おはようございます、一龍です。
今日ご紹介するのはその名もズバリ「ネット風評被害」をテーマにした本。
ネットでの誹謗中傷はけっして他人ごとではありません。
被害にあう前に絶対読んでおくべき一冊です。
はじめに
ネットでの風評被害やいわゆる”炎上”などは、特定の企業や有名人だけに発生するものではありません。
もはやどの会社でも個人でもいつ起こってもおかしくない土壌ができています。
日頃からどのように予防するのか、また実際起きたときにどう対処していけばいいのか、知っておくのに越したことはありません。
まずは本書からそのポイントをご紹介します。
ネットでの風評被害に対するポイント
★ネット風評被害の本当の怖さはここにある
1 ネガティブの情報ほど急速に拡散される
普段の日常生活の中でも風評被害は発生します。それは、私たち人間の心理の中に、ネガティブな情報ほど信じやすい特徴があるからです。2 デマは消えないだけでなく、何かのきっかけで再燃する
一度書き込まれた情報は、削除しないかぎり、半永久的に残り続けます。<中略>
そもそも、そのような書き込みの多くは、いつ、それが起きたか書いていません。その結果、読者はそれが過去のことか、つい最近の出来事か判断できません。こうしてそれが再び、炎上する火種になるわけです。3 誰でも巻き込まれる可能性がある
ネット風評被害のターゲットとなるのは、芸能人や大手企業に限りません。もはや、誰でもその被害にあう可能性があります。4 対応のために時間とコストがかかる
大企業の場合は、クレーム対策をする部署があると思いますが、中小企業では、そもそもそのような部署がなく、その商品を担当する営業マンがその対応にあたる場合が多いようです。
その場合、何よりも、余計な時間と人件費がかかってしまいます。加えて、通常業務にまで手が回らなくなると、それにともなう損失も出てきます。5 誰が書いたかわからない「匿名性」
問題が起こるのは、それ(モラル)が希薄になってきた証拠といってもいいでしょう。これは、ネットの匿名性とも大きな関係があります。匿名だから悪口を書いても見つからない、相手を批判してもわからないだろう、という安易な考えが根底にあるのです。
★炎上しやすい話題・言い方を避ける
言うまでもないことですが、炎上必至なのは、
・主義・主張(イデオロギー)にかかわること(特に政治)
・人をバカにした発言、言葉遣い
・汚い言葉遣い、過激・乱暴な言葉が挙げられます。
その他、気をつけるべきこととして、以下のものがあります。1 自慢話・手柄話
客観的に聞けば素晴らしい内容でも、単なる自慢話だと受け取ると鼻についてしまいます。
同じ成功をしても、それを謙虚に話してくれれば讃えたい気持ちになりますが、逆の場合はそれにケチをつけたくなるのが人間です。
どうしても発言したいときには、さり気なく、控えめに言えば、炎上はしないかもしれませんが、避けるに越したことはありません。2 想像力、配慮が欠如した発言
人はそれぞれ育った環境や現在、所属している環境によって価値観が違っているものです。同じ言葉を使っても受け止め方が大きく変わります。
ある人はこのくらいはかまわないと思っている表現でも、それは耐えられないと感じる人もいます。
★後悔してもあとの祭り・・・にならないために
(問題が起きる)投稿をしないようにするためには、やはり送信する前のチェックが欠かせません。たとえば、
1 この投稿がリツイートされて多数の人の目に触れても、感情を害することがない内容か
2 会社や仕事上の関係者が見ても問題ない内容か
3 家族や親族、恋人や配偶者が見ても恥ずかしくないか
4 特定の人について書いていないか、あるいはその人が見ても怒りを覚えないかまた、人によって違いもありますが、お酒を飲んでいる時や夜遅く一人でいるときなどはどうしても書き込みたくなる欲求が強くなります。
ご自分にそういう傾向があるようでしたら、そのようなときは書き込みをしないとうい項目も、クェッくリストに加えておくといいでしょう。
★ネット風評被害対策の基本 最初の6ステップ
ステップ1 現状を把握する
ステップ2 緊急対策を取る
ステップ3 真実の情報発信
ステップ4 取引先に第一報を入れる
ステップ5 収容な取引先へはその場で電話する
ステップ6 ネット上に正確な情報を流していく
(各ステップでの詳しい対応は本書で)
★被害の拡大を招く、絶対にやってはいけないこと
1 放置は絶対にNG!
放っておいたために取り返しのつかない状況になってしまうことのほうが圧倒的に多いです。<中略>
致命傷になる前の適切な対処が求められます。それを過ぎると、被害はますます大きくなると心得てください。2 お詫びをするときは反論しない
あくまでも謝罪するときは、それに徹しなければ効果が薄くなります。<中略>
お詫びをするときはお詫びだけにする、そして、少し時間をおいて機会を見つけてその時の状況を説明する。それがベストです。
★警察はなかなか動いてくれない
実際に警察を動かした経験を持つ人に聞いてみると、警察は頼りにはなるが、なかなか動いてくれないと言っています。
たとえば、名誉棄損罪や脅迫罪は、被害を受けた本人が告発しなければ捜査が始まりません。そのため、誹謗中傷や脅迫などをした人を捜査してもらうために、被害届以外にも告訴状が必要になります。
ただ、告訴状を提出しても警察が捜査してくれるかどうかは、別問題です。現実には、そのほとんどが起訴されていません。「民事不介入」を理由に動いてくれないことも少なくないのです。
警察が動くのは、それが重大な犯罪につながる場合、いわゆる刑事事件になる時だけといってもいいでしょう。
★実際に警察に依頼するには
まず、警察に相談に行きます。都道府県系本部の「サイバー犯罪対策室」が窓口になりますが、市町村の警察署でもかまいません。その際、刑事課にインターネットの事件を扱った人がいるかどうか聞いてみると安心です。
いちばんいい方法は、ネット犯罪を専門にしている弁護士事務所に相談することでしょ。ネットにくわしい警察官は数が少ないですから、そのような情報を持っている可能性は高いです。
感想
◆対岸の火事ではない
著者の薮崎さんはネット風評被害対策コンサルティングを行っている、言わばネット風評被害対策のプロフェッショナルです。
それだけに多くのネット風評被害を目の当たりにされています。
本書冒頭部分でネット風評被害の事例が幾つか紹介されているのですが、結構怖い。
ちょっとした噂とか、たったひとことの書き込みなど、「えっ、こんなことがきっかけなの?」と驚いてしまうようなきっかけで、大きな損害をともなう事態が起きているのです。
少し前に、食品に遺物が混入する事件が相次ぎました。
これは風評ではありませんでしたが、個人が簡単に情報を発信できる時代には、もうその標的が有名人や大企業とは限りません。
悪意があるなしにかかわらず、事実かどうかにもかかわらず、いつどんなネット風評が広がるかわからない時代なのです。
◆とにかく早期消化
自ら炎上やネガティブな書き込みを誘発しないというのはもちろんです。
そのために社内の「ガイドライン」を作ったり、個人的な発信も注意する必要があるでしょう。
しかし、それでも事が起きたら、著者はこう言います。
対策はただひとつ
とにかく、緊急に、迅速に対処すること。
これは絶対。
「人の噂も七十五日」といいますし、確かにほっておいたら自然と沈下する例もあるでしょう。
私のよく読むブロガーさんにもそういう人がいます。
(この人はわざと炎上を狙っているとしか思えないのですが・・・)
しかし、それはあくまでも個人ブロガーの話。
企業さんだとそんな悠長なことはしていられないはず。
迅速に対処すること、そして正直誠実であること。
(下手に反撃に出ると帰って問題を大きくするところがネットのもどかしいところ)
これしか対応策はないですよね。
ただ、その対応方法は定石があるので本書を参考にしてみてください。
◆日頃からプロに相談
その対応方法の定石を知り、いざというときにしっかりとした対応ができるためには・・・
本書の著者はネット風評被害対策コンサルティングをされている方ということで、こういうことを書くと「宣伝かよ!」あるいは「ステマじゃないか!」と、当ブログも風評被害を受けそうですが、餅は餅屋で、やっぱりプロに相談というのがいちばんいいのではないかと。
というのも、本書中にも書かれていますが、体力のある大企業さんならともかく、中小企業でネット風評被害対策をやらなければならない自体に陥ったとき、その時間的コスト的損害は非常に大きなものとなります。
場合によっては業務の正常化ができず、そのまま倒産ということもありえるでしょう。
危機管理という観点から日頃からのネット対策のプロとつながりを持つことと、その意見を参考に予防に努めることがいいと思います。
(これからこのマーケットは成長するんだろうな、時代だなぁ、などとも感心したり)
ということで、最後は宣伝っぽくなりましたが、まずは本書を読んでみてください。
あなたも、あなたの会社も決して対岸の火事ではないのですから。
本書はDiscover21社様から献本していただきました。
ありがとうございました。
目次
プロローグ
第1章 知らないでいると恐ろしいネット風評被害の現実
第2章 大前提は「ネット炎上を未然にと防ぐ」
第3章 ネット風評を発見したら?
第4章 法的手段をとるにはどうする?
第5章 プロの活用でネット風評被害に対処する
おわりに
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