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戦っている君は自分に酔っているだけだ【書評】横山信治(著)『戦わない生き方』日本文芸社

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おはようございます、一龍です。

今日ご紹介するのは当ブログではお馴染みの横山信治さんの著書。

サラリーマン生活で栄光も挫折も味わった著者だからこそ語ることができる仕事人としての生き方、成功哲学が本書にはあります。

 

はじめに

私たちが職場で出会う問題のほとんどが人間関係に起因していると思います。
そして人間関係のトラブルはかなりのエネルギーを消耗するものです。
できれば誰とも衝突しないで働きたい。
しかしそれがわかっていてもどうしても衝突してしまうことはありますし、正しいことは言うべきだという正義感も働いてしまうものです。

今回は著者の横山信治さんが長いサラリーマン生活の中で得た体験を元に戦わない生き方(働き方)とそのためのコツをピックアップしました。

まずはお読みください。

ポイント

 

★なぜ、人は「戦う」のか

 

 人が戦う理由は、ただ一つ。
 自分の考えが正しいことを証明したいからです。
 別の表現をすると、自分が素晴らしい人間だと評価してもらいたいということです。

★自分より先に相手を認める

 

 私は自分を認めてほしくて、戦いました。勝つことで偽りの自尊心をキープしながら。
 本当の自尊心は相手を認めてあげることで高まるのです。戦いに勝つと一時的に自尊心が高まったように感じますが、それは錯覚です。ほんとうに自分を認めてほしいのなら、戦うのをやめて、先に相手を認めてあげることからはじめましょう。

★「戦わず」に生きる

 

 「戦わない生き方」というのは、周囲が自然と応援してくれるような行動を選択することです。
 そのためには、
 自分に魅力をつける。
 目的を持って行動する。
 人のためになることをする。
 人に先に与える。
 相手を傷つけない。
 相手の自己重要感を満たす。
 さらに、戦いを挑まれてもうまく避けるということも含まれます。

★上司は「嫌い」でOK!

 

 ここで私は、無理にでも上司を好きになりなさい、などと言うつもりはありません。嫌いな上司は、嫌いなままで大丈夫です。

 ただし、この三つのポイントだけ頭に入れておいてください。
 ①上司は自分と違う考えの人に「ムカッ!」とする生き物
 ②上司と部下では力関係は上司が常に上
 ③無駄な戦いはしない
 レモンは酸っぱいものだと思って食べますよね。レモンを甘いものだと勘違いして食べると、落胆します。本来、上司とは嫌う対象なのだと割り切れれば、意外と楽になります。

★好かれようとするより「好き」になろう

 

 人間は完璧を手放すと楽になります。皆から好かれたいというような完璧を目指すのは自分を苦しめるだけで実現しない世界です。
 「誰の友にもなろうとする人間は、誰の友人でもない」これはドイツの学者ペッファーの言葉ですが、真理だと思います。

 それを踏まえて私からの提案は二つ。
 ①人のいい面を探すクセをつける。
 ②相手の幸せを願う
 すべての人から好かれようとする必要はありません。皆さんがどんな人でも好きになるようにしたほうが得策です。心理学の世界では「人は好かれると、その人に好意を持つ」と言われています。

★「戦わないといけない」とき

 

 やむを得ず戦わないといけないこともあります。
 それはあなたに守るべきものがいるときです。<中略>
 世の中には、こちらが誠意を尽くしても、理解してくれない人もいます。そのような人たちとも戦わないのが一番よいのですが、要求が過度の場合ははっきり拒否しなくければ大切なものを守れません。

 守るために必要なポイントは三つ。
 ①最初にこちらが何に対して謝罪しているかを明確にしておく
 ②言い訳を列挙しない
 ③相手が感情的になっているときはまず話しを聞く
 ただし、合理的でない要求をしてくる場合は、「それは受け入れられません」「そのような対応はできません」「お答えするのは難しいです」とはっきり告げましょ。

★「バカ」になれる天才

 

 組織には三つのタイプがいます。
 ①本当にバカな人
 ②バカのフリをする人
 ③バカになれる人     <中略>
 
 ③のタイプは次の三つの要素を持ち合わせています。 
 (1)人の意見にケチをつけたり、正義を振りかざしたりしない
 (2)謙虚である
 (3)ヒントが出せる
 
 ③の人は人望も厚く、人からも好かれます。人の意見にケチをつけたり、正義を振りかざしたりしません。また、人から聞かれるまで、自分の意見を得意気に話すこともありません。<中略>

 わからない人にはバカだと思われてもいいのです。わかる人には必ずわかります。人には承認されたい欲求があります。誰もが上位の人に認められたいのは当然です。自分のしたことへの手柄が欲しくなっても、人に褒めてもらいたくなっても、そこはグッと我慢して下さい。
 相手に手柄を譲ることができる人が「バカになれる人」です。
 それが人と戦わずに、自分も幸せになれる生き方です。

★相手によって「態度」を変えない

 

 この世の中は、人のために尽くす人が最終的に勝ちます。
 自分のことばかり優先する生き方は、最終的に負ける生き方です。
 相手によって態度を変えて立ち回っても、眼に見えないネットワークがあなたの成功を阻むでしょう。

 人によって態度を変えないポイントは二つ。
 ①自分の人生の目標を見失わない。
 ②将来こうなりたいという、自分像を見失わない。    <中略>
 人生は、皆のためになることを常に考えて行動する人が最終的に頭角を現すようにできています。それが戦わない生き方であり、成功する生き方です。

感想

 

◆戦わない生き方こそ成功への道

今回は本書の前半部分から「戦わない生き方」の核の部分となるポイントをピックアップしました。
後半部分では上司や同僚との具体的な対処法が綴られていますので、もっと知りたいという方は本書でご覧ください。

さて、本書で主張されている「戦わない生き方」、

私たちの住む世界で本当の勝者になるのは、味方を増やし、敵を減らすことが必要なのです。戦うと味方が減り、敵が増えます。

この考えには私も自分の経験から全く同感です。

私もそれなりに若い時は先輩や上司と衝突しました。
そしてある程度年を取り、経験を積んで、責任を持たされ後輩ができると、やっと見えてくるものがあります。

その時初めて気が付きました。
味方を増やすことが仕事でもスピードアット成果をもたらすと。

「あんたの頼みやったらしょうがないな」と言ってくれる味方が多いほど仕事はうまくいくのです。

そのことに若い時は気が付かないのです。

◆若手よ、自分に酔っているだけだと気づけ

以前勤めていた部署に、能力はあるけれどよく上司と衝突する若者がいました。

会議などで持論を展開して、一部正論だったりするので”手に負えない”という雰囲気もありました。
ただし、ほとんどが「見えていない」ピント外れな意見だったり、あるいはどう考えても実行不可能な意見だったので大方の上司や先輩たちの受け取り方は

「またはじまった」「会議が長くなるからやめてくれ」「言うより先にもっと働け」

と言った感じでした。
総じて評判が悪い。

やがてその評判は他部署にも広がっていきました。

彼の今後のキャリアを心配して、私も「喧嘩の仕方は覚えた方がいい。何でもかんでも直球投げたらいいもんとちゃうぞ」と何度となく注意したものです。

ところが驚いたことに、ごく少数、こういう反抗的な姿に共感し、「かっこいい!」という若手もいたのです。

その結果、この若者はますますエスカレートしていきました。

「自分は正しいことを言っている」「周りの連中はバカばっかりだ」、そしてそんな自分はかっこいいと。

完全に自分に酔っているのです。

やがて彼は転勤していきましたが、やはりあたらしい職場でも「毒を吐いてる」という噂が流れてきました。
性分なんですかね。

せっかくいいものを持っているのに、おそらく今後彼を引き立てる人はいないと思います。
早く気がついてほしいものです。

ただし、どんなに衝突しても、本当に頑張っていれば見てくれている人はかならずいるということも経験から言っておきます。

捨てる神あれば拾う神あり。
私も何度となく”拾って”もらいましたので。

◆人生の行先(目標)を決める

最後に本書を読んでちょっと頭をガツンとやられたところを。
「人はなぜ戦うのか」という理由に関することで、著者いわく、それは人生の行先(目標)を決めていないからだと。

 なぜ多くの人が行先を決めずに人生を送れるのかというと、毎日、会社に出勤するという行動パターンがあるからです。何も考えずに会社に出勤し、仕事をこなし、帰ってから趣味や遊び、家庭のことをして寝る。その変わらない行動パターンの中で生かされているからこそ、人生の行先(目標)を決めずに生きていることに気づかないのです。気づかないが故に無意味な戦いを挑んでしまったり、人から挑まれる戦いに乗ってしまうこともあるのです。

サラリーマンは決して気楽な家業ではありませんが、「人生の行先」を決めなくても続けられて生きていけるシステムではあります。

それは良くも悪くも”安定”という名の「楽」な人生を生きられる就業形態なのです。

社畜なんて言葉もありますが、ある意味自分の人生に関して「思考停止」していても生きられるです。

これってすごい怖いこと。
しかもその安定が無意味な戦いに乗ってしまう原因となっていると著者は言うのです。

うーむ、確かにそれあるなぁ。

人生の大きな目標が決まっていたら、いわゆる「大事の前の小事」に関わっている暇はないですよね。

しっかり自分の「大事」を見据えて仕事に臨んでいきたいと心を新たにさせられました。
だって私は「大事」を決めていますから。

ということで、今現在職場で人間関係に悩んでいる方。

とくに上司との折り合いがつかないという中堅から若手のビジネスパーソンにぜひ読んでいただきたい一冊です。

本書は著者の横山信治様から献本していただきました。
ありがとうございました。

目次

イントロダクション Q&A
第1章 「戦い」とは ー私が戦い続けてきた結果ー
第2章 戦わないための準備 ーアプローチを変える方法ー
第3章 与える生き方 ー与えることの意味と実践ー
第4章 それでも戦いはある ー相手はまだ気づいていないー
第5章 「戦わない」生き方 ー究極の成功法則ー
おわりに

関連書籍

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