おはようございます、一龍です。
経済学をいつもわかりやすく解説してくれる木暮太一さんの「今までで一番やさしい経済の教科書」シリーズの最新刊が登場したのでご紹介します。
「景気」=「全体的に、商売かうまくいっているかどうか」
といったように、非常にわかりやすく経済を解説してくれる本書。
これ以上解り易い経済書はないと言っても過言ではない本書から、今回はアベノミクスとは何なのか、そのポイントをまとめてみました。
今さら誰にも聞けないアベノミクスのポイントをしっかり理解してちゃっかり知ったかぶりしましょう。
アベノミクスとは何かがわかる6つのポイント
★アベノミクスの”3本の矢”とは
アベノミクスの”3本の矢”とは
経済が発展するために日銀が行う経済政策を「金融政策」、政府が行う政策を「財政政策」といいます。
アベノミクスでは、この「金融政策」と「財政政策」に加えて「成長戦略」という3つの作戦で景気を良くしようとしていました。これがいわゆる「アベノミクスの”3本の矢”」です。
とのこと。
ではこれまでの政府がやってきた景気対策とはなにが違うのか。
★これまでの「金融政策」「財政政策」となにが違うのか
結論から言うと同じです。
まず日銀が行う「金融政策」ですが、
「金融政策」には、景気を良くする「金融緩和政策」と、景気を落ち着かせる「金融引き締め政策」の2種類があることは、前の章で簡単に説明しました。アベノミクスでは、そのうちの「金融緩和政策」を実施しているということなんです。
補足すると、日銀がお札を刷って市場に出回る通貨の量を増やしています。
政府が行う財政政策については
財政政策も景気を良くさせる政策と、逆に景気を落ち着かせる政策の2方向があります。そのうちの「景気を良くさせる政策」のことを「財政出動」というんです。
公共事業など政府がお金を使って景気を良くすることです。
景気が悪いという状態は、斉藤一人さん流に表現すると、お金という”血”の巡りが悪くなっていることなので、その巡りをよくしてやるのが景気対策なのです。
つまり日銀も政府も市場に流通するお金の量を増やすのが景気を良くする基本的な方法です。
この基本は古くから繰り返されている同じ方法で
”アベノミクス”という名前を付けているので、さも新しいウルトラCの作戦かと思いきや(良くも悪くも)定番の政策を実施しているだけ、というのが実際のところです。
と、本書では書かれています。
しかし、アベノミクスには他の政策とは違った2つの特徴があります。
★”アベノミクス”の2つの特徴
それは
1つは、「インフレ2%を目標」と数値化させて明確にしたこと。もう1つは、「人々の期待に訴えたこと」
です。
では、なぜ「インフレ目標2%」なのでしょう。
★「インフレ2%」の狙い
デフレの時はみんながお金を使わないようにしましたが
インフレが起きると、みんながお金を使うから
インフレを起こそうとしています。
なぜインフレになるとお金を使うようになるかというと
インフレが起きると、同じ商品でも去年より今年、今年よりも来年の値段が高いということですよね。
今年よりも来年のほうが高くなっちゃうんだったら、今年買った方が「得」ですよね。だとしたらみんな「だったら、今年買おう!」と言って、お金を使うようになります。
その結果、商品が売れて、景気が良くなるんです。
こうして物が売れるようになると企業の収入が増えるわけですから、企業は借金がしやすくなります。
設備投資や事業拡大にお金を使うようになるのです。
経済が活気づいて、景気は良くなりますね。だから大ざっぱに考えると「インフレは景気にプラス」なんです。
★「期待に訴える政策」とは
もう一つの「期待に訴える政策」というのはなにか?
経済学でいう「期待」は、一般用語の「予想」の意味です。「期待に訴える」というのは、国民が「これから、こうなるだろうな」と予想するように仕向け、そう予想して動くようにし、結果的にそれを実現させようと考えている、ということです。
たとえば、株価は将来予想される経済状況を表すと言われますよね。
だから、まだまだ景気がいいという実感はないの日経平均は2万円台に突入しようとしています。
これはまさしく「期待に訴えた」結果なのです。
結局、
アベノミクスの大まかな内容は、これまで行ってきた政策と同じです。ただ、「インフレ目標2%」と、明確な数字を出し、覚悟を見せたこと、そしてそれを基に国民の期待を変えたことが違いました。
★3本目の矢、「成長戦略」って何をしているのか
さて、アベノミクスの3本目の矢の「成長戦略」ですが、これについては
正直なことろ、この成長戦略は「まだ何も始まっていない」と言ってもいいくらいです。
とのこと。
その取り組んでいる内容としては、
成長戦略では、「女性が輝く社会に!」や「新しい市場を創ろう」など、日本経済の実力を底上げする作戦が掲げられています。その中でも重要な作戦「外需を取り込む」というテーマ
が非常に重要視されています。
というのも、これから日本は人口がどんどん減っていくので国内市場だけでは経済成長は難しい。
そこで、「外国のお客さん」に日本製品を買ってもらうことが重要になってきます。
やり方は2つあります。1つは①「日本を外国にアピールする」、もう1つは②「外国のみなさんに日本に来てもらう(観光客を増やす)」です。
「まだ何も始まっていない」といいましたが、外国人観光客の呼び込みは円安の影響もあってかなり成功しています。
(円安も金融緩和政策の結果ですからアベノミクス効果といっていいでしょう)
2014年には年間1300万人を超えました。
ニュースでも中国人観光客の爆買いがよく伝えられるようになりましたよね。
これから2020年には東京オリンピックもありますし、もっともっと外国人観光客を呼び込んで、どんどんお金を使って行ってもらうようにしたいですね。
まとめ
いかがでしょうか、アベノミクスについてお分かりいただけたでしょうか。
本書は経済全般についてわかりやすく書かれた本です。
今回は一例としてアベノミクスについて書かれたところを中心に紹介しました。
が、もちろんアベノミクスだけでなく、為替や国債や投資の話も登場します。
ある程度社会人として経験を積んでいる人なら、経済が苦手と思っていても、自然と新聞等で知識をイップっとしていると思われますので、本書を読むと霧が晴れるように腑に落ちると思います。
また、経済について全く勉強した経験がない新社会人の方は、本書は抜群にわかりやすい経済入門書となるでしょう。
なお、日銀の金融政策に関しては、けっして「今までと同じ」ではないことは経済に詳しい方にとっては周知の通りでしょうが、本書は入門書ということで内容をシンプルにしたのだと理解したいとおもいます。
いきなりリフレ政策と言われてもねぇ。
本書を読んで経済に興味を持ったら、徐々に難しい本へとシフトしていくといいんじゃないでしょうか。
本書はダイヤモンド社編集者の市川様から献本していただきました。
ありがとうございました。
目次
はじめに
第1章 景気のいい悪いはどうやって決まるの?
第2章 景気対策ってなにをするの?
第3章 景気対策に税金をどう使うの?
第4章 今、どんな政策が行われているの?
第5章 円高と円安はどっちが得?
第6章 インフレとデフレって何?
第7章 日本は借金大国って本当?
第8章 これから必用なお金の知識って?
おわりに
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