aの形で提示した。
つまり問題に対して解決方法を、各界の著名人や歴史上の偉人たちの言葉から齋藤先生が答えのヒントとなるものを提示するというものです。
【ポイント&レバレッジメモ】
今回は要点をまとめるというより、ワタクシの心に残った言葉をメモ書きのように書き出してみました。
≪私が18時間も働けるのは、食事の量と睡眠時間を極力少なくし、血管を全く圧迫しない衣服を身につけているからです≫
≪君は道理に適ったことばかりを試してきた。理屈どうりのことなど役に立ったためしがない。 略 今度は筋の通らないことを試してみることだ。そうすればすぐに解決方法が見えてくる。いいか、寝るのはその後だぞ≫ エジソン
・高橋是清の「心の環境整備」・・・意識というものは、必ず何かを「志向」する。是清は意識の向う先を、「仕事」に置いた。
≪わたしは決して自信は失わなかった。もしどこからも誘いがなければ、独立するまでだ。どうしてできないわけがあろう≫ チャップリン
≪あせっては不可せん。頭を悪くしては不可せん。根気ずくでおい出なさい。世の中は根気の前に頭を下げることを知っていますが、火花の前には一瞬の記憶しか与えてくれません。うんうん死ぬまで押すのです≫ 夏目漱石
≪困難な日が必ずしも暗いとは限らない≫ ジョン・F・ケネディ
≪大統領は当然ながら、人格と判断力、活力、知的好奇心、歴史感覚、そして未来に対する強力な見通しをもっていることを期待されている≫
⇒リーダーに必要なのは、「スキル」でも「才能」でもない。「活力」や「未来に対する」姿勢。
『孫子』が記すどうしようもない軍隊(チーム)にいる6つのタイプの兵士
①秩序なく逃走する兵士
②たるみきっている兵士
③士気が落ちてしまう兵士
④組織を崩してしまう兵士
⑤規律などを乱す兵士
⑥負けてしまう兵士
⇒≪凡そ此の六者は、天の災いには非ずして、将の過ちなり≫
・自分のアイデアがリーダに採用された時の興奮と誇らしさは、「貢献感」を感じさせてくれる。「貢献感」こそが場への参加意欲を加速させる。
・ビジネスマンには「私は○○である」という強力な自己規定が欠けている。「私は課長である」では、ただのポジションだ。そこに筋はなく、部下からの信頼は得られない。「○○」の部分に、人を納得させるヴィジョンなり信念を含んだ言葉を入れることができるか。大義名分を示せるか。ここに、人望を獲得するカギがある。
≪あちこちに自分をあらわすために、セカンド・ハウス、サード・ハウスとしての小さい部屋を群衆の中に設置し、人間関係をより複雑でわずらわしくする≫ 寺山修司
・モーツァルトの音楽家としての才能は、他人が自分に何を欲しているかを察する「感知力」にこそある。「相手の気持ちがわからない」と悩むくらいなら、彼ら(彼女ら)を喜ばせ、上機嫌の渦に巻き込んでしまえばいい。
≪人はみんな、話したいことをもっている。その人が話したいことをその人が話そうとしているときは、じっと聞いたらいい≫ 宮本常一
≪とにかく物事には明暗の両方面がある。私は光明の方面から見たい。そうすれば、おのずから愉快な念が湧いてくる≫ 新渡戸稲造
≪妻のオリヴィアから尊敬され、認められることを、それこそ全人類から尊敬され認められるよりはるかに重要視していた≫ マーク・トウェイン
⇒まずは妻の需要にこたえる。それができたら職場、地域、と広げていけばいい。
≪絶えず、組織的に、断じて他人と正反対のことをしたい≫ サルバドール・ダリ
≪恋愛の絶頂は真実の体験です。二人の人格が絡まりあって生きて動く彫刻です≫ 与謝野晶子
≪君主は、野獣と人間をたくみに使い分けることが肝心である≫
≪君主が厳に戒めなければならないのは、人にさげすまされることと、恨みを買うことだ≫ マキアヴェリ
≪孤立してるのはつらいから、つい徒党や政治に走る。孤立してるのが大事なんだよ≫渥美清
≪山頭火よ、愚にかへれ、愚を守れ、愚に落ち着け!≫ 種田山頭火
≪あんたらのお望みどおりの人間になる必要はないんだ。俺は自由に自分のなりたいものになれるんだ≫
≪俺がやった抵抗(兵役拒否)は、黒人だけでなく、すべての人が考えるべき抵抗だったんだ。(中略)自由とは自分の信念を守ることができるということだが、また、善悪の選択に対し責任を負うということでもあるんだ≫ モハメド・アリ
≪風狂の狂客、狂風を起す≫
≪生れては死るなりけりおしなべて しやかもだるまもねこも杓子も≫ 一休宗純
≪監督が一本ごとに新しい登場人物や、新種のストーリーを開拓するためにスタイルを変えてゆく必要があるとは私は思わない≫ ヒッチコック
≪大海若し足ることを知らば、百川応に倒に流るべし≫ 道元
≪与える者には、功徳が増す。心身を制する者には、怨みのつもることがない≫ 釈迦
【感想など】
これはコストパフォーマンス性の高い本です。
本書のテーマはもちろん”人間関係”にどう対処するか?なのですが、そのアンサーとして取り上げられた面々が幅広いし面白い!
宮本武蔵にはじまり、アレクサンダー大王、ダリ、三遊亭円朝、ラストはお釈迦様ですよ。
さすがに齋藤先生です。
この幅広さから本書は教養書としても十二分に楽しめます。
読み進むごとに、「へぇ~、この人はこんなことを言ったんだ」と感心しきり。
ワタクシの場合、人間関係の問題に対する答えよりもそちらの方面に興味がシフトしてしまいました。(スイマセン)
それと、成功本好きのワタクシとしてはもう一つ非常に気になった所がありまして。
それは前書きでの齋藤先生のお言葉。
本書のヒントを読んで「ああ、そういうことか」と思うだけではもったいない。ヒントを座右の銘とし、日々意識して習慣にまで高めてしまうことが大事だ。ただ単に、「知っている」というだけでは意味がない。プレッシャーがかかった状況でしっかりと技を使えるかどうかが、勝負の分かれ目だ。
私自身は、本を読みながら、気に入った言葉をチェックし、繰り返し声にだして覚えてしまうようにしている。そうすると、言葉が自分の中に浸透し、技になっていくように感じる。
一つ一つの経験を、自分の内的ルールとして蓄積していく。手帳にそのルールをメモしていくと定着率が高い。
この部分。
成功本好き、あるいはカツマーならお分かりですよね。
「読んだだけではダメ。実践する!」ですよ。
で、齋藤先生の場合はどうやら声に出して覚えてしまうのと手帳にメモって繰り返し見るのようですね。
なるほど、勝間さんと本田直之さんを足したような方法(?)を実践されているわけだ。
これは参考になります。
ぜひ皆さんもまず”読んで”そして”実践”してみましょう。
人間関係に効くヒントてんこ盛りの一冊。教養書として知的好奇心を十分満足させてもくれるお得な本です。
最後にもう一つ引用
経験から自分の「成功ルール」を抽出して言語化することで、確実に人間関係力はアップする。