こんにちは、なおさん(@ichiryuu)です。
今日ご紹介するのは、
田端信太郎(著)『これからの会社員の教科書』SBクリエイティブ
最近働き方改革ってよく聞くよね。
この本は新しい働き方を書いているの?
確かに労働を取り巻く環境は大きく変わってきているね。
でもどんなに世の中が変わっても、働き方の本質は変わらないと思うよ。
この本はその”本質”について書いているよ。
この本をおすすめするのはこんな人
- これから就職する新社会人
- やっと仕事に慣れてきた社会人1〜2年めの新人
- 働き方に迷い始めた社会人5年目ぐらいの若手
『これからの会社員の教科書』:読書メモ
イケてる残業とダサい残業
デートや家族の大事なイベントが有る日に突然上司から仕事を頼まれたらあなたはどうしますか?
まずやることは
「何のため」「いつまでに」「何を、どうしたらいいか」をおさえる。そのうえで今日残ってまでやらなくていいのであれば、元の予定を優先させればいいでしょう。
そして、帰るなら
理想は「今日は帰らせてください。ただ、ちゃんと締め切りまでには仕上げます」とハッキリ言うことです。自分の主張を通しながらも任務を遂行するという態度は「基本姿勢」です。「目的、制約条件、締め切り」は仕事の3点セットです。ここをきちっとおさえる。それが自分の都合を優先させても実現できるのであれば、プライベートを犠牲にする必要はありません。
いちばんダサいのは、まわりの先輩や上司が帰らないから残業するというもの。
現場ではプライベートでどんな大切な日でも絶対に帰らずに残業しなければならない状況も発生します。
だからそこ、必要がない時はさっさと帰ればいいのです。
父ちゃんは「犬が待ってるから」って帰ったこともあったね。
(笑)まぁ、それは冗談だけど。
自分なりのワークライフバランスの基準を持つことが、定年までの長い期間を健康に働く基礎となるよ。
ロジックで勝てると思っているやつは0点
「自分は頭がいい」と思っている意識の高い新入社員が、会議でやらかしがちなことが1つあります。それは、先輩が言ったことに対してマウントをとって、否定ばかりすることです。
新人に限らず、会議の席で管理職の案に反対したり批判する人を時々見かけました。
本人は論理的に「正しい意見」を言っている自分は正義であり、間違ったことをしている管理職は無能だと思っているのでしょう。
また、自分の優秀さをアピールしたいのかもしれません。
しかし、現場はそんな単純ではありません。
新入社員の発言は「ロジカル」なのかもしれません。誰かが間違っているということをロジカルに証明したわけです。もちろんロジックは大事です。でも、結局ビジネスというものは人間がやっていること。ロジックはあくまで材料のひとつでしかありません。
結局、会議で先輩や管理職の意見にマウントを取るとような発言をする人が現れると、時間ばかりかかって何も決まらないという事態に陥りがちです。
本人は「言ってやったぜ」とご満悦なのでしょうが、周りから見たら自分に酔っているだけ。
ただの面倒くさいやつでしかありません。
当然、周りからしたら鬱陶しい存在になるだけです。
せめて、改善案や代替案を提案できるなら建設的な議論になるし、本当に自分の提案を通したいなら根回しなどそれなりの手順を踏むべきです。
それをしないのなら、ただのイタイやつになってしまいます。
会議で意見が言える新人さんって、ある意味度胸あるんじゃない?
意気込みは買うけど、仕事はあくまでチームで動くもの。
こんなことを続けていたら恨みを買うだけで結局仕事がうまくいかなくなるよ。
「昭和のノリ」でオヤジを転がせ
世の中には、礼儀を大切にする人もまだまだたくさんいます。そういう人は逆に言えば扱いは楽なのです。わかりやすい。形式的でもいいから礼儀を守っていれば嫌われないからです。
最近若い人で職場の飲み会に出席しない人が増えていて、忘年会や新年会に行きたくないというTweetもよく見かけます。
「会社の飲み会は仕事みたいなもの。なんで自分のお金と時間を使って仕事をしないといけないんだ?」という意見もわかります。
それに出席したらしたで、上座だの下座だの、御酌するだのしないだの、何の意味があるんだ?という形式的な礼儀が求められたりします。
でも、実感として得られるメリットもあります。
飲み会の場って職場ではできない人間関係を築くことができます。
うまく利用すれば、なにかあったときも「あいつは悪いやつではない」とかばってもらったり、仕事上の案件の話が通りやすくなったりします。
円滑剤としてのいわゆる”飲みニケーション”は今も有効。
ならば、使えるものは使えばいいのです。
「お酌をするのは古い」とか「自分は誘われた側だからやらなくていい」など、気持ちはわかりますが、もう中2ではありません。「昭和なノリ」で得するのであれば、さっさとやっておけばいいのです。
若い人ほどそういう、昭和の礼儀のようなことをやりません。だからチャンスなのです。敬語を使う、お酌をする、おごってもらったらお礼をする。簡単なことでも、それを徹底するだけで一目置かれます。
父ちゃんもお酌したの?
片手にビール、片手に日本酒を持って御酌してまわったよ。
それで人間関係うまく行くのならお安い御用さ。
でも日本酒の返盃の習慣だけは嫌だったなぁ。
「なんでおっさんと間接キスせなあかんのや!」と思ってた。
人間社会も色々大変だね。
仕事のためのアウトプット前提で本を読む
読書は重要です。
特に頭脳労働にとって、読書は「原材料」です。かける曲がないとDJが成り立たないように、食材がないとシェフができないように、頭脳労働者にとって、本を読むのは息を吸うくらいあたりまえのインプットです。
でも、忙しくて本を読む時間はなかなかとれないよ。
そういう人に本田直之さんは『レバレッジリーディング』の中でこう言ったよ、「本を読まないからいつまでも忙しいんだよ」と。
社会人の読書のポイントは2つ。
①アウトプットする場面を意識しながら、読む。
②興味を持ったら過去20年くらいの間に読まれてきた関連本を芋づる式に読む。
とにかく、好奇心の射程を広くして常にアンテナを張っておきましょう。
ちなみに、ネットを情報源にしている人に著者はこんな警告を発しています。
ネットは「おやつ」のようなものです。本が「ご飯」、主食です。
この意見に僕も賛成。
そしてもっと言えば、「おやつ」にも高級スイーツから駄菓子まで色々あるよね。
専門家のテキストサイトが「高級スイーツ」だとすると、動画サイトはまだまだ「駄菓子」という感じだね。
ワタシはもっと「おやつ」がほしいけどね。
新人時代にがんばると20代後半で楽になる
新入社員時代から、正しい負荷で正しい努力をしていると、4、5年経ったあたりの27〜28歳くらいからすっと仕事が楽になり、面白くなってくるはずです。
特に最初の2年は、どんなミスをしても「新人だからしょうがない」という免罪符の効力がある期間です。
この期間に思い切り力を発揮しておくことが、後々長い会社員人生で大きな財産になります。
僕も最初の6年ぐらいは本当大変だったけど、結局その時の経験が教員生活を支えてくれたんだよなぁ。
ただし、最近は働き方改革と称してとにかく時短、残業ダメ! という風潮になっていますよね。
著者もこの点に関して、
長時間労働がダメなのは正しい。パワハラもいけません。ただ、自分の業務負荷とストレス耐性の限界を試したような経験が20代のうちにまったくないと、逆に40代や50代で、後々苦労するのではないかと。そこにモヤモヤするのです。
本来、働き方改革というのは単なる時短ではないはずですし、効率を良くするためには非効率も経験する必要があると思うのですが、若手にとってはその経験ができにくい時代になりました。
しかし、だからこそチャンスかもしれません。
上司や先輩からの指示と指導で正式に苦労できないのであれば、自発的にやるしかありません。自分で勝手に求められている以上のこと、苦しいことを進んでやれる人は、今の時代にものすごく抜け駆けできます。
新人時代の頑張りがチャンスに繋がるんだね。
ここで歯を食いしばってがんばることができたら、得るものは大きいけど、もしその会社や業務が自分に合わなかったり、ブラックだったりで心身が病みそうなら、さっさと辞めたほうがいいよ。
健康が第一だからね。
健康に万が一のことがあっても、会社は責任をとってくれないからね。
『これからの会社員の教科書』:まとめ
「これからの」ではなく「これまでの」、そして「これからも」
本書には会社員が働く上で指針となる71の項目が書かれていますが、その中から特に新人の方が気になりそうな5つをピックアップしてみました。
僕は26年間高校教師をしていたので、会社員経験がありません。ですが、組織で働くということの本質は共通していると思っていますし、実際本書を読んでただただ共感しまくりでした。
で、まず思ったのですが、この本のタイトルは詐欺ですよ。
「これからの会社員の教科書」とありますが、本の内容から言えば全然「これからの」ではなく、「これまでの」という方が正しい。
昭和に生まれ育った僕らの世代か刷り込まれた労働観であり、新人時代に先輩から叩き込まれ、自分で経験して学んだことばかりなのです。
著者の田端さんは、Twitterのタイムライン上で時々お見かけするからでしょうか、セルフブランディングしてステップアップしていく今時の働き方の最先端をいく方のようなイメージを持ってしまいます。
しかし前著『ブランド人になれ』も読ませていただきましたが、著者の田端さんは言わば”超正統派サラリーマン”。
とにかく本書の内容も、昭和的であり、浪花節的であり、そういったものをベースに現代の労働環境に適応した内容にしているように感じました。
そういう労働観の本質的な部分をしっかり抑えているという意味で、本書は「これまでの、そしてこれかも通用する会社員の教科書」だと感じました。
日本大丈夫か? と心配になる
そして、第2の感想は「日本大丈夫か?」でした。
ブラック企業や働きかた改革の影響で、ここ数年で労働環境が激変しました。
「パワハラ」なんて言葉、僕たちが若い頃はありませんでした。
そういうもんだと思っていました。
職場は仲良しこよしの場所ではないですからね。
どうしても間に合わせなければならない仕事は、寝ないでやるのは当たり前でしたし、実際「寝ずにやれ」と言われたものです。
今回取り上げなかったですが、たとえば、「プロは勝負どころで休まない」というのがありますが、それも当たり前。
ここ一番の時は体調が悪くても、這ってでも行くのが当たり前。
インフルエンザになったら、いくと迷惑がかかるけれど、大事な場面でインフルにかかること自体がもう使えないヤツの証明。
そういう価値観で働いていたと思います。
そして、本書でいちばん驚いたのが、「ミスっても会社を休むな」という項目。
こんな項目があるということは、ミスをした翌日休む人がいるということですか?
そして、それはダメですよということを教える本書のような教科書が必要なのだとしたら、何かがおかしいと思うのは僕だけでしょうか?
なんか、だんだんと本書を読んで日本の行く末が心配になってしまいました。
今は上司が「寝ずにやれ!」とか「這ってでも来い!」なんて言ったら即パワハラと言われる時代なのでしょう。
しかしそれだと新人はいつ鍛えられるのか?
自分の限界を知る機会がなくなるのではないか?
自分の価値観を押し付けるのはオッサンの悪い癖ですが、労働観とか、仕事に対する厳格さというのは、いつの時代も変わらないものだと思うのですがねぇ。
こういうことをいうと、鬱陶しいおっさんになるだけなんだよなぁ。
礼儀正しさが最大の武器
さて最後に、そんな鬱陶しいおっさんから若い方にアドバイスを。
組織の中で働くときに身につけておきたい一番の武器は、「礼儀正しさ」です。
本書でも随所に「礼儀正しさ」の重要性が語られていて、田端さんはその辺りしっかりわかっていらっしゃると推察します。
先輩や上司からすれば、礼儀正しい新人の方が可愛いし、質問されたら教えてあげたくなるものです。
よく、「可愛がられる人になれ」とか、「挨拶がしっかりできる人になれ」といいますが、そういう人の方がチャンスが多く舞い込むからです。
別に、媚び諂う必要はありません。
誰にでも、礼儀正しく接する姿は、あなたに「裏表のない人」という評価をあたえてくれます。
そしてこれは有形無形の恩恵をもたらします。
逆に、上司の前ではペコペコしている人が、掃除のおばちゃんには横柄な態度をとっていたりすると、必ず誰かが見ているものです。
くれぐれもご注意を。
学ぶ機会をなくした新社会人のための正統派労働観注入書
著者プロフィール
田端信太郎
『これからの会社員の教科書』
株式会社ZOZO 執行役員 コミュニケーションデザイン室長。1975年石川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。NTTデータを経てリクルートへ。フリーマガジン[R25]を立ち上げる。2005年、ライブドア入社、livedoorニュースを統括。ライブドア事件を経て執行役員メディア事業部長に就任し、ライブドア事件後の経営再生をリード。2010年からコンデナスト・デジタルでVOGUE、GQ、JAPAN、WIREDなどのデジタル事業開発を担当するカントリーマネージャーに就任。2010年NHN Japan(現LINE)執行役員に就任。その後、上級執行役員、方針ビジネス担当として広告事業の責任者となり、LINEを株式上場へと導く。2018年2月末にZOZO前澤友作社長(当時)の招聘でLINEを退社、現職へ。数百名が参加するオンラインサロン「田端大学」の塾長も務める。
『これからの会社員の教科書』:もくじ
はじめに
【Chapter 1】「人並み」を目指すか、「プロ」を目指すか
【Chapter 2】「伝え方」次第で結果は180度変わる
【Chapter 3】「単純作業」に仕事の真髄がある
【Chapter 4】「根回し」抜きに大きな仕事はできない
【Chapter 5】「社交スキル」は一生モノの武器になる
【Chapter 6】「トラブル対応」は鮮やかに
【Chapter 7】「情報収集」がきみのオリジナリティをつくる
【Chapter 8】「経済・法律・歴史」はビジネス世界の共通言語
【Chapter 9】「働き方・キャリア」の最適解を導く
【Chapter 10】「パフォーマンス」をさらに高める
おわりに