おはようございます、一龍です。
今日ご紹介する『マインドタイム 「未来思考」「過去思考」「現在思考」で最高のチームをつくる』はこれまでになかった「時間」という視点から、思考タイプを3つに分け、チームマネジメントに活用する方法が書かれた本です。
ですので、メインテーマはチームマネジメントの方法なのですが、個人でも応用できる内容があり、「これは有効だ!」と思えるものがあったのでご紹介します。
「マインドタイム」を活用するポイント
★3つの「時間スタイル」
まずは「マインドタイム」について。
人類のほとんどすべてが、過去、現在、未来という3つの視点を通して世界を見ています。
そのため時間は思考に次元を与えるのです。
これに基づいて「マインドタイム」も過去、現在、未来の3つを視点としています。
そしてこの3つの視点は私たちに、確実性、実現性、可能性という、最も基本的な3つの考え方を与えています。
この3つの基本的な考え方に基づき、私達の思考は次の3つに分けることかできるとしています。
過去思考
過去に視点を置く「過去思考」は、成功や失敗の体験を記録し、過去を探索し、何よりも、正しいことや事実を確実に見極めようとする思考です。現在思考
現在に視点を置く「現在思考」は、現時点における資産やリソース、動向をモニターし、目標を実現するための計画を練り、目標達成に向けての動きを管理する思考です。未来思考
未来地視点を置く「未来思考」は、新たな可能性を描き、熱意と確信を持ってその機会を模索し、絶えず変化を促し、その変化に適応しようとする思考です。
そういわれてみると、自分や自分の周りの人たちを思い浮かべて、あの人は現在指向タイプだなとか思い当たりますね。
この三つの思考が、私たちの創造力を刺激し、基礎となる思考のプロセスへと私たちを導いています。誰もがこの過去思考、現在思考、未来思考を混合して使っていますが、どのような比率で、どのように使っているかは人によってまったく違います。
そして、この三つの思考の使い方の違いが、それぞれの「時間スタイル」となっているのです。
この「時間」をベースにした(あるいは影響を受けた)思考タイプの分類方法は初めて知りました。
次に3つのそれぞれの思考タイプをもう少し詳しく説明ていきます。
◆過去思考
この思考の特徴は「思慮深い」ことです。できる限り多くのデータを集め、正確さや事実を重視します。何事も、額面どおりには受け取りません。確信を得ようと、絶えず評価し、検証し、調査し、比較検討し、信憑性を確認しています。決して「なんとかなる」などと根拠なく考えることはありません。できる限りリスクを減らし、悪い結果を回避しようとします。
◆現在思考
この思考の特徴は「現実的」であることです。安定した状態を保ち、次々に展開する状況をコントロールする方法を模索します。周りの状況をチェックし、あらゆる変化を見極めます。安定、調和、生産性、完結させることを大切にし、既存のルールや現状を尊重します。最後までやり遂げるため、そして約束を守るために最善を尽くそうとします。無秩序や混乱をひどく嫌い、均衡を保つこと、構造化すること、完遂することを目指します。
◆未来思考
この思考の特徴は「創造力豊か」であることです。あらゆる可能性に対してオープンで、新しい機会を求め、未来になにが起こるかを直感的に察知します。ビジョンを生み出し、新たな戦略や戦術を考案しながら、そのビジョンを、精力的に熱意を持って推し進めます。既存の枠にはとらわれず、限界を押し広げます。変化や曖昧さも好んで受け入れ、堅苦しい構造を嫌います。
★それぞれの長所を活かしてチームをつくる
ここで誤解してはいけないことが。
それは
どの思考が優れているということではありません。これらの能力が分散されていることが、実は、人類の生存にとっても有益なことなのです。
実際のところ、安定した組織やコミュニティは、3つの思考すべてを活用しています。そうすることで、調和を保ち、過去と同じ問題を繰り返すこと無く、過去思考、現在思考、未来思考のすべてをフル活用する必要があるということです。
つまり、「マインドタイム」はそれぞれの特性を長所として活かすためのツールです。
本来はチームのメンバーの「マインドタイム」を理解し、それをマッピングして、自分のチームの「時間スタイル」を理解した上で仕事に活用するのがベストな使い方となります。
例えばこんな感じ。
自分がどの思考を強くもつのかは、本書に記載されているサイトにアクセスして「時間スタイルテスト」(無料)を受けることで簡単にわかります。
ぜひチームリーダーは活用してみてください。
★「思考の車輪」を回す
さて、本書で紹介されている「マインドタイム」の活用法は、先述したようにおおむねチームで活用するものですが、中には個人で活用するのに非常に有効と思われるものもあります。
それが「思考の車輪」を回すというものです。
素晴らしいアイデアだったのに、無残な結果に終わってしまったということ、よくありますよね。
その原因はたいてい、3つの思考を用いる「順序」にあります。それに関わった人々が間違った順序で考えていたということです。
多くの場合、未来思考でアイデアを生み出すと、すぐに現在思考に移り、実行してしまうことが多いですよね。
最高の結果を生み出すためには、いきものの中で唯一人間だけが修得した「時間の流れを並べる能力」を使う必要があります。
私たちの頭のなかで、未来と現在の間に過去を持ってくることができます。つまり、頭のなかで、未来、過去、現在の順に入れ替えて考えることができるのです。
つまりこういう流れ
1アイデアを生み出す ・・・未来思考
↓
2出したアイデアについて熟考し、検証する ・・・過去思考
↓
3行動に移す ・・・現在思考
いいアイデアが浮かんだら、行動に移す前に、立ち止まってそのアイデアについて熟考する。そして、実際に行動に移したら、どうなったかを検証する。
この思考の公式は、チームで新しい商品やサービスを開発する時に用いるのが有効ですが、思考の車輪を回すパターンは個人の場合でも有効だと思います。
個人の場合、3つの思考のどれかに偏っていますが、それは一番強い思考意外は全くないわけではありません。
例えば未来思考の強い人でも、過去を振り返ることもできるし、現在を直視することもできます。
自分で意識して、「現在思考で考えると・・・」「しかし、過去思考で考えると・・・」と言った具合に役割を変えつつ思考の車輪をグルグルと何周でも回せばいいのです。
それが個人のイノベーション、ブレイクスルーにつながると思います。
よく自己啓発書では「動け!まず行動しろ! そして失敗から学べ!」といいますが、こういった思考の車輪を使う方法を知っておくことも非常に有効なのではないでしょうか。
興味ある方は試してみてください。
本書はDiscover21社様から献本していただきました。
ありがとうございました。
『マインドタイム 「未来思考」「過去思考」「現在思考」で最高のチームをつくる』目次
はじめに
第1章 時間に秘められた力
第2章 三つの思考
第3章 あなたの「時間スタイル」
第4章 思考を広げるカギ
第5章 「思考の車輪」を回す
第6章 思考スタイルを活かしたチームビルディング
第7章 「イノベーションの車輪」を回す
付録1 「マインドタイム」の様々な活用法
付録2 「マインドタイム」についてのよくある質問