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壁をうち破るチームになるための6つのポイント【書評】安澤武郎(著)『仕事でもスポーツでも成長し続ける人の「壁をうち破る方法」』Discover21

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おはようございます、一龍です。

今日ご紹介するのは、組織変革のコンサルティングをおこなうペネトラ・コンサルティング代表、安澤武郎氏の著書。

京大アメフト部での経験をもとに書かれた”壁をうち破る方法”は、色々な場面できっと役に立つはずです。

 

 

はじめに

 

著者の安澤さんは京大アメフト部出身で、オールジャパンにも選出された経歴の持ち主。

そんなバリバリの体育会系の著者の「壁をうち破る方法」と聞くと、どうしても根性論的な方法を思い浮かべてしみます。

しかし本書はそうではありません。 

前書きで著者が

 「壁をうち破る」というと何か難しいことのようなイメージがあるかもしれません。あるいは、アメフト部でオールジャパンと聞いて、体育会系の厳しい訓練を想像されるかもしれません。しかし、難しいことでもなければ、気合いや根性や努力の世界でもありません。成功法則は、きわめてシンプルなのです。

 

「壁をうち破る」ために大事にすべきなのは、「特別な能力」ではなく、「考え方」「仕組み」「行動」です。

とおっしゃっています。

実際、京大アメフト部と言えば輝かしい実績を残しているのに、実はスポーツ推薦はなく、一般入試で入ってきた生徒を鍛えて日本一になっているということで有名です。

その京大アメフト部の経験も含めて、壁をうち破る方法とはいかなるものか、見ていきましょう。
 
 

 

 

「壁をうち破る」ためのポイント

 

 

 

★過去のレールから外れた目標を立てる

 

 常識の枠を取っ払い、思った以上の結果を出すために有効な手法は、「え、そんなの、あり得ないでしょう」「絶対にムリ」と思う目標を立てることです。

 コンサルティングの現場でも、過去の延長線上にない、レールから外れた目標を設定して、挑戦してもらいます。

 クライアント企業の社員の方々は、「今でも精一杯だったのにあり得ない」「絶対ムリです」などと最初は戸惑います。でも「やるしかない」と思い、本気で「どうしたら達成できるだろう」と考え始めると、今までの常識に捉われないアイデアがどんどん出てきます。<中略>

 今の自分には難しい、叶えられるはずがない高い目標を立てる。

 その目標を基準に物事を考えることで、今まではムリだと思っていた「常識の壁」を越え、新たな世界にたどり着くことができるのです。

よく、ちょっと頑張ったら達成できそうな目標を細かく設定して、いわゆるベビーステップで達成していくというのは成功法則の基本として聞きます。が、それでは達成できる最終目標レベルが低かったり、達成までに時間がかかりすぎるというマイナス面があるのは確かです。そしてなにより、常識を超えた変化は期待できません。最初からムリと考えるのではなく、どうしたらそれが実現できるかを真剣に考えることをスタート地点にしたいですね。

 

★同じ場所に「居着かない」

 

 多くの人は、「今のままの自分」でいることに安心し、変化を怖がります。

 しかし成功者は、逆に「変わらないこと」を最も恐れ嫌います。<中略>

「変化すること」を当たり前にする。それが監督のポリシーでした。

 監督は「伝統」という言葉を嫌っていました。「古いものはいい」という響きがあるからだそうです。古くていいものがあっても、それを上回る、もっといいものをつくればいいではないかと、監督は考えていたのです。

 そんな監督の下で5年間過ごした私は身をもって、「変化なくして成長はない」ということを知ることができました。それでもふと気づくと、同じ環境にいることを心地よく感じたり、自分の考えに固執してしまったりすることがあります。ですからどっぷりと「今の自分」に安住しないよう、普段から意識して、ちょっと違う視点を取り入れることを心がけています。

 難しいことではありません。

 変化させるべきことのヒントは、2つの異なる見地から得られます。

 それは、「同じものの中で変化を見つける」のと「新しいものに触れる」の2つです。

「今までどおり」というのは人間にとってすごく居心地のいいことです。しかし、そこに居着いてしまえば、もう何も変わりません。毎年生徒が入れ替わる学生チームの事情もあるでしょうが、監督さんの言われる「変化なくして成長はない」という基本姿勢は、常に上を目指す者ならば、肝に銘じておくべきでしょう。

 

 

★成功率6割で行動する

 

 スポーツでは、頭で考えすぎると体が鈍ります。自分のプレーに少しでも不安を感じたり迷ったりする、そうした100分の1秒のロスが勝敗の分かれ道となるのです。

 だからこそ、ある程度いけると思ったら、一歩踏み出したほうがいい。最初から成功する条件が、すべて揃っていることはありません。

 私は「成功率が6割を超えると思ったら、行動せよ」と言っています。

 計画どおりに進めばそれでよし。そうでなければ、そのときに修正して方向転換し、ゴールに向かって近づいていけばよいのです。

とにかく行動することでしか道は開けないというのは成功本でも定番のTipsですし、私もそう思っています。そしてたくさん失敗することも大切。そこから学べますから。難しいと思うのは”成功率が6割を超える”という見極めではないでしょうか。私も含めて失敗が多い人はこの見極めが甘いのでしょう。でもこの見極めの精度を上げる方法も、結局行動して失敗を数多く経験するしかないのですよ。ということで、行動がすべてのスタートです。

 

★とがった部分を伸ばしきる

 

 「とがった部分は一流の水準に、その他の部分は足を引っ張らない水準まで鍛えておく」

 これが運動能力の水準が低いアメフト部での、成功するために必要な弱点と長所の考え方だったのです。

 面白いことに、個性を伸ばす選手が増えてくると、チーム全体の実力がアップしていきます。

 たとえば、チームの中に一人でもヒットが強い選手がいれば、その選手と当たっている選手は鍛えられて強くなっていきます。そのように、お互いに切嵯琢磨して、ぐんぐんレベルが上がっていくわけです。<中略>

 仕事でも同じことです。得意を十分に伸ばしたうえで弱点を克服していく、この順番が大切です。

 コンサルティングの現場で新人を育成するときは、どんな分野でも得意なことから身につけさせるのがセオリー。得意なことは早く上達するので、その分野に取り組むことが楽しくなり、頑張ることができるからです。

 

プロでも全員が全員スター選手なんてチームはどこにもありません。しかし一人の選手の加盟や、調子のいい選手が出てくるとチームをがらっと変えることはよくあります。これはビジネスの世界でも同じ。その変革を生み出す一番手っ取り早い方法は、”長所を伸ばす”戦略でしょう。チーム全員の短所をボトムアップするのは多大な労力と時間を必要としますが、一つ抜けた長所を持った人が出ると、自然とチーム全体が引き上げられるものです。

 

★成功したときこそ、解釈をたたかわせる

 

 成功したときほど、その理由をあらゆる角度から探るべきです。なぜなら、成功を再現するためには、うまくいった理由を知っておくことが重要だからです。<中略>

 人は経験の意味を考え、次のアクションにつなげることを繰り返して成長します。ただし、その解釈は人によって大きく違ってきます。<中略>大事なことは、複数の面から良い点、悪い点を考えて、それぞれの解釈をたたかわせ、そして自分たちの本来の目的に相応しいのはどちらかを考えることです。

 同じ組織内で、同じ価値基準の人たちだけで同じ解釈をして、「そうだよな」「やっぱりな」で終わらせてはいけません。勝ち続ける組織では、違った側面から「こういう味方もあるんじゃないの?」と言う人がいて、その複数の解釈の中から、本当に大事なことを見つけています。<中略>

 また、一つの成功の中にも、続けるべきこともあれば、変えるべきことも存在します。提出した資料をそのままお客様にも差し上げられるようレイアウトするべきだったとか、画像にキャプションをつけ忘れたなど、良かった点だけでなく、改善すべき点も同時に考え、さまざまな解釈をたたかわせてみましょう。

 両方を見極めることで、次の成功のしっかりとした土台が築かれるのです。

野球の野村監督は「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負け無し」と言いましたが、勝ったときほど、うまくいったときほど、それを再現するために研究するべきなのですね。

 

 

 

★「楽・非・楽」の法則

 

「構想するときは楽観的に、計画するときは悲観的に、そして実行するときは楽しくやる。それが成功者の行動様式である」

 セラの創業者で、近年はJALの再建に尽力された稲盛和夫さんの言葉です。

 私もこれはアメフトをやっていたときから、イヤというほど実感しています。

 アメフトのチームでは、最初は楽観的に「日本一になろう!」と考えます。次に来る日々の練習は、あらゆる「負け」の可能性を一つひとつ徹底的につぶす地道な作業。ここでは悲観的になる必要があります。そしていざ試合となれば、思い残すことがないよう楽しむ。開き直って自信を持ってプレーする。そうすれば必ず勝利に結びつくのです。

 

ビジネスの現場では、意外とこの逆をいっている人が多くいます。

売上目標などの設定は保守的で新たな挑戦にも消極的。そして、実行前の準備段階は「なんとかなるさ」と楽観的で準備不足。そして、いざお客様の前に出ると、「ダメかもしれない」と悲観的になってしまうのです。これではうまくいくものもいかなくなり、次の行動にもつながりません。計画段階ではもっとシビアに、すべてのネガティブな反応と、マイナスな状況を考慮して、プランを練るべきでしょう。

 

言われてみたらその通りでした。目標は楽観的に大きく!そして悲観的に準備は徹底する。

勝負は準備段階で決まるのですから。

 

 

 

感想など

 

 

 

◆実践的な”壁をうち破る”方法

私は関西で学生時代を過ごしたので、テレビで京大アメフト部の特番を組んでいたのを時々目にしたものです。

京大アメフト部の特異なところは、先に書いたようにスポーツ推薦で入学した選手がいないのに輝かしい実績を残していることでした。

学生の場合は引退までの期間が決まっており、毎年チームのメンバーが入れ替わっていきます。
しかも入部者には未経験者も多かったと聞いています。

その状況の中で、勝ち続ける、強いチームを維持するのは非常に難しいことなのに勝ってしまう。

アメフトというスポーツの特殊性もあるかもしれませんが、私が通っていた大学のアメフト部の体たらくを見るにつけ、「頭のいい人はなんでもできるやろな」と思ってしまったのを覚えています。

しかし、今回本書を読んでかなりイメージが変わりました。
アメフトは頭がいいだけで勝てるほどヤワなスポーツではありません。

短い期間で、限られた人的資源で最大の成果を上げるための工夫を徹底していたのです。
そして、その意識がチーム全体に行き渡っている。

この状態、ビジネスシーンにおいては非常に理想的な状態ですよね。

個人としても読んで参考になる部分が沢山ありますが、おそらくビジネスの現場でチームを率いるマネジャーさんや管理職の方が読むと「早速取り入れたい」とおもうないように出会えるのではないでしょうか。

 

 

 

◆とがった部分をさらに磨こう

私が特に本書で面白いなと思ったのが、ポイントとして上記した「とがった部分を伸ばしきる」というTipsでした。

これに関しては、種目は違えど私も経験上納得です。
私の場合は格闘技でしたが、蹴りのすごいヤツがいる道場では蹴りのレベルが高いだけでなく蹴りに対する反撃も自然とうまくなります。

そしていつのまにかチーム全体のレベルが上がっています。

もし、あなたがチームを任されている立場なら、メンバーの長所を伸ばすことを最優先でしてみてはいかがでしょう。

失敗を恐れて短所の克服に目がいきがちですし、もちろん管理する側としては失敗されたら困るわけですが、そこばかり目を向けていると、だんだんとチームが萎縮して、最終的には何もできない、何も判断できない集団になってしまいますよね。

強いチームというのは、選手それぞれが自信を持ってプレーしています。

その自信は「自分にはこの武器がある」というところから発現するように思うのです。

それを引っ張りだし、使える場面を与えるのが監督の役目ですから。

◆個人として壁をうち破るためにも

さて、本書は個人として”壁をうち破る”方法もたくさん紹介されています。

さすがにスポーツで成果を収めた方だなと思ったのは基本を大切にする姿勢。

例えば、守破離のたとえはよく用いられますが、これを本気で大切にし、実行している人は意外と少ないものです。

まずは型をしっかり守ること。
若いうちはなかなかできないのですが、どれだけ基本を大事にするか、コツコツ継続するかで歳を取ってから差が歴然としてきます。

大抵、基本練習というのは面白くないもの。
でもそれを習慣として自然と、気負うことなく、淡々と続けてきた人には絶対に勝てません。
強い人って見えないところでトレーニングを継続しているんですよね。

これは武道でもビジネスでも同じことです。

自分の長所を伸ばすこととコツコツ基本練習の繰り返し。
壁をうち破るために始めましょう。

 

 

本書はDiscover21社様より献本していただきました。
ありがとうございました。

 

目次

 

第1章 常識の壁に挑む

第2章 アクションの壁に挑む

第3章 スキルの壁に挑む

第4章 「仕事のやり方」の壁に挑む

第5章 コミュニケーションの壁に挑む

第6章 情熱の壁に挑む

 

 

 

 

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