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「一つのこと」に絞り込むとは1%以下に絞り込むレベルをいうのだ!【書評】ゲアリー・ケラー、ジェイ・パパザン(共著)『ワン・シング』SBクリエイティブ

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おはようございます、一龍です。

今日は「一つのこと」に集中することで成果をあげようという自己啓発書をご紹介。
えっ、よくあるテーマだって?

いやいやこの本、かなりレベルが違う、なにげにスゴ本なのですよ!

 

はじめに

著者の一人、ゲアリー・ケラーは自ら立上げた会社を一代で全米最大手の不動産会社に育て上げたカリスマ企業家。

その過程で、事業が傾いた時期にコンサルタントのアドバイスに従い、一つのことに努めた結果、業績は上向き、目覚ましい成功を収めることができた体験をしたそうです。

この体験から、「一つのこと」に集中することの重要性を説いたのが本書です。

「一つのこと」に集中して、そこを突破口に成功トルネードを駆け上がるために著者が体験をもとに説いた、「一つのこと」を見つけ出す方法、集中するコツなど、まずはそのポイントを見ていきましょう。

「一つのこと」に集中するためのポイント

★成功を妨げる6つの嘘

 

1.すべてのことは等しく重要
2.マルチタスクは効率的
3.規律正しい生活が必要
4.意志の力は常に万全
5.バランスのとれた生活が肝心
6.大きいことは悪いこと

 これら6つの嘘は知らぬ間に私たちの頭に入りこみ、あらぬほうへと私たちを導く。せっかく金の鉱脈を目前にしながら間違った方向を指し示すのだ。そこで、私たちの潜在的な可能性を最大限に活かしたいなら、ぜひともこれらの嘘を叩いてしまわなければならない。

★的を絞りこむ質問

 

 「どれほどの賃金であれ、私が人生に要求しただけのものを、人生は快く払ってくれたはずだ」
 私がこれまでで最も力づけられた瞬間の一つは、人生は問いであり、どう生きるかが答えなのだと気づいたときだ。自分自身にどのように問いかけるかで答えが決まり、結局それが人生になる。<中略>
 一つの質問をすることだ。「的を絞り込む質問」である。
 非凡な人生を夢見る人は誰でも、そのためには非凡な方法を探し求めるしかないと気がつく。「的を絞り込む質問」は、その非凡な方法なのだ。
 それをすることで他のすべてがもっと容易になるか
 不必要になるような私ができる「一つのこと」は何か?

 

★目的の力

 

 目覚ましい成果を手にするには、自分にとって何が重要かを知り、それに沿ってその日その日に必要な活動をすることだ。
 人生に確たる目的があれば、それだけ早く明確な考えが持て、進むべき方向がわかり、決断も早まる。決断が早まれば人に先んじることができ、結局、最善の選択をする。こうして、自分の進む方向がわかれば、最高の結果と経験を手にすることになるのだ。<中略>
 当然つらい時期もある。でも大丈夫だ。目的があって取り組んでいることがあれば、それが励みとなりモチベーションとなって頑張る力が湧いてくる。
 成功が見えてくるまで長いあいだ頑張りつづけることが、目覚ましい成果をあげる秘訣なのだ。

★「一つのこと」のための時間

 

 最も生産的な人たち、つまり目覚ましい成果をあげている人たちは、「一つのこと」への取り組みを中心にして日々の計画を立てる。どの日も、最も重要なアポイントは自分自身とのそれであり、自分とのアポイントを決してすっぽかさない。
 また、具体的な目標があれば時間に関係なくそれを仕上げる。<中略>
 これをうまく機能させるカギは、1日のうちのできるだけ早い時間帯を割り当てることだ。午前中にやるべき重要事項の処理に30分から1時間をかけ、それから「一つのこと」に取りかかる。1日に4時間を割り当てるように勧めたい。誤植ではない。1日に”4時間”だ。これは最低限であり、もっととれるならそうすればいい。

★「一つのこと」に集中するための確かな方法4つ

 

1.隠れ家をつくる
 妨害するものから逃れて仕事をする場所を見つけよう。

2.必需品を備える
 手元に必需品、資料、軽食、飲み物などを用意し、トイレに行く以外は隠れ家から出ないようにする。

3.地雷を一掃する
 電話をオフにし、ウェブブラウザを終了させておく。

4.協力を求める
 あなたを一番捜し回りそうな人に、いま何をしているか、いつなら都合がいいかを知らせる。

★目覚ましい成果を手にするための三つの誓い

 

1.熟達目指す
 熟達とは考え方であり、行動の仕方であり、経験の旅そのものである。

2.目的に即した方法を追求する
 「私はまだ成長しなければならない。だとしたら、ここで何を選択しようか?」と考え、的をしぼり込む質問をし、自分がやるべき次のことを見きわめる。

3.結果に対して責任を持つ
 結果に責任を持てば、目覚ましい成果を手にするためにすべきことがわかる。結果に対して自分で責任を持ち、完全に引き受けることは、最も確実に成功へと近づく道だ。

生産性を奪う4人の泥棒

1.「ノー」が言えない
 何かにイエスと言うことは、その他のすべてにノーと言うことだ、ということを忘れてはいけない。

2.混乱を恐れる
 「一つのこと」を追求すれば、他のことは後回しになる。やり残しがあると行く手を邪魔されるように感じる。こうした混乱は避けられない。うまく対処することを覚えよう。

3.不健康な習慣
 あまりに多くのことを引き受けて、健康を犠牲にしてはならない。

4.後押ししてくれない環境
 周囲の人たちと物理的環境を、私たちの目標を後押ししてくれるものにしよう。「一つのこと」をなしとげるには、付き合う人たちを選び、適切な物理的環境を整えなければならない。

感想

◆最初に常識を捨てよう

最も重要な「一つのこと」に集中することで大きな成果をおさめるといのは、成功本では定番です。
ビジネスの世界でもAppleの成功に代表されるように、同テーマはおなじみとなっていますよね。

しかし本書は同テーマの他の本とは一線を画しています。

まず驚くのは本書前半部分でかなりなスペースをさいて書かれている 成功を妨げる6つの嘘 でした。

1.すべてのことは等しく重要
2.マルチタスクは効率的
3.規律正しい生活が必要
4.意志の力は常に万全
5.バランスのとれた生活が肝心
6.大きいことは悪いこと

これらの6つはビジネス書では「目指すべきもの」として掲げられる項目ですよね。
まさに、”できる人”の条件ですよ。

しかし本書では「一つのこと」に集中するため、あるいは集中することによる成果を最大にするため、これら6つの常識を成功を妨げるものとして排除します。

「一つのこと」に集中するというのは、徹底して他を排除している状態であり、一般的なビジネスパーソンの感覚からすれば、ある意味異常な状態なのかもしれません。

しかし、本当に成果を上げることができる”「一つのこと」に集中”しているレベルというのは、このはた目には異常に映るレベルに到達する必要があるのだと思います。

◆もっともっとしぼり込め!

さらに認識を新たにさせられたのが「一つのこと」をしぼり込むときのハンパなさ。
その徹底ぶりたるや、やはり自分は甘かったなと反省。

本書で著者はパレートの法則をもって説明しています。
おなじみの「80対20の法則」です。

著者は、

 パレートの法則によれば、あなたが求めるものの大部分は、あなたの行為のごとく一部によってもたらされる。目覚ましい成果は、たいていの人が考えているより数少ない行為によって生み出されるのだ。

としたうえで、的をしぼり込むコツとして

 パレートの法則は確かに重要だ。しかし不十分でもある。重要な20%を特定して、そこでとどまってはいけない。これを究極まで突き詰めてほしい。重要な少数の中のさらに重要な少数を見つけるのだ。
 20%の中の20%を選び、さらにその中の20%を選ぶというふうにしていけば、最後には最も重要な一つのことに行き着く。

と表現している。

これを読んだとき感じたのは、自分の”絞り込み”の甘さでした。
自分では十分にしぼり込んだ「一つのこと」に集中しているつもりでしたが、実際にはまったく絞り込んだといえるレベルではなかったなと。

20%×20%×20%=0.8%

約1%、たった1%の

それをすることで他のすべてがもっと容易になるか、不必要になるような私ができる「一つのこと」

を見つけ出し、集中しなければならなかったのですね。

◆一つのことを見つけ出そう

さて、「一つのこと」を見つけ出し、それに集中することの重要性はわかったものの、実際の生活ではそう簡単には「一つのこと」に集中できないもの。

我々の生活には「仕事」だけでなく「家庭」「健康」「人間関係」等々重要なテーマがいくつもあります。

ですからどんなに絞り込んだところで、いくつかの「一つのこと」をマルチタスクで進めるというのが実際の生活の有り様でしょう。

しかし例え各項目ごとの「一つのこと」の同時進行だとしても、「一つのこと」を常に絞り込む人生とそうでない人生とは大きく違ってくると思います。

人生がシンプルになればなるほど、「なにをしたらいいかわからない、何から手を付けたらいいかわからない」という状況が少なくなるわけですから。

本当に集中すべきものは何か?

忙しく、どうすればいいかわからない、そんな時ほど「一つのこと」を見きわめる姿勢を持ちたいですね。

最後に本書で引用されていたこの言葉を

 成功する秘訣は、まず始めること。始めるための秘訣は、複雑で大変な仕事を扱いやすいように小分けし、それから最初の一つに取りかかることだ。      マーク・トゥエイン

本書はSBクリエイティブ社、上杉様より献本していただきました。
ありがとうございました。

目次

PART1 嘘  私たちを惑わし、つまずかせるもの
PART2 真実  生産性へのシンプルな道
PART3 目覚ましい成果  秘められた可能性を解放する
エピローグ  「一つのこと」を活かす
訳者あとがき

関連書籍

本書中で紹介、引用されている本。

 

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